Girls Just Want To Have Fun!
カメラマンの父を持ち、生後三ヶ月からモデルとして活動してきた琉花さん。
15歳のころから趣味としてフィルムカメラで写真を撮影し始め、
自身のインスタグラムで公開してきました。
この8月には、撮りためてきた写真を集め初めて写真展を開催。
10代最後の節目となる年に彼女が残したかったものは何か、お話を伺いました。
産まれて間もない頃から飛行機に乗って、世界を飛び回っていました。
- まずは自己紹介をお願いします。
- 琉花です。モデルとして活動しています。フィルムカメラで写真を撮っていて、インスタグラムで作品を公開していたのですが、今回初めて写真展をおこないました。
- モデルを始めたのはどれくらいからですか?
- 父がカメラマンということもあって、初めての撮影は生後三ヶ月。プロとして事務所に所属したのは小学校2年生のときですね。
- 生まれて三ヶ月! 何の撮影だったのか教えてください。
- 『装苑』のロンドン特集の号です。生まれたばかりの私がドクターマーチンの8ホールを履くっていうおもしろい企画でした。
- どんな幼少期を過ごしていましたか?
- 父も母も海外旅行が好きというのもあって、夏休みはほとんど海外で過ごしていましたね。生まれて間もない頃から飛行機にたくさん乗っていました。
- うらやましい! 海外での過ごし方は?
- 例えば、一ヶ月間ヨーロッパをクルマで一周したり(笑)。ヨーロッパってキャンプ場がすごく多いんですよ。スイスの方までキャンプをしながら移動して。キャンプ場がないときはガソリンスタンドの裏で車中泊でしたね。
- いままで何カ国くらい行ったことがあるんですか?
- 30カ国以上は行っています。
- どの国がいちばん印象的でした?
- 小学4年生のときと中学3年生のときに行ったメキシコが楽しかったな。母親の知り合いが住んでいて、そこでずーっと過ごしていました。父がスリにあって、ちょっと怖い思いもしたけど……。
- かなりアクティブな家族ですよね。
- そうなんですよ。ちょっと変わっていて(笑)。中学生のときに引っ越しをしたんですけど、家族で家をDIYしたりとか。キッチンもないような家で、一から手を加えていって。学校から帰ったら、ゴーグルをつけて砂壁をはがしたりしていましたね(笑)。
父の暗室が遊び場でした。
- 写真はいつから始めましたか?
- 中学3年のときですね。父のカメラを貸してもらって。
- それまでは興味はなかったんですか?
- はい、全然。だけど、小さいころは父の暗室が遊び場で。暗室での作業を手伝っていました。電気をつけたり消したりするだけですけど(笑)。そのときは、「カメラマンになる! 」って言っていたらしいです。
- なにがきっかけでカメラを触ったんですか?
- あるとき、ふと「フィルムってなんだろう? 」って思って。そこから父に撮り方を教わって撮り始めましたね。
- 一番最初に撮影したものは?
- 友達や風景を撮影しました。だけど、フィルムの巻き方を間違えていたみたいで最初の一本は失敗したんですが(笑)。そこからどんどんはまっていって、自分のお金でカメラを買いました。
- どんなカメラを買ったんですか?
- 父に勧められた新宿の「中古カメラボックス」で、〈ペンタックス(PENTAX)〉のフィルムカメラを買いました。そこには中古カメラがたくさん売っているんですけど、「これだ! 」 って思って。もう買ってから5年経ちますね。もとから中古なので、ものすごくボロボロだけど(笑)。
- デジタルではなくて、フィルムで撮るこだわりは?
- 色や質感がすごく好きなんです。もちろん、デジタルも持っているんですけど、携帯でいいかなって思っちゃう。カメラとそんな変わらないなって。
- 何を撮ることが多いんですか?
- 小さい頃から旅をしているのもあって、旅行先で風景の写真を撮ることが多いですね。ちょうどカメラをゲットした時期に、同じ事務所の花梨とパリとウィーンへ旅行に行ったんですよ。初めての親の同行がなしの旅行で。そのときは30本くらいフィルムを持って行って、全部使い切りました。
- シャッターを切る瞬間って?
