GIRLS’ CINEMA CLUB
上映映画をもっと知りたい! 語りたい倶楽部。
#16『We Margiela マルジェラと私たち』
いま私たちが映画館で観るべき上映作品を、本音100%でレビューする週イチ映画連載。
今週はもはや教科書レベルで必見! の『We Margiela マルジェラと私たち』です。
その名前は知ってても、デザイナー本人ないしブランドのことは知らないことばかり。
でも、本作でようやくその全貌を知ることができるのです!
Text_Kyoko Endo
孤高のブランドを作り上げた人々。
みんなが知っている〈メゾン マルジェラ(Maison Margiela)〉。けれど、デザイナー本人は驚くほど知られていません。顔写真は撮らせず、インタビューに答えるときはファックスで主語はwe。ブランドとしてのマルタン・マルジェラはどのようにできあがったのでしょうか。ともにブランドを立ち上げた故ジェニー・メイレンスのほか、いまもファッション界で活躍するミス・ディアナのディアナ・フェレッティ・ヴェローニ、マルジェラのアシスタントを務めたルッツ・ヒュエルなど錚々たる人々が当時を語ります。
それにしても舞台裏の現実は厳しい。「負ける覚悟なしに勝利はない」と自分のセレクトショップを売って資金を準備したジェニーや「絶対に楽しめると私が保証する」と部下を説得したディアナ。才能を見る眼のあるビジネスウーマンに支えられたマルジェラのもと、スタッフも報酬は二の次で彼の才能に惚れ込み集まります。しかし会社を回していくためにジェニーとマルジェラは最低賃金で働いていて私生活では何もできない。マルジェラにとっては周囲の貢献もプレッシャーに。そして彼らは別の道を行くのですが、あのすごみがあるほどの美しさの背後にあるのはそうした厳しさなのかもしれません。
『We Margiela マルジェラと私たち』
(2017/オランダ/103分)監督:メンナ・ラウラ・メイール
出演:ジェニー・メイレンス、ディアナ・フェレッティ・ヴェローニ
配給:エスパース・サロウ
2月8日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
© 2017 mint film office / AVROTROS
公式サイト
about this Movie
〈マルジェラ〉を着て出かけたくなる度
★★★★★
クリエイティブな現場への憧れ度
★★★★★
天才との仕事の厳しさの衝撃度
★★★★★
PROFILE
遠藤 京子
東京都出身。出版社を退社後、フリーのライター、編集者に。『EYESCREAM』『RiCE』に寄稿。