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島田大介とCharaがコトリフィルムの軌跡をたどる。
島田大介とCharaがコトリフィルムの軌跡をたどる。

The Movement of Qotori film.

島田大介とCharaがコトリフィルムの軌跡をたどる。

2018.11.29

大手企業のTVCMをはじめ、RADWIMPS、サカナクション、
Perfume、ゆず、米津玄師といった一流アーティストのMVを数多く手掛け、
日本の映像業界を大きくリードしている「コトリフィルム」が
12月1日〜14日まで開催される展示『Qotorinicle』をもって解散。
創業2008年から現在までの10年間で生み出された映像作品のアーカイブが公開されます。
そこで代表の島田大介さんと、「コトリフィルム」史上もっとも多くのMVを制作したCharaさんの
トークセッションとともに、彼らが残した数々の名作を振り返ってみます。

Photo_ Masayuki Shioda
Hair & Make-up_Natsu

ー誰もが一度は目にしたことがあるような映像作品を数多く世に放ってきた「コトリフィルム」が解散。特に、島田さんが手掛けるCharaさんのMVは名作中の名作だと思います。これまで取り組んできた作品の制作背景や、2人の記憶に残る思い出話について聞かせてください。
Chara:私たちって最初に何の撮影をしたんだっけ?
島田大介(以下、島田):『Crazy for you』だと思います。でも、コンペでしたけど。
Chara:コンペ? それよりさ…彼の絵コンテを見たことある? やばいの(笑)。
島田:(笑)。
Chara:監督という人たちはだいたい絵心があって、漫画のように精密な絵コンテを描く人が多いんですけど、大ちゃんのはもう…足を幽霊みたいに描くし、とにかくひどい。
島田:CharaさんのMVを初めて撮るから本気で描いたやつだったんだけど。
Chara:いやいや、やばいよ。もっとちゃんと描くこともできるの?
島田:最近はもう少しマシになりましたよ。それはさておき、撮影したのが2006年ですね。
Chara:思ってたより昔の出来事ではないんだね。でも、もっと前から知り合ってはいた?
島田:意外とそれくらいからですよ。
Chara:その後にやった『FANTASY』はさ、電車を貸し切って撮影してすごかったよね。あのとき出演してくれた女の子が、すーちゃん(SUMIRE)と同じ学校に偶然入学してきたんだって。
島田:(松浦)りょうちゃん? へえ。
Chara:そうそう。もうさ…挙げきれないくらい他にも色々やったよね。『ボクのことを知って』はそれこそ、今日ヘアメイクをしてくれた奈津も参加してくれた作品だし。後半部分で、いろんな物がゆっくり宙を舞うシーンがあるんだけど、ああいう撮り方好きだよね?
島田:そうかもしれない(笑)。
Chara:ね! うちの中庭でも撮影したしさ。『breaking hearts』の本の表紙かな? ツアーのときにずっと密着してもらって、いろんな表情を捉えてくれた思い出深い一冊。もう四六時中ずっと付きっきりだったんだけど、仲良いからこそできたというか。居ても嫌な気持ちにならなかったからね。
島田:そういえば『恋は目を閉じて』も自宅で撮影させてもらいましたよね。
Chara:そうだそうだ! 8mmで撮った作品ね。あれをHIP HOPアーティストが結構気に入ってくれていて「マネしたい」とか「あんな感じで撮りたい」とかよく言われたりするの。
島田:MVは全部で10本。「コトリフィルム」がディレクションしたなかでは最多です。
Chara:え! 本当に? 野田洋次郎のRADWIMPSは?
島田:9本かな?
Chara:意外。そういえば、『やさしい気持ち』を2014年にセルフカバーしたときも、大ちゃんが撮ってくれたんだよね。18歳の初々しいすーちゃんが出演してくれた作品。
島田:すーちゃんに初めて会ったのは、彼女が12歳くらいのときかな。
Chara:『honey』のときだね。思春期をテーマにしたアルバムで、そのジャケットのモデルをしてくれたんだけど、当時は「娘がモデルをしている」とは公表しないようにしていたの。まあ…大ちゃんとは、そんな長い付き合いですね。それが、解散するって?
島田:バンドみたいですね(笑)。
Chara:本当だね! いつで終わり?
