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2018.1.22 Mon

“サンプリング”を教えてくれたのはウェルドン・アーヴィン。

write_ Olga

“サンプリング”を教えてくれたのはウェルドン・アーヴィン。
いままで何度も聴いてきたはずのに、同じ曲ばかりリピートして聴きまくるときってありませんか? わたしはいままさに、ウェルドン・アーヴィンの「I Love You」という曲でその状態(笑)。ということで今週はこちらの一曲をご紹介します。

わたしがウェルドン・アーヴィンを知るきっかけとなったのは、A Tribe Called Questの名曲「AWARD TOUR」からです。(THE王道! )以前ガールフイナムで取材した垣畑真由ちゃんは、ヒップホップを逆堀りしたと話していましたが、わたしは通常堀り(笑)。もともとヒップホップが大好きで、曲のルーツを辿っていって彼のことを知りました。これがわたしの“サンプリング”との初めての出会いだったりもします(笑)。

10代の頃からピアノ演奏などの音楽活動で活躍していたウェルドン・アーヴィンは、いくつかのバンドで活動したあと、60年代後半からはジャズシンガーのニーナ・シモンの音楽監督/オルガニストとして活動していました。当初、公民権運動が盛んだったため、二人で共作した「To Be Young, Gifted And Black」は公民権運動を象徴する一曲となったほど。ニーナ・シモンの絶頂期といわれているこの時代を影で支えていたのはウェルドン・アーヴィンだったんです。(当時、彼は私と同じ年齢(25歳)くらい。それなのにニーナの音楽監督をしていたとは。すごいなー! )

そんなニーナ・シモンとパートナーシップを解消した後、彼はインディーズで何枚かアルバムを製作したそうなのですが、なかなか芽が出ず。しかし、製作を続けるなかで、RCAレコードと契約を結ぶことができ、ようやくメジャーデビューを果たします。冒頭で紹介した「I love You」という曲は、(本題に入るまで長くてすみません笑)RCAレコード時代の最後の作品となる『Sinbad』というアルバムのなかの一曲。グルーヴ・ソウルの定番とも言える曲なので聴き覚えがある方も多いはず。ドン・ブラックマンの歌声が最高なんです。胸をしめつけられるというか、ちょっと切ない感じがいいんですよね。絶妙な安定感。初めて聴いても、しっくりと自分のなかにはいってくる曲だなと。ウェルドン・アーヴィンの演奏ってスピリチュアルだとかよく言われるんですが、それも納得です。

このアルバムを最後に彼は本人名義の活動をやめていくのですが、90年代に入り、彼の楽曲が再評価されたり、ヒップホップ系のアーティストたちにサンプリングされたりと音楽業界に大きな影響をもたらしていきます。が、2002年に自殺をしてしまうという。唯一無二な存在 だと言われるだけに本当に残念。

しかし、毎日チェックを欠かさない音楽情報サイトamassで、こんな記事を発見しました。ウェルドン・アーヴィンのドキュメンタリー映画『Digging for Weldon Irvine』を目下製作中だとか! うれしいー! タイトルもグッときません?

映画は現在、作品を完成させるためにクラウドファンディングを行っているそう。これはなにがなんでも絶対観たい! ということで、わたしもポチッと協力してみました。公開が待ち遠しいなー!
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