TWO ICONS CHATTING.

eriさん佑果ちゃん、最近どうですか?
Photo_ Kisshomaru Shimamura
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都内某カラオケ店に集まったのは、
〈マザー(mother)〉〈ユートピア(VTOPIA)〉のデザイナー務める傍ら
「デプト」のオーナーとしても活躍するeriと、
モデル業はもちろん、最近はDJとしてその名を耳にすることも多くなった水原佑果。
ともにマルチな才能を発揮し、東京カルチャーシーンを代表する存在となったお二人に、
ご自身のことや最近気になることを気ままに語っていただきました。
プライベートでも親交のある彼女たちらしい対談、もとい雑談。
等身大の会話だからこそ、いまを楽しく生きるヒントが見つかるかも。

何をきっかけにお二人は仲良くなったんですか?
eri
3、4年前くらいの『装苑』の撮影かな? 担当していた連載企画にモデルとして出てもらったのが最初。まだ佑果がモデルを始めたばかりだったかも。
水原佑果(以下、水原)
モデルを始めたのが5年前なので、まだ1、2年目の新人のころですね。
eri
あとは共通の友達が一人いて、それも大きかった。
水原
彩菜! 自分の世界がちゃんとあって、ちょっとミステリアス。
eri
落ち着いてるというか、なんか変な人だよね(笑)。
宮本彩菜ちゃん?
eri
佑果が元々友達だったみたいで。たしかにそれもあったかも。私は友達をつくる時に歳の差はあまり気にしないんですけど、年下の女の子だけなんか選んじゃうんですよね。普段から男の子とつるむ方が多いので、女の子っていうだけで苦手意識があるというか。でも佑果はモデルさんで若いのに、すごいレイドバックしててガツガツしてない(笑)。このくらいの年齢のモデルって元気すぎて、私の低めのテンションとは合わないことがあるんですよ。話が合わないことも時々あったりなかったり。
水原
この前も代官山蔦屋の上のラウンジで偶然会って、そのままずっとおしゃべりしてましたよね。
プライベートで会うことも多いんですか?
eri
家に来たりもするよね?
水原
お鍋を作ってもらいました。すごいおいしかった! たしかスターウォーズを観ながら食べてた気がする(笑)。でも最近お互い忙しかったので、今日お会いできてうれしいです。
お二人でいる時はどんな話をするんですか?
eri
超常現象的なこと。
水原
UFOとかUMAとか、宇宙のこととか(笑)。
(笑)。
他にはどんなお話を?
eri
音楽の話は多いかな。
どんなジャンルがお好きですか?
eri
父親の影響もあって、80年代のポップスターの曲が好きです。プリンスにマドンナ、マイケルにボウイ。シンディー・ローパーの当時のビデオとかを観ると、純粋に楽しそうだなって。私自身にそういう部分がないので、憧れちゃう。
立花ハジメとLOWPOWERSとして実際に音楽活動もされていましたもんね。
バッファロー・ドーターの大野由美子さんもいたり。あのバンドはどういう経緯で組むことになったんですか?
eri
中学1年生の時にギターとベース、ドラムを習い始めたんです。もともとハジメちゃんとは家族ぐるみの付き合いだったんですけど、それを彼が聞きつけたらしく、「バンドやろうぜ!」と。それでCDを出すことが決まりました。私の通っていた学校は厳しくて芸能活動がNGだったので、夏休みにレコーディングとツアーまでやって。それが14歳の時です。
水原
前にeriさんからその話聞きました。14歳でそこまでやっちゃうって私だったら考えられない!
eri
いろいろな才能を持っている人が集まってケミストリーが生まれる瞬間を間近で見せてもらえたのはありがたかったですね。子供ながらにちゃんとしなきゃって思ったし、みんなも向き合ってくれたし。いま年齢に関係なく人と交流できるのは、当時周りにいた大人がそうやって接してくれたからかなって思います。
水原
夏休みの間に活動して、それで終わり?
