声優初挑戦の見上愛、励まされたのは“名前のない手紙”
声優初挑戦の見上愛、励まされたのは“名前のない手紙” 声優初挑戦の見上愛、励まされたのは“名前のない手紙”

GCC拡大版!『ALL YOU NEED IS KILL』

声優初挑戦の見上愛、
励まされたのは“名前のない手紙”

2026.01.08

タイムループSFの名作『All You Need Is Kill』(集英社刊)がアニメ化。
主人公が宇宙から来た未知の生物と戦う過程で死んだと思って目覚めると、
また戦いというまさにジゴク! な繰り返しの中で、戦士として人間として成長していく物語。
このゼロ年代ラノベのヒット作がトム・クルーズ主演のハリウッド映画として公開されたのが2014年、
そしてこのたび1月9日にSTUDIO 4℃による劇場アニメが公開されます。
主人公もケイジからリタになって、原作小説とも実写映画版とも違う新たな展開に。
そんな意欲作で声優初挑戦にして初主演をつとめられた見上愛さんにインタビューしました。

Interview & Text: Kyoko Endo
Photography: Kaho Okazaki

―今回声優さん初挑戦でしかも主演で、でも声だけの演技だと俳優さんが演技に使う表情とか姿勢を見せることはできないですよね。普段の俳優さんのお仕事と比べてどうでしたか?
難しかったです。初めてのことが多すぎて、本当に右も左も分からないという感じでした。
―その状態をどのように乗り越えて行かれましたか? ガールフイナムのリール動画撮影で「リタとケイジという孤独なふたりが出会って、生きる希望を少しずつ見つけていく物語」って紹介してくださいましたよね。私も映画を観て、リタが目の前に出てくる課題をひとつひとつクリアして一生懸命成長して行くのがすごく印象的だったんですが、やっぱり同じような気持ちでしたか?
そうですね。とにかくたくさん質問しました。「練習しておいてください」と脚本をいただいたのですが、何をどう練習したらいいかも分からなかったので、そういうことを聞いたり、実際収録が始まってからもたくさん質問しました。
―それは監督さんに?
はい。監督にもプロデューサーさんにも聞きました。
―ちなみにどんな練習をなさったんですか?
今回、キャラクターの絵が完全に出来上がっていて、私がリップを合わせていくスタイルだったので、リップを合わせる練習をしないといけなくて。合わせるのに「脚本に秒数を書き込んでください」って言われたんですけど、何をどう書きこんだら良いかも分からなくて。そうしたら、音響の方がお手紙と一緒に秒数を書いたものを送ってくださって、それを見ながら必死に練習しました。
―じゃあ、いろんなスタッフの方の手助けもあり、ご自分からもそうやって積極的に聞くという姿勢ありで出来上がっていったという……。
そうですね。とにかくいっぱい助けていただきました。
―でも頑張ってらっしゃるから助けたくなると思います。それで、アニメだと表情や姿勢で演技できない不自由さっていうのがある一方では、リタみたいな役柄を俳優としての見上さんにキャスティングされることは、ちょっと少ないかもしれないと思って見ていたんですね。台詞も「馬鹿野郎!」とか「くそ!」とか「怒ってねえよ!」って、どちらかというとちょっと男の子みたいなキャラクターで、声優だとそんな感じで容姿に関係ない役柄を演じられる自由度みたいなのもあるのかなと思ったんですが。
意外と、こういう役あるんですよ。
―『不死身ラヴァーズ』みたいな元気な役もありましたが。
あのような役の方が珍しくて、どちらかというと、あんまり心を開けなかったり、ちょっと口が悪かったりっていう役の方が多かったりするので、確かに容姿に関係ない役も、演じられますね。
―先ほど少し伺った監督さんとか音響さんとか、プロデューサーさんとのお仕事で、特に心に残ったことってありますか?
収録前にいただいたお手紙をずっと台本に貼っていたのですが、最初はそれを書いた人は誰かわからなくて。
―あ、そうなんだ!
