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あの子は古着に首ったけ!#8 Oasis the Surreal
あの子は古着に首ったけ!#8 Oasis the Surreal

Take a Vintage Clothing Snapshot.

あの子は古着に首ったけ!
#8 Oasis the Surreal

2023.10.06

編集部が気になる古着屋スタッフにフォーカスしていく、
毎月更新のスナップ企画「あの子は古着に首ったけ!」。
今回は60〜70年代の古着からデザイナーズブランドまで幅広く取り扱う
「Oasis the Surreal」のnatsukiさんが登場。
モードな印象だけどもともとはスケートブランドが好きだったそう。

Photo_Shunsuke Kondo

#8 shop:Oasis the Surreal

natsukiさん

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Cape : 90’s US
Dress : Vava Dudu
Boots : Maison Martin Margiela archive
Eyewear : Jacques Durand
Belt : old Coach

知れば知るほど、デザイナーズブランドに魅了されて。

ー今日のスタイリングのテーマを教えてください。
レイヤードとパンチあるアイテムのおもしろさを引き出した、一体感のあるスタイリングに仕上げました。ワンピースが派手なのでケープのトーンでバランスをとっています。
ーワンピースのペイントされたようなデザインが大胆でかわいいです!
ありがとうございます。現在フランスで活躍している〈ババドゥドゥ(Vava Dudu)〉というアーティストが古着にペイントを施しています。
ー手書きなんですね。カラーリングもマッチしていて素敵です。その上から羽織っているケープは卒業式などで着るものですか?
これは90年代のメモリアルケープです。おそらく会社の催しやイベント用で、協賛の企業名が刺繍されています。購入時は着こなしを全く考えずに、デザインが好きで購入しました。いまはウエストで縛って、後ろの丈を長めに調節する着方がしっくりきています。どう落とし込むかを考える時間もすごく好きですね!
ー足元の足袋シューズはヴィンテージ感がありますが、〈メゾン マルジェラ(Maison Margiela)〉ですか?
そうです。00年代付近のものですね。いま売られているものは色がパキッとしていたり、素材がユニークだったりするんですけど、これは真っ向からレザーで勝負していて、エイジング具合が気に入っています。
ー汚れたり傷ついても、味として育っている感じがとても良いですね。
長い間履きこんできたが故のレザー特有の自然な褪せ感やムラがあって、一つひとつが違うオンリーワンなところもグッときます。
ースタイリングを考える上で気にかけていることはありますか?
それぞれ個が強いアイテムを選んでいるので、シルエットをどれだけモードに持っていけるかを考えます。ただ派手なものを着るだけでごちゃごちゃしないように、どう昇華できるかを常に意識していますね。
ー古着をモードに着こなすのは難易度が高そうです…。今日みたいなハイブランドのアイテムを取り入れたスタイリングをすることも多いのでしょうか?
そうですね。古着はもちろんですが、デザイナーズブランドがすごく好きなので、どこかメゾンっぽい雰囲気になるようにしています。例えば、Tシャツを着るにしてもラフになりすぎないように足元はヒールにするとか。必ずモードでレディースらしくなるようにバランスを意識しています。
ーそもそもデザイナーズブランドを好きになったきっかけはなんですか?
80〜90年代に〈ステューシー(Stussy)〉が〈コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)〉から影響を受けて作ったと言われている、通称ギャルソンシャツです! 私が古着を好きになったきっかけは、いわゆる“オールドステューシー”などのスケートブランドだったのですが、日本のデザイナーのことは意外と知らないなと興味が湧いて。
ーいまとは全く違うテイストが好きだったんですね。
調べ始めたら本当にかっこよくて、おもしろくて。どんどん深掘りするようになりました。その後は派生して、同年代に活躍した〈イッセイ ミヤケ( ISSEY MIYAKE)〉に興味が沸いたりして、現在はベースとしてデザイナーズブランドが好きですね。
ーでは、〈コム デ ギャルソン〉をかっこいいと思ったポイントは?
端的にいえば服作りがユニークなところです。川久保さんの美学で、あえて着心地の悪い服を作ることによって、痒い! チクチクする! と感じることで自分の体を知覚することができると。
ー他にはないような考え方ですね。
周りが着心地と軽さを追求していく流れのなかで、その逆を突き進む思考や感覚がかっこいいなと思います。着る人の力を必要とする唯一無二の服を生み出しているので、掘っても掘っても知らなかった服が出てきてとってもおもしろいんです。
ーちなみに、〈ステューシー〉のギャルソンシャツは一体どんなシャツなんですか?
シャツのボタンが裾にかけて小さくなっていたり、イレギュラーな大きさのボタンが配置されたシャツです。
ーなるほど。かなり幅広いジャンルのブランドを学んできているんですね。
もともとストリードブランドが好きだったというとよく驚かれます。多くの場合はモードから入って個々のデザイナーに惹かれたり、ストリートから入ってそこを極めていく流れが多いと思うんですけど、私は好きなジャンルが広がっていきましたね!
ーお店にはデザイナーズブランドと別に60〜70年代の服も並んでいますが、なにか繋がりがあるのでしょうか?
モードと年代らしいものを折り合わせるのが好きで、お店でも提案しています。60〜70年代のアイテムが多いのはデザイナーズのことを学ぶ過程で知った年で、歴史的な出来事に衝撃を受けたことがきっかけです。例えば、服飾史上初めて貴族層ではなく一般層から流行が生まれ、ロンドンで多くの気鋭のデザイナーが登場した「スウィンギング・ロンドン」と呼ばれるムーブメントがありました!
ー〈マリークヮント(MARY QUANT)〉や〈クレージュ(COURREGES)が登場したのもその頃でしたよね。その年代のデザインの特徴や魅力ってどんなところですか?
勢いのよさ! いまではあまり見かけない柄のパワフルさであったり、当時ではとても斬新な素材使いをしているんです。そういう大胆さや生地のバリエーションに富んでいて、売れることを念頭にデザインせず、ニッチな層を狙ったとんでもない強い柄や色がこの年代の持ち味です。
ーここに掛けられているトップスも柄がインパクトありますね。
私が影響を受けたデザイナーの一人、〈オジー・クラーク(OSSIE CLARK)〉のシャツです。シルクにプリントを施していて、とても贅沢な手法で作られています。これはミュージアムピースで、とても希少なものですね!
ー話を聞いていると時代背景が服のデザインから読み取れておもしろいです。横で繋がっていく感じがして!
そうなんです! なのでもっといろいろな国を訪れて、その地を理解した上で服のセレクトの振り幅を広げていきたいです。どんな街で見つけて、どんな人からその服を買ったのかをお客さんに伝えるのもお店の役割でもあると思うので、そこの密度も高めていきたいですね。

SHOP INFO

Oasis the Surreal
住所:東京都国分寺市南町2丁目16−14
時間:13:00〜19:00(不定休)
https://tapatapplady.thebase.in/