eri
作品として残っているのはアルバム一枚とEPだけ。曲の発売前にツアーをやったので、ハジメちゃんのファンは「立花ハジメが何かするらしい」ということだけでライブに来ているんですよ。そしたらいきなりセンターに小さい女の子が出てくるみたいな(笑)。
水原
すごく楽しそうですね。曲はどうやって作っていたんですか?
eri
ベースの大野さんがいちばんしっかりした人だから、ハジメちゃんが持ってきた土台に合わせて作っていく。1曲だけ私が作った曲もあったかな。ライブも楽しかった。とはいえ中学生なんで、それで終わり。完全燃焼しました。全ての過程を16mmのフィルムで撮っているんですけど、ライブ後にステージを全部壊して、みんなで外に出て路上でバーン! って寝そべって終わるんですよ。
水原
そのビデオ観てみたい。
eri
多分家にあるから今度貸すよ(笑)。
水原さんも昨年サマソニに出演されましたよね。現場で拝見しました。
水原
METAFIVEですよね。緊張し過ぎて、人が全員野菜に見えた(笑)。でもみなさんに迷惑かけないように、盛り上げることを意識して自分の出来る範囲でやりました。
eri
でもあのメンバーなら何やっても許してくれそうだよね、みんな優しいし。ゴンドウ(トモヒコ)とか。
eriさんもMETAFIVEのメンバーとは仲良しなんですか?
eri
ゴンドウは、20代前半くらいで仕事の現場がよく一緒でした。彼がやっていたアーティストのディレクションを私がしていて。あとは人によるけど、ハジメちゃん周りみたいな感じで良くしてもらったり。小山田さんは高校の先輩、TEI(TOWA)さんは子供の頃から。だからMETAFIVEを観た時に、「なんか知ってる感じだ、これ」って。
水原
みなさんとても優しくて、いろんなことにチャレンジさせてくださるんです。特にTEIさんはDJを始める機会を作ってくださって。レコード好きになったきっかけもTEIさん。小山田さんはとにかくストイックな方で、「こうじゃないこうじゃない」って言いながら黙々と作業している姿がかっこいいです。いろいろな音楽の制作現場に行くたびに、私ももっとストイックにいろんなことを吸収して頑張りたいなと思います。そういう場は、とっても刺激になるから。
最近はTEIさんと「モントーク」のイベントに出演したり、青山「ZERO」でもビームスの青野賢一さんと定期的にプレイしてますよね。DJを始めてどのくらい経ちましたか?
水原
1年くらい。TEIさんがレコードをくださったことがきっかけで。
eri
いまもアナログで?
水原
最近パソコンのソフトを併用しています。アナログはアナログでしか出せない音の良さがあるし、最新技術を駆使できるデジタルを併用しています。
最近は、レコード屋にいって新しい音を開拓する時間がぐっと増えました。ネットでは見つからない曲が隠れてるから、探すのが宝探しみたいな気分です(笑)。
どんな曲をかけるんですか?
水原
やっぱり踊れる定番モノをかけることが多いです。和モノだと山下達郎さんにティン・パン・アレー、細野晴臣さんとかTEIさんも。竹内まりやさんの『プラスティック・ラブ』はいちばんのお気に入りです。でも、ソウルやディスコ、ワールドミュージックもかけます。結局いいものはいいものなので、いろんな音楽のジャンルをかけます。
DJを始める前からそういう音楽が好きだった?
水原
好きな音楽のルーツは、家族から受け継いでいるんだと思います。お父さんが音楽好きだったので、私が幼い頃は、ずっとソウルやロックが家で流れていました。最近だとYouTubeで見つけた曲を送り合ったりしています。お母さんは真逆で、オペラとかクラシックが好きなので、全く違うセンスをもつ両親のテイストをあわせたものが、結果いまの私なんじゃないかなと。ちなみに将来の夢は、BOILER ROOMで回すことです!
eri
夢がBOILERはすごいね。
eriさんはDJはやらないんですか?
