Designer to User.
デザイナーとユーザーを繋ぐ。
ミキリハッシンが提示する新しい“ショップ”の形とは。
不要・不急の外出を避ける。
一時期は“不要”のレッテルを貼られてしまったファッションですが、
それでも好きな人は服は欲しいわけで、オンラインショップにはとてもお世話になりましたよね。
徐々に店舗でも買い物できるようになったいまこそ、改めてそれぞれの良さを感じますが
「ミキリハッシン」が仕掛けているのは、デザイナーとユーザーを繋ぐ新しいショップの形でした。
Photo_Mayuko Sato
Styling_Koji Oyamada((The VOICE)
Model_Natsuki Suzuki
Special Thanks_Souta Yamaguchi(Mikirihassin Director)
直接会話しながら服ができる。ファンはうれしい空間。
「ミキリハッシン」が自粛期間中をきっかけに“ウチで楽しめるファッション”の提案として新しいオンラインコミュニケーションショップ「ウチ@ミキリハッシン」をスタート。デザイナーとユーザーを繋ぐ場で、例えば「この色でこの形で服が欲しい」を直接好きなブランドのデザイナーに伝えることができるというもの。今後も様々なブランドとのコラボレーションが企画される予定と伺いましたが、今回は〈コトハヨコザワ(kotohayokozawa)〉の回にお邪魔してきました! 実際にユーザーとデザイナーがzoomを介して会話しながら服ができる様は感動そのものでした。
まず、デザイナーの横澤さんとの対面から。(アトリエを覗けることも実はファンだったらうれしいことだったり)まずは今回のカスタムオーダーのベースになるオリジナルのルームウェア“STAY HOME WEAR SET”を確認しながら、カスタムできる布を見せてもらいつつ、デザインの相談がはじまります。
「ミキリハッシン」のスタッフが作成した3Dデータをもとに、モニターでシミュレーションをしながらベースの色とディテールを決めていきます。お店で色に迷ったりしたとき接客してもらえたとき、「助かる〜」と思っていたことがここではさらにデザイナーご本人も加わって意見してもらえるという贅沢さです。
その場で会話をしながら横澤さんがミシンでバーっと塗います。そしてタグをあしらって完成です。もう一度言いますが、これがすべて会話をしている間に行われているんです。服の誕生をこれだけライブ感を味わいながら見ることができたのも驚きですし、何より目の前で大好きなブランドの服をパーソナルオーダーしながらデザイナーが実際に作業してる姿をみれた鈴木さん(〈コトハヨコザワ〉の大ファンなんだそう!)のキラキラしたお顔もみれたのがとにかく感動的で…! 改めてファッションの楽しさを家にいながら肌で体感できた瞬間でした。
「ミキリハッシン」のディレクター、山口壮大さんにインタビュー。
- ー今回の取り組みで上手くいった部分と難しかった部分を教えてください。
- “不要・不急”のレッテルを貼られてしまったファッションを、生きていくために必要な“楽しい”や“うれしい”に翻訳することが目的だったので、上手くいったと感じています。ライブで完成させるには縫い上げる作業に20分程度しか時間を使えなかったので心配していたのですが、横澤さんがクオリティをキープしながらクリアして下さったので、間延びもせずわいわい楽しくできました。
- ー普通だったらあの状況でECを強化するしかないという発想になりそうですが、このアイデアに至った経緯はなんだったのでしょうか?
- あの状況のなかで、何もしないことがいちばん格好悪いと思ったことがきっかけでした。何かするということを先に決めてしまったので、あとはオンラインの特性と向き合って、ユーザーと、服と、デザイナーを結び付けることを大切にしてきた自分たちと向き合って、結果的にコミュニケーションをもっとも大切に捉えた今回の取り組みに至りました。
- ー徐々にコロナの勢いがおさまってきましたが、引き続きこの取り組みは続けていく予定ですか?
- デザイナーにとってもっとも製作に打ち込める環境と、ユーザーにとってもっともリラックス出来る環境を接客で接続する試みは、ショップの在り方としていいぞ、と感じています。これはニューノーマルな試みとして、進化していきたいと思っています。
- ー今回はブランドのファンだったという鈴木さんとデザイナー横澤さんとの交わり、すごかったですよね。
- 僕もとても感動しました。欲をいえば、自分たちで届けに伺って対面した瞬間にも立ち会いたいと思ってしまいました。こういう瞬間があるから、お店っていいなーと思ってしまいます。
- ーさらに、スタイリストの小山田孝司さんディレクションのもと撮りおろしたヴィジュアルは鈴木さんのお家で撮影しましたね。zoomで。できあがったヴィジュアルについてどう思いましたか?
- 鈴木さんがお家で過ごすことを目的に製作されたルームウェアだったこともあり、〈コトハヨコザワ〉の服だったものが、鈴木さんの一部になって命が宿っていくようにも感じてしまって、特別な雰囲気に包まれていたように思います。一方でファッションフォトとして捉えると、自分だけの空間にzoomを通して他者が介在することで、現実と虚構が混ざり合い、さらにバーチャルやリアルも入り混じる非常にシュールなシチュエーションだなと感じながら、でもこれってまさにいまの現実だなと思ったり。
- ーみんながコロナの一件で特に感じていたのは、家でオシャレする・外でオシャレするって何なんだろう?ということだと思っているんです。これについてどう思いますか?
- 外で人と会うことを意識したファッションと、家で自分の為に装うファッションの目的は異なると思う一方で、「ハウス@ミキリハッシン」が掲げる“美の用”は、言い換えると好きな服を着倒すほどに着続ける行為に美学を見出そうと掲げていますので、まさに狭間なのかなーと思いました。
- ーなるほど。
- よく“オシャレはガマン”という言葉を耳にしますが、なるべくガマンしなくて良いオシャレの楽しみ方を提案したくて。人と会うときにも胸を張れて、家でも快適に過ごすことができる。そんな夢みたいな服なんかあるのかなーと考えてみたのですが、あるんです。〈コトハヨコザワ〉の“todo”に代表されるプリーツシリーズは女性らしいシルエットをストレスフリーで楽しめる、まさに家・外で別の楽しみ方が出来る逸品です(宣伝w)。日用品のようにもっとファッションを身近な行為として愛でていけたら素敵だなって思っています。