Girls Just Want To Have Fun!
A girl turned into ZOMBIE-CHANG.
メイリンが語る過去と歌とゾンビーチャング。
Photo_Arata Suzuki (go relax E more)
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SNSが生活に欠かせないツールとなったおかげで、
以前に比べて格段に個性や才能がフックアップされやすくなったこの頃。
いまストリートではどんな女の子が活躍し、
局地的に話題を集める彼女たちは何を考えて生きているのか?
ミュージシャン・ZOMBIE-CHANG(ソンビーチャング)として
トラックメイキングから作詞まで1人で手掛けつつ、
数々の雑誌でモデルとして活躍するメイリンにインタビューしました。
化物みたいだった思春期を振り切るために、電子音に転向したんです。
- まずは自己紹介をお願いします。
- よく雑誌などではアーティスト兼モデルって書いてもらうんですけど。私は単に音楽を作ってきて、モデルの仕事もいただけるようになっただけのただ生きてる人です(笑)。うーん、しいて言うなら“メイリン”ですかね。肩書きってなんだかよくわかんないですよね。
- ZOMBIE-CHANGはアーティスト名なんですよね?
- そう、T.M.Revolutionの西川貴教さんみたいな感じで、ZOMBIE-CHANGのメイリン。ソロプロジェクトの名前です。
- ゆるいニューウェーブってくくられることが多いのでしょうか。
- グーグル検索すると、右のウィキペディア欄になぜかヒップホップアーティストって出るんですけど。まあ、ヒップホップはまったくやっていないです(笑)。ニューウェーブも全然通ってないんですけど、最近聞きはじめたら自分がニューウェーブってくくられるのがなんとなくわかりました。
- ではニューウェーブ系のアーティストに触発されて、とかではないんですね。
- 昔はずっとパンクを聞いてました。アコギでCDデビューしたこともあったし。でも次のステージに行きたいってなったときに選んだのが電子音なんです。
- アコースティックギターから電子音に切り替えるのは大変そうですが。
- アコースティック時代もソフトは触っていてドラム・アコースティック・ベースなどを入れるのはわかってたんで、電子音でドラム・ベース・ギター・シンセを入れればいいなのかって。あと外で流れている曲のドラムはここで消えるとか、ビートがこうなるとかを耳で感覚的に捉えてたから自然に作れました。ZOMBIE-CHANGのファーストはバンド感が強めになんです。
- MVも話題になりましたよね。
- 『サマータイム』が人気でみんないいって言ってくれるし、私も好きです。カメラマンのHikaru Tsukamotoが撮ってくれて、文字などの編集は私で、背景は塚本さんが撮りためておいた謎の映像を重ねて。グリーンバッグも100円ショップでフェルトを4枚買って重ねるっていう(笑)。
- 『GOODBYE MY LOVE AND TURN AROUND』も自分で?
- これは榊原美土里さんに作ってもらいました。すごく波長が合ったんですよね。平成版のザ・ピーナッツっぽくしたかったんです。
- クリエイターの友達がたくさんいそうですね。
- そうでもないですよ。同世代の女友達は1人、2人くらい。面倒見てくれる人が好きなんで、姉御肌の女の人とは波長が合います。フォトグラファーの信岡麻美さんは仲がよくて勝手にいちばん好きだって言っているんですけど。遊ぶっていっても家に呼んでダラダラするくらいですね…(笑)。
- 大勢で遊ぶのは好きじゃない?
- スタジオにいるかライブか、それ以外の時間だと作詞したり編集したり考えたり…。あんまり遊んでないから友達もできないですよね。お酒も飲めないし、タバコもやめちゃったし。
- クラブに行ったりもしない?
- 1人では行きます。踊っている姿を見られたくないんですよね。知らない人の中で踊るのはいいんですけど。
- あれ、ZOMBIE-CHANGじゃね?みたいになったらどうするんですか?
- もう踊れないと思って帰ります。
- 意外と弱いですね(笑)。
- そうなんです。冷たそうって思われるみたいだけど。
- 初対面ですが、かなり気さくですよね。
- そう思ってもらえるならよかったです!
- 小さいときはどんな子でした?
- イベント好きでしたね。1年おきにいろんな男の子を好きになって、バレンタインにチョコをあげたり告白したり。でもぽっちゃりしていて全然モテませんでしたね(笑)。仲がいいのも太った男の子3人組みで、いつもいっしょに登下校していました。学校の目の前にあった神社の境内にすごくでっかいツボがあって、そこにいつもボウフラが湧くんですけど。じゃんけんで負けた奴が指を入れる遊びをよくしていましたね。
- (笑)。いつごろから音楽に興味を持ち始めるんですか?
- 中一くらいでパンク好きの男の子に出会ったのがきっかけです。別に恋愛感情とかではなく、普通に一緒にライブハウスに行ったりCDを借りたり、ディスクユニオン行ったりしてハマっていきました。それで反骨心が芽生えちゃって、放送委員長だったんですけどEXILEさんの『Choo Choo TRAIN』などはリクエストを無視してラモーンズとか流していました。
- 同級生に受け入れられました?
- 地元でいちばんガラが悪い学校だったんで、全然ダメでしたね。その後私立の高校に入学するんですけど、「メイリンって名前の奴が入ってきた」って見世物みたいに教室まで覗きに来られたり、影でコソコソ言われたりして居づらいし。校則でピアスを開けるのも髪を染めるのもだめで、高二のある日テストを受けていたら「マークシートを埋めるこの時間の意味ってなんだろう…」、って深く考えてしまって。そのまま学校を飛び出して退学しました。
- まさにパンクですね。
- 意義が見いだせなかったんですよ。退学後は東京に引っ越して、いろんなライブハウスに出演させてもらいました。で、ラッキーがいろいろと重なって18歳のときにCDをリリースました。
- とんとん拍子ですね。期間としては半年くらい?