eri
本当にたまに。この前は忘年会で、“校内放送”というテーマで誰でも知っているド定番の曲だけかけるっていうのをやりました。パーティーDJですね(笑)。周りは音楽偏差値がかなり高いけど、私はそれほどでもない。どちらかというと同じのをずっと聴いてるタイプ。
水原
私と全然違う! 私は、知らないことすべてに興味があるから、未知なものに奇遇したらとりあえず試してみるタイプ。DJでは誰と仲良しですか?
eri
海外の友達が多いね。ニューヨークだとTotal Freedom。会うと絶対にお花をくれるスウィートな人。あとはVENUS X。GHE20 G0TH1Kというパーティーをやっている28歳のDJ。LAではFADE TO MINDというレーベル周りはみんな仲良しですね。有名なアーティストだとKelelaとか。
フレンチエレクトロ界隈の人と一緒にいるのもよく見かけします。
eri
ED BANGERとBROMANCEは家族ぐるみで付き合ってます。私、トガったことをしていて無茶苦茶な人って普通だと思っていて。すごいトガっているのに、人間味があって優しい人に魅力を感じるんです。彼らはみんなラブリーだから大好き。そういえば年末にBrodinskiが来日してたから行ったんですけど、彼はUSBで三卓使うんですよ。頭の中どうなってるんだろうと思って、真横でずっと手元を見ていました。
水原
うらやましい!
eri
しかも踊りながらだから。彼は私が知っている中でいちばんエロいDJなんですよね。ワイルドというか、感性のままに曲も身体も動いている感じがして、単純にパフォーマンスとしてすごいなって。
普段はどこに遊びに行くことが多いですか?
水原
特に決まってはないんですが、友達とよくドラァグをして遊びに行きますね。ドレスアップして、メイクして、変身するのが好き。
eri
日本だと、海外から友達が来た時くらいしか行かないかも。最近はどこも行かずに家でカードゲームやってます、あまり社交的じゃないので(笑)。
水原
何のゲーム?
eri
最近ハマっているのはDixit。ドイツで賞を取っているらしく、心理戦だから結構おもしろいんだよね。
お二人は写真もお好きですよね。eriさんはたまにお仕事でも写真を撮っていますし。
eri
たまにですね。最近はプロレスラーを撮らせてもらっています。
プロレスラー?! 意外です。
eri
もともとは格闘技が好きだったので、「プロレスって出来レースでしょ? 」と思っていたんですけど、プロレス好きの友達がその認識を変えてくれたんです。実際にレスラーの友人もいるので。
水原
やばい! 楽しそう!
eri
エンターテイメントであり、格闘技でもある。本当に深いスポーツなんですよ。対戦カードを組まれた2人の間には伏線が何ヶ月も何年も前から張られていてどういう結末、展開が生まれるのか、勝ち負けだけじゃないストーリーがそこにあるんですよね。
水原
深すぎる…!
eri
その上でどういう戦い方をして、どんな技で勝敗がつくのか。終わった後にどういうマイクパフォーマンスをするか。その伏線を追っていると、泣けてきたり…。映画を観る感覚に近い競技なのかも。運動神経がいいからプロレスラーになれるわけでもないし、ルックスがいいだけでもダメだし。しゃべり上手で表現力がないといけないんです。だからレスラーの人を撮らせてもらう時は興奮しちゃいますもん、キラキラしてて。
水原
お気に入りの選手は?
eri
柴田勝頼さんがダントツでかっこいい。プロレスってド派手なコスチュームを着るじゃん? 彼は一切着ない。黒いパンツに黒いレガースだけで出てくるところが、硬派でかっこいい。
女の子を撮る機会はあまり?
eri
お仕事でたまにいただいたりしますけど、友達を撮っている時がいちばん好きですね。写真は小学生の時からやっているので。父親を筆頭に、ハジメちゃんや(藤原)ヒロシのような変な大人に囲まれていたせいで、友達がいなかったんですよ。だから、家に帰って一人でセットを組んでライティングして。
想像するとちょっとかわいそう(笑)。
eri
かわいそうでしょ! で、撮って現像出して「ふむふむ」って。別に知識があるわけではないけど、とにかく撮ることが好きです。
カメラは何を使っているんですか?
eri
ハーフカメラにハマったりコンパクトにハマったりと色々だけど、いちばん使っているのは〈コンタックス(CONTAX)〉のT3。
水原
それ、私も持っています。2、3年前に買って使いまくってたら壊れちゃったけど。私は趣味として日常の出来事を思い出として記録していますね。シャッターを押す瞬間次第で、切り取られる世界がガラっと変わるのがおもしろいです。
普段は撮られる側ですけど、仕事として撮る側に立ちたいとは思いますか?
