SHIMOKITAZAWA RECORD MAP.
ちょうど一年前の、とあるレコード屋のツイッター投稿。
「女子3人組がレコードを選ぶ写真を撮って買わずにお店を出て行った」。
これがネット上で話題となったのを覚えていますか?
“レコード=インスタ映え、レコード=おしゃれ”。いろんな意味でレコードブームと言われるいま。
これからレコードを買ってみたいと思ったら、どこへ行けば良いんだろう?
レコードの街ともいえる下北沢で、ディスクユニオン下北沢店で働きながら、
この6月には音楽マガジンをリリースする垣畑真由ちゃんに、おすすめのお店を教えてもらいました。
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disk union 下北沢 CLUB MUSIC SHOP
レコードをディグるなら外せない場所。
今回の案内人でもある垣畑真由ちゃんが働いている「ディスク ユニオン 下北沢 クラブミュージックショップ」は総合店である「ディスク ユニオン 下北沢」と同じフロアに併設されている。総合店と専門店、どちらのよさも兼ね備えたこの場所は、下北沢でレコードをディグる上で欠かせないお店のひとつだ。そんなディスクユニオンからまずはご紹介。
音楽を幅広く聴きたいあなたに。
「ディスク ユニオン 下北沢」はディスクユニオンのなかでもオープンしてから33年という老舗。路面店で入りやすい下北沢店はほかのお店にくらべて年齢層が若めで、J- POPの限定盤や、ロック系で人気なアルバムをジャケット買いしていく若い世代が増えたとか。ジャンル問わず、気軽に買える安いレコードからびっくりするような値段の博物館級のものまで幅広くチェックできるのが最大の魅力。レコードで音楽を聴くことが生きがいになっている入院中の息子のためにお母さんが100タイトル以上のメモを持ってお店に来たなんていう感動エピソードも。
レコード販売だけではないディスクユニオンの魅力。
「ディスク ユニオン 下北沢 クラブミュージックショップ」は、「お茶の水 クラブミュージックショップ」が移転し、2010年よりオープン。ヒップホップを中心にR&Bやハウス、テクノなどといったクラブミュージックが多くセレクトされている。スタッフにはバンドを組んだりDJ活動をしたりする人も多く、真由ちゃんの同僚である片倉林太郎さん(写真左)はヒップホップグループ“Ganger”のMCとして活動中。ディスクユニオンはレコードの仕入れ販売だけでなく卸業も行っており、彼のニューアルバム『Naghol』もディストリビューターとなって、6月1日より全国発売するそう。こちらも要チェック! レコード販売だけでなく、音楽好きが集ってまた新たなものが生まれるのはディスクユニオンならでは。行って損のないお店です。
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その場で元ネタが掘れるうれしさ。
総合店は全ジャンル揃っているので、いろんな音楽を幅広く聴く人や、音楽が聴きたいけど何を聴いたらいいのか分からない人におすすめ。店員さんも個性豊かでそれぞれのジャンルに強い人が揃っているのできっと自分に合う音楽を見つけられるはず。「クラブミュージックショップ」はDJをしている人にはうってつけのお店。ヒップホップなどでサンプリングされた曲も一緒に置いてあるので、その場で元ネタが掘れちゃう。 ぜひ、遊びにきてください。
住所:東京都世田谷区北沢1-40-6 カシワサードビル
時間:月-土 11:30〜21:00、日・祝 11:30〜20:00
電話:03-3467-3231
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ビルの一室から奏でる音楽たち。
下北沢駅西口より徒歩10秒。病院やクリーニング屋が入っているビルの一室でひっそりとお店を構えているのが、8月で23周年を迎える「ベストサウンドレコード」。以前はソウルやディスコなどブラックミュージックを取り扱っていたが、現在はジャズとロックをメインに販売中。最近のジャズの売れ筋は黒人よりも白人! とのことでアート・ペッパーやビル・エヴァンスなどが人気を集めている。お店の年齢層は50-70代と高めだが、名古屋から17歳の高校生が黒人盤の演歌のような戦前ブルースのレコードを買いに来たなんていう渋いエピソードも。お店には1000円均一の棚から10万円を超えるようなお宝レコードまで揃う。店主の佐藤功一さんがアーティストのジャケットの話や、いま聴いておいた方がいい名盤を教えてくれるので、これからジャズをいろいろ聴いてみたい! なんて人におすすめ。
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たどり着いたらその日はラッキー!
