映画『バービー』グレタ・ガーウィグ監督にインタビュー! 大作でもあり、パーソナルな映画でもある。
映画『バービー』グレタ・ガーウィグ監督にインタビュー!
大作でもあり、パーソナルな映画でもある。
2023.08.16
ピンクで溢れた夢のようにキュートな世界観のなかに、現実社会への皮肉や
笑いの要素が散りばめられ、世界中で話題をさらっている映画『バービー』。
そんな今作の監督・脚本・製作総指揮を務めたグレタ・ガーウィグにインタビュー!
過去と現在のグレタ監督にとって、非現実的なプロポーションと美しさで
“女の子のロールモデル”として長い歴史を持つバービーはどんな存在なのか?
インタビューを通じて、グレタ監督ご自身の内面を少しだけ紐解くことができました。
- ーバービー人形で遊んでいた幼少期を持つ誰もが、バービーに自分を投影したことがあると思います。グレタ監督にはそんな過去がありますか?
- 人形をたくさん持っていたので幼い頃はよく遊んでいましたが、私の母がバービー人形はあまり好きじゃなかったのでなかなか買ってもらえませんでした。自分を投影するのと同時に、自分がつくり出したキャラクターを人形に演じさせるような遊び方をしていました。だから人形たちは自分自身でもあったし、自分がつくる世界の登場人物でもありました。
- ー幼少期からキャラクターを想像して物語をつくっていたんでしょうか?
- まさにそうで、大人になったいまも同じようなことを仕事でしているのが面白いですよね。幼い頃からある種の監督をしているかのような遊び方をしていましたから。
- ーたくさんの女の子にとってバービーはロールモデルになっていると思いますが、幼少期のグレタ監督が憧れていたロールモデルはいますか?
- 『ストーリー・オブ・マイライフ / わたしの若草物語』でシアーシャ・ローナンが演じた次女のジョー・マーチには昔から憧れていて、自分にとってのアイドルのような存在でした。幼少期に感じていた彼女への憧れを、大人になってから映画として再現したというのは、すごくおもしろい経験でした。
- ーでは、大人になってからのグレタ監督が憧れている女性像は?
- 『バービー』という映画は素晴らしいところがたくさんある作品ではありますが、私にとってはすごくパーソナルな映画でもあるのです。その理由は、私が女性としてもっとも尊敬しているアン・ロスという伝説的な衣装デザイナーが出演してくれているからです。マーゴット・ロビー演じるバービーが人間の世界に来て「あなたは本当に美しい」とベンチで声をかけているあの方が彼女です。彼女はいま91歳で、『真夜中のカーボーイ』や私が俳優として出演した『ホワイト・ノイズ』など、数えきれないくらいたくさんの作品で衣装を手掛けられてきました。アーティストとしても人としても素晴らしい憧れの存在なので、今回『バービー』に出演してもらえたことは私にとってすごく特別な出来事でした。
- ーバービーは「You can be anything(あなたは何にだってなれる)」と言うメッセージを掲げていますが、グレタ監督は何にでもなれるなら何になりたいですか?
- いま本当に夢のなかを生きているように感じるから、答えるのが難しい…。映画監督になるという夢は自分の想像をはるかに超えたほどに叶っていて、まさにいま自分に起きている出来事という感じ。本当にすごいことだと思うし、とても幸せです。
- ー幼少期から憧れていた姿に、いままさになれているというのはかっこいいです!
- 幼い頃は、大きくなったらバレエダンサーのミハイル・バリシニコフになりたいと思っていました。彼は彼でしかないから、自分がバリシニコフという人物になれるわけがないですが(笑)。でも、そこにあったのは、アーティストになりたいという気持ちだったんじゃないかなとも思います。そして、映画監督や俳優としてのキャリアのなかでずっと偉大なアーティストたちに触れることができているし、自分自身もアーティストとして幼い頃の夢を実現できているように感じます。
- ーではここからは質問を変えて、もしグレタ監督自身がバービーだったとしたら、映画のなかでバービーが選択してきた道と同じ道を辿るのか、そうではないのか? ストーリーの分岐点となったいくつかの事象をピックアップして、グレタ監督だったらどちらを選ぶのかを二択で質問させてください。
- 楽しそう! どんな質問がくるのかな。
- ー「バービー・フィート」の魔法が解けて、足が地面につくようになった! 新しく買う靴は?
A:フラットシューズにも挑戦してみる!
B:ハイヒールしか履きたくない!
B:ハイヒールしか履きたくない!
- Aのフラットシューズ(即答)。元々フラットシューズが好きだから、この質問は迷いませんでした。ハイヒールは間違いなく美しいけれども、自分が履くならフラットシューズの方が好きです。
- ー全てが完璧なはずの「夢のバービーワールド」なのに何かがおかしい! 太ももにセルライトができたり、おかしなことばっかり起こる。その理由を探るべく人間世界に…
A:不安だけど行く!
B:未知の世界は怖いから行きたくない…。
B:未知の世界は怖いから行きたくない…。
- 絶対にA。どんなに怖い気持ちがあっても行きます! 自分のことはわかっているから、実際にその立場になったら迷ってしまうのも想像がつくけれど、脳内でいろんな選択肢を考えてから迷いながらも行くって言うと思います。たとえ1日だけだったとしても。
- ーマテル社にて、箱に入ったら元の世界に戻れるって言われたけど何だか不安…!
A:大人しく言うことを聞いて箱の中へ。
B:絶対に逃げ切る!
B:絶対に逃げ切る!
- うーーーーん。多分箱に入っちゃうと思うのでA。私は人を信じたいし実際に信じるタイプなので、もし「これが正しい選択だ」って言われたとしたら入ってしまいそうな自分が見えます。
- ーバービーランドのなかで、マーゴットが演じたティピカルバービーだけがケンに恋愛感情を抱きませんでしたが、もしグレタ監督自身がバービーだったら?
A:いずれかのケンと恋に落ちたい。
B:好きになれそうなケンはいない…。
B:好きになれそうなケンはいない…。
- この質問には答えられないかもしれません。なぜなら、映画に登場する男の子たちのなかで私のお気に入りのキャラクターはアレンだから。だってアレンってすごく切ないキャラクターじゃないですか? まず、ケン自体がバービーのあとに思いつきで生まれたキャラクターで、ボーイフレンドだけれどアクセサリーのような存在。でもバービーにとってケンは自分のクルマ以下かもしれないという。そんなケンのさらに後に、思いつきでケンの友達として足されたのがアレンだから、後から来たという意味ではちょっと切ない存在なところがあって、私はどうしてもアレンに愛情を抱いてしまいます。
INFORMATION
『バービー』すべてが完璧で、今日も明日も明後日も《夢》のような毎日が続くバービーランド! バービーとボーイフレンド(?)のケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン。しかし、ある日突然バービーの身体に異変が! 原因を探るために人間の世界へ行く二人。しかし、そこはバービーランドとはすべて勝手が違う現実の世界、行く先々で大騒動を巻き起こすことに!? 彼女たちにとって完璧とは程遠い、人間の世界で知った驚きの〈世界の秘密〉とは? そして彼女が選んだ道とは? 予想を裏切る驚きの展開と、誰の明日をも輝かせる魔法のようなメッセージが待っている──!
監督:グレタ・ガーウィグ
脚本:グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック
出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、シム・リウ、デュア・リパ、ヘレン・ミレン
配給:ワーナー・ブラザース映画
原題:Barbie/2023年/アメリカ映画/114分
8月11日(金)大ヒット上映中
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