水原
機会があったら! 是非やってみたいです!
好きなフォトグラファーはいますか?
水原
Mild Aldridge。彼のポップで幻想的でどこかリアルな世界感が好き。言葉で表現するのが難しいんですけど、彼の作品は、聞かなくても見るだけで彼の作品だってわかるんですよ。フォトグラファーでそれくらいの世界観の統一とシグニチャーがあるのがかっこいい。私も、“水原佑果”の世界観が的確に打ち出せるようになれたらいいと思います。
ファッションのことについても教えてください。eriさんはやはり古着を着ることが多いですか?
eri
そうですね。新品の服を買うようになったのは、本当にここ最近大人になってから。小さいころは古着をストックしておく倉庫が遊び場で、山積みにされた中から自分なりに変な服を探すのが楽しみでした。特に好きなのは80'sかな。記憶としてはもちろん90年代の方が強いはずなのに、いつまでも憧れさせる力強さがある。「なんで片方袖ないの? その色と柄、素材はなに? 」みたいに突飛で滅茶苦茶だし。毎日80'sスタイルでいられるかというと難しいけど、あのテンションを意識することはあるし、物作りをする人として見習わないとなとも思ってます。
トレンドを意識することはないですか?
eri
ないですね。あった方がいいんでしょうけど、トレンドってこちらが追いかけなくても一歩街に出たらすぐに見えちゃうんで、必要以上に追いかけるものでもないのかなと。私はその時々で熱中しているものがあるから、そっちを掘るので忙しい(笑)。
それは古着屋をやる上でも?
eri
仕事となったいまでもそれは変わらないですね。バイイングでも本当にクズみたいな物の中から探すから。でも、その方が私の想像を超える物に出会えるんですよね。先入観を持たずにいた方が視野は広がるし、店に並んだ時もおもしろいと思います。
でも、一方で〈マザー(mother)〉では服を、〈ユートピア(VTOPIA)〉ではアクセサリーを作っている。その住み分けを難しく感じることはありますか?
eri
難しくはないですね。〈ユートピア〉に関しては割とコンセプトは明確で、実在しない国で作られているジュエリー。そこで先祖代々受け継がれている(という設定の)、例えば個人的に大好きなムーンストーンのような何か物語が生まれそうだなと思える素材を使って世界観を拡げていったり。
水原
才能ですね。
eri
妄想です、妄想。〈マザー〉は、最近は古着からのインスパイアが多いですね。以前はシーズンコンセプトを決めて具体的な人物像を決めながらやっていましたけど、少し前からシーズンの括りも無くしたし、単品で考えることが増えました。より間口は広く、でも将来私が古着をディグってる時に出てきたらおもしろいだろうなと思える服を大事に作るようにしています。
水原
いまは次々と同じような服が出てきますもんね。時間をかけて愛を込めて、自分の心と本当に向き合って作られたものが本物だと思います。
eri
だから、販売ももう自分のお店でしかやっていないんです。コレクションをやって展示会をやってという既存のシステムに乗っていないとお取り引きのあるショップに迷惑をかけちゃうけど、システムを優先するとそこからの逆算で本望ではないことが決まってきてしまう。そうなると、私が何を目的に作っているのかわからなくなるんですよね。これまで築いた関係を断つのは心苦しかったけど、後悔はしていないかな。
水原
トレンドだけではなく、本当に自分の好きなものを追究して集める方が楽しいですよね。もそっち派。ちなみに、いま着ているジャケットは〈クレージュ〉のもので、さっきeriさんからいただきました!
