Meeting with SOULECTION.

LAからの刺客。ソウレクション サプライとモンキータイムの邂逅。
Photo_TAWARA[magNese] 
Text_Yuichiro Tsuji
ENGLISH

ロサンゼルスのミュージック・シーンにおいて、
着実にその知名度を上げてきているレーベル「ソウレクション(SOULECTION)」。
ブラックミュージックをベースに未来的な音色を重ねた彼らの音楽は、
ここ日本でも耳が肥えたリスナーたちを中心に話題になっています。
そんな「ソウレクション」のクルーたちが先日、来日を果たしました。
彼らのアパレルライン「ソウレクション サプライ(SOULECTION SUPPLY)」が、
ストリートとモードを軸とするブランド〈モンキータイム(monkey time)〉とコラボレートしたのです。
今回はレーベルの重要人物3名にインタビューを敢行。
音楽のこと、ファッションのこと、そして今回のコラボレートのことについて語ってもらいました。

左からAndre Power @andrepower(プロデューサー)、Joe Kay @joekay(ファウンダー)、The Whooligan @thewhooligan(プロデューサー)。

「SOUL」と「SELECTION」という言葉でつくった造語。

ソウレクションはいつスタートしたんですか?
Joe Kay
スタートは2011年。俺が大学に在籍しているときにラジオショーのプログラムをつくっていて、そこで色んな人との出会いがあり、彼らに家族のような気持ちを抱くようになったんだ。そして、その延長で自分たちでレーベルをつくって、そこでつくられる音楽をラジオで流そうということになったんだよ。すべてDIYでやろうってね。 スタートから6年という月日が流れて、音楽やビジネスについて多くのことを勉強できた。ソウレクションは、みんなで集まる場所のようなものだと思っている。みんな音楽を大事にしていて、それを通して自己表現をしているんだ。
「SOULECTION」というネーミングにはどんな想いが込められているんですか?
Joe Kay
これは「SOUL」と「SELECTION」という言葉でつくった造語だよ。「SOUL」というのは魂や精神のこと。よく音楽のジャンルの「ソウル」と間違えられるんだけど…(苦笑)、自分たちのつくる音楽や活動に魂を込める、という誓いだね。一方で「SELECTION」は、人生を選ぶという意味。自分で切り開いて行こうというメッセージのようなものだよ。
現在はネットでのラジオ配信、あとはサウンドクラウドでアーティストたちの楽曲が聴けますね。
The Whooligan
そうだね。あとはクラブでのショーや、世界各地にツアーに行ったりしている。俺たちは、リスナーとの直のコンタクトをいちばん大事にしているんだ。地元のロサンゼルスはもちろん、ツアーで廻る各所でもそれはおなじだね。ローカルの人たちとの交流を通して、その土地の文化を知ることが俺たちにとって最大の恵みになっているんだ。 インターネットを通じたやりとりだけだと、いまみたいなインタビューも味気ないものになってしまう。でも実際に人と会ってトークしたり、一緒に音楽を聴いたり、食事をしたりすることで、色んなことを知ることができるし、それが音楽の制作に大きな影響を与えてくれるんだ。
「The Sound of Tomorrow」というレーベルのコンセプトにあるように、ソウレクションに所属するアーティストたちの音楽は、どこか未来的な音色が特徴のような気がします。
Andre Power
アーティストによって奏でる音楽の音色が違うから、一概にはそうとも言えないけれど、俺たちの共通点はソウルやヒップホップ、R&B、そしてジャズにある。
The Whooligan
あとはダブやレゲエ、ハウスも付け加えてくれよ(笑)。
Andre Power
あぁ、そうだったな(笑)。そういった音楽を自分たちのフィルターを通してまた新しいものへと生まれ変わらせているんだ。
The Whooligan
みんなそれぞれ個性があって、自分にしかできない表現をしている。それを聴くことで刺激をもらえるし、前向きな気持ちになれるよ。

