新鋭デザイナーSATORU SASAKIが示す、人生の動かし方。
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JUST GO FOR IT.
新鋭デザイナーSATORU SASAKIが示す、人生の動かし方。
2020.08.19
このご時世、思うことや主張したいこと、誰だってたくさんあるけど
実際に行動に移せる人ってどれくらいいるんでしょう。
昨年デビューしたばかりの〈サトルササキ (SATORUSASAKI)〉は
デザイナーの夢を実現するため、国内外で地道に経験を積み
神戸から力強く、服を通じて女性へのメッセージを伝えています。
本場で学んだ本物志向の服作りと、飛び抜けた行動力。
時代に流されず道を切り開いていく新鋭デザイナーのお話は
きっとあなたの背中を押してくれるはずです。
Photo_Ryosuke Yuasa
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- ーガールフイナムの日替わり企画「物欲NONストップ!」でこのスカートに一目惚れして、ブランドのことを知りました。実際にお会いできて本当に嬉しいです。まず、読者の皆さんに説明も兼ねて〈サトルササキ(SATORU SASAKI)〉がどのようなブランドか教えてください。
- 「男性も憧れる女性を作る服」というコンセプトで、主にレディースをメインに活動しているブランドです。
- ーそもそも、佐々木さんがデザイナーを志した理由とは?
- 祖父が靴の会社をやっていたり、叔父がペインターとして活動していて、自分も何かを作り上げて商売したいと思ったんです。なかでも僕は洋服が好きだったので、大学一年生のときデザイナーになろうと決めました。大学に入学したてだったんですけど、服飾のダブルスクールにも通い始めて。
- ーダブルスクール…大学に通いながらの両立は大変ですね。そこで女性服を学び始めたと。
- 元々はメンズ服を勉強するつもりだったんです。でも、僕の学校ではレディースしか勉強しないって知って、そこから女性服を学び始めました。メンズに比べてカテゴリーが多いから、色んなことができて学んでいくうちに楽しさを見出した感じです。
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- ー〈サトルササキ〉は神戸を拠点に活動されていますが、 ファッションに関わる人の多くが東京でキャリアをスタートします。なぜ自身の生まれた兵庫県で活動を続けるのでしょうか?
- 以前は僕も東京じゃないと厳しいと思っていて〈タロウホリウチ(TARO HORIUCHI)〉で働いていたこともあったんです。でもいまは外交が日本中にあるし、出来るだけ地元に貢献したい気持ちが大きい。だから、最大限関西の企業を使って一緒にがんばっていきたいと思っています。
- ー地元に貢献したいと考える人はたくさんいるけど、実際に地方を拠点に活動するってかなり勇気がいりますよね?
- そうかもしれないですね(笑)。それは僕の海外でのインターン経験が活かされているんだと思います。当時ベルギーのアントワープに住んでいて、それこそ神戸くらいの感覚かな…田舎だけど有名なブランドがたくさん誕生した場所で、彼らは拠点を変えずに展示会のときにだけパリに足を運んでいたんです。その活動の仕方を目の当たりにして、地元に残ってもブランドはやっていけるって確信しました。
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- ー実際に現地に行ったからこその知識ですね。佐々木さんは何故、海外行きを決めたのでしょうか?
- 昔から海外に興味はあったんです。でも向こうの学校に行かず、海外のブランドで働いている人との出会いがなくて勇気がでなかった。ただ憧れのブランドで経験を積みたい、その気持ちだけで何も考えず飛行機のチケットを取っちゃったんですよ(笑)。
- ーすごい行動力…!
- でも搭乗3時間前に「今シーズンはもう迎え入れることができない」って断りのメールが届いて、もう引き返せなかったしベルギーに到着したその日にオフィスに向かって、ポートフォリオを持って2、3回トライしました。結局ダメだったけど、それ以上に素晴らしい出会いや経験ができたのでその決断をしてよかったと思っています。
- ー 海外ではほかにもフィービー時代の〈セリーヌ(CELINE)〉で経験を積まれたとお聞きしました。そこで学んだことや印象的だった出来事を教えてください。
- みんなすごいスピードでフィッティングに向けて作ります。社員も指示するだけじゃなく、各々自分たちで作るので驚きましたね。もちろんフィービーも同じスタンスで、バリバリ仕事してました。彼女が来るまでに服を仕上げなければいけないし『プラダを着た悪魔』みたいにコーヒーを頼まれたり(笑)。
- ーまさに映画の世界ですね(笑)。ブランドコンセプトにある「男性も憧れる女性」は、そこでの出会いや経験からも影響を受けていますか?
- かなり大きいです。そこにはかっこいい女性しかいなかったし“リアルウーマンに届ける”というコンセプトで服を作ってきたので、これからもそのコンセプトをベースにコレクションを作り続けます。もちろんかっこよさも大事だけど、僕の服を着て日常で着にくかったりストレスを感じて欲しくないですね。
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- ーこれまで佐々木さんは国内外でたくさんの経験を積まれてきました。なぜこのタイミングでブランドを立ち上げようと思ったのでしょうか?
- そのままずっと誰かのもとで服を作り続けることもできたけど、厳しくても自分の夢を叶えたくて。30歳を迎えるこのタイミングを逃したくなかったんです。
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- ー実際に自身のブランドをスタートしてみて難しさは感じますか?
- もちろん悩むこともあります。日本の女性は快適で心地良い服を好むので、自分が作りたいものとのギャップがあって…
- ーいまおっしゃった“作りたい服”とは?
- 僕はドレスやテーラードの服を作るのが好きなんです。海外だと日常的に着ていても、日本ではあまり見ないですよね? でもそういったアイテムを日本人に浸透させることを諦めたくないんです。
- ー確かに、着る機会ってなかなかありません。そういうものが少しずつ日常に浸透していって、もっと気軽に着れたらすごく嬉しいです。〈サトルササキ 〉の洋服は、鮮やかな色使いと大胆なカッティングを施したデザインが多いですが、それは何故ですか?
- 自分のスタイルを気にして二の腕やふくらはぎを隠したい女性も多いと思います。だけど僕のデザインするドレスやスカートはあえてえぐって見せていて、それは日本人の服の捉え方を変えていきたいから。誰かに見せつけるというよりかは、自分自身で楽しんで周りの目を気にせず着て欲しいですね。
- ー最後にファッションを通じて、伝えたいメッセージがあれば教えてください。
- その日の服で気分が変わるように、好きな洋服を着るだけでマインドも変化すると思うんです。だから僕の作る服を着てもっと自信を持って欲しいし、そんな服を作り続けます。ファッションも日常生活も自由に楽しんでいる女性こそ、僕のブランドのミューズであり憧れの女性です。
PROFILE
佐々木 悟
デザイナー。大学在学中にダブルスクールにてパターンと縫製を学び、卒業後は〈タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)〉や〈ジャンポールノット(JEANPAULKNOTT)〉、フィービー・ファイロ手掛ける〈セリーヌ(CELINE)〉でデザインアシスタントとして経験を積む。帰国後、2020春夏コレクションより自身のブランド〈サトル ササキ(SATORU SASAKI)〉を設立し、「男性も憧れる女性を作る服」をコンセプトにエレガント且つひねりのある服を手掛ける。Instagram @_satorusasaki_