SE SO NEON’s Nowadays.
セソニョンの近況報告。ソユンはやっぱり音楽を愛してた!
前回のインタビューから早3年…セソニョンというバンドはあれからもっとすごくなっています。
バンドメンバーが変わり、フロントマンのHwang SoyoonはSo!YoON!として個人活動もスタート。
同名でリリースしたソロアルバムは、いま韓国でエッジ効かせてる面々が揃いも揃って参加する派手な仕上がりでした。
バンドの方もメンバーチェンジを経て、コロナ禍にも関わらずEP一枚、シングルを4枚と、
勢いそのままに絶えず新曲を披露し続けていた彼ら、とくに多軸で動くソユンがすごすぎる。
ミュージシャンにとってライヴができないここ数年は、立ち止まりたくもなる状況下でしたが、
なぜ彼らは常に明るいトピックを持ち込んでくれるのでしょうか? そのモチベーションはどこから…?
そもそもいまの韓国の状況ってどうなの? あとそっちでもイカゲームは流行ってる?
もう…いろんなことを聞きたくて、かねてより親交があった菊地佑樹さんにインタビューをお願いしました!
雑談交えながら久しぶりのトークを繰り広げる2人の様子をそのままお届けします。
Text & Interview_Yuki Kikuchi
Translation_Koki Yahata
PROFILE
Hwang Soyoon(読み:ファン・ソユン)
バンドSE SO NEONのフロントマンを務めながら、個人名義So!YoON!としても活動中。2021年のYoutube Musicで新人アーティスト支援プログラムである「Foundry」において、グローバルアーティストのなかで唯一の韓国バンドとして選ばれた。
菊地佑樹
ときにフォトグラファーとしてマック・デマルコやダイヴ、ザ・ガーデンなどミュージシャンのジャケ写などを撮影し、ときにライターとして彼の音楽体験を雑誌に寄稿している。
まだまだコロナ禍だけど、最近どう?
- ソユン:久しぶり! お元気ですか?(日本語で)
- 菊地:元気だよ。あれ、猫飼ってたっけ?(画面越しの猫を見て)
- ソユン:2ヶ月くらいまえに飼い始めたんだよね。2匹飼っててドングーとサルグーっていうの。
- 菊地:昨日マネージャーのダルニムさんから怪我したって聞いたんだけど大丈夫?
- ソユン:サッカーを最近はじめたんだけど、昨日の試合で怪我しちゃってさ。でも大丈夫。
- 菊地:サッカー!? 俺が韓国いたとき、誘ったら来てくれなかったよね!(笑)
- ソユン:(笑)。次はやろう! 挑戦待ってる!
- 菊地:韓国はいまどんな状況? コロナは大丈夫?
- ソユン:音楽業界に関していうと、相変わらずライヴが出来ない状況が続いてて、いまもお客さんはソーシャルディスタンスをしてマスクをしながらライヴを観覧したり、ライヴ自体もほとんどがオンラインで開催することになっていて、ミュージシャンからは規制を緩和して欲しいって声が上がったりしてる。
- 菊地:そうなのかー。日本と状況が似てるな。たまにアメリカに住むミュージシャンの友達とお互いの近況を電話で話すんだけど、アメリカは既にライヴを再開させてるところが多いんだって。でもみんな音楽制作に全然集中できないってボヤいてるんだけど、ソユンは今年はどんなモチベーションで制作してたの?
- ソユン:これまでずっとライヴをこなしてきたんだけど、そこが一気になくなって自由な時間が増えたぶん、自分と向き合う時間がこれまで以上にできて、バンドとしても練習時間を持続的に作ることができたおかげでそれが制作に繋がることもあった。そういう意味では充実した時間を過ごすことができたのかな。コロナで大変なこともたくさんあったけど、大変だったことも良い形で消化できたっていうか、いまはそういうことも含めて全部肯定的に捉えてる。
- 菊地:制作以外の暇な時間は何してたの?
- ソユン:これまで友達のなかでは私が多忙キャラだったんだけど、コロナのせいでその関係が逆転して(笑)。今度は私からみんなを誘うようになって、おいしいものを食べに行ったり、山登りに行ったり、とにかく友達とたくさん過ごしてた。
- 菊地:音楽関係じゃない友達とも普段遊んだりする?