フラッシュ・ディスク・ランチの上でお店が開いていた頃から知っているのですが、12時〜14時という2時間しか店舗が開いていないので、なかなかタイミングが合わずまだ行けていないお店でした。お店も広くなく、お目当てのレコードがある人には探しやすいはず。12時オープンという時間もレコード屋のなかでは早いスタート時間なので、レコード巡りはここからスタートするのがおすすめです。
住所:東京都世田谷区北沢代田6-1-28 201
時間:12:00〜14:30(水休)
電話:050-1299-9239
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渋谷のフェイス、下北沢のジェネラル。
「ジェネラル・レコード・ストア」は2年前の日本コロムビアからLPレコードが“長時間レコード”の名前で発売された日である3月20日のLPレコードの日にオープン。ソウルやファンクというブラックミュージックを中心にセレクトしていた渋谷の「フェイス・レコード」が徐々にロック系のレコードも集まってきたのをきっかけに、新業態として始めたそう。ロックはもちろんジャズ、和モノ系のジャンル中心に取り扱っている。20代から人気なのは山下達郎や松任谷由実などの和モノ。ワンコインレコード棚の設置や100円レコード市なども開催し(開催日は開店前からお店が長蛇の列に! )気軽に買えるので、レコード入門したい人は要チェック。ちなみにお店のイチオシレコードはザ・フォーク・クルセイダーズの「ハレンチ」(写真下)。グループ解散の記念として自主制作された300枚のうちの貴重な一枚。お値段はお店でチェック! お宝級です。
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ふらっと立ち寄りたくなるお店。
元からソウルやファンクが好きなので姉妹店の「フェイス・レコード」によく行っているのですが、「ジェネラル・レコード・ストア」もディスクユニオンから近いということもあって、休憩中や仕事帰りにふらっと立ち寄ります。狭すぎず、広すぎないちょうどいい大きさの空間で、レコードが見やすいし、探しやすいところが好き。最近、DJをするときも和モノのブギー系を流すので、和モノのレコードが豊富なジェネラルもよくチェックしています。
住所:東京都世田谷区北沢2-8-4 松田ビル1F
時間:13:00〜20:00
電話:03-6804-7414
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ビールとレコードの相性は抜群。
下北沢のレコード屋といえば、真っ先に名前が挙がるであろう「フラッシュ・ディスク・ランチ」は今年で36年目となる老舗中の老舗。オーナーである椿 正雄さんは学生時代から「DUN」というレコード屋で働き、24歳でお店をオープン。まるで海外の倉庫のような店内にぎっしりと置かれたレコードはロックからブルースまでオールジャンルを取り扱う。10代や20代の人たちはここ数年でかなり増え、「フラッシュ・ディスク・ランチ」でレコードデビューするなんて人も。「若い子にビートルズが好きなんだけど、次は何を買えばいい? と聞かれて、ビートルズより少しダークだけどドアーズなんてどう? なんていう新たなアーティストを掘るための助言をすることも多いですね」と椿さん。レコード棚は缶ビールが置けるように棚と棚の間にスペースを作ってあるそうで店内でも飲酒OK! ほろ酔いで音楽をチェックできるのがうれしい。
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夏の訪れを感じます。
10代の頃からずっとお世話になっているお店。入り口が怪獣の口になっていて、くぐるたびにこれからどんな音楽と出会えるんだろうっていうワクワク感があります。階段のサイドの壁にはいろんな人のサインが書いてあるのですが、今回は私も書かせてもらいました(笑)。そして、フラッシュといえば、やっぱり店主である椿さん! おすすめのレコードを教えてくれたり、このレコード好きそうって棚から持ってきてくれたり。椿さんとの会話を楽しみに行くお店。夏でもクーラーなしで営業していて、窓全開の大音量で音楽がかかっているフラッシュに行くと、「ああ、夏がきたな〜」って思います(笑)。椿さんとこの空間なしではフラッシュは語れない!
