20211126 MASHIRO
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クードスの工藤司が新たに手がけるウィメンズブランドとは?
クードスの工藤司が新たに手がけるウィメンズブランドとは?

Interview with Tsukasa Kudo as soduk.

クードスの工藤司が新たに手がけるウィメンズブランドとは?

2018.09.07

斬新なパターンと遊び心や、ウィットのあるデザインで
業界の話題をさらったファーストコレクションから丸1年。
〈クードス(kudos)〉のデザイナー工藤司は新たに
ウィメンズブランド〈スドーク(soduk)〉をスタートさせました。
これまで、〈クードス〉で性を強調しない
ニュートラルなデザインを意識してきた彼が手がける
ウィメンズウェアにいま注目が集まっています。
ローンチの経緯やデザインに対する考えなど、
彼が語る言葉からその魅力を紐解きます。

Photo_Tsukasa Kudo

soduk 2018AW

〈クードス〉とは別の形で存在させたいなと思いました。

ー〈クードス〉がデビューして、9月でちょうど1年ですよね。3シーズン目にして、新たにウィメンズブランドを立ち上げた理由はなんだったのでしょうか?
僕自身は〈クードス〉をメンズブランドとして作っていたんですが、最初のコレクションが特にメンズウェアのくくりで発表したものではなかったこともあり、女性誌での露出も多く、実際に女性に着ていただく機会も多かったんです。もともと、メンズブランドだからと言ってそこまでメンズのディテールにこだわって服作りをしていたわけではなかったので、ウィメンズウェアとしてのポテンシャルみたいなものは〈クードス〉のなかにはあったのかなと思います。周りからもウィメンズがあればいいのにという声をいただいて、今回ローンチすることになりました。
ー昨シーズンでは〈クードス〉のなかにウィメンズの型がいくつかあったと思うのですが、そのような形で続けていくことは考えなかったのでしょうか?
そうですね。昨シーズンは3型ほど作ったんですけど、ひとつのコレクションの中に突然組み込むしかなくて、コレクションとしてのバランスで俯瞰したときにすごく浮いてしまって。それでも、作ってはみたものの、結局自分のなかでさっぱりわからなかったんです。
ーわからなかったというのは?
〈クードス〉としてひとつのコレクションを作るテンションのなかにウィメンズのアイテムが突然現れるのって、すごく違和感があるなと思いました。もともと〈クードス〉では性を強調しないデザインをしてきて、僕自身もそのブランドのあり方がいいなと思っていて。そこまで「男性的である」「女性的である」といったことを声高に掲げる服作りをしていないし、これからもしたくないというか。別に男性が着たら男の服だし、女性が着たら女の服だしっていうぐらいの気持ちなので。それなのに、あえてウィメンズの服を〈クードス〉のなかに組み込むというのが僕の考え方にあまりフィットしなかったんですよね。でも、〈クードス〉とはまた別の形で存在させるならいいかなと思いました。

kudos 2018SS

ブランド名はkudosを逆から読んだだけです(笑)。

ー思ってから形にして、ローンチするのがかなり早いなと思ったのですが、どうしてこのタイミングだったのですか?
確かに早いですよね(笑)。実際にデザインからサンプル製作まで1カ月ほどで準備しました。さっきもお話したように、〈クードス〉は女性媒体での露出が多かったのですが、もともとメンズサイズで作っているので撮影で女性モデルさんに着せるときにはスタイリストさんたちがきっと、写真に写らない後ろの部分をピンで留めたりクリップでつまんだりして調整していただいてたかと思うんです。もちろん写真で見てかわいいのは嬉しいんですが、それを見たお客さんがお店に行って実物を見たときに少しギャップがあったんじゃないかなと思って。ちょっと申し訳なさがあったんです。それなら、ちゃんと女性の身体や女性の世界と向き合った形で提案したほうがいいなと考えました。それが少しでも早くローンチしたかった理由のひとつでもあります。
ー〈スドーク(soduk)〉は〈クードス(kudos)〉の逆読みですよね? なぜこのブランド名に?
〈クードス〉としてはできないけど〈クードス〉がやってるっていうのを残したくて色々考えたんですけど、いちばんおもしろかったのがこれだったんです。〈クードス〉を反対から読んだだけっていう。読みにくいですよね、僕もいまだに間違っちゃう(笑)。でも、「クードス ガール」とかは絶対違うよねという話になって。やっぱりいちばん性に対して分けるみたいなことをしたくないのに、女性を意味したり性を付与するような名前をつけるのは違うでしょって。逆読みだったらおもしろいし、〈クードス〉を知ってる人ならあれ? っていうフックも残せるんじゃないかと思いました。

