CHANEL 20190311~
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独立&移転を機にリスタートを切ったシスター。
独立&移転を機にリスタートを切ったシスター。

TOKYO MAP for GIRL VOL.6

独立&移転を機にリスタートを切ったシスター。

2018.07.10

一旦は閉店を告知しながらも、
急遽編集部に届いた「シスター」移転オープンのニュース!
トレンドをいち早く掴み、ファッションシーンからも一目置かれている渋谷のアイコン的存在が
7月1日より松濤エリアに居を移して再スタートを切りました。
そんなタイミングでディレクターの長尾悠美さんが語る、「シスター」について。

Photo_Daisuke Sasaki

−同じ渋谷といえども、これまでの立地とはかなり雰囲気の違う場所を選ばれましたね。
長尾悠美(以下長尾):そうですね(笑) 渋谷から動く気はなかったので、渋谷の中心地で探してはみたものの、そもそも物件がないんですよ。あったとしても雑居ビルの一室とか。それだと通行人も0だから店舗運営は諦めかけていたんですけど、ここが空いているというので見に来て、すぐに決めました。
−これまでの「シスター」のイメージを考えると、松濤という場所は意外でした。
長尾:近くに「Bunkamura」があって、映画館だと「ユーロスペース」と「アップリンク」、美術館だと「松濤美術館」と「ギャラリーTOM」があるんです。私自身映画やアートも好きなので、「めっちゃいいじゃん!」と。
−この物件を見つけたのはいつ頃?
長尾:4月です。前々から「5月に閉店します」と告知していて「やめるの!?」と驚かれ、「7月に移転オープンします」と告知して「続けるの!?」と驚かれ(笑) いい物件が見つかって本当にラッキーでした。
−どんなところが気に入ったんですか?
長尾:1階というのは大きいですね。いままでのお店は地下か2階だったので、通りすがりの人が入ってくださることがあまりなかったんです。それにくらべて今回はウィンドウもあるし、オープン前にも関わらずトルソーを見て話しかけてくださる方がいたり。そういうことがとても新鮮で、このお店の方が可能性があるなって感じています。
−10年間ひとつのお店を続けることって本当に大変なことだと思うのですが、振り返ってみていかがですか?
長尾:本当にあっという間で。オープン当時は私もまだ20代前半だったから、とりあえず若さと勢いで乗り切った10年でしたね。
−「シスター」をオープンする前は、どこか他のお店に携わっていたんですか?
長尾:20歳くらいの頃に古着の買い付けを少しだけやっていたくらいで、何もしてなかったんです(笑)当時「シスター」を運営していたのは老舗のヴィンテージショップで、オープンさせるに当たってお店ができる女の子を探していたらしく。それで声をかけていただき、「じゃあやってみるか!」ということで2ヶ月後にはオープンでしたね。当時のコンセプトのまま10年間お店を続けられたというのは、ある意味奇跡だとも思います。
−ディレクションはもちろん、バイイングも当時から長尾さんが?
長尾:はい。誘われた一週間後には、そのヴィンテージショップのバイイングクルーに混ぜてもらってアメリカで買い付けをしていました。
−おっしゃる通り、若さゆえの勢いですね(笑) いきなりお店をまかされれば、普通なら不安が勝ってしまいそうです。
長尾:20代前半って何かしらチャレンジしてみたいじゃないですか? だから不安もあったとは思うんですけど、それ以上にラッキーだなという気持ちが強くて。
−商品をセレクトする基準にもなると思うのですが、当時の渋谷のファッションは長尾さんの目にはどう映っていましたか?
長尾:ちょうどスナップを載せるWEBサイトが流行りだした頃で、ファッションシーン全体の流行がどうというよりは、その人その人が着たい服を着ていた印象がありますね。みんなが個性を追求していたというか。だから、ファッション雑誌を買って読むこともあまりなく、スナップを見て「自分と同じ年代の人たちはこういう服を着ているんだ」という感じでした。あとは私が好きな映画とか音楽に影響されて、女が着るならレースでスパンコールでドレスよね! みたいに考えて、そればかり買い付けていた記憶があります(笑)
−その後セレクトショップ業態となるわけですが、何かきっかけがあったんですか?
長尾:もともとデザイナーズブランドは好きでいつかは入れたいと思っていたこともあり、オープンから1年後にパリに買い付けに行かせてもらいました。服は古着があるから、小物をブランド物にしようとは漠然と考えていて。でも、全くお付き合いのないデザイナーズブランドを買い付けるために踏むべきステップなんて知らないから「いまはヴィンテージショップだけど、あなたのブランドをやりたい!」って言ってアポとる、みたいな。それで最初にセレクトしたのが〈エリクソン・ビーモン〉で、もうブランドは終わってしまったけど、私自身はいまも愛用しています。あとは〈スティーブン・ジョーンズ〉とか。