住所:東京都世田谷区北沢2-12-16
時間:月-金12:00〜22:00、土-日14:30〜21:00(水休)
電話:03-3414-0421
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サンプリングして生まれたポークジンジャー。
レコード屋巡り中、お腹が空いたら「エムスピン」へ。キッチンには調理スペースと同じくらいのDJブースがあり、毎月不定期でDJによるラウンジスタイルのレコード選盤「Music Spin」を開催している。イベント以外でもレコード屋帰りに「家に帰るまで聴くのが待ちきれない! 」とふらっと寄って買ったものを試聴していくお客さんや近所のレコード屋さんが仕事帰りに来るなど、常に音楽と切っては切り離せない場所。お店の名物は、店主の父親が作るソースからサンプリングしたというソースがかかったポークジンジャー。下町でよく見かける、ドリンクニッポンの強炭酸を使ったレモンサワーと合わせて食べるのを全力でおすすめします。お酒が飲めない人は日曜・祝日にはホリデーブランチもやっているのでそちらへどうぞ。ちなみに店主の斉藤実香さんが好きな一枚はマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」。
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音と食がマッチした素晴らしい空間。
下北沢のディスクユニオンの店長(キムさん)に連れられて行ったのが最初です。「ポークジンジャーがおいしい! 」と前々から言われていて、初めて食べたときは衝撃的なおいしさで本当に感動しました。一度食べたら忘れられない味。仕事帰りに職場のみんなとちょくちょく寄っています。名前の通り、音楽好きが集うお店で居合わせた人たちで情報交換や共有をするのが楽しい。あと、Rock-Teeさんなどの大御所DJさんたちが定期的にプレイしているのも見所。おいしいものを食べながら深い音が聴ける最高にぜいたくな空間です。音楽好きな友人や先輩とレコード屋帰りにサクッと一杯飲むのにうってつけです。
住所:東京都世田谷区北沢2-7-3 #1-B
時間:火-土 18:00〜24:00、日・祝 12:00〜20:00(月休)
電話:03-3460-3240
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スポーツマン、ダンサーはここに集まれ!
ショップに入ってすぐにお店と同じくらいの大きさのスタジオが目に入る「ジャジースポート下北沢」は、レコード屋だけでなくダンスやヨガスタジオを併設したお店。「ジャジースポート」というレーベルの名前の通り、音楽とスポーツの融合をコンセプトに、レコードやCDの販売はもちろんオリジナルやセレクトのアパレル雑貨なども幅広く展開している。「踊ったり、スポーツしたりした後にその場でウェアやスポーツに合う音楽を購入できるのがうちのお店ならでは」とマネージャーの泉 朋秀さん。一緒に踊った人とこういう音楽もあるよとかすぐに教え合えるのがたのしい。20代から30代の客層が多く、その世代にはヒップホップが特に人気で、レーベルの所属アーティストであるビートメイカーのBudamunkやDJ Mitsu the Beatsがよく買われているそう。
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音楽以外も楽しめるお店。
ジャジスポは、踊れる音楽やクラブに合う音楽が多くセレクトされているお店。ヒップホップやジャズ、ハウス系のジャンルのものがたくさんあります。ダンススタジオが横に併設されているので、踊っている現場の躍動感を感じながら選べるのが楽しい。レコードはもちろんなのですが、アパレル雑貨もかわいくて好き。この日はレコードやPCが入る大きさのオリジナルのトートバッグを衝動買い! ビールも飲めるし、お店のなかをぐるぐると見るのが楽しいです。話を聞いたらフェス帰りにお店に来た外国人が3、4時間試聴しながら踊っていったなんて話も(笑)。マネージャーの泉さんも素敵な方です。
住所:東京都世田谷区北沢2-19-17 沢田屋ビル 3F–A
時間:月 17:00〜21:00、火-土 14:00〜21:00、日 14:00〜19:00
電話:03-6453-2278
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下北沢のニューカマー!
ここ数年で新しくできたお店といえば去年の8月にオープンした「レコードステーション」。レコードはもちろん、カセットテープや日本では購入できない音楽関連のアパレルグッズを仕入れ、販売している。もともとお店はソウルやファンクなどブラックミュージックを中心にセレクトしていたが、若い子から外国人まで訪れる下北沢の幅広い年齢層に合わせ、その層に人気なロックや和モノなども多くセレクトしている。主な買い付け先はアメリカだが、今年はオランダのアムステルダムでも買い付けをしたそう。USA盤以外にUK盤も多く取り揃えているので、コアな客層にも響く一枚が必ず見つかるはず。20代の女性に聴いてほしい一枚は、ソウルの入門としてダニー・ハサウェイのベスト盤『ベスト オブ ダニー・ハサウェイ』。「レアなものとか関係なくこういったスタンダードなものからスタートしてレコードで音楽を聴く醍醐味を味わって欲しい!」と店長の伊藤 翼さん。日の光がたくさん入る気持ちのいい店内でゆったりと自分に合うレコードを見つけよう。
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友達や彼と行っても楽しいお店。
下北沢のレコード屋のなかではいちばん最近にできたお店でずっと気になっているところ。お店が明るくスタイリッシュなので、居るだけでもテンションが上がりそう! いろんなタイプのレコード屋さんがあるけど、この道のベテランの方やマニア向けのお店だと入るのに抵抗がある人も少なくないはず。ここはそういったものを感じさせずに、入りやすいのが魅力です。友人とのショッピング途中に立ち寄ってみたり、デート中に行ったりするのもおすすめ。ビギナーからマニアまで楽しめます。
住所:東京都世田谷区北沢3-30-1 下北沢かどやビル2F
時間:月-日 12:00〜20:00、(火休)
電話:03-5738-7810
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新たなアーティストはここで見つけるべし!