soduk 2018AW

やっぱり女性の胸や腰の曲線っておもしろい。

ー先ほど〈クードス〉とは別の形で存在させるとおっしゃってましたが、〈スドーク〉のブランドとしてのコンセプトや核となる部分も全く別のものと考えてもいいのでしょうか?
今回のコレクションに関しては、あえて〈クードス〉と関係性のあるものとして表現しています。〈クードス〉から生まれましたよっていう自己紹介的なコレクションにしたかったので。”mirror mirror”というテーマなのですが、〈クードス〉を反射・反転させたものという意味を込めていて、これまで〈クードス〉で使ってきたデザインやディテールを別の形で発生させることを意識して制作しました。でも、進行中の次のコレクションではもう少し〈クードス〉とは切り離したテーマや表現を考えていますね。
ー工藤さんがウィメンズの服として意識してデザインした部分はどんなところですか?
改めて女性の身体とちゃんと向き合ったときに、胸や腰の曲線ってやっぱりおもしろいなぁって思ったんですよ。あ、曲がってるなぁって。当たり前のことなんですけど、なんかデザインするうえでの大発見というか(笑)。男性の服はハンガーにかかった状態で大体想像がつくけど、女性はハンガーにかかっているときと実際に人が着ているのとだとかなり雰囲気が変わるじゃないですか。それがとてもおもしろくて。だから、わざと僕にはない胸にデザインの起点となるものを入れたりしました。
ーそれは例えばどのデザインですか?
生地をずらしたり、折り重ねたりして新しいレイヤーを作るというのは〈クードス〉的な考え方なんですけど、それを胸のあたりでタックを取りそこにさらにボタンをつけたシャツは象徴的ですね。あと、首を出す場所によって違う着方ができる3WAYニットがあるんですけど、それも切り替えが胸にあります。パーカーの胸の位置に”Don’t touch!”というフレーズを入れたのも、ストレートに「触らないで」ってことを意図してます。男性といちばん違う部分に着目したら胸だったから、胸始まりのデザインが自然と増えていったのかな。でも、それって僕がウィメンズの服を自分の名前でデザインすることが初めてで、本当に幼稚園児のような感覚だったのかもしれません。幼稚園に入ったら、周りの大人が新鮮に映って、「あ、おっぱいだ!」みたいな(笑)。自分と違う何かを受容したときに立ち現れる感動が、思わずデザインの始まりに使いたくなってしまう部分だったのだと思います。

soduk 2018AW

50型くらい作って、20型はボツにしたと思います。

ーメンズの服とウィメンズの服のデザイン過程は違いますか?
基本的な制作過程は同じです。簡単な落書きのようなスケッチやドレーピングから始まるんですけど、それを一度形にしてから足したり引いたり。でも、使っている脳というか、考え方は全然違います。〈スドーク〉を始めたことによって整理して考えられるようになりましたね。アイデアの棲み分けみたいなのができるようになったというか。
ーそれは工藤さんがデザインするうえでプラスになっていますよね? 今シーズンのデザインにはどのように影響してきましたか?
いまは〈クードス〉のなかで考えていたデザインの強い部分は〈スドーク〉に預けています。かわいい! 華やか! みたいなところ。やっぱりデザインの余白というか、受容されるデザインの幅が大きいのはウィメンズの服のほうが多い気がするので。逆に〈クードス〉では色や見た目の派手さじゃないところでのデザインにこだわりたいと思っています。主観でしかないですが、メンズの服の方が保守的じゃないですか。だから、僕はメンズの服ではその保守的なラインを守りながら、少しだけずらす、少しだけ飛び出すということをやりたいだけなんです。これまで、考えなくてもいいのにウィメンズのバイヤーやスタイリストのことを大きなスケールで考えてしまって、デザインを誇張したものも〈クードス〉のなかで表現しようと自分で自分に勝手に無用なプレッシャーを与えていた気がします。だから、それをゼロに戻して真っ白な状態から考えられた今シーズンはすごく気持ちのいいコレクションでしたね。
ーでは、そういう意味ではいまがいちばんいい状態でデザインできているんですね。
そうですね。でも、やっぱりウィメンズの服の作り方はまだ全然わからないので手探りしながらです。例えば、こういうデザインにしたいなら着丈は何cmで袖は何cmにすればいいかなっていうのがメンズ服なら感覚的に予想できるものなんですよ。オーバーサイズに見せたかったら何cmにすればいいとか。ウィメンズはそういう感覚がまだ全然ないから、何回もフィッティングしながら作りました。50型くらい作って、20型くらいはボツにしたかな。頭で思い描いていたのとは全然違ったものができあがってしまって。サンプルまでできあがってくると、あれ? こんなのが作りたかったんじゃない! みたいな。そういうことをすごく短時間で行ったので、自分でも手応えがなくて、展示会で人に見てもらうまではこのコレクションが本当にいいのか悪いのかもわからないくらいでしたね。