- 構図とかがバッチリ決められているときではなくて、「あ!いまだ! 」って自分のなかで思ったとき。例えば、虹の写真を撮ろうって思ってカメラ向けていたら、虹色の傘をさしている人が歩いて来たことがあって(笑)。こういう、ふとしたタイミングにシャッターを切っている気がします。
10代最後の節目として、なにか残しておきたい。
- 今回の写真展のきっかけを教えてください。
- 撮った写真をプリントして部屋の壁に貼ったりしていたんですが、5年も撮り続けていると結構な量になってきて。10代最後の節目として、なにか残しておきたいと思ったんです。このタイミングで初めて人物も撮影しました。
- 『VOYAGE』という写真展の名前の由来は?
- 旅先での写真が多いから、これしかないなって。直感で。
- 初めて人物を撮影してみてどう思いましたか?
- 所属している事務所に新しく中島セナちゃんというモデルが入るから撮影してみたら? と声をかけてもらったんです。いままでふざけて友達を撮影したことはあったけど、ちゃんと撮影として組み立てたのは初めてだったから難しかったです。だけどすごい反響だったみたいで、びっくりしました。
- どういうイメージで撮影を組み立てたんですか?
- “夏休み”をイメージしました。以前、自分の撮影でも行ったことがある、夢の島公園と館山の海でロケをしました。人も少ないし、ここが彼女に合うと思って。セナちゃんはまだ撮られ慣れてないからこそ自然な感じで撮れて、イメージ通りにできましたね。メイクもしないでリップクリームのみで。あとは、光ですね。
- 光というのは?
- 風景を撮るときもなんですけど、直射日光より柔らかい光が好きで。木に当たったときに丸くなる影とか。それをいつも以上に気にしながら撮影しました。
- 展示をやってみてどうでしたか?
- 写真展の開催が決まったのが二ヶ月くらい前で、とてもタイトなスケジュールだったんですけど、こうしてできたことにとてもホッとしています。予想以上にたくさんの人が来てくれて、本当にうれしかった。普段はファンの方と交流する機会があまりないんですけど、遠方から来てくれた方もいて。いままで自分の作品を生で見てもらって、購入してもらうことがなかったので、思わずジーンとしてしまいました。誰かの生活のなかに自分の写真が飾られるのって幸せだなって。
- 二ヶ月という期間での準備は大変そうですね。
- かなり大変でした(笑)。展示したい写真を並べたときに、なんかもうちょっとカオスな感じが欲しいなって思って、直前で香港に撮影しに行ってみたり(笑)。そのおかげでいいバランスで展示できたなと思います。あとはZINE作りが大変でした。
- ZINEはどのようにしてつくったんですか?
- セナちゃんのZINE、旅のZINEとで分けたくて、2冊つくりました。旅のものはチャドムーアの写真集の判型で好きなものがあって、それをイメージして作ったんですが、本を綴じるためのゴムが日本に取り扱いがないもので。それに近いものを探して、500冊全て手作業でつくりました。毎日のように作業してましたね。
- 今回の写真展についてカメラマンのお父さんからはなんと言われましたか?
- 特になにも言われてなくて(笑)。けど、展示の準備中はずっと手伝ってもらっていて、写真をプリントするときも「こうした方がいいんじゃない? 」ってアドバイスをたくさんくれました。
これからも撮り続けていきたいもの。
- 琉花ちゃんにとって撮ることと撮られることってなんですか?
- いままではモデルとして撮られてきて、ポーズ考えたり動いてみたり、撮る方の立場に立って考えたことはあまりありませんでした。けど、撮る方は露出やピントを合わせて、モデルの動きの瞬間を切り取っているんだなって実感して。こうして両方の視点から見られるようになったのは新しい発見でした。
- これからやりたいことはありますか?
- モデルの活動と並行して、写真の仕事もしてみたいなって思っています。旅の写真はずっと撮っていきたいので、また写真が溜まってきたら展示をしたいな。あと今回撮った、セナちゃんも撮り続けていきたいと思います。まだ11歳だから身体つきもどんどん大人になっていくだろうし、本人の成長とともに写真を残していきたいですね。