

7 Interview Questions about “TOKYO”!
ファッションシーンを牽引してきた
サラ・アンデルマンってどんな人? 東京をどう見てる?
サラ・アンデルマン という人物を知っている?
パリの伝説的なセレクトショップ「colette(コレット)」を手掛けていたファッション界のレジェンドで、
彼女に発掘された駆け出しデザイナーたちは軒並み人気ブランドへと成長してきました。
2017年惜しまれつつ「colette」を閉じたあとも精力的にクリエイティブな活動を続ける彼女が来日するということで、
“街で一番おしゃれな子”に届くメディアとして奮闘するガールフイナムが、ファッション好きなら知っておきたいサラのことと、
彼女がいま、私たちのすむ街・東京をどう見ているか、7つの質問を通して答えてもらいました。
Photography: Mikito Iizuka
Q1: 東京でどんな発信をしたいと思った?
- ー 今回の来日理由である〈ÉDIFICE〉とのコラボレーションPOPUP(こちらの概要は先日ニュース記事にてご紹介しました)。大好きだと言ってくださる東京での出店は、どんな形にしたいと思っていたのでしょう?
- 単なるPOPUPではなく、パリと東京との間に新しいクリエイティブな対話が生まれる場所を目指しました。フォトグラファーやファッションブランド、アーティストといった多彩な才能を紹介し、両都市のエネルギーが交差するような。

今回のような特別なプロジェクトのキュレーションや、コンサルティングやブランドとのコラボなどを自由な発想で担うのが、私の会社「Just An Idea」。クリエイティブな分野を横断しながら、さまざまなアイデアやプロジェクトを実現するプラットフォームとして機能していて、本の出版もしていたりします。


「colette」が幕を閉じてからも、常に新しいことに挑戦し続けるべく情熱や好奇心を燃やしていますね。
今回のブランドセレクトの際にも、オーセンティックかつ、オリジナリティがありながら、まだ広く知られていないもの、というのを重視しました。ジャンルや知名度を問わず、いま面白いものがフラットに並んだらいいなと。


例えばレーシングドライバーの生沢徹さんが中心となり設立したレーシングチームであり、現在は娘である舞さんによって手がけられているプロジェクト『Team Ikuzawa』. モータースポーツとファッションを掛け合わせたレトロなムードが新しい。
- ー あえてトレンドを拾う、ということにはしなかった今回のPOPUP。ただやっぱりファッション的な旬、トレンドをサラさんがどんなものだと捉えているのか気になります。
-
トレンドがないのがトレンド! と言ってもよいのかしら?
そのブランドのアイデンティティと呼べるような強いデザイン・個性ほど、トレンドには左右されていない。人気を博しているブランドほどそうな気がするし、ショップにおいてもそういうセレクト自体が今のトレンド的とも言えるのかしらね。
まさに今回もそういったセレクトにしたつもり。
〈ÉDIFICE〉チームもそう思ってくれている、わよね?(笑)
いつ来てもインスピレーションを与えてくれる街。ディテールにこだわるところが本当に魅力的で!
一番最初に訪れたのは16歳の時でした。もうすぐ50歳になるんですが、数え切れないほど……そうね、プライベートと仕事も合わせれば、20回くらいは来ています。コロナ渦に入ってしまってからもずっと行きたくて、明けてからは2023年の10月に12月と短期間に2度も訪れました。
日本のここまでの“おもてなし”、ひと口にサービスとも言うけど、他人に対するリスペクトを感じる国は他にない。他の国ではとても味わえないものよ(笑)。日本人はもっとそこを誇っていいと思う。


