井上咲楽と走る、東京マラソン2024。
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Sakura Inoue meets Tokyo Marathon 2024.
井上咲楽と走る、東京マラソン2024。
2024.03.29 / TIE UP
3月3日に開催された東京マラソン2024。
世界中から集まった約3万8千名ものランナーたちと共に
一年に一度のビッグレースに参加したタレントの井上咲楽さんに密着。
東京マラソンの魅力や日々のランニングとの向き合い方について教えてもらいました。
Photo_Kazuma Iwano
Model_Sakura Inoue
Text_Mikiko Ichitani
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PROFILE井上咲楽
ランニング番組「ランスマ倶楽部」(NHK)のMCも務める、タレント界きってのガチンコランナー。フルマラソン経験は6回、本大会が4度目の東京マラソン。
PROFILE
- — フルマラソンに挑戦するたびに自己ベストを塗り替えてきた井上さん。今日の目標や意気込みを教えてください!
- 実は今回、コンディションがあまり万全ではないんです。目標はとにかく完走すること。あとは、どんな結果でも楽しめたと思えるように心がけたいと思っています。記録がすべてではないと思えるような走りをしたいですね。
- — 普段からどのくらい練習をされているのですか?
- 最近は週3-4くらいのペースで走っています。以前は文字通り毎日走っていて、走れない日があると罪悪感を感じてしまうことも。今はあえて目標を決めすぎないようにしています。でも、不思議と走らない日が続くと気持ち悪いなって感じるんですよね。そういう身体のサインに耳を澄ませて、気持ちのいいラン習慣を続けるようにしています。
- — 自分のペースに正直に続けることが習慣化の秘訣なんですね。大会に向けて特別な練習などもされましたか?
- ハリー杉山さんたちと一緒に追い込む練習をしたり、LSD(長くゆっくり長距離を走るトレーニング)や目標スピードを意識して走るペースランニング、インターバルの練習などをしていました。
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- — 今回のウェアは〈アシックス(ASICS)〉で統一されていますね。ウェア選びのこだわりポイントはありますか?
- ボトムスにはタイツではなくショーツを選んだのですが、動きやすくておすすめです。内側に柔らかくフィットするインナーがついていて、フィニッシュ後に倒れ込んだときにも裾から下着が見えてしまう心配もないですし、何よりも履き心地がいい。最近では、生理中のランナーに向けてナプキンのうえからさらにガードしてくれるようなボトムスなども出てきていますし、走ること以外の心配事を軽減してくれるようなウェアが増えているのは純粋に嬉しいです。
- — 女性ランナーにとってウェアの選択肢も増えているんですね。シューズは「METASPEED EDGE+」ですね。
- このシリーズは何年も履いているんですけど、私の走り方とシューズの形がすごく合っているんです。このシューズで走るとしんどくなってきたときにも、勝手に足が前に転がっていくような感覚があって。大会中も多くのランナーさんが履いていらっしゃって、「これいいよね」なんてコミュニケーションで盛り上がったくらい、かなりお気に入りのシューズです。
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- — レース当日の朝はどのように過ごされましたか?
- 朝起きて、おにぎりとお味噌汁で朝食をとったらコーヒーを一杯。レース中にトイレ休憩をしたくなくて避ける人が多いと思うんですけど、私はカフェインを入れて頭をすっきりさせたいんですよね。会場に着くまでの移動中は、マラソン用に作ったプレイリストを聴いたり、フィニッシュ後になにを食べようかなと想像したり…。
- — しっかり食べて、飲んでレースに挑まれるんですね。レース中はなにか食べますか?
- レースの前にバナナを食べるのと、走るときは梅干しを持って走るようにしています。私はレース中の水分補給で、スポーツドリンクよりも水を飲むことが多くて、以前低ナトリウム症で倒れてしまったことがあって。それ以来、水を飲んだら梅干しもセットで食べるようにしているんです。あとはたまにジェルを持っていくこともありますが、基本的に走っているときはあまり食べない方かもしれません。
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- — さて、いよいよレースの時間が近づいてきましたね!今のお気持ちは?
- もちろん東京マラソンを走るんだという喜びもありますが、走ったことがあるからこそ絶対にしんどいということも分かっていて、楽しみと不安がごちゃ混ぜの状態です。でも、走りきってしまえば、それらの不安やモヤモヤから解放されるという喜びもあるので、「ようやくこの瞬間が来た!」という気分です!
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©東京マラソン財団
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©東京マラソン財団
- — ここからはレース中の写真とともに当日のレースの感想や東京マラソンの魅力について振り返っていきたいと思います。レース中はどんなことを考えていましたか?
