GIRLS’ CINEMA CLUB
上映映画をもっと知りたい! 語りたい倶楽部。
#3『華氏119』
いま私たちが映画館で観るべき上映作品を、本音100%でレビューする週イチ映画連載。
今週は、マイケル・ムーアがトランプ大統領を題材に手がけた最新ドキュメンタリー映画『華氏119』です。
ちょうど2年前に世界中を驚かせた大統領就任のニュース。そもそもなぜ彼は当選しちゃった?
知ってるようで知らなかったアメリカの闇を映す本作は、再び中間選挙を控えたいまこそ必見です。
Text_Kyoko Endo
ヤバいおもしろさで映し出される、本当は恐ろしい現実。
トランプ大統領が勝利宣言した11月9日をタイトルにアメリカの闇に斬りこんだマイケル・ムーア監督。でも、実はトランプはある意味客寄せパンダです。確かにあのおっさんがやっていることは醜悪。人種差別はするし、幼児を親から引き離して収容所に閉じ込めるし、地球温暖化防止協定からも脱退しちゃった。でも、じゃあなんでそんな極悪トランプ政権が生まれたのか? ムーアの舌鋒鋭い糾弾が始まるわけです。戦犯が多すぎてごちゃごちゃと思う人もいるかもしれないけれど、最終的にはそれはある現実に行き着きます。
「アメリカの民主主義は危機的状況だ」。
結局外国の話じゃん? と思っている貴女がなぜこの映画を観るべきかといえば、おもしろいから。なんたってムーアだからシリアスなテーマをエンタテインメントにまとめるのはお手のもの。そもそも知らないことを知るっておもしろいじゃないですか。
それに残念ながら、描かれてる現実がまったくの他人事でもない。水道水が鉛に汚染されて子どもがDNAまで傷つけられた光景は、政権与党が水道事業の民営化を画策している国の未来とつながるから。これは私たちが手をこまねいていたらそのまま行き着く未来の話。だから必見なんです。
『華氏119』
(2018/アメリカ/120分)監督:マイケル・ムーア
出演:ドナルド・トランプ、ヒラリー・クリントン
配給:ギャガ
11月2日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
© 2018 Midwestern Films LLC 2018
公式サイト
about this Movie
アメリカの壊れ方に唖然とする度
★★★★★
知るおもしろさに引き込まれる度
★★★★★
さすがのムーア節に笑っちゃう度
★★★☆☆
PROFILE
遠藤 京子
東京都出身。出版社を退社後、フリーのライター、編集者に。『EYESCREAM』『RiCE』に寄稿。