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新生ディレクター 四谷奈々可のクリエイター訪問記。vol.03 “選ぶひと” 綾部帆乃香さん(LITMUSバイヤー)
新生ディレクター 四谷奈々可のクリエイター訪問記。vol.03 “選ぶひと” 綾部帆乃香さん(LITMUSバイヤー)

Talking about FASHION, etc...

新生ディレクター 四谷奈々可の
クリエイター訪問記。
vol.03 “選ぶひと” 綾部帆乃香さん(LITMUSバイヤー)

2024.06.03 / TIE UP

弱冠25歳にして、今春デビューしたブランド〈アティセッション(ATTISESSION)〉のディレクターを務める四谷奈々可さん。
学生時代から服に向き合い続けてきた彼女が、ブランド立ち上げた“いま”だからこそ、会いたい人とは。
同世代や先輩クリエイターから刺激を受けるべく始まった全3回にわたってお届けする連載。
第3回の対談相手は、学生時代から通っていたというショップ「リトマス(LITMUS)」のバイヤー 綾部帆乃香さん。
10年間、ショップの世界観を保ち続けるコツはなんだろう。

Photo_Kai Naito
Text_Shun Koda

四谷さんがディレクターを務める
〈アティセッション〉のルックや詳細は
こちらから!

GUEST 綾部 帆乃香

大阪文化服装学院卒業。大阪、名古屋で展開するセレクトショップ「リトマス」「ルテンス」「リトマス メゾン ナゴヤ」のバイヤーを務める。
Instagram:@honokaayabe

HOST 四谷 奈々可

1998年7月7日生まれ、石川県出身。文化服装学院ファッション流通専攻科に入学。卒業後、20年4月に「ユナイテッドアローズ」に新卒入社し、セールスパーソンとしての経験を積んだ後、22年春夏から「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」次世代ラインの企画を掛け持つ。24年春から〈アティセッション〉のディレクターを務める。
Instagram:@7k0512

世界観を構築するオフでの過ごし方。

ー今回の対談の舞台は、綾部さんが東京で「リトマス」のポップアップを行う際によく訪れるという代官山エリア。駅前にあるお気に入りのコーヒーショップ「イット コーヒー(it COFFEE)」で買ったコーヒーを片手に、初夏の気持ちいい日差しのなかをお散歩しながらお届けします。
2人が出会ったのは5年前。綾部さんから、「リトマス」のシーズンルックのモデルを四谷さんにお願いしたのがきっかけだったそう。
四谷:学生時代から「リトマス」はずっと好きで。私もディレクターというポジションになったので、少しは近づけたかなと思い、今回お声がけさせていただきました。

綾部:そんなそんな。逆に私でいいんですか? ってなりました。
四谷:もちろんです! たとえば街中で目に留まった全く知らない女の子のスタイリングでも、この子「リトマス」が好きなんだろうなってすぐに伝わってきますし、スタッフさん全員が世界観をしっかり表現できてるのがすごいなって思います。

綾部:確かに最近「リトマス」っぽいみたいなのを言われるようになってきたのは嬉しいですね。でもスタッフそれぞれ好きなものが微妙に違っていて、いい意味でサーカス感があるというか(笑) 。

四谷:好みはバラバラなのに、「リトマス」っていう世界観が統一されてるのがすごいです。
綾部:私たちの1番の強みって、 仲が良いことだと思うんですよね。仕事は仕事でしっかりやるんですけど、オフでも先輩・後輩関係なく、一緒に過ごしたりするんです。好みは違っていても目線が一致しているから、それができているのかも。

四谷: オフの時に話したことが、仕事に反映されたりもするんですか?

綾部:しますよ。休みの日でも仕事の話をするし、仕事中じゃない時に生まれる会話が、意外と大事だったりするかも。奈々可ちゃんもオフの時にアイデアが降ってきたりする?

