Girls Just Want To Have Fun!

Priceless Things.

先輩たちのマスターピース。
Photo_Ryosuke Yuasa
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季節も、トレンドも、女心だって時代ともにクルクルと変わっていくけど
変わらず好きなものや欠かせないものって誰にでもある。
それはずっと大切にしている何かかもしれないし、昨日偶然見つけたTシャツかもしれない。
人によって違うけど、私たちが尊敬する先輩の欠かせないアイテムってなんだろう。
彼女たちのスタイルを形成するマスターピースを教えてもらおう。

item_BOOT from miu miu

Interviewee_MADEMOISELLE YULIA (DJ, Singer, Designer)

ーマドモアゼル・ユリアさんが昔から変わらず好きなものって何ですか?
靴です。ヒールの靴はいつも履いています。私にとって靴は欠かせないないアイテムで履く、履かないに関わらず、かわいいと思ったらすぐ買っちゃうんです。100足以上はありますね。この〈ミュウミュウ(miu miu)〉のブーツは普段は飾っているんですが、特別なときに履いています。このブーツは、リリースされたときに海外の雑誌でたくさん紹介されているのを見て、「これは他にはないデザインだし、絶対欲しい!」と思って購入しました。持っているのはこの色だけですが、海外での撮影の時に履いたグリーンも素敵でした。
—靴の何がユリアさんを惹きつけるんでしょうか?
いろんなものに合わせやすいアイテムだからかな。トップスやボトムスだったら、デザインによってコーディネートの幅が狭くなってしまうこともあるけど、靴だと何通りも組み合わせを考えられるのがいいなって思っています。他には、ハイブランドのものでも手が届きやすいプライスという点もありますね。私、昔から収集癖があって大量に持っているんですが、一時期こんなにたくさん持っていても仕方ないと思って人に譲ったり、処分したりした時期がありました。でもやっぱり「いや、靴はいっぱい持っていてもいいでしょ」って気づいてしまって(笑)。いま引っ越しの準備をしているんですけど、新しい家では靴専用の棚をつくってディスプレイしようと思っています。
ーファッションスタイルも昔から変わらないんですか?
好きなファッションは服に興味を持ち始めた中学時代から変わっていませんね。お金がなかったら古着がメインでしたが、ファッションスタイルは同じだと思います。そのころパンクバンドをやっていたので、その時買った〈ヴィヴィアン ウエストウッド(Vivienne Westwood)〉は、いまでも着ますよ。私、子どもの頃から背が高くて、当時は母とも服や靴を共有していました。割と早い段階から〈メゾン マルジェラ(Masion Margiela)〉の靴を履いていましたね。
ーご自身のブランド、〈グローイング ペインズ(GROWING PAINS)〉でも今後、靴の展開を考えているんですか?
下手なものを作りたくないので、展開するならまずはシューズブランドとコラボが現実的ですね。でもいずれは〈グローイング ペインズ〉でもリリースしたいので、いまリサーチ中です。
ーもし靴を譲って欲しいと言われたらどうしますか?
モノによります。ひとつしか持っていなくて、もう手に入らないものだったらちょっと…。ものすごく欲しいアイテムと交換だったらいいかな。昔〈メゾン マルジェラ〉のTabiブーツに赤いエナメルの展開があったのですが、それを買いそびれたことをずっと後悔しているんです。他にも探している人が多いみたいで、たまにユーズドでネットなどに出てもすぐに売り切れちゃうんですよね。モノにもよるけど、それと交換だったら(笑)。
〈ミュウミュウ〉ブーツ 私物

〈グローイングペインズ〉トップス ¥7,000+TAX、スカート ¥35,000+TAX、ベルト ¥24,000+TAX、バッグ ¥11,000+TAX(CANNABIS 03-5766-3014)

マドモアゼル ユリア
http://yulia.tokyo/
@mademoiselle_yulia


10代からDJをはじめ、現在ではシンガー、DJ、デザイナーなど幅広いフィールドで活躍。2016年春夏からは自身初となる服ブランド〈グローイングペインズ(GROWING PAINS)〉をスタート。


item_Bag and T-shirt from Vintage.

Interviewee_Keiko Hitotsuyama (Stylist)