「レコードステーション」からまっすぐ歩いて2分ほどの距離にあるのが、「ジェット セット」。特に新譜の品揃えが豊富で20代の若い層から人気があり、いままでレコードを聴いたことがなかった人も多く来店するとか。「視聴するときに初めてターンテーブルを触るなんてお客さんも多いです。こちらで聴き方を教えて、興味を持ってもらい新しい入り口が開けたらうれしい」と店長を務める松浦正晶さん。また「ジェット セット」ではアーティストやレーベルと直接交渉し、アナログ音源を新たにリリースする取り組みも。その流れで今年のレコード ストア デイで発売されたKANDY TOWNに所属するラッパーRyohuの『Blur』というアルバムは20代女子におすすめしたいとのこと。古い曲だけでなく、国内外問わずここまで新しい音源がたくさん聞けるのも「ジェット セット」ならでは。新たなアーティストをいち早く見つけるなら絶対にここ!
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大事なレコードの駆け込み寺。
「ジェット セット」はアナログレコードが歪んだり、反ったりしてしまった時に直してくれるサービスがあるんです。それを初めて知ったときは、なんてレコード愛に満ちているお店なんだと感動しました。いまいくつか直してもらいたいレコードがあるので、ぜひお願いしたいなあと。そして、「ジェット セット」といえばやっぱりお店のロゴマーク。キャッチーなこのロゴマークが好きで、下北沢を歩いていてショップの袋を持っている人を見ると自然に目がいく(笑)。ロゴが入ったレコ箱(引っ越しのときの心強い味方! )やトートバッグなどもかわいいのでそちらも要チェックです!
住所:東京都世田谷区北沢2-33-12 柳川ビル201号
時間:月-日13:00〜21:00
電話:03-5452-2262
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音もお酒もディグれます。
レコード屋巡りの最終地点といえば、「リトルソウルカフェ」。学生時代からクラブでバイトやDJ活動をし、常に音楽にどっぷりとつかっていた通称“ミヤさん”と呼ばれる店主が「レコードバー以外にやれることがない! 」と1999年にオープン。ソウル、ファンク、ジャズ、ディスコなどの黒人音楽のアナログレコードを14000枚以上取り揃え、ミヤさんとのトークと音楽を楽しみに、夜な夜な幅広い年齢のお客さんが訪れる。海外から来る方も多く、過去にはNASやマッシヴ・アタックが訪れたことも。お店でのおすすめはラム酒。「レコードを掘るようにラム酒も掘っていたらこんなに種類が多くなりました」とミヤさん。ミヤさんがディグり続けてきた世界中のラムを取り揃えているので、ラム酒の飲みくらべをしても楽しい。ちなみにミヤさんが初めて買ったレコードは、小学生の頃に手に入れたという「阪神タイガースの応援歌」。
MAYU’S RECOMMEND
ミヤさん最高〜!
薄暗い店内を入るとお店の棚に入りきらないレコードがところ狭しと並んでいて、この空間にいるだけでとてもワクワクする。なによりも店主であるミヤさんとのトークと彼が流す選曲が最高なんです。流れてくる曲に対して反応するとそれに関する音楽をさり気なく流してくれて。行くたびに新しい発見があり、痺れさせてもらっています。友人を連れていくとみんな声をそろえて、「選曲やばいね〜」って。音楽好き、お酒好きには一度は行ってもらいたいお店。曲のリクエストにもばっちり応じてくれます。
住所:東京都世田谷区北沢3-20-2 大成ビル2階
時間:月-日 20:00〜26:00、金-土 20:00〜28:00
電話:03-5454-9800