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Purely weird things.

自分らしくありつづけるために、レイジーオーフが掲げる定義とは?
Photo_James Rees(COLLECTION LOOK)

“weird(変テコ)”という言葉の解釈はあまりにも曖昧で、
捉え方によってはネガティブにも転じる未知なるワード。
Gemma Shielはそれをポジティブに、ハッピーなものへと昇華し、
〈レイジーオーフ(Lazy Oaf)〉の作品世界としてロンドンから力強く発信しています。
ブランド誕生から17年がたってもなお、トレンドやシーンに迎合することなく
一貫して“変テコ”であることを追求し続けているデザイナーの脳内、
ちょっと気になりませんか?ということで、先日、渋谷の新名所「SOBER」で
ディナーパーティを開催していたGemmaにお話を伺ってきました!

ブランドが誕生してもう17年が経ったと聞きました。そもそも〈レイジーオーフ〉はどうやって始まったブランドなんですか?
〈レイジーオーフ〉は、私がまだ大学生の時にスタートしたの。当時は卒業後の進路について就職をしようかどうしようか悩んでいて…でも悩むくらいだったら、せっかくテキスタイルデザインを専攻していたわけだし、自分でデザインしたものを売っていくようなブランドを持ってみたいなって考えたのがきっかけ。 最初は周りの友達に売るだけだったんだけど、イーストロンドンにあるストール(イギリスのフリーマーケットみたいなイベント)に出店してみたら思いの外、反応が良くて嬉しかった。それから継続的に忙しくなっていって、いまに至る感じ。現在は30人体制のチームで世界中に〈レイジーオーフ〉のアイテムをお届けしてるよ!
そのストールに出店したことがブランドを大きくするきっかけだったんですね!
そうよ、はじめて自分が手がけたプロダクトを世の中に披露した瞬間ね。実はママがリーフレットを持ってきてくれて、このストールの存在を知ったの。ママ、ありがとう(笑)。
当時はどういうアイテムを売っていましたか?
たしか、メンズのTシャツだったと思う…。自分で書いたグラフィックをシルクスクリーンで刷ってたから、現行のアイテムよりずっとDIYなクオリティで。
立ち上がりから17年が経過して、知名度や規模感も当時では想像できないくらい大きくなりましたよね。運営している上で気をつけていることは?
これといってないのかも。でも、ここまでブランドが大きくなる前に会社を引っ張るトップとしてもっと勉強しなきゃいけなかったなとは思う。だって、これまでは右も左もわからずノリで進めて失敗するということでしかノウハウを得られなかったし、師匠と呼べる存在もいなかったから。すべて私の独断でいろんなことを進めなくてはならなかったの…。
それは大変でしたね…。
うん。いまはこうしてチームとなって、役割を分担することができるからずいぶん楽になったんだけど、最初の頃はデザイナーだからデザインだけやるというわけにもいかず、なんでも自分でやってたからね。でも、私って頑固者だし一度やり出したらスイッチが入っちゃって、なんでも熱中して取り組んでいたわ。もう17年間このスタイルでやっているけど、ものづくりに関してもその延長で自分の本能がおもむくまま自由に感じたことをデザインに起こすようにしてる。
自分のブランドを持ちたいという気持ちが強かったからこそ、どんなこともひとりで成し遂げられたのかもしれないですね。
そうかもしれない。いままであるほとんどのプロダクトは私がデザインしてるし、やっぱりそれこそが自分のバックグラウンドで、イラストを描いている時間が何よりも好きだってことに気がついたの。
どんなものからインスピレーションを得ていますか?
正直、どんなものからでも影響されちゃって大変よ(笑)。でも軸となっているのは、私が幼少期を過ごした、80〜90年代の記憶の断片から。当時観ていたTV番組や映画からもインスパイアされるんだけど拾っている範囲も広いから、ピンポイントに言えるものはないのかな?
