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グラフィックデザイナーやブロガーを経て、
2年前にアパレルブランド〈パープルシングス(PURPLE THINGS)〉を立ち上げた菊乃さん。
2018年春夏よりメンズブランドとなり、今月には初めての展示会も開催。
しかし、彼女はためらいなく「ブランドだけをやっていくつもりはない」と語ります。
今回は菊乃さんに仕事のこと、そしていま興味があることをお伺いしました。
着たい服がないなら、じゃあ作ってみるかって。
- まずは自己紹介をお願いします。
- 菊乃です。世田谷生まれ、渋谷区育ち。2015年の春から〈パープルシングス(PURPLE THINGS)〉を始めました。
- ブランドを立ち上げたきっかけは?
- もともとそんなに買い物する方じゃないんですけど、とにかく着たい服が全然なくて。じゃあ作ってみるかって。立ち上げたっていうよりは、やり始めたって感じです。半年間何もしない時期もあったし、ゆるくやっていました。でも今年からちゃんとやろうかなと。
- ブランド名の由来はなんですか?
- 紫が好きだから。それだけです。
- ブランドコンセプトの意味を込めて、とかじゃないんですね。
- コンセプトとかはあまり考えていなくて。でもそれでいいのかなって思っています。好きなものを、いま着たいものを作っていく感じです。自分のブランドの服を着ることってあまりないんですけどね(笑)。
- そうなんですか?
- 作ってる途中で見飽きちゃうことが多いんです。もう気分じゃないなって。あとちょっと恥ずかしさもあります。
- 昔からファッションが好きだったんですか?
- いや、そういうわけでもないです。Tシャツ、パンツ、スニーカーが定番のスタイルだし、荷物を持つのが好きじゃないのでバッグもあまり持っていません。スニーカーも気に入ったものを買っては履きつぶして、また同じものを買うっていう…。でもファッション誌は昔からすごく好きでした。
- そうなんですね。例えばどんな雑誌を?
- 中学生の頃は『Seventeen』。高校生の頃は『ViVi』とか『PS』とか。ビューティー系のものも好きで、毎月何冊も何冊も買っていました。でもファッションの参考にするとかではなくて、ただ写真を見たり、キャプションを読んだりするのが好きだったんです。
- いまでも雑誌はよく読みますか?
- 読みますね。気に入ったものがあれば買うし、本屋さんで立ち読みしたり。メンズ誌もカルチャー誌もたくさん読みます。トレンドを把握するためとかではなくて、本当にただの趣味です。本を読むのも好きなんです。
- どんな本を読むんですか?
- 小説をよく読みます。ラブストーリーからサスペンスまでなんでも。海外に行くときの飛行機の中で読んだり、たまに気が向けば本だけ持って出かけることもあります。最近はあまり時間が取れていないですけど。
- 飛行機の中で本を読むことが多いということですが、海外にはよく行かれるんですか?
- わりと行く方だと思います。そのために働いているようなものなので(笑)。今年はニューヨークとロンドンに行きました。年末にタイには行けたらいいなと思っています。まだ行ったことのない場所にも行ってみたいですね。モロッコとか。
- 海外旅行は言葉に苦労すると思いますが。
- 小学校がインターナショナルスクールだったので、英語は不自由ないです。
- いいですね。留学もされていましたよね。
- サンフランシスコとロンドンに留学していました。サンフランシスコではシェアハウスに住みながら短大に通って、ロンドンではセントマーチン(セントラル・セント・マーチンズ)でアートを学びました。
- なぜ留学しようと思ったんですか?
- 高校卒業後に写真の専門学校に通っていたんですけど、2年制だったので普通の大学生より2年先に卒業するじゃないですか。その残りの2年を無駄にしたくなかったのと、遊んでいたくて(笑)。就職とかも考えられなかったし、やりたいこともまだよくわからなかったので。
- 留学先をサンフランシスコとロンドンにした理由は?