- 25km地点まではずっと4分45秒くらいのペースで走ることができて、すごく調子が良かったので全然苦しくないと思っていたのですが、やはり後半からだんだんとしんどくなってきてしまって。自分のなかの理想のペースが崩れてくると、いつも気持ちに波が出てきてしまい、「最悪、もうダメだ」ってなってしまうんです。本来の私は、趣味も続きにくくて、向いてないなと思うとすぐに諦めてしまうたちなのですが、マラソンの場合は走り出したら簡単には止まれない。
- もちろん怪我やコンディションによっては立ち止まる勇気も必要ですが、まだ頑張れるのに諦めてしまうのは許せないんです。止まれないからこそ、自分の気持ちを鍛えたり、そこからどうやって立て直していくのかということを自問自答しながら、今回もずっと走っていました。
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©東京マラソン財団
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©東京マラソン財団
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©東京マラソン財団
- — 身体もしんどい状態で自分自身の精神と向き合うのはかなり過酷な時間じゃないですか?
- そうですね。でも、普段だとお仕事やテレビなどほかのことに注意が散漫になってしまって気がつけないことも多いので、自分自身とここまでとことん向き合える時間というのは貴重だと思います。
- — 音楽やラジオなど耳のお供はありますか?
- 本番のときに聴く音楽は大体決まっていて、東京事変の「透明人間」とか「閃光少女」といった疾走感のあるメロディの曲を聴いたり、エレファントカシマシを聴いたり……。普段聴く曲と走るときに聴く曲は全然違います。普段は洋楽を全然聴かないけれど、走る直前にはなぜだか無性にグローヴァー・ワシントン・Jrの「Just the Two of Us」という曲が聴きたくなったりします。
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©東京マラソン財団
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©東京マラソン財団
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©東京マラソン財団
- — 4度目の東京マラソンとなりましたが、井上さんの思う東京マラソンの魅力はどこにあると思いますか?
- やっぱり東京の名所や観光地を走って巡ることができるというのはすごくいいですよね。改めて東京って駅ごとに魅力があって、ちょっと走るだけでガラッと景色が変わる楽しさを体感することができました。また、橋であったり起伏のある地点から見下ろすと、一面にカラフルなランナーの姿が広がっている光景は圧巻でした。
- — 普段多くの車が行き交う道路を自分が走っているというのは不思議な光景ですよね。
- これは東京マラソンを走った人ならではの特権だなと感じます。レース中は自治体の方たちの応援や吹奏楽部の演奏、警察の方たちのブラスバンドなどコースごとに一体感のある応援を受けることができました。また、あれだけの距離で沿道からの応援が絶えないというのもすごいことですよね。
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©東京マラソン財団
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©東京マラソン財団
- — ついにフィニッシュ!結果は自己ベスト更新の3時間26分06秒(ネット)という素晴らしい走りでした!
- 走る前はまさか自己ベストを更新するとは思ってもみませんでした!でも、実際に走り出すと42.195kmの間ずっとみなさんが応援してくださったことが原動力になってパワーをもらいました。改めて東京マラソンのすごさを肌で感じましたね。
- — フィニッシュしてからいちばん楽しみにしていたことはなんでしたか?
- 完走したらバームクーヘンを食べたいと思って、カバンに忍ばせていたバームクーヘンを食べました。普通のコンビニで買えるものなのですが、世界でいちばん美味しいバームクーヘンに感じました。あとは、やっぱりお酒が美味しいですね。実はマラソンがきっかけでビールが飲めるようになったんです。マラソンのお仕事のあとに友人に誘ってもらって行った居酒屋で、「今なら普段飲めないビールも美味しく感じるかな?」と思って頼んでみたら、めちゃくちゃ美味しくって。それからはご褒美のひとつになりました。とはいえ、走ったあとは水やインスタントのお味噌汁ですらびっくりするほど美味しく感じるのでなんでもといえばなんでもなんですけど(笑)。
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©東京マラソン財団
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©東京マラソン財団
- — マラソンを続けることで、ランニングとの向き合い方やライフスタイルにも影響はありましたか?
- マラソンを続けてきたことで、SNSの反響や街で声をかけてもらうことも増えているように感じます。「怪我をしてから走るのをやめようと思っていたけれど、井上さんの姿を見て自分もまた走ろうと思いました」といったコメントをもらうこともあって、走ってきて良かったなと思っています。また、芸能のお仕事はアップダウンがあるものだと思うのですが、そういったアップダウンがあるなかで走った分しか進まないマラソンはメンタルケアにもすごくいいなと思っています。
- — マラソンでの今後の目標はありますか?
- 記録を狙うとしたら3時間20分をいつか狙っていきたいです。あとは、海外のマラソンにも出てみたい。今回の東京マラソンでも世界6大大会のマラソン名をウェアに掲げて走っている方もたくさんいらっしゃって、私もいつか挑戦したいなと思いました。楽しいだろうなと思って。マラソンしながら世界旅行できたらいいなぁって。
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- — 最後に改めて、井上さんにとって走ることとは?
- 自分との時間。ほかのなににも遮られずに自分を見つめることだったり、それがケアにもつながるかけがえのない時間だと思います。