GIRLS’ CINEMA CLUB
上映映画をもっと知りたい! 語りたい倶楽部。
#13『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』
いま私たちが映画館で観るべき上映作品を、本音100%でレビューする週イチ映画連載。
今週は『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』。全ての新しいカルチャーはここから興った!?
と言っても過言ではない、わっくわくする60年代へタイム・トリップ!
Text_Kyoko Endo
スウィンギング・ロンドンへの時間旅行。
冒頭から流れるキンクスの『ウォータールー・サンセット』にグッときてしまう本作は、英国の名優マイケル・ケインが自らプロデュースした60年代の英国カルチャーのドキュメンタリー。といって、お年寄りの回顧映画と考えていただいては困ります。当時のロンドンは私たちの世界の始まり。ビートルズやストーンズなど音楽だけでなく、ホックニーが登場したり、メアリー・クヮント(〈マリークヮント(MARY QUANT)〉創始者)がミニスカートを発表するなど、アートもファッションも現代にそのまま引き継がれているのです。しかも本作にはいま例に出した全員が出ているという豪華さ。
これだけドラスティックに文化が変わったのには理由がありました。イギリスの領土は19世紀には世界の半分、けれど植民地がどんどん独立して、60年代にはシンガポールと香港とあとちょっとしか残ってなかった。豊かだった過去ばかり振り返る親たちを尻目に、それまで上に仕えることしか教えられてこなかった労働者階級が自由に自分を表現しはじめ、あの革命的な音楽やファッションが生まれたというわけ。なんかその状況、バブルを懐かしがるおっさんズに囲まれた私たちに似てるかも…。というわけで、年明けは素晴らしき60s文化世界に遊んでみませんか?
『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』
(2018/イギリス/85分)監督:デイヴィッド・パッティ
出演:マイケル・ケイン、ポール・マッカートニー、マリアンヌ・フェイスフル、ロジャー・ダルトリー
配給:東北新社
1月5日(土)よりBunkamura ル・シネマほか全国ロードショー
© Raymi Hero Productions 2017
公式サイト
about this Movie
版権高そうな名曲かかりまくり度
★★★★★
爆音上映やってほしい度
★★★★★
真似したいファッションだらけ度
★★★★★
PROFILE
遠藤 京子
東京都出身。出版社を退社後、フリーのライター、編集者に。『EYESCREAM』『RiCE』に寄稿。