島田:アーカイブ展『Qotorinicle』を12月1日〜14日まで開催して、それが終わり次第。ただ、バンドみたいに大袈裟な解散ではなくて、別にもう「コトリフィルム」って形がなくてもいいんじゃないかな? と思っただけで。
Chara:それこそ「コトリフィルム」から旅立った“小鳥”たちもいるもんね。いちばん有名になった“小鳥”は誰?
島田:鎌谷聡次郎ですね。水族館「ニフレル」のCMで、すーちゃんも出演している作品です。
Chara:へえ。そんで、どうすんの? これからは。
島田:うーん。
Chara:映画監督になるの? カメラマン? 指導者?
島田:「コトリフィルム」って、いわゆる“映像ディレクター”の集まりだったんですけど、何か新しいことをやってみたいと思ったときに、その肩書きが邪魔になってきたというか。「映像ディレクターが写真を撮りました」とか「映像ディレクターによる展示」とか言われてしまうのは、ちょっと違う感じがして。なので一回全部を取っ払ってみて、いろんなことに取り組んでみたいということで解散することになったんです。
Chara:写真が特にやりたくなったとか?
島田:いや映像もやりたいんですけど、展示をするときの表現方法が限られていて難しいんですよ。その手段として、写真を使っているって感じです。
Chara:小松菜奈ちゃんが出てたショートフィルムも、かわいかったよね。ああいう「この子、かわいいな」と思わせることが上手いよね。それは、これからも続けてよ。
島田:そうですね。
Chara:それってさ、私でいうなら何になるの?
島田:いや、だから“Chara”に憧れているんですよ。歌手とかなんだとかに捉われない、“Charaが表現するもの”。
Chara:まあね。
島田:映像ディレクターという仕事を、生涯続けていくとは思っていなかったんですよね。
Chara:じゃあ、プロデュースってこと?
島田:セルフプロデュースですかね。どうしても自分の手を動かしたくなっちゃうタイプなので。もっとパーソナルなものを作っていきたいんです。後は、他の「コトリフィルム」のメンバーも、もっとセルフプロデュースした方がこれからの時代にあってるかなと。
Chara:わかるよ、それってバンドと同じだ。でも「天才に付いていくのも、天才だよ」と言われるように、大ちゃんのサポートをしている人たちも大変だとは思う。でも、自立をするためなら、解散という手はアリなのかもしれないね。今回の展示は、解散コンサートってことか!
島田:バンドで例えるなら。
Chara:本当はそのリーダー的役割を誰かにやって欲しかったんでしょ? 私もそうだもん。クリエイトすることは好きだけど、そこでお金のことを考え出すと、どんどん小さくなっていく気がして。大ちゃんもそういうことを考えずに、自由に表現できるようになってほしいな。
島田:ありがとうございます。ネガティヴではなく明るい解散です。
Chara:そうだね! ところで、若手のクリエイターとの交流はあるの? もう周りからは大先輩って呼ばれちゃうでしょ?
島田:そうなんですよね…。
Chara:斎藤工くんも言ってたよ。映画は撮らないの?
島田:うーん。商業的な作品に多く携わっていたので映画を撮ることは夢ですけど、撮影までの過程が広告と違いすぎて。もちろん映画のなかでも商業的な側面はあって、そこを避けてしまうと今度はインディペンデントになってくるから…。
Chara:それを聞くと音楽の方が、自由にやれることは多いのかもね。スマホひとつでも音楽が作れる時代になった訳だし。でもさ…なんかあったら、また一緒にやろうよ。“解散”と聞くと、まるで大ちゃんがどこか遠くに行ってしまうような気がしてしまったんだけど、引退する訳じゃないんでしょ?
島田:もちろんです。広告制作を一度セーブして、自分の作品づくりに向き合うつもりです。
Chara:でも、おもしろい広告制作のオファーがあったらトライするでしょ?
島田:はい(笑)。ただ、例えばフォトグラファーは、そういう広告もやりつつ自分で個展も開催する人が多いじゃないですか。でも映像の場合は、人も時間もお金もかかるので。仕事に追われて自分作品に向き合う時間をあまりにもつくってこなかったなと。
Chara:私が知らない大ちゃんだね。でも、あなたはいいの。かわいい子を撮るのが本当に上手なんだから、自分で探してまた撮ればいいのよ。