- サンフランシスコは高校生のときに1ヶ月間ホームステイをしていて、すごく好きになったんです。あまり派手な街でもないし、やることもそんなにないんですけど、いいとこだなって。LAとかニューヨークのような派手に住むのは気が引けて、サンフランシスコみたいなちょっと落ち着いた所の方が自分に合っているかなと。ロンドンはセントマーチンに短期コースがあると知って、デザインに興味があったので行ってみようかなと思いました。
- 羨ましいです。楽しそうですね。
- サンフランシスコでは日本から次々に友達が訪ねてきてくれて。みんなで6〜7時間かけて車でLAに行ったり、毎日楽しかったです。ロンドンはおしゃれな人が多かったですね。街を歩いてるだけで刺激的でした。
ひとつのことだけをやっていると飽きてしまうんです。
- 帰国してからは何をされていたんですか?
- デザイン事務所で働いていました。グラフィックデザインです。
- その仕事をずっと続けていこうとは思わなかったんですね。
- ひとつのことだけをやっているとどうしても飽きてしまって。いままでもいろんなことをやってきました。ブロガーをやっていたこともあったし、いまはコラムを書いたりとか。この先も洋服だけやっていくつもりはないし、別のこともやりつつ続けられたらいいなと思っています。
- 今日撮影させていただいた「ナカメネオン」で今月展示会をやられましたよね。
- はい。初めてちゃんとした展示会をやりました。今シーズンからはメンズブランドになります。
- どうしてメンズブランドに?
- 私、普段からレディースの洋服をほとんど着ないので、レディースはデザインしにくいかなと思ったんです。だったらいっそのこと切り替えちゃった方がいいかなと。メンズの方がイメージが浮かびやすいです。
インスピレーションの源はスケーター。
- どんな人に自分のブランドの服を着て欲しいですか?
- ターゲットはあまり考えたことないです。私が作ってるTシャツとかフーディって、一生着ることってあまりないと思うんです。みんな汚くなったら捨てるし。でもそれでよくて。ずっと大事に着て欲しいとか、そういうことは思っていません。実際に私自身がそうやって服を着ているし。スケーターからインスピレーションを受けることが多いので、動きやすさは重視して作っています。洋服って、かたいものを着れば気持ちもちょっとかたくなるし、ゆったりしたものを着ればそれなりに気持ちもリラックスすると思うんです。〈パープルシングス(PURPLE THINGS)〉の服もそう感じてもらえたらいいかなと思っています。
- インスピレーションの源はスケーターなんですね。
- そうですね。友達に教えてもらってアメリカの西と東のスケーターの子達のスケートビデオを見たりとか、日本の子も見たりします。地域によって着こなし方が全然違って面白いんですよ。パリの子達はおしゃれな感じがするなとか、LAの気の抜けた感じもいいなとか。それを実際にデザインに落とし込むってことはそんなにないんですけど、その雰囲気を感じとって参考にしています。
- お気に入りのスケータ−はいますか?
- ショーン・パブロはおしゃれだなと思います。〈シュプリーム(Supreme)〉のスケーターの子です。
これだけって決めずに、好きなことをやっていきたい。
- 仕事をする上でのマイルールはありますか?
- 平日はちゃんと仕事をする。平日は仕事をして、土日は休んで。決めないと、サボっちゃったり逆に土日も仕事しちゃうし。遊ぶための時間も必要なので。
- やりがいを感じる瞬間は?
- まだないですね。
- そうなんですか?
- 楽しいですけど、やりがいはまだ感じていません。どこでその瞬間がくるのかもまだわからない。でも、自分が納得できるくらいでっかい何かをできたときにやりがいを感じられるんじゃないですかね。
- でっかい何かとは?
- なんですかね。わからないですけど、いつかその瞬間がきたらいいですね。
- これからの目標を教えてください。
- 自分の作った洋服が海外で売られるようになったらいいですね。そういうところに卸せるようになったら、「あ、いい仕事できたかな」って自分でちょっと納得できるかもしれない。
- 他にやりたいことはありますか?
- 文章はずっと書いていたいかな。ブロガーになって文章を書き始めて、いまはコラムとかを毎月書かせてもらっているんですけど、それがすごく楽しいので。あとはラジオもやってみたい。音楽は好きだし。誰か呼んで喋って。これだけって決めずに、仕事して、遊んで、好きなことをやっていけたらいいですね。