−行ってみたら意外とうまくいったわけですね。
長尾:どうなんですかね…インポートブランドの買い付けは初めてだから、とにかくナメられないようにすごいおしゃれをして行ったのは覚えています(笑) そしたらむしろ、「あなたのお店素敵そうじゃない」となって。最初に歴史のある〈エリクソン・ビーモン〉を入れられたおかげで、他も決まりやすくなりましたね。でも、それまでワンピースを7、8000円で売っていたお店がいきなり10万円くらいするアクセサリーを扱い出したからお客様も驚いちゃって、最初は全然売れなかったんですよ。
−いまでいうと〈アシュリー・ウィリアムズ〉や〈マルタ・ジャクボウスキー〉のような先鋭的なブランドを取り扱っている印象が強いです。しかも、他のお店とくらべてセレクトするのも早いイメージが。
長尾:そうですね。特にロンドンの若手デザイナーは感度が高いというのはもちろん頭にあって、新しいブランドのデビューコレクションは常にチェックするようにしています。その辺りは「キャンディー」が若手や学生のブランドをセレクトするのが昔から早かったことも関係しています。私は〈エリクソン・ビーモン〉のように、歴史のあるブランドを入れていこうと思っていたけど、「キャンディー」と一緒に買い付けに行ってたから、「うちにハマらないからシスターでどう?」ということもありましたし。
−早くから買い付けていたロンドンブランドだと他には?
長尾:〈J.W. アンダーソン〉は2ndシーズンから扱っていましたし、〈ベジャス〉や〈ジャックムス〉、〈シモーネ・ロシャ〉はデビューシーズンから。でも、しばらく経つと大手のエクスクルーシブが決まっちゃうから、3シーズンくらいで扱えなくなっちゃうんですよ。だから、デビューから買い付けてそれまでやるっていう。ときには、学生のうちにコミュニケーションをとって、いちばん最初に買わせてもらったこともありますね。どんなブランドも、デビューコレクションがいちばんいいじゃないですか? そのブランドを象徴していますし。こちらとしても、そのフレッシュな時期をともにできるというのは、とても意味のあることだと思います。
−オープン当時とくらべて、最近のファッションシーンについてはどうお考えですか?
長尾:特にこの10年は、ファッションにおいてたくさんの流れがあったと思うんです。古着のような個性がフィーチャーされる時代から〈H&M〉とか〈フォーエバー21〉のようなモードにも振れるファストファッションが出てきて、そのあとは一転ノームコアが流行ったり。そっちに寄せなきゃと考えた時期もありましたね。
−ノームコアっぽい物を入れようとしたとか?
長尾:そもそも「ノームコアってなんだろう?」と考えたときに、スタンダードな物という解釈をしたんです。それで〈セント・ジェームス〉のカットソーを入れてみたりはしましたね。
−意外です。
長尾:でも、それってむしろ普遍的な物だから流行でも何でもないわけで。いまとなってはそういう時代があったこと自体が少し不思議でもありますし、それでも最初に考えたコンセプトからはブレないようにやっていたのはよかったのかも。一過性の流行に寄せ過ぎていたら、お客様も通ってくれなくなっていたと思います。
−長尾さん自身、最近は「シスター」のディレクターとバイヤー以外に、スタイリストやエディターとしてもお仕事されています。バイヤー以外のお仕事で培われた経験は、お店作りにも影響を与えていますか?
長尾:うーん、どれも「シスター」で服を売るための努力の延長上なんです。ブランドをただ買い付けて売っていても実体が残らないから、うちが一緒にやっていたという実績を残すためといいますか。いち早くセレクトしているということは逆に情報がないので、どういうコンセプトでコレクションを制作したのかはデザイナー本人に聞いて記事にするのが早いし、うちでしか扱っていないブランドであれば、それをスタイリングに使って形に残そうとか。本当にちょっとしたことで、それらを仕事としては捉えていませんね。
−今回の移転に合わせて、「FAKE TOKYO」からも独立されています。それによって何か「シスター」が変わることはありますか?
長尾:以前から、ひとつの区切りとして10年経ったら辞めようとは決めていたんです。でも、スタイリストや他の仕事をやり始めたら、やっぱり「シスター」がベースにあるからこそできる仕事がたくさんあって、それで翻意しました。でも、会社としては「シスター」を閉店する以上何か他のことをやらなくてはいけないし、すでに別の話が進んでしまっていたから、「なら独立してやります」と(笑) 運営するのが会社ではなく私になっただけで、「シスター」そのものはこれまでと変わらないですね。