eri
絶対佑果に似合うと思って、ずっと前からプレゼントしようと思ってたんだよね。
水原さんはモデルとして仕事でトレンドに触れる機会が多いと思うのですが。
水原
仕事でたくさんの服に触れる環境があるからこそ、自分の好きなものが見えてくる気がします。ラグジュアリーブランドは上質さだったり新鮮味があって素敵だけど、古着は前の所有者から受け継がれた歴史だったり、温かみがあるから、どちらも私のワードローブにかかせないです。
お気に入りのお店はありますか?
水原
渋谷の「SCENE」! 〈カルバン・クライン(Calvin Klein)〉や〈オールドネイビー(OLD NAVY)〉の、メンズヴィンテージがすごくかわいいんです。
話が少し逸れますが、佑果ちゃんは髪をピンクにしてから大分印象が変わりましたよね。
水原
自分のバイブスがピンクだから。でもモデルという職業柄、髪の毛を染めることは結構難しくて…。
eri
最初は期間限定だったよね?
水原
はい、当初は夏休みだけの予定でした。結局ピンクのままでここまできちゃいました(笑)。自分のキャラクターをそのまま正直に出したいなって思って。これは、他のモデルがもっていない私のアイデンティティだから、結果的に増えた仕事もあると思います。
eri
海外は多いからね。フェルナンダ・リーも少し前にブレイクしてそのまま定着してるし。佑果みたいに、その本人にしかないアイデンティティを出していかないと、これから先は生き残っていけないんじゃないかな。
その後の評判は?
水原
いいなと思ってもらえてたら嬉しいです。でも何よりも大きかったのは、「自分がやりたいことにフォーカスしなきゃ」という意識を自分自身が持てたこと。
eri
でも大多数の人は私たちみたいなスタンスだと不安になると思う。仕事だけじゃなく生き方においても、自分を確かめる術として他人や物事と迎合していかないと。私は自分で質問して自分の中で答えを出していく自問自答スタイルが性に合っているので、幸い他人との比較で悩むことはなくて楽ちん(笑)。
水原
本来はみんなが周りを気にせずそうやって自分のやりたいことをやれたらいいのにな。だとしたら超平和だと思います。
eri
でもそれでいいんだと思う。私は「好きこそ物の上手なれ」が座右の銘なんで。好きなら人より上手にならないといけないし、パッションもないといけないし、好きだからこそ上手く出来ないとその分悔しいし。「eriちゃんっていつも忙しいよね」って言われるけど、「忙しいし、なんだったら時間も足りないんで」みたいな(笑)。
水原
自分のペースがあってうらやましい。あと何年くらいほしいですか?
eri
100年くらいあったらいいかな。
ここまでお話を伺うと、eriさんはデザイナー、ショップオーナー、バイヤー、フォトグラファー、水原さんはモデルにDJとマルチに活躍されてますよね。それってとても現代的というか。
水原
私はありがたいことに、本当に周りの環境に恵まれていると思います。周りにリスペクトできる人がたくさんいるんですよね。音楽ならTEIさんやMETAFIVEのみなさん。私生活では、家族や友達。今後ともこういう人たちとお仕事して、成長していけたらなと思います。
eri
こんなにいい子で探究心があって才能もあって、しかもかわいいってすごくないですか?(笑)。
水原
かわいい子はいくらでもいるんですよ(笑)。私は内面を磨いて表現の場で活躍したいなって。おばあちゃんは昔踊り子をやっていて美にすごくこだわりがある人なんです。お母さんはオペラが好きでお茶目な人で。こうやってみてみると家族が、アートやカルチャーに深く関わっていたからいまの私がいるのかも!希子は女優をやっているから、私もモデルだけでなく、歌だったりいろんなことにチャレンジしたいです。
eri
女優には興味ないの?
水原
チャンスがあったらトライしてみたいです!