四谷:全然あります。街で遊んでる時に今の子たちがリアルに着てるものをチェックしたりもしますし、洋服以外のインプットもなるべくするように心掛けてますね。

小さなこだわりが生む個性。

ーガーリーな要素がありながらエッジの効いたオリジナリティあふれるスタイリングが得意な綾部さん。今回は彼女らしさを体現するアイテムを持ってきてもらいました。
四谷:バレエシューズ、モコモコしてて可愛い。最近の〈レペット(repetto)〉ですか?

綾部:そうです。今、バレエコアがトレンドだと思うんですけど、昔からバレエシューズが好きで。デニムに合わせるとかはあまりしないんですけど、スカートとタイツを合わせたりしますね。

四谷:よくされてますよね、キャミソールはどこのなんですか?

綾部:「リトマス」でも取り扱っている〈プレイング(Praying)〉というブランドです。

四谷:これも綾部さんらしい!

綾部:このブランドは抜け感が良いんですよね、ブラックジョーク的なデザインも多くて、そこが好きですね。

四谷:インスタで1枚で着てたのが可愛かったです。

綾部:本当ですか、うれしい。最後はキティちゃんのチャームを付けた〈コム・デ・ギャルソン(COMME des GARÇONS)〉のバッグですね。

四谷:ずっと気になってました(笑)。キティちゃん好きなんですか?

綾部:実はそこまで好きというわけでもなく…(笑)。最近の気分って感じです。昔より年齢を重ねてからの方が、可愛いものが好きになってきて。

四谷:そうなんですね(笑)!いっぱい付けてるのが可愛いですよね。

綾部:今キティちゃんとか流行ってると思うんですけど、実は私なりのこだわりがあって、なるべくオフィシャルじゃないようなキティちゃんを付けるようにしてて(笑)。

四谷:え! どうしてですか?

綾部:作りが雑なくらいの方が本気のファンっぽくなくて好きなんですよね。あくまでファッションとしての気分というか。左側のお守りとかは公式なんですけど、右側のぬいぐるみはブートキティです(笑)。

四谷:確かにちょっと縫製とか雑かも(笑)。
綾部:そう。特にヘアピンとか顔周りに持ってくるキティちゃんは、顔が崩れていてほしい(笑)。そういう小さいこだわりってあります?

四谷:私はヴィンテージも好きなんですけど、デニムはジップじゃなくてボタンフライがいいとか、サーマルなら70’sか80’sを着たい、みたいなめんどくさいこだわりはあるかもですね(笑)。

綾部:それは作り手ならではのこだわりですよ、かっこいい。

四谷:逆に綾部さんの可愛さもありつつ、エッジの効いているスタイリングの秘密を教えてもらいたいです。

綾部:コツみたいなものは特にないんですけど、「リトマス」のコンセプト自体が、2つのものを1つにまとめるというリトマス紙から来てるんで、可愛いものとかっこいいものをミックスしたりとか、 ガーリーとモードを混ぜたりするっていうのをお店でずっと提案してきたので、その感覚が自然と身についているのかもしれないですね。
四谷:なるほど〜。

綾部:例えば、さっき言ってたキティちゃんも本物だったらガチ過ぎるから、あえてブートを付けるみたいなバランスです。

四谷:そういう細部のこだわりがすごく好きです。普通だったら、ちゃんとしたものを選びがちじゃないですか。あえての抜け感が「リトマス」の可愛さの秘密で、そこに共鳴するたくさんの人たちを導いてきた先駆けのような気がします。
ー続いては四谷さんが最近買ったアイテム。〈アティセッション〉の1stシーズンを経て、少し大人びたアイテムが気になったとのこと。
四谷:年齢的にも大人になってきて、夏はTシャツばかりであまり綺麗な服を持ってないなと思ったんです。それでセレクトしたのが〈エクストリーム カシミア(extreme cashmere)〉のTシャツ。

綾部:カシミアだけどリンガーTなんですね。

四谷:そうなんです。リンガーTも好きだし、シンプルな半袖ニットだとそれはそれでコンサバティブに振りすぎるかなと思って。ボディスーツは〈ナイスナイスモーメント〉っていう日本のブランドなんですけど、値段も1万円くらいでちょうどいい価格帯なんですよね。

綾部:手に取りやすいですね。どんなふうに合わせるんですか?