すごく綺麗な字で「慣れない現場で苦労することもあるかもしれませんが、全力でサポートするので、一緒に収録乗り切りましょう」って書いてくださっていて。で、最後に(ポケモンの)カビゴンのイラストが書いてあったんです。お名前はわからなくて、誰なんだろうと思って収録現場に行ったら、録音をやってらっしゃった男性の方が、カビゴンのストラップをつけていて「絶対この人だ!」と思って「もしかしてタイム取ってくださいましたか?」って聞いたら「取りました」っておっしゃって、とにかく「頑張らなきゃな」と思いました。結構そのお手紙に励まされて頑張りました。その時すごく忙しかったというのもあるのですが、やらなきゃいけないことと自分の生活が噛み合わなすぎて、自分がどこにいるかも正直わかってないぐらいドタバタしてる中で、本当に「何をどう準備したらいいんだ!」「わあ、どうしよう!」ってなっていたときに、「タイムを取ってほしいです」って言ったわけじゃないのに取ってくださったこともうれしかったですし、そういうときに名乗らずにお手紙を書いてくださる。しかも「楽しんでいいんだ!」って思えるようなお手紙をくださったのがすごくうれしくて、感動しました。
―本当に“全力でサポート”っていう言葉ほど、心強く、自由にこちらを動かしてくれるものはないですよね。
本当にそう思います。
―今回のお仕事で、特に達成感とか充実感を感じられたのはどんなところでしたか?
いま完成(試写)を観てきて「あ、完成したんだ」という、達成感……と、ちょっと違うけど……大好きなアニメのお仕事を自分がやらせていただけたんだ! と、やっと実感と充実感が湧いた感じがありました。
―もともとどんなアニメがお好きだったんですか?
ものすごく見るんですよ。最初にアニメにハマるきっかけになったのは、ラノベでハルヒ(『涼宮ハルヒ』シリーズ)を読んだときで小3とか小4だったと思います。そこからすごくアニメにハマっていって『輪るピングドラム』とかも好きですし、本当に好きな作品がありすぎて、たくさん観ています。
―でも、お仕事に入られたきっかけは演劇だったっていうことなんですけど、今でもゆくゆくは演出家になりたいと思ってらっしゃいますか?
前ほどは思ってないです。大学が演出の専門だったので、同級生の中でも本当にやりたいと思っている人たちは劇団を作ったりとかしていましたし、自分が俳優として本当のプロの演出家の方とご一緒することとかもある中で、なんか前より簡単に「やりたい」と言いづらくなりました。やるからにはもっと勉強して「いまだ!」と思ったときにやりたいなと思っています。
―今後やりたいお仕事とか何か考えていらっしゃいますか?
考えてないんです。数年前の自分と今の自分を比べても、考え方や興味があることがすごく変わってきていて、数年前、自分が陶芸にすごく興味があるようになるとは思わなかったですし、そういう意味でも、自分でも将来どういうことに興味を持って、何を面白がって生きていけているかわからないので、将来の自分にあんまり枷にならないようにしてあげたいなと思ってあまり決めないようにしています。だからざっくりと答えると、その時々で自分が興味あるものや、与えていただいた機会に素直に挑戦して行きたいなと思っています。
―とても良いと思います。ブルース・リーの言葉を思い出しました。
ブルース・リー!(笑)
―自由という言葉がとてもお似合いだと思いました。
ありがとうございます。(笑)
―ありがとうございました!

『ALL YOU NEED IS KILL』

異星から送り込まれた殺人クリーチャー、ギタイに侵攻される地球で、リタは周りに馴染めずつまらないボランティア作業をこなしている。あるとき状況は一変、大量のギタイに部隊が殺戮される。リタは逃げ惑い、ほとんど何もできずに死んでしまう。目覚めると殺された日の朝に戻っていて、次の日も同じことに。タイムループに閉じ込められていると気づいたリタは仲間に警告しようとするけれど、笑われるだけ。しかし日々戦闘を重ねて体力もスキルも戦略も身につけ、ある日同じようにタイムループに入ったケイジと出会って……STUDIO 4℃制作の傑作アニメ。

監督:秋本賢一郎
出演:見上愛、花江夏樹、花澤香菜、ヒコロヒー、もう中学生
(2025/日本/85分)
配給:クロックワークス
2026年1月9日(金)から新宿バルト9ほか全国ロードショー
©桜坂洋/集英社・ALL YOU NEED IS KILL 製作委員会
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