いつものご機嫌ファンクネスが新木場に吹き荒れる。The Internet4度目の来日公演をレポート!
春の足音もときおり聞こえる晩冬の2月末。「新木場STUDIO COAST」ではLA出身のメロウソウルバンド、ジ・インターネットのファンクネスが吹き荒れた。18年にリリースされた最新作『ハイヴ・マインド』を引っさげて、4度目の来日公演である。
開演前は、ヤング・ジージーやアウトキャストなどサウス・ヒップホップのご機嫌ナンバーがBGMで流れ、気分を高める。定刻を過ぎてもなかなか現れないメンバーをじりじりしながら待つ観客のなかには、このあとステージでも演奏された彼らの『Mood』の一節を思わず口ずさんでしまった者もいたに違いない(「ガール、あたしを待たせないでね」)。
固唾を飲んで待っていると場内が暗転し、メンバーが持ち場につく。1曲目はやはり『カム・トゥゲザー』だった。軽快に走り出すベースラインをスタートの合図に、ギター、ドラム、ボーカル、シンセがそのあとを追っていく。メンバー全員がソロミュージシャンとしての活動を経て再集結した『ハイヴ・マインド』の開幕曲として、“団結”と題されたこの曲以上にふさわしいものもないだろう。
続いて、この日は「Girls Don’t Cry」のTシャツを着用したシドの「踊る準備はいい?」という前口上とともに、『ロール (バーバンク・ファンク)』が披露された。このときの客席の大歓声は、あたかも場内満場一致で「待ってました!」と叫んでいるかのようだった。それもそのはずで、前作『エゴ・デス』までの彼らと今回の大きな違いは、新たにファンク・サウンドを導入したことであり、(ギターのスティーヴ・レイシーの言葉を借りるまでもなく)今夜のオーディエンスは“踊りに来た”のだから。
『ハイヴ・マインド』に収録されたもうひとつのダンスナンバー『ラ・ディ・ダ』の演奏時には、舞台上のスクリーンに音楽ゲーム「ダンスダンスレボリューション」のプレイ画面(リズムに合わせて矢印が縦スクロールされるアレ)が大映しにされるという粋な演出も見られたぐらいである。
個人的には『ラ・ディ・ダ』のブリッジや、旧作から披露された「ギャビー」の後半部分に、グルーヴの渦に没入するかのような陶酔感をおぼえて悶絶した。『Hive Mind(集団意識)』とは、またしても奇妙なタイトルがつけられているが、この名前にはメンバーの結束を表す以外にも意味があるのだと、実際の演奏を目の当たりにして確信した。つながるのはマットやシドたちだけではない。ジ・インターネットの音楽に踊り酔いしれているとき、われわれリスナーもまた、彼らとハイヴ・マインドによってつながることができるのだ。(文: 小澤俊亮)
The Internet
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