四谷:カーディガンのボタンを1個留めて、素肌の代わりにシアーな素材を見せるのが気分かな。レイヤードが楽しいアイテムです。レイヤードが楽しいアイテムです。

期待がふくらむこれからの話。

ーオン・オフ問わず「リトマス」として提案できないファッションはしない。そう心に誓いを立てているという綾部さん。10年のキャリアの中で、その軸がブレそうになったことはないのでしょうか。
綾部:なかったですね。やっぱりお店が好きだなって思います。

四谷:そういうスタッフさん達に根付く深い愛、みたいなものが「リトマス」が10年も続く理由なんだなって感じました。トレンドに流されて変わっていくこともよくあるなかで、今後ブランドをやるうえでも見習いたいです。
綾部:10代の頃からずっと「リトマス」で働いてるので、お客様と一緒に大人になっていく感覚があって。今でもたまに店頭に立つんですけど、直接お客様とコミュニケーション取れてることがバイイングする上でも役立ってるのかなって思います。

四谷:お客様の声って大事ですよね。

綾部:本当にそう思います。それと、うちはECをやってないのも大きいかもしれないですね。通販だから、スタッフのDMから問い合わせいただいて買ってもらうので。

四谷:そっか!

綾部:ポチっと押して買えるわけじゃないので、DMでのやり取りがオンライン上で接客してるような感覚があるんですよね。そういうこともあるので、バイヤーになっても店頭に立ってた時とあまり距離が開いたように感じないんですよね。

四谷:逆に新しいですよね。オンラインだけど、アナログな手法というか。

綾部:デジタルについていけてないだけですけどね(笑)。ブランドを始めて、意外な反応ってありました?

四谷:ウィメンズブランドって謳ってるんですけど、メンズのお客様の購買が見えたのは嬉しかったんですね。実際インスタのタグ付けとか見ても、メンズの方がいらっしゃったり。特にデニムとかはベーシックなデザインでレングスも長めにしてるので、男性も穿きやすいのかなって。

綾部:それって狙ってたんですか?

四谷:全然狙ってなかったです。ルックも女性寄りなビジュアルにしていたつもりだったんですけど、そんなことは関係なくアイテムを良いと思っていただけたのは嬉しかったですね。
ー嬉しい誤算もあったという〈アティセッション〉の1stシーズン。2ndシーズン目を迎えるにあたって変わったことは?
四谷:単純にアイテム数が4倍くらいに増えました(笑)。

綾部:4倍!?

四谷:そうなんです。大変ですけど、ようやく本領発揮できると思うから早く見てもらいたいですね。

綾部:見たい見たい!

四谷:ポップアップだったり、体験型のリアルイベントも計画中なのでぜひお楽しみにしていてもらいたいです!
ー軌道に乗り始め、次なるステップへの期待も膨らみます。最後は、もし「リトマス」とコラボするなら、どんなアイテムを作るかという話。
四谷:「リトマス」さんのいちファンとして、コーディネートにプラスワンするアイテムを一緒に作ってみたいですね。

綾部:良さそう!

四谷:洋服だけど、アクセサリー感覚で使えるアイテムがお得意だと思うので。

綾部:私自身も1枚で成立する服をあまり選ばないんです。コーディネートありきで、提案したいので、そういう意味では、プラスワンのアイテムは最高だと思います。奈々可ちゃんが持ってきてたようなボディスーツとかね。

四谷:いいですね! 可愛いものだと女の子ってすごくストレートに響くので、そういうアイテムが作りたいですね。

TODAY’S STYLING

LEFT_
Nanaka Yotsuya

カーディガン:UNIQLO
トップス:ATTISESSION
パンツ:LEVI’S®
シューズ:GUCCI

RIGHT_
Honoka Ayabe

ジャケット:miumiu
スカート、ブーツ:VINTAGE
アイウェア:GENTLE MONSTER