- ソユン:中学生の頃からいまでも仲良しの友達が2人いるよ! 会社勤めの友達は平和に関するお仕事をしてて、もうひとりはスペインに留学してた子なんだけど、コロナで帰ってきて。でも最近またベルリンに行っちゃった。
- 菊地:コロナ禍で家も出れなかったとき、何をしてる時間が幸せだった?
- ソユン:ずっと夜型生活だったんだけど朝起きるようになって、陽の光が入る部屋のなかで音楽を聴いたり部屋を掃除する時間が貴重で幸せだった。
昔のソユンについて。
- 菊地:ところでソユンは小さい頃どんな子だった?
- ソユン:学校の裏に山があったんだけどそこに冒険しに行くのが好きな子だった。あとハリー・ポッターに憧れてた!(笑)
- 菊地:(笑) 。どんな学校に通ってたの?
- ソユン:小学校のときは一般的な学校に通ってたんだけど、中学校はお母さんの提案でオルタナティヴ・スクール(公教育とは異なるカリキュラムが展開される政府無認可の学校のこと)に通ってた。
- 菊地:はぇ~。
- ソユン:学校がある場所が田舎で寮生活だったのもあって、スーパーオーガニックな日々を送ってた。
- 菊地:そのとき韓国の学校ではどんなことが流行ってた?
- ソユン:その裏山で遊ぶのが流行ってた(笑)。
- 菊地:俺の小中学校の思い出って給食がメインなんだけど(笑)、ソユンは好きな献立って何かあった?
- ソユン:肉が好きだったけどあんまり出なかったんだよね。だからとんかつが出される日が来るとみんなで取り合ってた。
- 菊地:給食じゃんけんあった?
- ソユン:なかった。残したらいけなくて。自分で盛り付けたぶんは全部食べなきゃいけなかったから。
- 菊地:ソユンは思春期の頃、何かにめちゃくちゃ悩んだりした?
- ソユン:自分の感受性を共有できる友達が周りにいなかったから、ひとりが辛いって思う時期があった。そこから性格も内向的になった気がする。
- 菊地:その時期に聴いてて救われたアーティストとかバンドっていたりする?
- ソユン:ギターを弾き始めた12歳の頃から音楽とはずっと密接だけど、特定のミュージシャンをひたすら聴いてた時期ってないんだよね。私は誰かの表現に助けられるより、自己表現をすることで救われてるのかも。ずっと自分の感情を表現することが苦手だったんだけど、音楽はそれを吐き出すひとつの手段になってくれるから。
- 菊地:それで思い出したんだけど、ソユンってほんと楽しそうにギター弾くよね。個人的にはあれを見れるのがセソニョンのライヴの大きな楽しみだったりするかも。
- ソユン:(照)。ライヴしてないときは自制心があるけど、舞台上では思いっきり開放しているからね。
- 菊地:私生活でなんで制御しちゃうのよ?
- ソユン:常にあんな感じだったらちょっとね…?
- 菊地:確かに(笑)。ソユンは好きなことをやって生きていくってことにたまに怖くなったりする?
- ソユン:好きだから始めたし嫌になったら辞めればいいと最初は思ってた。いま置かれてるバンドの状況はそれだけで判断しちゃだめだけど、いつかこの活動が終わるかもしれないって不安感は正直ないかな。だってそれって、ただ終わらせなければいいだけなんじゃない?
ソユンがおすすめする韓国のあれこれ。
- 菊地:そういえばイカゲーム観た?
- ソユン:はい! ピンポン♪ピンポン♪(イカゲームの音楽を口ずさむ)
- 菊地:最近観てハマったんだけど、あれヤバイね。
- ソユン:ユキはイカゲームのオファーがきたら引き受ける?
- 菊地:シーズン2の出演オファーならぜひ(笑)。 ソユンは最近ハマってるドラマある?