kudos 2018AW

〈ジャックムス〉でいちばんデザインについて学ぶことが多かった。

ー工藤さんはアントワープとパリでファッションを学ばれたそうですが、そのときもメンズファッションを専攻されていたんですよね?
そうですね。でも、アントワープ王立芸術アカデミーは1年で中退しているのでデザインを学んだとは言えないレベルで(笑)、その後行ったパリの学校ではデザインではなく縫製やメンズウェアのパターンメイキングを専攻していたので、学校でデザインについて学んだことは実はないに等しいという感じなんです。
ーアントワープを辞めてなぜパタンナーコースを選ばれたのでしょうか? デザインコースではなかったんですね。
僕は日本で大学を卒業してからアントワープに行ったので、それまでミシンを踏んだこともなかったんです。アントワープに行って初めて友人に教わりながら布を触って縫う作業をしました。でも、アントワープに来る子たちってだいたい以前にファッションやアートを勉強して来るから、本当に僕だけ何もできなかったんですよね。それが歯がゆくて。僕の思い描いていたデザイナー像になるには程遠いぞ、お前!って自分で突っ込んじゃうくらいで。僕が想像してたデザイナーってやっぱり縫えるし、手を動かして何かを生み出せる人だったので。だから、このままじゃまずいなと。アントワープは技術を教える学校ではないから、僕もみんなみたいにちゃんと思い描いているものを形にできる人になりたくて、パリの学校へ行きました。パリにいるときに〈ジャックムス(JACQUEMUS)〉でインターンとして働いていたんですが、デザインについていちばん多くのことを学んだのはそのときだと思います。
ーどういった経緯で〈ジャックムス〉で働くことに?
パリでいちばん好きなブランドだったので、パリに行くことが決まったときに「インターンとして働かせてほしい」ってメールをしました。何度目かのコンタクトで面接をしてもらえることになって、ジャックムスたちは僕がアントワープをやめて来るなら、たぶんデザインもできるでしょみたいな感じだったから、全然できないのに「できます!」って言って、採用していただきました(笑)。
ーそうだったんですね、すごい行動力と度胸です(笑)!〈ジャックムス〉ではどんなことが印象に残ってますか?
〈ジャックムス〉は絵を描いてからデザインするというよりは、とりあえず作ってみてそれを足していくデザインの仕方なんです。3Dのピースをたくさん作って足したり引いたりしながらデザインをしていくイメージですね。絵を描けなくてもいろんなサンプルやおもしろい形を作り出せば、それがデザインとして採用されていくという環境だったから、すごく楽しかったです。たとえインターンでも、おもしろいサンプルであればコレクションにも採用されたし、商品にもなりました。そういうことをずっとやらせてもらえて、そのときにデザインの方法ってたくさんあるんだなと思いました。絵を描いてそれを形にするという方法だけでなく、サンプリングの集積でデザインするという方法もあるんだなと。それで希望が見えましたね。たぶんこういうデザインだったら、僕がやっているパターンメイキングが役立つかもしれないなって。
ーそのときの経験やデザインの考え方からいまも影響を受けている部分はありますか?
たくさんありますね。今シーズンの〈クードス〉で作った二日酔いシャツっていう僕のお気に入りのアイテムがあるんですけど、それができたのはジャックムスにいたからだと思っています。
ー二日酔いシャツとは?
飲みすぎて二日酔いになってしまった朝に、ボタンを掛け間違えたようなデザインのシャツです。僕が本当にたまたま掛け間違えた日があって、人に指摘されて見てみると、めっちゃかわいかったんですよ。「何これ! かわいい!」と思って、そのままiPhoneでセルフィしました(笑)。これをパターン化してそういうデザインにしてしまえば一生掛け間違えたシャツになっていいなと思い、もうひとりのチームの子と立体裁断しながら、どう固定するかを考えました。何気ない、身近にあるアイデアをいかに具体的に物として生み出すか、みたいなのは〈ジャックムス〉にいたからできたデザインだと思います。それに、こういうデザインを許せるというか、ゴーサインを出せるのも〈ジャックムス〉にいたからじゃないかな。彼らはこういうことを真剣に楽しんでいるんですよね。「こんなのないよね、いいね!」みたいなテンションで。そういうデザインに対する瞬間的な速度で向き合う姿勢ってものすごく大事だけど、大人になるにつれて忘れていくっていうか、やらなくなっていくようなことでもあるから。
ー確かにいまおっしゃっていたようなことを工藤さんのデザインに感じることがあります。すごく無邪気な子どもっぽさがあるというか。
もちろんきちんと服として成立させるのも大事だけど、その反対のちょっとふざけた部分というか「こいつまじアホだな〜」って思われるくらいのクスリと笑えるようなデザインもしていきたいなって。そして、それにゴーサインを出すことも大事な決断だと思っています。僕のこういうふざけたアウトサイダー的活動にも意義があるぞ! って勝手に思ってやっています(笑)。

kudos 2018AWの“二日酔いシャツ”

