共通点がないからこそ、新しいものが生まれる。

ーまずはじめに、今回〈ナナナナサーカ〉と〈フレッドペリー〉のコラボが誕生した経緯を教えてください。

森山直樹さん（以下森山）：〈フレッドペリー〉の担当の方がありがたいことに〈ナナナナサーカ〉の存在を知ってくださっていて、何かおもしろいことができるのではと思ってもらえたようで。1年くらい前にお話をいただいたのがきっかけです。

ーふたつのブランドは何か共通点があったんですか？

森山：いや、それが何もなくって。スポーツとかストリートという〈フレッドペリー〉のイメージと僕がやっている古着のリメイクが直結しない、というのが逆によかったのではないかと思います。世界的に有名なブランドなので、どう表現していこうか悩みましたが、「一緒に何か新しいことができたら」 という柔軟なご提案だったので気負わずスタートできました。僕は普段ウィメンズの洋服をデザインしているので、その型を用いて〈フレッドペリー〉の定番アイテムをユニセックスにリメイクすることにして、企画自体は日本で行い、本国のイギリスに確認してもらうという流れでした。でも、やはりいくつか企画段階で通らなかったものもありましたね（笑）。

ーその通らなかったデザインも気になりますね。

森山：今回発売するトラックジャケットとセットアップになるようにスカートの企画もしたんですが、それは通らなかったですね。ボトムスの種類がもともと少ないと聞いていたので、実現したかったんですが…。今後もコラボを続けてさせて頂けるのであればいつかはお披露目できたら嬉しいですね。

ー今回のコラボアイテムについて詳しく教えてください。

森山：まず〈ナナナナサーカ〉がよく使うデザインの型を、〈フレッドペリー〉の代表作であるポロシャツに落としこみました。胸元のロゴが横並びになるようなデザインをベースにして、他のアイテムにも展開していった感じです。ここに至るまでに、ふたつのブランドの特徴や背景についてたくさん考えましたが、まっさらなところからパターンを引いて新しいものを作ってしまっては、僕の手が入る意味がない気がしたんです。なので、いつもしている「古着と古着を組み合わせる」という感覚で〈フレッドペリー〉の既存アイテムをリメイクするというところに落ち着きました。また、ユニセックスを意識して作って欲しいという要望があったので、全体的にオーバーサイズのシルエットになっています。

ーコラボの中でも特に気に入っているアイテムは？

森山：上でモトーラ世理奈さんが頭にかぶっている紺色のニットトップスは、ウィメンズのみのデザインで、リメイクのためにシンプルな半袖ニットを2着組み合わせています。一着を上下逆にはめ込み、裾のリブを折り返して首のリブを作っているんです。かなり手間暇かけてるので、そこにぜひ注目してほしいです！

ーどんな人に着てもらいたいですか。

森山：僕自身、体格がいいので〈フレッドペリー〉は、シルエットが細身で手を出しづらい印象がありました。ですが、今回はゆったりしたシルエットなので、いままで遠ざけていた人も着てくれたら嬉しいなと思っています。

ー最後に、今回のコラボを一言で表現すると。

「共生」 ですかね。言葉自体には少し重い印象を受けますが、あえて共通するものがない他ジャンルや背景で存在するブランドが掛け合わさり、特徴を生かし合ったらおもしろいと思いました。足りないものを補いつつ、新しい存在になるという意味を込めています。