POPUPでは「Just An Idea」社から出版されているアーティストとのコラボレーションブックシリーズ『JUST AN IDEA BOOKS』からは、iPhoneからキャリアをスタートさせ、今や世界的なフォトグラファーとして活躍するRKさんによる作品集もリリース。サラ自身が大好きである「東京」をテーマに切り取った写真展も。
Q3: 東京のファッションシーンをどう見ている?
まず、今回の来日で第一に思ったのが、まさに今取材を受けている「虎ノ門ヒルズ」もそうだけどタワー内にショップがたくさん並ぶこの形式がとっても増えていたこと! 他の国ではなかなか見ないショッピング形式だと思います。
昨日は「麻布台ヒルズ」にも行ったし、「六本木ミッドタウン」、「渋谷スクランブルスクエア」なども……。以前から知っていましたが、どんどんとファッションタワーが増えている。
短時間で一気にたくさんのショップを見ることができて、知らなかったブランドとの出会いがあったり、自分の好みを再発見したりするのでしょう。刺激的だと思います。
未だパリにはないショッピング形式なので本当に興味深い。東京は常に変化し続けるダイナミズムに満ちていますね!
Q4: 東京で好きなエリアはどこですか?
絶対に訪れるのは、表参道と中目黒、あと銀座も必ず行きます。
ツーリストで溢れているようなところは避けてしまいますね(笑)。日本人のお客さんしかいなかったり、支払いが現金のみだったり……というようなこぢんまりしたショップが好きです。
中目黒の「COWBOOKS」や原宿の「NANZUKA UNDERGROUND」はよく行きます。どちらも独自の視点で多様なジャンル展開をしていて、東京におけるメインストリートでない発信に触れることができる。
ただ、有名どころでも、銀座の「DOVER STREET MARKET GINZA」だけはずっと欠かせません!(笑)

Q5: 東京ブランドについて教えて!
- ー POPUPにあたって初めて知った東京ブランドは?
-
普段からメンズブランドもチェックしてはいますが、〈YOKE(ヨーク)〉、〈DAIRIKU(ダイリク)〉は初めて知りました。〈KOHKI(コッキ)〉、〈TANAKA(タナカ)〉は知っていましたね。
いずれもポテンシャルの高い東京ブランドを選定表彰し、海外展開をサポートする「TOKYO FASHION AWARD」を受賞したブランドたち。
今回のPOPUPの目玉のひとつと言えるコラボレーションになりました。新しい技術、新しい素材を巧みに取り入れながら、特別なスキルを要する職人技を発揮する素晴らしい新世代たちです。
いつも思うのですが、その創造力は国内にとどまるものではなく、国境を越え世界に影響を与えるパワーを持っている。時代の最前線、現代のファッションシーンを切り開く、頼もしい原動力ですね。 - ー 新世代に限らないとするならば、他にどんな東京ブランドがあがりますか?
-
もちろん本当にみんな素敵なのですが、言うなれば〈sacai(サカイ)〉。変わらずずっと好きです。
一番最初のコレクションを「collet」で展開したのですが、“ひとひねり”がすごく効いていて。
“こうあるべき”、というルールを破った先鋭的なデザイン。男性でも女性でも〈sacai〉を着ると、その研ぎ澄まされたシルエットによって服を着るということの意味がアップデートされて、しかもそれが心地いい。ある種の変身に感じられる。あとは〈ANREALAGE(アンリアレイジ)〉。革新的ね。
Q6: リアルバイする東京ブランドは?
2017年に「colette」をクローズしてからと、今とで変わったことがあって。
それは、「colette」のストックルームにはいつだってその時自分の着たい服が溢れかえっていて、いくらでもゲットできたけど、今はそれができないということ。(笑)
そんな今の私にとって、“「colette」のストックルーム ”に代わるのが、実はオンラインだったりするのだけど、ネットショッピングと並べてあげたいのが東京の〈COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)〉! 日本三大ファッションブランドのひとつとして世界的に大人気ですが、例に漏れず私も大ファンです!


「colette」の時と変わったこと、として話したけれど、他に大きく変わることって正直あまりないのかも。展示会やショーもよく訪れるし、LVMHの審査員も継続しています。クリエイターとの距離は変わっていないし、常にクリエイティブなシーン、場所、モノに触れていることは今も変わらずとても大切なことです。
Q7: 最後に今気になっているひと、もの、こと、教えてください!
〈ALAINPAUL(アラン・ポール)〉と〈ZOMER(ゾマー)〉。どちらもよく知っている若いデザイナーが手がける、LVMHプライズ最終まで残ったパリのブランドです。
〈ALAINPAUL〉のデザイナーは前はダンサーで、〈Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)〉や〈VETEMENTS(ヴェトモン)〉にいた。いい塩梅、だけど新しいボリューム感のウェアを得意としてる。
オランダ人デュオによる〈ZOMER〉はまた異なる魅力があって、アーティなシルエットに鮮麗なカラーパレットで楽しませてくれる。直近のショーがすごく面白くて。ショーって最後に全員が歩いてくるけれど、それを冒頭でやったの。斬新なアイデアだなと思って記憶に残ってる。
ファッションに触れていると、いつだってフレッシュな感性が刺激されて、研磨される。それを加速させるのが、若い世代であり、東京という場所でもある。
期待しているし、私もまだまだそこを担っていたい。
また必ず来ます。

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