島田:そうですね。実は、Charaさんと一緒に作品づくりをするときは、あえて何も考えずに行きます。Charaさんとこうやって話している内に形になっていくことが多いんですよ。
Chara:どんな曲なのかについては毎回聞いてくれるよね。でもそれを絶対表現してほしいんじゃなくて、あくまでインスピレーションのひとつとして捉えてもらってる。ああ、やっぱり絵コンテ見てほしいなー。それも展示してよ。勇気出るから。あの絵心でも、ちゃんとスタッフと意思疎通がとれていて形になっているわけだからすごいよね。大ちゃんってさ、無言で想いを伝える圧力? 力? あると思う。
島田:(笑)。
Chara:怒ってるところは見たことがないんだけど、いい意味でプレッシャーをかけられている気がするの。
島田:ディレクターの仕事ってキャスティング力が大事で、自分がいいと思うスタッフを集めることが主な仕事だと言ってもいいくらいなんです。
Chara:確かにね。私の場合は、その日の見た目や印象がMVに影響している気がするから、無意識にそれっぽいもの着ていったりして準備しておくの。別に頼まれた訳ではないんだけど、そういうプレッシャーがあるのかな。
島田:今日もローラースケート履いてくれてますしね。
Chara:そうだよ。今回の取材は私服のままだからさ、昨日の内に「何着たらいい? 」ってLINEしたのに返事してくれなかったじゃん。そういうこと(笑)。自然と呼び寄せる力があるんだと思う。
島田:自然な流れで決まった演出と言ったら、『恋は目を閉じて』ですね。以前Charaさんにお願いされてホームビデオを全部編集したのをきっかけに生まれたシーンがあります。
Chara:そうそう。昔の「Hi8」がもう手に入らなくて、子供の小さい頃の映像が見れなくなってしまう前にDVDにしてもらったんだよね。サブリミナル効果じゃないけど、ちょこっとその映像を使ったの。じゃあさ、私と一緒につくった作品のなかでいちばん印象深かったものを聞こうかな。
島田:どれだろう…。
Chara:『Sympathy』でさ、ピンクのモフモフしたものを置いて撮っていたんだけど、あれ笑いながら撮ってたでしょ?
島田:気に入ったから置いてたんです(笑)。
Chara:あの絶妙なモフモフを用意してって頼んだの?
島田:はい。あれは植物なんです。完成したときのCharaさんの感想も「全然、意味がわからない」でしたね(笑)。すーちゃんは気に入ってくれてたみたいですけど。
Chara:気にはなるよ。そういう映像づくりは大事だから。
島田:それで言うと、吉田ユニちゃんと手掛けた『恋文』ですね。ユニちゃんのこだわりは僕が気づかないような女性的な視点だったりして。
Chara:こだわり強かったね。最後のシーンで、「唇の形は絶対にハートにしたい」とか(笑)。
島田:でも、Charaさんと朝まで撮影することって無かったですよね? 大変だったのは『Crazy for you』のコマ撮りだったけど。
Chara:細々撮ってたね(笑)。
島田:“コマドリフィルム”なんて言われたときも(笑)。
Chara:本当だよね! いちばん時間がかかった作品は?
島田:サカナクションの『目が明く藍色』ですね。
Chara:この曲いちばん好き。MVを観て好きになった作品だし、クレジットみたら大ちゃんだったからやっぱりなって! これもあのニョロっとした絵コンテで説明するの?
島田:そうそう。
Chara:もうさ、Spotifyで“島田大介ビデオコレクション”を作った方がいいよ。全部観たいし、そのプレイリストを待ってる人も多いと思う。それで会場でも流しておいてよ、絶対遊びに行くからさ。
島田:用意しておきます。会期中は毎日在廊する予定なので、いつでも来てくださいね。

INFORMATION

『Qotorinicle』 Qotori film 2008-2018 10th Anniversary Last exhibition

日程:2018年12月1日(土)〜12月14日(金)
場所:104GALERIE-R
住所:東京都目黒区大橋1-6-4 GARAGE
時間:12:00~20:00
電話:03-6303-0956
qotori.tumblr.com

Chara『Baby Bump』

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レーベル:Universal Sigma
charaweb.net