ー昔から大切にしているアイテムって何ですか?
〈エルメス(HERMES)〉のヴィンテージバッグとロックTシャツかな。
ーいつごろ購入されたんですか?
スタイリストアシスタントを始めた頃だったと思います。このバッグは〈エルメス〉のヴィンテージで、日本で購入したもの。Tシャツは、初めてLAに行ったときに買いました。どちらも値段とかは全然覚えてないけど、バッグもシンプルなデザインなのにヴィンテージとしては高かった。ロックTシャツも購入当時はそこまで年代ものというわけではなかったけど、それなりの値段だったと思います。
ー〈エルメス〉のヴィンテージバッグを若い頃に買ったのはなぜですか?
ヴィンテージバッグは他にも〈シャネル(CHANEL)〉や〈グッチ(GUCCI)〉も持っています。でも、〈エルメス〉は女子の永遠の憧れじゃないですか。個人的に早めに持っていたいなと思っていたのもあるけど、少し高くてもいいから若いうちに本物を持っていれば、バッグと一緒に育っていける良さがありますよね。あと使い込んでいくとどうしても傷がつきがちだけれど、〈エルメス〉のバッグは革が良くて他と全然違うので、本当に傷つかないんですよ。丈夫だからずっと使える。流行のバッグもかわいいし素敵なんですが、逆にいまっぽさが出過ぎてしまうんですよね。ハイブランドのバッグのようにクラシカルで、シンプルな形のものだと、歳を重ねてもずっと使っていけます。
ーバッグを選ぶときに何かMYルールはありますか?
個人的に荷物をあまり持ち歩かないのでポシェットのような小さめのサイズのものが多いですね。アクセサリーの代わりになってくれるので、斜め掛けにしてよく使っています。
ー今日持ってきていただいたロックTも同じ時期に購入されたということですが、こちらもヴィンテージなんですか?
LAのヴィンテージショップで買ってずっと捨てられないんです。特にコレクターという訳でもないんですけど、ロックTシャツは手元に残っているものが多いんですよね。The Clashがアメリカで行ったファーストツアーのものとか、2001年のサマソニで買ったBECKのTシャツなども捨てられませんね。当時はそこまで大切にするするつもりもなかったんで気にせず洗濯もしていたんですが、時間が経つにつれて価値も出てきたし、プリントの剥がれやヨレたりするのを考えてしまってちょっと怖くて洗えなくなってきた(笑)。
ートレンドによって移り変わりはあると思いますが、昔から一貫して変わらないご自身のスタイルってどんなものですか?
カルチャーやストリートが好きなので、そういうニュアンスがあるアイテムが好きですね。全身ストリートという格好はしないけど、スケートブランドのTシャツに〈プラダ(PRADA)〉や〈バレンシアガ(BALENCIAGA)〉を合わせるようなMIX感が好きですね。今回紹介したアイテム以外にも、個人的にマスターピースと呼べるものはライダースですね。同じようなものを持っているとしても、たとえばスナップボタンの色やデザインのちょっとした微差で買ってしまうし、〈ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)〉がデビューしたときに出したライダースはクタクタになってシャツみたいになるくらい着ています。それこそ、高価かどうかじゃなくて気に入っているから着ている。スタイリストだから普通の人よりもいろいろな服を持っていると思いますが、処分したり譲ったりも定期的にするので、家に残っているものはそこまで多くはありません。残っているものは私のお気に入りのアイテムで欠かせないものなんです。
ー今回紹介いただいた2つのアイテムを「言い値でいいので譲ってください」と言われたらどうしますか?
Tシャツはダメです。その時誰といたとか、来日していたBECKに恵比寿のクラブで会ったからとか、買ったときや着たときの思い出があるし、代わりは見つからないと思う。でもバッグは値段によっては新品が買えそうかな(笑)。
〈エルメス〉ヴィンテージバッグ、ヴィンテージTシャツ ともに私物

一ツ山佳子
http://slits.jp/keiko-hitotsuyama/
@keikohitotsuyama


モードからストリートまで幅広いスタイリングを提案。雑誌やカタログ、アーティストのスタイリングを手がける傍ら、〈ステューシー ウィメン(Stussy Women)〉をはじめ、さまざまなブランドや媒体でディレクションを担当。


item_T-shirt from RAF SIMONS

Interviewee_Rie Shiraishi (Hair & Make-up)

ーさっそくですが、ご自身が大切にしているアイテムを教えてください。
〈ラフ シモンズ(RAF SIMONS)〉のTシャツです。
ーいつごろ買われたんですか?
最近です(笑)。今シーズンのものだと思います。
ーなぜこのTシャツに惹かれたんですか?
バックにロバート・メイプルソープという写真家の作品がプリントされているからですね。彼はパティ・スミスと付き合っていた人なんですが、日本で最近ひさしぶりに写真展をやってたんです。それまではネットなどでしか写真を観たことがなかったんですが、実際のプリントを観たらすごく感動して、単純にグッズが欲しい!みたいな感覚で買いました(笑)。彼の作品を服として欲しかったんです。アートを観に行くのが好きなので、写真展に留まらず、美術展とかイベントに行って、その時にしか買えないものを求めたりすることが多いかもしれません。
ーこれからも変わらないだろなと思うスタイルってどんなものですか?
Tシャツは永久に着ていくだろうし、ロックTシャツも好きなのでDavid Bowieから、Bauhausというイギリスのバンドのものまで、いろいろ持っています。邪魔しない程度にカルチャーを感じられるアイテムが好きだから、そういうテイストが入っている格好はこれからもずっとしてくだろうなと思います。ヘアメイクの仕事をしているときは動きやすい、シンプルでメンズライクな服を選びがちなんですが、結局そのスタイルが自分のリアルなスタイルなのかなって。Tシャツにスキニーパンツ、パーカを合わせるスタイルも変わらないんだろうなって思います。
ーファッションで参考にされる国や時代はありますか?
特化してというのはないんですが、ファッション的にこってりしたテイストのものが好きです。着てしっくりくるのはアメリカ的なファッションなのかなって思っています。NYのクラブにいそうな感じ。最近の気分だと80年代ものやドイツ的な雰囲気のものが気になっています。ドイツには行ったことがないんですが、かっこいいなというイメージがあって。次の休みはドイツ…ではなく、パリに行くんですが行けたらベルリンにも行ってカルチャーを見てみたいなって思っています。
ーちなみに、Rieさんの欠かせない大切なコスメって何ですか?
どのブランドのこの商品とかはないんですけど、赤リップはないと本当に困る。自分で使うならしっかり発色するものが好きですね。これからもずっとつけていると思います。
〈ラフ シモンズ〉Tシャツ 私物
他、すべて私物