- そうですね。前の活動なんで名前は伏せさせてもらうんですけど。思春期ってなんか化け物みたいなのが自分に宿るじゃないですか。アルバムにはそういう10代ならではのものが詰まっていて、まだいまは直視することができないでいますね。もうちょっと経ったら大丈夫かと思うんですけど。
- 思春期のときに書いた日記みたいな感じ?
- そうですそうです。でも思春期が終わったらそれが化け物であることに気づくので「これ私がやりたいことじゃない」ってわかったんですよ。で、アコギの残像を振り払うには全部電子音にしちゃえばいいんだってひらめいて。同世代にも聞いてほしかったですし。
- 確かにアコギ一本抱えた女の子が好きなのって、おっさんですよね。
- そう!いい人たちだったけど、私は同世代の男女にいいじゃんって思われたかった。いまは私より下の世代に聞いてもらいたいです。普段の独り言的な感じで歌っているので、同じように口ずさんでもらえたら。
- モデルになったきっかけは?
- ハタチくらいからWOOFIN'やOllieなどメンズ誌に出してもらえるようになりました。あとPERKの〈COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)〉特集に選んでもらえたあたりからモデルの仕事がいただけるようになりました。
- それはいつごろ?
- 半年前くらいです。最初はバイト感覚だったんですけど、いまはちゃんとスタイルを維持できるように食事に気をつけています。元がやせているタイプの遺伝子ではないので。恥ずかしいんですけど、健康食品やオーガニック食材にはまっていて。
- 確かに意外ですね(笑)。
- 自炊大好きなんだけど、料理って行為は素材に味を足すことじゃないですか。本当は素材の味だけでおいしいと思えるのがベストなのに、身体によくない化学調味料を足すっていうのはどうなんだろうって思い始めてしまって。そろそろ自分でもやばい域まできたなって感じています。つい突き詰めて考えるクセがあって。
- そうですね…。朝ごはんは何を食べるんですか?
- 最近オーバーナイトオートミールっていうのにはまってます。前日から水につけておいて朝、フルーツとシナモンを足して食べるとおいしくてもう「ああああああ!!!!!」ってなる。バナナにシナモンかけるだけで大パニックです。シナモンがまじで最近やばくて、もう持ち歩きたいです!
- ファッションについての話にしましょう。私服で来てもらいましたが、いつもストリート系の服が多いんですか?
- ストリートとかよくわかんない。古着が好きで、とにかくサイズさえ合っていれば大丈夫です。いまいちばん欲しいものはジャケットですね。最近ポロシャツやシャツなど襟がある服にはまってて、シャツに合わせられる普通の黒ジャケットを探しています。
- 好きな古着屋は?
- 下北沢のFILM、幡ヶ谷のPALETOWN、中目黒に移転したcame unto me、渋谷のI&Iとか。
- いま気になっているミュージシャンっていますか?
- フランスのSexy Sushiっていう男女デュオです。この前大好きなバンドのLa Femmeが来日したときにフランスの友達ができて、その子がこのバンドが好きならこれも好きだよってフランスのアンダーグラウンドな音楽を教えてくれるんですよ。カタコトの英語しか話せないけど、海外の人と情報交換するのは楽しいですね。
- SNSとかでも?
- そうですね。でもインスタが難しいんですよね。なにをアップすればいいのかわかんなくて。
- 個人的なブームとかですかね?
- そうだ、こないだ鳩の動画をあげました。鳩が好きなんですよ。いつでもそばにいてくれるじゃないですか。カラスは怖いし警戒してくるけど、鳩は警戒しないしどの国にもいるから見ていて安心します。
- それは犬猫じゃだめなんですか?
- 私自身、犬を2匹飼ってて大好きなんですけど。ほかの犬にとっては飼い主が親友だからその間に入り込めないし、あんまり好きじゃない。
- なんだか重いですね…。恋愛の仕方もそんな傾向ですか?
- いまはお付き合いして4〜5年の彼がいるんですけど、それまでは1ヵ月とか1週間くらいで終わってしまう固定されてない恋愛をしていました(笑)。いまの彼は出会ったときは別に好きじゃなかたんですよ。でもその時代は私が人としておかしくて、人を人として見ずに生物として見てた感じで。彼と付き合うようになって人は喜んだり本当に傷ついたりする、感情が宿った生物なんだなってようやく理解できました。
- 笑。彼と出会えてよかったですね。
- もう家族みたいです。彼とウーパールーパーとチワワのジトちゃん、チワワとシュナウザーのMIXのモアレちゃんと暮らしています。モアレちゃんはすぐウンチもらしちゃうんですよ。彼は年上で面倒見がいいんですけど、少し亭主関白というか独裁者みたいなところもあります。
- 大丈夫ですか。
- ぜんぜん大丈夫なやつです。なんだろう。例えば部屋に対してすごくこだわりがあって私も好きなものはあるけど独特だから、私の物は全部押入れにいれろって言われて(笑)。押し入れに私の世界が広がっています。でもそれくらいがちょうどいいんです。私もずっと見てると疲れちゃうので。
- なにが入っているんですか?
- ガネーシャとか。インドの神様と中国の御札とヨーロッパの鏡、あとサイババ的なものがごちゃまぜになっています。押し入れの件はともかく、彼がいる帰る場所ができて精神的に安定した感じがありますね。