いまはフェイスブックやインスタグラムで自分のことを世の中に発信するのが当たり前になって、新しい才能が目まぐるしくフックアップされているじゃないですか。そういう状況についてはどう思いますか?
水原
嬉しいです! 手っ取り早く情報を得られるので便利だと思います。でも、私もインスタグラムは好きなんですけど、浅いと感じることもあるかな。特に若い子には、SNSに左右され過ぎの人が多い気がします。自分も含めてですけど(笑)。たかがインスタグラムということを忘れちゃいけないなと。
eri
私はあまり意味はないと思うんですよ。意味がないというか、虚像なので。どう使うか、その人の頭の良さがもろに出る。
水原
たしかに…わかるかも。
eri
すごく体裁良くやっていても、ちょっとした言葉使いでその人の中身が出ちゃう。必要なものだし、自分を表現するツールとして大切だとは思うんですけど、自分なりの意図を持っていないと意味が無くなっちゃうものなので。賢く使うのが大事かな。フォロワー数も気にしていないし、フォローしてくださっている方の8割がアンチくらいの気持ちで、「自分のことを好きじゃない人が見ても失礼のないようにしておこう」というような気持ちで向き合っています。
水原さんは仕事柄、フォロワー数についても言われるんじゃないですか?
水原
うーん。たかがフォロワー数なので、そこに執着していないです。
eri
最近〈Born From Rock〉というジュエリーブランドをやっている若手の女の子たちからDMをもらって、「eriの作品が好きでインスパイアされているんだけど、よかったら私たちのジュエリーも見てもらえませんか? 」って。知らない人からのDMは読まないんですけど、なんか気になってその子たちのインスタに飛んだんですよね。サムネイルを見ただけで彼女たちのやりたいことが伝わってきて。フォロワー数なんて関係なしに、世界観がとにかく素敵でした。まだ会ったこともないけどお取引きが始まって、いまはうちのお店で取り扱っています。
水原
好きな人はちゃんと見てますよね。そういう意味で、世界を近くしてくれるインスタグラムはやっぱり欠かせない。
eri
玉石混合なのがいいところでもあるんだけど。WEB上のひとつの投稿に世の中が動かされる反面、だからこそ個性的な分子が生まれてきてるとも思うんですよね。フィルム写真が流行っているのもそうじゃないですか? カメラロールじゃない、形があるものが欲しい。そうやって少し先を見ている人の思考回路が変わってきているから、3年後5年後はいまとも全然違う感じになっているんだろうな。
インスタグラム上で気になる人はいますか?
水原
Mel Ottenbergさんの投稿がかわいくて、インスピレーションを受けることはありますね。
eri
私は90%は友達なので、あまり。友達しか見れないんですけど、Justiceのギャスパーが個人アカウントで街で見かけた不思議な人だけをひたすらアップしていて、それが超おもしろい(笑)。
では、SNSに限らず、若い世代でいま気になっている人はいますか?
水原
ナカタアキタカくん。DJをやっている友達で、感性が豊かでよく刺激を受けています。
eri
私はオチヤスタカ。「Diligence Parlor」というお花屋さんをやっています。若い世代と言われてもパッと思い浮かばなかったほど老成している20代(笑)。お花を通して、彼の視点でいろんなものを見ていて、そこが好き。彼なりの一貫性があって信頼しています。あとは海外になっちゃいますけど、Alice Kunisueというパリにいる親友。グラフィックデザインなどをやっていますが、考え方が柔軟で、国もカルチャーも垣根なくフラットに見ているところがいいですね。かわいいしおもしろいし、センスもいいし、チャラくない(笑)。日本でこういう子に会える確立は本当に低いので。
最後に、お互いのことをどう思っているかを教えてください。
水原
とにかく深い! 会う度に刺激をもらえる憧れの女性です。広く浅くで付き合うのは苦手なので、eriさんのような人と話すのがいちばん楽しいです。
eri
プラスのエネルギーの塊(笑)。佑果がしゃべらなくても、一緒にいるだけでそのエネルギーが周りの人にも作用している。だから彼女の周りには人が集まるんだと思います。