Rie Shiraishi
http://riehairmake.com/top/instagram/index.html
@rieshiraishi1220


原宿のヘアサロン「Valentine」所属のヘア&メイクアップアーティスト。抜群のセンスと時代を先取りする高感度なスタイルでさまざまな雑誌や広告で活躍。


item_Jeans from VETEMENTS

Interviewee_Sakiko Hasegawa (ADELAIDE/ADDITION ADELAIDE Managing Director & Buyer)

―長谷川さんが大切にしているアイテムって何ですか?
〈ヴェトモン(VETEMENTS)〉のリワークデニムです。2年くらい前に購入したものです。
ーちょうど、ブランドがデビューしたころですね。
2年前はシンプルなスタイルが流行ったりしていて、ファッションがちょうど停滞していた時期でもあります。でも個人的にはもう一回人と違う格好がしたいというか、ファッションを楽しみたいなと思っていました。そういう時期に、〈ヴェトモン〉のコレクションを見て「これだ」って感じました。このリワークデニムはこれ以外に違う形を2本持っています。
ー他のブランドのリメイクデニムとは何が違うんでしょうか。
やっぱり、パターンですね。このリワークジーンズは、〈リーバイス(Levi’s)〉のヴィンテージを解体して再構築してつくられたもの。立体的なつくりになっていて、膝がちょっと出ているのも新鮮でした。あとは、ウエスト周りのフィット感がすごくいいんです。たぶん解体した生地をトルソーに針でひとつひとつ合わせながら組み立てていったんじゃないかな。私たちのお店でも〈ヴェトモン〉は取り扱っているんですが、お客様もこのデニムを試着されるとみなさん「欲しい!」と言われますね。これを穿いておけば、スタイルが成り立つような感覚があるアイテムなんだと思います。
ー長谷川さんが考える〈ヴェトモン〉の魅力って何だと思いますか?
流行を発信しているだけでなく、ものすごく考えられてつくられている。クオリティもそうですし、つくり方…パターンにしろ、着方にしろ、多様性があるところですかね。たくさん服を見てきて、着てきた方はそういう点に魅力を感じて購入されます。このデニムは個人的にも高い買い物でしたが、当時欲しかったバッグを我慢して買いました。我慢できたかは微妙なところですけど(笑)。でもこれは買わないと後悔する! 他にはないものだって思ったんです。
ー長谷川さんが服を買うときはどういう視点で選んでいるんですか?
「アデライデ」のクリエイティブディレクターはよく「点で買うな」と言っています。お店のコンセプトとして「ブランドMIX」というものがあるんですが、私服のラインナップを考えたときにいろんな組み合わせができるものを購入したほうがいいということ。自分のスタイルや持っているアイテムがわかっていれば、ブランドをMIXしてもスタイルがブレことはありません。スタイルを考えずにあれこれ買ってしまうと、いざ手持ちのアイテムと合わせても上手くハマらないんです。
ーご自身のスタイルを形づくる上で気をつけていることは何ですか?
バイヤーという職業柄、パリなどに買い付けに行くことが多いので現地のおしゃれなバイヤーさんやスタイリストさんを参考にして自分の着こなしに落とし込むことが多いです。「あぁ、こういう合わせいいな」とか、逆に「あれはやってはいけないな」とかって。海外で展示会に行ったときも同様で、「こういうコーディネート方法っていままでなかったけど、ありかも」と思ったら誰よりも早くトレンドを発信できる。普通の人が見られないものを見たり体験したりしているから、オープンにいろいろ吸収するようにしています。
〈ヴェトモン〉パンツ 私物

〈アリクス〉ジャケット ¥ 120,000+TAX、トップス ¥ 25,000+TAX(アデライデ 03-5474-0157)、〈セリーヌ〉シューズ 私物

長谷川左希子
www.adelaide-addition.com
@saki_tokio


南青山の高感度セレクトショップ「ADELAIDE」「ADDITION ADELAIDE」マネージングディレクター、バイヤーとして活躍。