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表参道でファッションとアートを“占拠”するルメールとスクワット。
表参道でファッションとアートを“占拠”するルメールとスクワット。

FASHION and SKWAT.

表参道でファッションとアートを“占拠”するルメールとスクワット。

2020.10.27

ハイブランドの旗艦店や最鋭アイテムを取り扱うセレクトショップが軒を連ねる表参道。
ひとまず足を運んでおけば流行りを網羅できる、ファッションの一等地とも言える場所で
その場にいる自分の目を疑うような、あるおもしろいプロジェクトが進んでいました。
パリブランド〈ルメール(LEMAIRE)〉と「SKWAT」のコラボ。
都会の空き物件を“占拠”し、クリエイティブな空間に変えてしまうこの活動と手を組み、
日本初出店を果たしたブランドが、この場所で仕掛けたかったこととは?

Photo_Riku Ikeya

服だけじゃなく、空間からもブランドの意思を感じる。

シンプルだけどひとクセもふたクセもある。熱狂的なファンが多いパリブランド〈ルメール〉が「SKWAT」とコラボレートし、長期期間に渡るポップアップストアをオープン。いまのところ最終日は3月31日(水)まで。デザイナーのクリストフ・ルメールとサラ=リン・トランは、毎シーズン大好評の〈ユニクロ ユー(Uniqlo U)〉を手がけるデザイナーとしても広く知られています。ブランドとしてこれが日本初出店となる今回は、ファッションの一等地とも言える表参道で、ただブランドのフルラインナップが見られるポップアップストアをスタートしたかったのではなく、「SKWAT」の空き物件合法かつ創造的な手法で空間を占拠し、クリエイティブな人々が集い、自発的にコラボレーションが起こることで新しいエネルギーを持ち込もうとする活動にブランドとして賛同したことで、ファッションとアートを同じ空間で存分に楽しめるフロア構成を叶えることが可能になりました。ちなみに店内の木製の什器は、「SKWAT」が〈ルメール〉のモノづくりに日本の精神性を感じたことから古民家の廃材を用いて接着剤や釘を使わない伝統技法「木組み」でつくったものなんだそう。〈ルメール〉が展開されている1階がポップアップスペース、2階は「トゥエルブ ブックス(twelvebooks)」、そして地下には“夜の公園”のように個々が自由に過ごすことができる空間が併設、様々な角度で〈ルメール〉の理解を深めながらショッピングすることができます。

空き家を活かしながら刺激的な空間へと変化させるSKWATについて。

そもそも〈ルメール〉がコラボすることとなったプロジェクト「SKWAT」とは、設計・デザイン事務所「ダイケイ・ミルズ」の中村圭佑さんと国内のアートブックのディストリビューターの中心を担う「トゥエルブブックス」の濱中敦史さんが中心となって活動しているもの。都会の家のない若者が空き物件を不法占拠して活用するムーブメント“スクワッティング(SQUATTING)”に着想を得て、都心の空き物件を合法的かつ創造的な手段で一時的に占拠しています。今回のコラボに先駆け、2階の「トゥエルブブックス」がオープンしたのは5月、ショップ内にオフィス、ショールーム、そして倉庫をすべて集約させて、もともと法人向けにしていた本を一般のお客さんでも購入することが可能となりました。原宿・表参道を中心に活動している「SKWAT」の中村さんが「近年強く感じていた誰でも楽しめる巨大商業施設が次々と作られる予定調和な状況へのカウンターという意識はあります。ただビルに対するカウンターという思いは一切なく、いまの状況に僕たちがどれだけ新たな価値を投げ込み、新たな流れを作れるかを考えていて、ビル自体、そしてこの街自体がより魅力的になる足がかりになれたら」と語るように、入り口を入った瞬間からこのエリアにあるビルらしからぬ、居抜き感と生々しさにドキドキすることができます。初回は〈ルメール〉がこの活動に共鳴する形でコラボすることとなりましたが、今後も「SKWAT」が尊敬するブランドやモノをサイトスペシフィックなアプローチで一体させていくとのこと。「服を買う」「本を買う」に限らずトータルで楽しみ、ファッションとアートを垣根なく体感してみては?

地下に広がるパーク。キオスクもあり。

このプロジェクトを通じて集ったクリエイティブな人たちが自由に遊べる場所が、この地下にあるパーク。お菓子や飲み物をおいたキオスクもあり、基本的にはここはフリースペースとのこと。また、会場全体でキーとなっている赤はもともと天井にペイントされた躯体の中に埋め込められているPC鋼線と呼ばれる鋼線の在りかを印した色からのインスパイアで、「SKWAT」らしくあえて最小限の操作にして空き物件の空間のキャラクターを最大限に引き出しています。また、地下は地下で様々なポップアップや展示が行われていく予定で、初回はグラフィックデザイナーの田中義久さんが過去に手がけた数々のアートブックと、書籍などを製本する際に実際の質感を確かめるためにつくる束見本を合わせて展示するという斬新な内容になっています。その束見本はかなり豪華なメモ帳として使用できるだけでなく、実際にどうやってアートブックができるかという背景を感じ取ることができるのです。刺激的な空間に自分の身を置くことは、ときとして必要。ファッションとアートが融合したこの場所から多くのインスピレーションを得て自分自身に磨きをかける、そんな新たなカルチャースポットになること間違いなしです。

INFORMATION

SKWAT/LEMAIRE

会期:〜2021年3月31日
住所:東京都渋谷区南青山5-3-2
時間:12:00〜19:00(月曜定休)
電話:03-6384-0237
us.lemaire.fr