- ソユン:「わかっていても」ってドラマ! 最初はこんな純情ドラマ嫌だって思ってたんだけど、マネージャーのダルニムさんが好きな俳優が出てて、私も観始めたらどんどんハマっちゃって…観ちゃった罪悪感がすごい(笑)。それと「あなたの全てのこと」っていうNetflixでやってる海外ドラマとか。
- 菊地:一昨年の「パラサイト」と今年の「イカゲーム」くらいしか知らないなりにも、韓国のドラマとか映画って本当すごいなって思ってるんだけど(笑)、韓国のドラマや映画でソユンのおすすめって何かある?
- ソユン:韓国アーミー・カルチャーの「D.P」っていうドラマがめっちゃアツい!
- 菊地:俺はたまにミニシアターに行って映画を観たりするんだけど、ソユンは韓国でそういう場所に行って映画観たりする?
- ソユン:はい! 最近はミニシアターで上映されるような所謂インディー映画の需要が韓国で減ってきちゃってるけど、「アートナイン」や「エム」、あとは「ソウル劇場」ていうすごい歴史の長い映画館があって、そこはすごい好きでよく行ってたんだけど今年の8月にそこもクローズしちゃった。
- 菊地:俺は韓国に既に3回行ってるけど、いつもみんなと遊んでばっかだから、次行ったときは色んなところに遊びに行きたいと思っててさ。まじでいろいろ教えて欲しい!
- ソユン:今更?(笑)
- 菊地:韓国っておしゃれな人が多いし、ソユンもおしゃれだなって思うんだけど おすすめのお店ある?
- ソユン:ファッションだと「SOUND SHOP balansa」ってとこがおすすめかな。
- 菊地:ちょうど今日履いてきたんだけど、韓国ではアンブロのお店しか行ったことない。
- ソユン:何?アンブロ?日本のブランドじゃないの?
- 菊地:アンブロはイギリスのブランドっす!(笑) 日本ではファッション展開してないんだけど、韓国ではファッションラインがあって、ホンデにもお店があるのよ。
- ソユン:はい!はい!(日本語で)…全然関係ないけど、すごい久しぶりに日本語を喋るから気分がいいです。
- 菊地:さっきからちょこちょこ日本語で受け答えしてくれてるけどすごいよね。 俺は未だに韓国語まったく喋れないし。
- ソユン:悪口は韓国語で言えるでしょ?
- 菊地:おい(笑)。ちなみに最近また読書にハマってるんだけど、ソユンはいま読んでる本って何かある?
- ソユン:この取材のまえにも読んでたんだけど、いまはベルクソンっていうフランスの哲学者の「笑い」っていう本を読んでる。
- 菊地:数年前から韓国の文学が日本の書店にもバーって並んでて興味があるんだけど、韓国の作家さんのおすすめの本ってある?
- ソユン:おすすめして本当に読んでくれるの?
- 菊地:読むよ!(笑) あっでも日本語訳されてるものに限りだけど!
- ソユン:ついこの間、朝日出版からイ・スラていう作家のエッセイ集が出て、それは日本にはない韓国の情緒があって、読んだらおもしろいんじゃないかな。
- 菊地:ってか結構本好きなんだね!
- ソユン:好き好き。
- 菊地:なんで教えてくれなかったの?
- ソユン:本が好きってことを? それともおすすめの本をってこと? 何がそんなに気に入らないの?(笑)
- 菊地:本を好きだってことを! 俺本好きっていうムードを韓国でもブンブンに出してたつもりだったんだけど。
- ソユン:(笑)。ユキはまじでソジュ飲んでそうだよな!
- 菊地:チャミスル? 俺お酒飲まないよ!
- ソユン:そういうイメージってだけ(笑)。
- 菊地:韓国でおすすめの本屋さんはある?
- ソユン:まだ私自身が行けてないのにおすすめしちゃうけど、私たちが所属するMAGIC STRAWBERRY SOUND(以下MSS)っていうマネージメント事務所の目の前に本屋さん「MUSA BOOKS」ができたの。同じ会社の所属アーティストでヨジョさんっていう、昔からシンガーソングライターをやってるアーティストさんがいるんだけど、彼女がもともとチェジュ島で本屋さんをやってて、ソウルにもオープンさせたんだって。そこには本だけじゃなくMSSに所属してるアーティストのCDとかレコードも売ってるみたい。あと「IRASUN」って洋書や写真集を置いてる本屋さんもおすすめ。
- 菊地:へー! 行ってみたいなぁー! あと次回は美術館も行ってみたいなって思ってるんだけど、おすすめの美術館はある?