それだけ視野を広げてさまざまなものから影響を受けているのに、方向性がブレることなく新しいアイテムを生み出していることに驚きです。なにかブランドが掲げている定義とかはあります?
“Keeping it Weird(変テコであれ)”という永遠のテーマがあるわ。これはぜんぶに対して言えるんだけど、私たちはどんなことでもハッキリさせたくなくて常にフワフワとした曖昧な存在でありたいの。だから自分たちのことをファッションシーンのアウトサイダーだって思ってる、クラスの後ろの方にいるちょっと変わったコみたいな。
なるほど。
それと、ブレないために意識しているのは、どんなコト、モノに触れてもブランドメッセージが伝わるように取り組んでいるってことかな。当たり前だけどそれがいちばん重要なことだし、だからここのオフィスにいる人は全員が同じ方向を向いているんだと思う。ひとつハッキリとメッセージを掲げることで、それぞれのチームが提案するアイデアも自然と統一されていくというわけ。
たしかに、単に服屋というくくりに終わらないような自由な発想でいろんなプロジェクトに挑戦しているなという印象があります。
それはまさに常に心掛けていることよ。自分たちがいまいるジャンルから飛び出した外の世界でどんなことができるのかアイデアを練るの。そうすれば必ずおもしろくなっていくし、没頭するほど夢中になれる経験を提供してあげられるとも思っている。そのために私たちはもっともっとクリエイティブであることを心掛けなきゃね。最近は映像やルックブックの制作にも熱心で頻繁に取り組むようになってきているわ。あとは、イベント。近々ロンドンにカフェをオープンする予定だから注目してほしいな!
それだけ活動が多岐にわたっているなら、現在のようなチーム体制になるのも理解できます。
そう、いまは素晴らしく優秀なチームがあるからね! それぞれ全員に得意分野があって、そのハイスキルな仕事っぷりには感謝の気持ちでいっぱい。しかも、みんなすごく変人で(笑)。まるで自分を見ているかのように、熱中して仕事に取り組んでくれていてとても心強い味方よ。
真ん中にいるのがデザイナーのGemma Shiel。
先日、〈レイジーオーフ〉のディナーパーティが渋谷の「SOBER」で催されてましたが、Gemmaにとって東京はどんな街ですか?
もう東京に行くのが大好き! みんな親切で優しいし。2003年から頻繁に訪れているんだけど、東京の街並みから特にインスパイアされるの。ストリートファッションはいつだって最先端だし、ひとりひとりが確固たるスタイルをもっていて…とにかく大好き。今回ディナーパーティを開催したのは、そんな東京で輝きを放っているインフルエンサーやプレスの子ともっと仲良くなりたくて。だから私からコンタクトをとって、みんなと一堂に会すイベントを企画したの。時々こうやってイベントを通じて彼女たちに会える機会があるのはブランドにとってもいい風通しになるのよ。
どうやって今回の会場「SOBER」を発見したんですか? ついこの間オープンしたばっかりのバーで、最初にパーティをやったのが〈レイジーオーフ〉だと聞きましたよ!
プレスの子からの提案よ。あそこすごいよね、パーティをやった時もスタッフがとても親切だったな。トラディショナルにコンテンポラリなテイストを織り交ぜていて、そんな「SOBER」の世界観はかなり刺さった。料理はもちろん、あそこのオリジナルカクテルも最高なの!
ちなみに、今回の来日でおもしろかった出来事はありました?
もう結構な頻度で東京に来ているからほとんどのショップに行った自信があるんだけど、この前、ある焼き肉屋に行ったらカラオケがあって、パンダの着ぐるみも置いてあったの。意味わかんないし、すごく変じゃない?
最後に〈レイジーオーフ〉のこれからの展望について教えてください。
もう17年もブランドがあるのに、相変わらずやりたいことはたくさん! でも内容については、できるだけ秘密にしておきたい。ひとつだけ言えるのは、この夏にロンドンでカフェをオープンするってことだけよ。東京でも、もっといろんなことできたら嬉しいわ…!