俳優として。のせりんの素顔
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my feelings now

俳優として。のせりんの素顔

2025.08.08

若き表現者として注目を浴びながら、
端正なルックスと幅広い演技力で
役者としても活躍しているのせりんさん。
マルチな才能を開花し続ける彼が、
映画『近畿地方のある場所について』に出演。
作品のお話や演技に対しての想いを伺いました。

Photo: Kaho Okazaki
Edit & Text: Shunta Suzuki

―本作の出演が決まったのは、オーディションだったとお伺いしました。そのときのことを教えてください。
普段から僕は、オーディションは毎回挑戦する気持ちで受けているんです。今回はモキュメンタリーと劇映画が融合した作品だったので、なるべく自然に、ナチュラルな雰囲気で、と言われたのを覚えています。ワークショップっぽいことをしたんですが、いつもと比べると少し特殊なオーディションだったかも。結果を知ったときは、とても嬉しかったです。
―オーディション前に準備したことはありますか?
原作がある作品なので、その小説を読んだのと、オーディション用の台本を読み込んで臨みました。
―では、原作を読んだときの感想を教えてください。
実は僕がもともとホラーが怖くて苦手で、ホラー小説を読んだのも今回が初めてでした。読み進めるたびに、すごく怖かったですね(笑)。映像じゃなくて文字で頭に入ってくるのが、より気味の悪さを引き立てていて……。ホラー好きな人は、こういうところが好きなんだろうなと感じました。
―苦手なホラー作品に自分が出演するって、どんな気持ちになるんでしょうか?
もちろん作品自体は怖いんですが、撮影や現場の雰囲気は他の映像のお仕事と変わらないので。そこは気にせず、普段と同じような気持ちで入り込むことができたと思います。ただ、出演したからって、ホラーが得意になることはないです(笑)。
―のせりんさんが演じた目黒は、怪異に巻き込まれた大学生という難しい役柄でした。演じてみて大変だったことはありましたか?
うーん、そうですね……。でも僕は、W主演の菅野美穂さんや赤楚衛二さんと違って、怪異に立ち向かっていく役ではなかったので、そういう意味ではやりやすかったかもしれません。怪異の被害者というか、受け手側だったので。実際に自分が取り憑かれたことを考えながら演じていました。多分、取り憑かれやすい方だと思うので(笑)。
―事前の役づくりや演じる上で意識したことはありますか?
もともと原作のあるキャラクターなので、小説を読んで近づけながら、あとは現場で一度やってみてかなと思っていました。役はあまり作り込みすぎない方がいいって、昔誰かに言われて。事前に何パターンかは考えるけど、撮影現場で0からやるくらいの気持ちの方がうまくいく気がしています。
―白石監督から、演技について何か指導されたことはありましたか?
とにかく“自然な演技を”と言われたのを覚えています。自分的には自然な演技を心がけていたつもりだったんですが、白石監督からは「台本すぎるから、台本を忘れて。自分で繋ぎの言葉も足しちゃっていいから、とにかくナチュラルに。要所さえ抑えていれば、あとはもう何してもいいから」とまで言われて(笑)。とても新鮮な現場で、やりがいがありました。
―白石監督は、どんな印象でしたか?
撮影に入る前に白石監督の作品を見たのですが、話していると、ホラーをホラーと思っていないというか、信じていないというか……。白石監督ならではの独特な感覚だったんですよ。恐怖って感情があるのかな? と思うくらい(笑)。いままでに出会ったことのない方で、機会があればもっと色々なお話をしてみたいなと思いました。
―主演の菅野美穂さん、赤楚衛二さんとの共演シーンはいかがでしたか?
僕は一日しかご一緒できなかったんですけど、ちょうどその日が怪異に巻き込まれた後のシーンで。話すセリフも多かったので少し緊張していたんですが、菅野さんがめちゃくちゃ明るくて(笑)。お子さんのお話とか、いま若者のなかで流行ってることとか。控え室も3人で一緒だったので、色々お話をさせていただきました。
―とても楽しそうな現場ですね(笑)。
あまり自分から話しかけられるタイプじゃないので嬉しかったです。本番の2、3分くらい前までわーって話して、そこからシリアスなシーンも撮るみたいな(笑)。みなさん切り替えがすごかったです。演技の話とかは全然しなくて、人気のYouTuberの話とか、ダンスを踊ったりとか(笑)。すごく賑やかで、いい意味で緊張感がなかったです。
―のせりんさんが人見知りなのも意外でした。
はい、よく言われます。緊張してなさそうとか、人見知りじゃなさそうとか。なかなかわかりにくいみたいなんです。でも相手からきてくれたり、話題を振ってくれたらいっぱい喋っちゃいます(笑)。
―最近は演技のお仕事が増えていると思いますが、ご自身的にはどう考えていますか?
お芝居のお仕事、本当に楽しくやらせていただいてます。『近畿地方のある場所について』もそうですけど、今年に入ってから映画の撮影が増えていて。同じ映像の仕事でもドラマの現場しか経験したことがなかったので、すごく新鮮な気持ちです。
―映画とドラマの現場は違いますか?
進め方もそうですが、個人的には雰囲気が違うように感じました。別物として、いろんな挑戦ができるのが楽しいです。もちろんどちらの現場も緊張感があって、毎回勉強させていただいているのですが……。
―では、のせりんさんが考える、理想の俳優像などはありますか?
明確に思い描いているような像はないんですけど、やっぱり俳優としてやっていくなら、幅があるお芝居ができないといけないのかなと思います。そういう意味だと縦の幅も必要だし、横の幅も必要だし……。やらなきゃいけないことがたくさんあります(笑)。
―何事も挑戦する気持ちが大切ってことですね。
はい。トライ&エラーというか、最近あまり失敗が苦にならなくなってきて。一度やってみてダメだったら、方法を変えてもう一度やっても全然OKなんだなって気づいたんです。だからいま、無敵かもしれません(笑)。

INFORMATION

『近畿地方のある場所について』


出演:菅野美穂、赤楚衛二、のせりん
原作:背筋『近畿地方のある場所について』(KADOKAWA)
監督:白石晃士
脚本:白石晃士、大石哲也
脚本協力:背筋
公開日:公開中

公式HP

©2025『近畿地方のある場所について』製作委員会
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