サウンドクラウドは新しいアイデアや可能性に満ちたサービス。

その個性あふれるアーティストたちはどうやって見つけているんですか?
Joe Kay
ほとんどのアーティストは、サウンドクラウドを通してコンタクトを取ったんだ。あとは友人の推薦だったりとか、ショーを通じて知り合ったアーティストもいるよ。
サウンドクラウドのアーティストに注目する理由は?
Joe Kay
サウンドクラウドは新しいアイディアや可能性に満ちたサービスだと思っている。中には、スタジオではなく自宅で音楽をつくっている人たちもいるんだ。iPhoneを使ってメロディーを録音をして、そこにビートを重ねたりとかしていて、すごくユニークなんだよ。アンダーグラウンドなフィールドにいるDIY精神あふれるアーティストたちを探して、彼らの個性を育てるようにプロデュースをしたいと思っているんだ。
ソウレクションには日本人のアーティストも所属していますよね。starRoやYukibebもサウンドクラウドを通じて知り合ったんですか?
Joe Kay
イエス。Yukiはサウンドクラウドに上がっているミックスを聴いてコンタクトを取ったんだ。彼女はもう3年以上もソウレクションのメンバーとして活躍してくれている。
一方でstarRoは、今年発表された第59回グラミー賞の最優秀リミックス・レコーディングにノミネートされましたね。
Joe Kay
ノミネートされたと聞いたときは心が震えるほどうれしかった。とても素晴らしいことだし、誇らしいことだ。家族のように親しい存在だからね。starRoはすべてのプロダクションを自分でやっているから、本当にリスペクトしているよ。今回グラミー賞にノミネートされて、いろんな人たちからコンタクトが来たようだし、チャンスも広がっているみたいなんだ。
The Whooligan
いまのアメリカの音楽シーンは全体的に柔らかくなっているような気がするよ。ジャンルは関係なく、さまざまな音楽を享受するようになっているんだ。だからこそアンダーグラウンドな存在でも、音楽への気持ちが誠実であれば日の目を見ることができる。メインストリームへの階段を登ることができるんだ。starRoがグラミー賞にノミネートされたことによって、そういった事実を証明してくれたよ。
大きなスポンサーの力を借りず、ここまで注目されるレーベルへと成長を遂げることができたのは、どうしてだと思いますか?
Joe Kay
常に動いて、アクションをしてきたことが報われたんだと思う。ネットではスピーディに情報が飛び交っているけど、俺たちもそのスピードに合わせてたくさんのリリースを行ってきた。それがよかったんだと思う。でも、いまの状況に満足はしていない。というか、一生しないと思うな(笑)。つねに上を目指していきたいと思っているから。
The Whooligan
音楽だけじゃなくて、写真やアート、ファッションを発信できたことも大きいと思う。俺たちはみんな写真を撮るのが好きだし、服も好きなんだ。自分たちで撮った写真を素材にジャケットをつくったり、〈ソウレクション サプライ〉で服をデザインすることで、ソウレクションの世界を視覚的に認識してもらえる。そうした多角的なアプローチをすることで、音楽好き以外のファンも獲得できたんじゃないかな。あと、俺たちは〈モンキータイム〉を含め、これまで3つのブランドとコラボレートしてきたんだ。他のブランドと一緒に取り組みを行うことで、自分たちの感性にいい影響を与えてくれるし、そのブランドのファン層にもアピールすることができる。だから今回のようなコラボレートは、自分たちにとって大きなチャンスだと思っているよ。

着たくないものはつくらない。クールなものだけを生み続ける。

〈ソウレクション サプライ〉は、どんなことを考えながら服作りをしているんですか?
Joe Kay
音楽が好きな人たちは、それをファッションを通じても表現しているように思うんだ。そのサポートをするために、俺たちはブランドをはじめたんだよ。アンドレとふたりでロゴをつくって、それをシャツにプリントすることからスタートして、次第にキャップやパーカ、ブルゾンといったアイテムをつくるようになったんだ。
Andre Power
大事なのはクオリティだと思っている。それは品質という意味でもあるし、デザインに関してもそう。ベーシックなものだけじゃなくて、時代に合わせてデザインも工夫するようにしているよ。俺たちがつくるアイテムは、音楽レーベルがつくるイージーなウェアじゃないんだ。
Joe Kay
自分たちがクールだと思うものだけをリリースする。着たいと思わないものはつくらない。これが〈ソウレクション サプライ〉のルールなんだ。
今回、どうして〈モンキータイム〉とコラボレートすることになったんですか?
The Whooligan
2015年に〈モンキータイム〉のお店でイベントをやったんだよ。そのときはDJをしただけなんだけど、今度一緒に服をつくらないか? という話になって、今回それが実現したんだよ。
〈モンキータイム〉に対して、どんなイメージを抱いていますか?
The Whooligan
クリーンでミニマルなんだけど力強さがある。あと、すごく上品だよね。
Joe Kay
俺も同感だね。今回のコラボレートでは、そういった〈モンキータイム〉のイメージを崩さず、〈ソウレクション サプライ〉の世界観も表現することができたと思っているよ。素晴らしいコラボレートだった。
今回の制作されたアイテムは、どんなことがインスピレーションになっているんですか?
Joe Kay
いま、90年代や80年代のカルチャーが賑わっているだろ? 俺たちも同じように、その時代の音楽や文化から影響を受けているんだ。今回のアイテムは自分たちが思う80~90年代のムードを、〈モンキータイム〉が持つイメージにプラスして制作したよ。
最後に、今回のコラボレートを通じて伝えたいことを教えてください。
Andre Power
これまでに〈ステューシー〉と〈デイリーペーパー〉とのコラボレートを実現してきて、〈モンキータイム〉は3つ目のブランドになった。俺たちは、どうでもいいブランドとは一緒にプロジェクトを進めたりはしない。意味のあることをやりたいからだ。
Joe Kay
今回、日本のブランドである〈モンキータイム〉とコラボレートしたのは、LAと東京の距離を縮めたかったから。このアイテムを通して、LAの音楽やカルチャーについて興味を持ってくれたらうれしいね。それでソウレクションのことを好きになってくれたら最高だよ(笑)。