20211126 MASHIRO
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少年と名乗る、女の子が率いるバンドSE SO NEONの日常。
少年と名乗る、女の子が率いるバンドSE SO NEONの日常。

Singing everyday life.

少年と名乗る、女の子が率いるバンドSE SO NEONの日常。

2018.10.09

渋谷の街を歩けば、K-POPアイドルのヴィジュアルを必ずと言っていいほど見かけるように、
強力な勢いを感じさせる音楽シーンの水面下で、いま特に注目を集めているバンドがいることをご存知ですか?
昨年韓国でデビューを果たしたばかりの3ピースバンド、SE SO NEON(セソニョン)。
噂では、坂本龍一さんがはるばる彼の地まで公演を観にいくほど彼らに首ったけらしいのですが
当の本人たちはそれを知っても気負うことはなく、いつも通りの日々を過ごしてギグを重ねる。
いい意味で脱力したこのムードこそが多くのファンを魅了している所以なのかもしれません。
そんな話題の中心人物である彼らに来日ツアーを終えたタイミングで会ってきました。

Photo_Kaori Akita

なりたい未来像があったわけではなく、
ただただライブがしたかった。

ー今回の来日ではYogee New Wavesと東京と大阪で対バンツアーを開催し、TOPSの東京公演でもオープニングアクトを務めました。こうして日本でも日に日に知名度を上げているセソニョンですが、初めて知るガールフイナムの読者のために、いま一度、それぞれ自己紹介をしていただけますか?
ファン・ソユン(以下ソユン):はい! 去年の6月に韓国でデビューしたバンド、セソニョンのヴォーカル兼ギターを担当しています。デビューから1年ちょっと経過しましたが、ありがたいことに毎日忙しく活動をさせてもらっています。日本にはもう2回ほどライブをしに来ました。先日、Yogee New Wavesとソウル、大阪、東京で対バンツアーをやったのですが、日本のファンの方がかなり歓迎してくれたのは嬉しかったな。 あと、私はこのバンドの他に、모임 별というアート集団が結成したバンドにも参加しています。
ムンペンシ:英語で“Moon Fancy”と書いてムンペンシといいます。ムンは苗字です。ペンシをくっつけたのはなんとなく語呂がよくて。担当パートはベースです。
ーなるほど。ハングル読みだと “Fancy”が “ペンシ”になるんですね。続いてドラムの方のお名前は?
カント:ドラムを担当するカントです。
—バンドを結成するまでの経緯を教えてください。
カント:学年は離れていたんですけど、もともとぼくとソユンが同じ中学校に通っている者同士で。その当時は、お互いのことを知っているくらいで親交は特になかったんですが、20歳を迎えたころ偶然また彼女に再会する機会がありました。
ソユン:それが初めてちゃんと話す機会だったのですが、会話をしていくなかで、私からバンドを組まないかと声をかけました。2人でバンドを結成して、ライブハウスで公演を重ねるうちに、友人からの紹介でムンペンシも合流することになりました。
ーひさしぶりに再会する前から、すでにお互いがなんとなく音楽をやっていたことを知っていたとか?
カント:いいえ。2人ともこれといった活動はしていなかったのですが、話を聞いていると偶然にもお互いが何かを始めたいなと思っていた時期だったようです。
ーデビューしてから約1年が経過して、毎日が忙しいと言ってくれましたが、本当にそうだなと思うんです。というのも、韓国にいる友人らにおすすめのバンドを聞くと、ほぼ100%「セソニョンだ」という答えが返ってくるので。ご自身の実感としてはいかがですか?
カント:毎回ライブをすれば、想定していた以上にお客さんが観に来てくれるし、ただただ不思議なんです。自分のことじゃないみたいで。
ーそれは、デビュー前に思い描いていた未来像とは違ったものでした?
カント:実はデビューしたときも、ああなりたいこうなりたいっていうヴィジョンを掲げず、ただひたすら作った曲でライブがしたかっただけだったんです。結果的にいい反応をもらえたのは嬉しいことですが、予想していたことではありませんでした。
ー初のEP発売記念ライブのチケットは即完していましたし、そのシークレットゲストにはHYUKOHも登場していましたよね。デビューしてたった1年でその規模感に至った要因はなんだと思いますか? 弘大のライブハウスでこつこつと公演を重ねていったことなのか、それとも、何かひとつターニングポイントになるような出来事があったのか。
ソユン:何かひとつのきっかけがあった感じではないですね。デビュー前からずっと継続的にライブ公演を重ねたことで少しずつ発展していったのかなと。カントが言うように、何か大きな野望があるわけではないので、今後もこれまでのように少しずつステップアップできたらいいなと思ってます。
ーこの発売記念ライブの前に継続的に行っていたライブではどんな楽曲をプレイしていましたか?
ソユン:その頃のライブは、EPに収録される楽曲の原型となる曲をプレイしていました。そこから最終的にEPにする段階でプロデューサーを交えて編曲を。実は、そのプロデューサーっていうのは、キム・ハンジュ君なんですけどね。
ーへえ! 同じレーベル出身のバンドSilica GELのフロントマンですね。
カント:そう! 韓国ではよく一緒にライブをするし、仲良くしているバンドです。いまはメンバーのほとんどが兵役中なので活動を休止してるみたいですが。
ー他に仲良くしているバンドはありますか?
カント:Parasolと、ADOY、Shin Hae Gyeongなどです。
ーライブを拝見して、私自身もソユンさんの声とライブパフォーマンスにハマってしまったように、きっと同世代の女性のファンが多いんじゃないかなって思ったのですが、みなさんから見えるファン像を教えてください。
ソユン:東京で言う下北沢のようなエリアが弘大になるんですが、そこのライブハウスに来る人、熱心に音楽を聴いてる人は若い女の子が多いんです。でも、私たちのファンにはもっと多様性があるように思えます。若い子に交じって40、50代くらいのおじさんやおばさんもよく見かけたりしますし。なんなら、セソニョンのファンってたぶん男性の比率が多いくらいなんですよ。他のバンドと比べても圧倒的にそう感じます。なんでか分かりませんが。