- ソユン:嘘ついてない? 本当に行くのか?(笑)
- 菊地:マ・ジ・で・行・く!
- ソユン: はぁー(笑)うーん、国立現代美術館かな。そこはランドマークみたいになってて、その建物の前にすごい美味しいたい焼き屋さんがある
- 菊地:食べものの話が出たので、食べ物のことも聞きたいんだけど。
- ソユン:美術館の話はもうおしまい?
- 菊地:!!!(笑)ソユンが連れてってくれたビビンバのお店どこだっけ?
- ソユン:「ゴン」かな!
- 菊地:あのビビンバの味がほんとに忘れられないですね。
- ソユン:あそこおいしいよね! でも私引っ越しちゃったから、最後に行ったのはユキと行ったときなんだよね。今度は平壌冷麺食べ行こうよ。あと景福宮の方にたくさん屋台が集まってるところがあるんだけど、そこにも連れて行きたい。
- 菊地:カフェとかバーにも行きてーす。
- ソユン:すごい好きなカフェがあったんだけど、今日で閉店しちゃって(涙)。「コーヒー発電所」っていう…。
- 菊地:うわぁ残念!
- ソユン:あそこはいちばん好きだった…!
新曲の話しとソユンのおすすめのバンド。
- 菊地:そういえば新曲の『joke!』聴いたけどめちゃかっこよかった!
- ソユン:I know! I know!
- 菊地:あのMVどうやって撮ったの?
- ソユン:あれ、ベルリンで撮影したんだよね。
- 菊地:マジ! MVに出てくる馬って本物?
- ソユン:本物! 撮影場所として日本やLAも候補に入れてたんだけど、色々調べているうちに今回MVを撮ってくれたドイツの監督と巡り合ってベルリンに行くことになったの。
- 菊地:監督は誰なの?
- ソユン:アヌークって監督。
- 菊地:ちなみに、最近韓国で注目してるアーティストって誰かいる?
- ソユン:Hyodo and BASSっていう、つい先日アルバムをリリースしたばかりのスリーピースのバンドを注目してる。そのバンドがすごいおもしろい!
- 菊地:どんな感じの音なの?
- ソユン:ガレージロックって言ったらそうなんだけど、色々とっ散らかってておもしろい。ベースを弾いてるイジェさんは元パラソルのジーのバンドでもベースを弾いてるよ。
- 菊地:ライヴハウスもそんなにたくさん訪れたことないから、ソユンがおすすめするライヴハウスにも次回は行ってみたいなー。
- ソユン:セソニョンの他に、実はもう一個Byul.orgってバンドをやってるんだけど、最近そのバンドで「ヌベルグ」いうサンスの方にあるライヴハウスで久しぶりに演奏をしたら結構良かったんだよね。あとお馴染みの「シンドシ」に別館ができてそこもよかった。
- 菊地:別館できたんだ!
- ソユン:ユキは最近誰聴いてるの?
- 菊地:今年はOTTOってアーティストをよく聴いたかな。
- ソユン:ちょっと待って、寒い!寒い!きゃー
- 菊地:なんで外出たの?髪の毛凍ってる!
- ソユン:カフェが閉まっちゃって。(一回消えて戻ってきた)
- 菊地:じゃあ最後の質問にしよう! 色々聞いたけど、逆に最後に俺になんか聞いときたいことある?(笑)
- ソユン:今年も終わるけど2021年のうちにやりたいことは?
- 菊地:最近は英語の勉強を始めて、まだ20ワードしか覚えてないんだけど、単語帳に載ってる1800ワードを今年中に覚えたい。
- ソユン:なるほど。(日本語)
- 菊地:ソユンは?
- ソユン:旅行行きたいな。
- 菊地:どこに?
- ソユン:チェジュ!
- 菊地:俺は韓国行きたいよ。よし、寒いしもう終わりにしよう。 今日は忙しいなかありがとう! 元気でね。みんなにもよろしく!
- ソユン:またね。(日本語)こちらこそありがとう。よいお年を!
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