GIRLS’ CINEMA CLUB
上映映画をもっと知りたい! 語りたい倶楽部。
#2『止められるか、俺たちを』
いま私たちが映画館で観るべき上映作品を、本音100%でレビューする週イチ映画連載。
今週は、カルチャー好きは特に必見な話題作『止められるか、俺たちを』です。
たった21歳で“若松プロダクション”の門を叩いた吉積めぐみの目から映し出される
撮影現場のエネルギーを体感してみては?
Text_Kyoko Endo
シネフィル必見! 若松プロ再始動第1作。
映画を撮ってみたいと思ったことはありますか? 60年代、当時のサブカル中心地の新宿、あてもなくボーッと生きていた21歳のめぐみは友だちの誘いでピンク映画界に。ピンクとはポルノです。為念。要は助監督といえば聞こえはいいけど脱げる女の子集めに呼ばれたわけです。しかし監督若松孝二はピンクにとどまらない天才で、このころ彼を慕って集まった映画人とともに問題作を量産していた。幸か不幸か天才の仕事を間近で見られるようになっためぐみは必死で奮闘するものの、献身がすぐ報われるような業界ではないし、自分が何を撮りたいかもわからない…。
そんな彼女に監督は言うのです。「お前は何をぶち壊したいんだよ」。彼女を通して映画界の楽しさと過酷さと熱さを描く、映画に捧げられた映画。
そして若松プロにいた白石監督だからこそ描けた若松孝二がすごい。「理屈はいいんだよ、理屈は。映画に映らないからな」「緊張しろ! 緊張して仕事しろ! 」などコンプラ守るふりだけはしてみせたいヌルい昨今では決して聞くことのできない名言にいちいちグッときます。外見はまったく似ていない井浦新だが、憑依したかのような熱演。改めて若松作品を観直したくなりました。
『止められるか、俺たちを』
(2018/日本/119分)監督:白石和彌
出演:門脇麦、井浦新
配給:スコーレ
10月13日(土)よりテアトル新宿ほか上映中、全国順次ロードショー
© 2018若松プロダクション
公式サイト
about this Movie
監督の名言に痺れる度
★★★★★
若松作品を観たくなる度
★★★★☆
昭和映画人の再現度
★★★★☆
PROFILE
遠藤 京子
東京都出身。出版社を退社後、フリーのライター、編集者に。『EYESCREAM』『RiCE』に寄稿。