GIRLS’ CINEMA CLUB
上映映画をもっと知りたい! 語りたい倶楽部。
#19『ROMA/ローマ』
いま私たちが映画館で観るべき上映作品を、本音100%でレビューする週イチ映画連載。
今週はNetflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』をご紹介します!
本当に本当のアカデミー賞本命、アルフォンソ・キュアロン監督の最高傑作。
実際に監督の故郷であるメキシコシティを舞台とし自身の記憶が鮮明に描かれています。
有名俳優をあえて起用せず、その職業を実際に従事する人たちを登場させる再現度の高さたるや!
Text_Kyoko Endo
どっちが本命? もう1本のアカデミー賞有力候補。
先々週オスカー最多ノミネート『女王陛下のお気に入り』を紹介しましたが、じつは最多10部門ノミネート作品はもう1本あります。それがこの『ROMA/ローマ』。Netflix制作・配給ということでも話題です。
監督の半自伝的作品で、タイトルはメキシコシティのコロニアローマ地区から。『宇宙からの脱出』を観に行くなど、これが『ゼロ・グラビティ』につながったと思うと感慨深い。“びっくり人間選手権”的なバラエティがテレビ放送されてたりするのは当時の日本にも似てますが、懐かしネタだけじゃなくメキシコ政府が70年W杯開催の陰で先住民から土地を奪った事件なども描かれています。
主人公はメキシコシティで住み込みメイドとして働くクレオ。年端も行かないのに妊娠して男に捨てられてしまう。一方、雇い主の夫も愛人を作って家を出てしまう。けれど残された女性たちが助け合って生きていく姿に感動します。豊かな大家族の物語で、ベルイマンの『ファニーとアレクサンデル』も思い出しました。壮大な自然、地震、山火事や脈絡なく前世を話し始める幼児などマジック・リアリズム的な要素もある個性的な名画。これも作品賞を受賞する可能性大で、いよいよアカデミー賞発表が楽しみです。
『ROMA/ローマ』
(2018/メキシコ、アメリカ/135分)監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:ヤリッツァ・アパリシオ、マリーナ・デ・タビラ
配給:ロングライド
Netflixで独占配信中
公式サイト
about this Movie
映像の美しさにも感動する度
★★★★★
早く映画館のスクリーンで観たい!度
★★★★★
主な男性登場人物が揃ってロクデナシ度
★★★★★
PROFILE
遠藤 京子
東京都出身。出版社を退社後、フリーのライター、編集者に。『EYESCREAM』『RiCE』に寄稿。