昔の音楽をいま風にしているのではなく、
いまの音楽を昔風にしている。

ーすみません、ずっと気になっていたのですが、ソユンさんのメガネはどこで買ったものですか?
ソユン:ははは(笑)。これはパリの骨董市で買いました。メガネはたくさんコレクションしています。このレンズの分厚さからわかると思いますが、かなり目が悪いので私に欠かせないアイテムなんです。
ーいつも素敵なメガネかけていたので思わず。ありがとうございます。
ソユン:いえいえ(笑)。
ーさて本筋に話を戻しますが、みなさんはどんな音楽を聴いて育ってきたんですか?
カント:ぼくはずっとクラシックロックを聴いてきました。60年代前半のBeatlesやThe Who、Kinksとか。60、70年代のロックが好きです。最近はyoutubeで、この年代に影響を受けたであろう現行のインディバンドの曲も探しています。
ソユン:私は、とにかく超雑食で。韓国の昔の歌謡曲も聴くし、K-POPアイドルの歌も聴くし、HIP HOPも聴きます。エレクトロニックなものも聴くし、本当になんでもアリ。でも、私はバンドでギターを担当してるということもあって、演奏面でブルース、ソウルを参考にしています。中学生のときからギターを始めたのですが、そのときからずっとそう。
ー雑食ということは、いろんな人からおすすめされた曲を片っ端から聴いてるということですか? それとも自分で全方面を攻めてるのか…?
ソユン:特に高校生のときに夢中になって聴いていたんですが、その当時、周りにはそこまで熱心に音楽を聴いてる人がいませんでした。でも、韓国ではすでにストリーミング配信が普及していたので、おすすめされなくても自分で好きな曲を簡単にディグれる環境ではあったんです。
ーネットに強い韓国ならではですね。じゃあ、いろいろディグってた中で、ブルースやソウルのギターを参考にしようと思ったのはなぜですか?
ソユン:うーん、なんでだろう。とにかく感覚的に好きだったんです。即興性があるからですかね?
ムンペンシ:思えばソユンのギタープレイがまさにそうだよね。ぼくもなんでも聴いてみようとするタイプです。あ、でもトロット(韓国演歌)以外で(笑)。最近は、もっぱらThundercatばかり聴いています。
ーそれぞれが音楽を夢中になって聴いていた学生時代を過ごしてきたわけですが、趣味の枠から一歩抜け出して、自分でもそれで表現しようと思ったきっかけはあります?
ムンペンシ:ぼくの場合は、両親が買い与えてくれたギターを弾いてくうちにハマっていったというごく自然な流れからでした。
カント:ぼくも、小学生のときからドラムを習っていたのですが、ドラマーになるべくして習っていた訳ではなくて。結果として、職人気質な部分もあってドラマーでいるのが性に合ってるなとは思いました。
ソユン:私も幼少期から楽器をたくさん習っていたんですが、どれもイマイチ長続きしなくて…唯一、ギターが好きだったという…。
ー3人ともほぼ同じ理由で!
ソユン:本当ですね(笑)。私の場合は、弾くのが楽しくなってきちゃって、その延長でだんだんと自分で曲を書くようになりました。それも、最初は曲を作るだけだったのが、自分で録音するようになり、ミックスしたり、デモのアートワークとかも全部自分で作るようになりました。なんでも自分でやるようになっていくうちに、その全ての過程がおもしろくなってきちゃって。
ーMVのディレクションもされているんですか?