−それを機に何か心境の変化は?
長尾:少しだけプレッシャーは感じるかな…?
−オープン時と比べれば長尾さんご自身の趣味嗜好も当然変わっていると思うのですが、それは「シスター」に反映されていますか?
長尾:逆に、オープン当初にやっていたことに戻ってきた感はあります。“女性本来の意志を持ったスタイル”というコンセプトの下で、トレンド云々ではなく歴史に残るコレクションだったか、古着にしても10年経っても着れそうかとか、そういうものを扱っていきたいなと感じるようになりました。
−最近ご覧になったなかで、歴史に残るコレクションだと感じたブランドがあれば教えてください。
長尾:〈リチャード・クイン〉ですね。ロンドン・ファッションウィークでエリザベス女王とアナ・ウィンターが横並びで座って観たと話題になって、「やばいじゃん!」って(笑) 昔の〈マルタン・マルジェラ〉や〈ガレス・ピュー〉のようにランウェイでマスクを被らせた構築的な雰囲気と、逃げ場のない花柄っていうのが攻めてていいなと前々から思っていたんですけど、売れる感じではないし高いし、まだそのときは会社に所属していたこともあって一旦は保留にしていました。でも、自分も独立するしということで、今季から思い切って買い付けてみました。
−本や映像作品のセレクトもこれまでと変わらず?
長尾:はい。「フロットサムブックス」は、うちに合いそうなやつを選んで送ってくれていて、「twelvebooks」は送られてくるメルマガに記載されているラインナップから希望の作品を選んでいます。あとは、自分の私物も置いたり。ただ、自分が好きなものだけにすると偏っちゃうので、ジョナサン・アンダーソンがキュレーションした書籍とか、ジェイミー・ホークスワークの写真集のような、ファッションシーンで話題の作品も意識的に入れるようにしています。
−いまはECで服を買うのが当たり前になってきました。長尾さんもそういったサービスはよく利用しますか?
長尾:たまに買う程度ですね。私個人の買い物の話ではないけど、海外のブランドを現地まで見に行けない場合は、オンラインでチェックして買い付けることもあります。「こんな感じの素材かな?」みたいな(笑) 実は〈リチャード・クイン〉もそうです。
−なるべく店舗で買おうという意識はありますか?
長尾:できたらそれがいいですよね。そういえば、去年の10月にパリに行ったときに〈アズディン・アライア〉のショップに足を運んだら、店内にアライアご本人がいたんですよ。デザイナーが仕事をしている風景を見る機会ってないから、感動しちゃって。そういうのに出くわすと、やっぱり店舗で買わないなと思います。アライアのアトリエが併設されているショップで買うというのがひとつの醍醐味というか。
−長尾さんが訪れたことがあるショップで、ほかに印象に残っているところがあればお聞きしたいです。
長尾:パリの〈セルジュ・ルタンス〉のショップは素敵でしたね。「パレ・ロワイヤル」にあるんですけど、いかにも「セルジュ・ルタンス・ワールドへようこそ!」みたいな作りなんですよ。店内が黒で統一されていて、照明は紫。美意識が詰め込まれていて非日常的で、どこか近寄り難い。その敷居が高い感じが好きで。ファッションってちょっと背伸びして楽しむ部分もあるじゃないですか? こういうやり方もあるんだと参考になりますね。
−ひとりのショップオーナーとして、“わざわざ足を運んでもらえるお店”ってどんなお店だと思いますか?
長尾:お客様に対して、ちゃんと“うちのお客様”なんだという意識を持つ必要があると思います。結局どこで買っても、商品自体の価値って変わらないじゃないですか? オンラインでも店舗でも、直営でもセレクトでも。それでも、私たちが「あなたはうちのお客様です」という意識で迎え入れてあげることが大事なんじゃないかと。来てくださるのは3ヶ月に1回でも半年に1回でもよくて、そのためのきっかけ作りは欠かさないようにしています。
−最後に、今後の10年を見据えた目標を教えてください。
長尾:常に新しいことにトライし続けること。何でもそうだと思うんですけど、1.0でやっているより1.2でやっているお店の方が訪れる度に発見があるし、別に無理して2.0を目指す必要はないんですけど、少しでも工夫してアップデートし続けるお店で在りたいです。

SHOP INFORMATION

Sister

Place_東京都渋谷区松濤2-13-10
Time_12:00〜20:00
Tel_03-6407-1285
https://sister-tokyo.com/