イメージを作ることも好きなのでスタイリングは自分でやりたい。

ー〈ジャックムス〉の後には〈ワイプロジェクト(Y/PROJECT)〉と〈JW アンダーソン(JW ANDERSON)〉でも経験を積まれたんですよね?
そうですね、〈ワイプロジェクト〉も〈ジャックムス〉とデザインの仕方が似ていて、パタンナーがデザイナーにもっとこういうパターンもありますよって提案して、デザインをぐいぐいねじっていってデザインを複雑化させる感じでした。すごく勉強になりましたね。その後〈JWアンダーソン〉に行ったんですけど、そこではデザインはもちろんですが、スタイリストのベンジャミン・ブルーノのスタイリング力に感動しました。服単体で見ていてもピンと来なかったものでもベンジャミンが組みわせていくと、どんどん〈JWアンダーソン〉の世界観ができあがっていくんです。そのときにやっぱりスタイリングってブランドの生死を分けるくらい大事なものなんだなって感じました。
ー実際に工藤さんもファーストコレクションからデザインだけでなくルックのスタイリングや撮影を手がけられていますよね。今回の〈スドーク〉のルックもそうですか?
はい、そうですね。
ー工藤さんがスタイリングや写真にこだわる理由はなんなのでしょう? 先ほどのベンジャミンの話を聞いて少し納得でしたが、やはりデザイナーがスタイリングもシューティングもひとりでするなんて休む暇ないじゃないかと思ったり。
そうですよね。自分でももう少し人に預けられるようになったらいいのになと思います。最近はそれが悩みでもあったり(笑)。だけど、服と同じくらい、イメージを作ることも好きなんだと思う。人が着て、服がもっとふわりと飛んでくれるというか、増幅するというか、イメージとして広がる瞬間を見つめることに興味があって。だから、スタイリングや写真を通して、服をもっと輝かせることにはこだわりたいんだと思います。
ーデザインするときにスタイリングは想定していますか?
それはないですね。イメージを膨らませることが好きだから、デザインのときにスタイリングまで考えているとシューティングのときに新鮮味がなくなっちゃうのが嫌ですし。
ーキャスティングもされるそうですが、着る人はどうでしょうか? 今回〈スドーク〉をデザインするときにイメージしていた女性像などはありますか?
あまりそういうのはないですね。その服を着ている人がいいスピリットの持ち主だったら、服ってそれだけでよく見えるものだと思っているので。
ーでは、モデルさんや女優さんなどで、工藤さんが似合いそうだなと思う人、着てほしいなと思う人はいますか?
太田莉菜さんですかね。実際に、最近エディトリアルで〈スドーク〉の撮影をしたんですが、モデルとしてリクエストしました。
ー確かに、すごく似合いそうですね!
あ、思い返すと莉菜さんはブランドを始めるときから結構意識していたかも。
ーそれはなぜ?
近所に住んでいて仲がいいんですけど、莉菜さんは昔からかっこいいブランドばかりを着ているし、ファッションをよく知ってるから、その服がいいか悪いかっていうのが結構顔に出るんですよ。かっこいいブランドっていうのは有名で高級なブランドという意味だけでなくて。彼女は有名じゃないブランドもよく知っているし、なんでもかわいいって言うんじゃなくて、自分と相性がいいかどうかで服を決める人なんだと思うんです。だから、肌感覚でファッションに対しては厳しい人だと思います。でも、その分そういう基準がちゃんとあって、はっきりしている人だから信頼できるなと。だから、エディトリアルの撮影でいちばん最初にリクエストしたんですけど、それを彼女が引き受けてくれて、服も欲しいって言ってもらえて、本当によかったなと思いました。
ー最後に〈クードス〉と〈スドーク〉ともに挑戦していきたいことや表現していきたいものなど今後のブランドの発展についてお聞かせください。
ショーをやりたいとかまだ具体的な目標は全然ないんです。ただ、自分の考えとして、服は服でしかないと思っていて。手段というか、物だからやっぱり人を超えることはないと思うんです。人の魅力って何にも負けないから。だから、いろんな人の魅力に寄り添える服を作っていきたいと思っています。〈クードス〉や〈スドーク〉の服が袖を通すことでその人の魅力をもっともっと引き出せる服であればいいなと思います。
9月11日(火)には工藤さんがガールフイナムのためだけに撮り下ろした〈スドーク〉のファッション記事を公開。約1年ぶりに福士リナさんが登場します!

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