ソユン:はい! 自分たちの曲のイメージをいかにうまく表現するかアイディア出しは必ずします。『긴 꿈 A Long Dream』は、日本人アニメーターの土屋萌児さんにお願いしたんですが、これは制作段階でアニメーションじゃなきゃなという想いがありました。『파도 The Wave』は、歌詞の内容的にも演奏が爆発的になるとこも含めて、場面場面で思いついたところから形になりました。
ーバンドのロゴやグッズもご自身で手掛けているのですよね? 先日、坂本龍一さんが韓国で展示をしていたとき、SNSでセソニョンのトートバッグを持っている写真がアップされていたのが話題になっていましたね。
ソユン:そうなんですよ。プライベートでライブにも来てくださっていて、とてもありがたいです。
ーハングルで새소년と書くバンド名は、ソユンさんがたまたま本屋で手に取った80年代の雑誌名から名付けたと聞きました。言葉の意味を知ると、偶然か必然かバンドのアイデンティティを表現しているように思えたのですが。
ソユン:狙っていたわけではありませんが、確かにマッチしてますね。“새”は“新”または“鳥”を意味し、“소년”は“少年”という意味です。合体すると“新少年”または“鳥少年”。考え方としては、昔の音楽をいま風にしているのではなく、いまの音楽を昔風にしてるという感じ?
ーなんとなくわかる気がしますが、具体的に言うと?
ソユン:60年代、70年代頃の音楽をたくさん聴いてきたし、影響を受けている部分はもちろんあるけど、私たちはそれを現代風にアップデートする考え方というより、サウンド面でヴィンテージ感を出すようにしているんです。なんというかヴァイブス的なもので説明が難しいんですけど…ヴィンテージギターを取り入れているのもそういうことです。
カント:ぼくも今回のEPを録音したときに、一曲ごとにドラムセットをかえました。それくらいぼくたちがサウンドの再現度を追求した自信作です。
ソユン:曲によってバラバラですが、基本的には私がデモを作ってきちゃうことが多いです。もちろん3人でセッションして作るときもありますよ。『파도 The Wave』とかはそうですね。
カント:あれは前半部分はセッションで作り、後半をつくるのに苦戦した曲でもあるんです。いろいろ試行錯誤を重ねて、ライブでも何度か披露していくうちに、最後のソユンのソロパートが完成しました。
ー最後にひとつ聞きたいのですが、なりたい未来像を明確には掲げず、ただひたすらにライブをしていたい。では、そこで聴くことができる一曲一曲にはどんな想いが込められているのでしょうか?
ソユン:これも何かメッセージ性を持たせたいとかそういうことはなくて、私の周りに溢れるごく日常的な出来事を曲にすることがほとんどなんです。ひとりで作った曲は、部屋でごろごろ寝っ転がりながらギターを弾いてるうちにできたりするくらいで。それこそ『긴 꿈 A Long Dream』は、私が高校生時代にこっそり部屋で作ったもの。私が当時思っていたことや感じていたことが詰まっています。ファンのみんなにどうこうして欲しいとかはないけど、どことなく共感してくれたなら嬉しいです。
ーいい意味で肩の力が抜けているところに親近感がわきました。夢を追うバンドではなく、寄り添うバンド。こうしてお話を聞いてもなお、どこか胸の奥で「気になる」方たちでした。機会あったらというか絶対に、ソウルの公演も観にいきます!
ソユン:ははは! ありがとうございます。これからも変わらずに頑張ります。

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