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新たな出会いがもたらす、〈ATTISESSION〉スタイリング考。VOL. 02〈KAKAN〉デザイナー 工藤花観さん
新たな出会いがもたらす、〈ATTISESSION〉スタイリング考。VOL. 02〈KAKAN〉デザイナー 工藤花観さん

新たな出会いがもたらす、
〈ATTISESSION〉スタイリング考。
VOL. 02
〈KAKAN〉デザイナー 工藤花観さん

2024.11.30 / TIE UP

24SSシーズンにデビューしたブランド〈ATTISESSION(アティセッション)〉のディレクターを務める四谷奈々可さん。
弱冠26歳の彼女が、“いま”会いたい人のもとへ訪問し、〈ATTISESSION〉のスタイリングを考案してもらう連載企画。
第二回の対談相手は、同い年のファッションデザイナー〈KAKAN(カカン)〉の工藤花観さん。
同世代であり、似たルーツを持つ工藤さんのスタイリングは〈ATTISESSION〉に新たな化学変化をもたらします。

Photo_Wataru Kakuta(TRIVAL inc. )
Text_Shun Koda
Contributing Stylist_Shiho Kato

四谷さんがディレクターを務める
〈ATTISESSION〉については
こちらから!

連載シーズン1、
「新生ディレクター四谷奈々可の
クリエイター訪問記。」はこちらから!

GUEST 工藤花観

1998年7月8日生まれ、東京都出身。両親の影響でファッションに興味を持ち、18歳で渡英。名門セントラル・セント・マーチンズで学んだ後、2022年イタリアのイスティチュート・マランゴーニのファッションデザインコースを卒業。2024-25年秋冬コレクションで自身の名前を冠したブランド〈KAKAN〉をローンチした。
Instagram:@kakankudo

HOST 四谷 奈々可

1998年7月7日生まれ、石川県出身。文化服装学院ファッション流通専攻科に入学。卒業後、20年4月に「UNITED ARROWS」に新卒入社し、セールスパーソンとしての経験を積んだ後、22年春夏から「BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS」次世代ラインの企画を掛け持つ。24年春から〈ATTISESSION〉のディレクターを務める。
Instagram:@7k0512

共鳴する、異性に媚びない芯のある女性像。

ー 歩んできたキャリアは違えど、同い年で誕生日が1日違い、そして若くしてブランドを手がけるお二人。まずは出会いから伺った。
四谷:〈KAKAN〉のインタビュー記事は読ませてもらっていて、同い年のデザイナーということもあって気になる存在でした。展示会で初めて直接お会いして、その時は急なアポイントだったのでゆっくりお話しはできなかったんですが、声のトーンも同い年とは思えないほど落ち着いていて、それがクリエイティブにも反映されているなと感じました。
同い年のデザイナーやクリエイターにお会いする機会は滅多になくて、そこがうれしかったですし、私の友人にもセントマ*出身の方がいて、インスタを拝見した時に共通の友人もたくさんいるなという印象でした。
*セントラル・セント・マーチンズ:ロンドン芸術大学の中のカレッジの一つで、著名なデザイナーを数多く輩出している名門大学。
工藤:あの時はあまり喋れなかったけど、この間モーニングしながら色々話しました。同い年のデザイナーはいても、奈々可ちゃんのようにショップで働いてからディレクターとしてブランドを立ち上げるっていう経歴を持っている人は他にはいなくて。私たち以上に制約も多い中でブランドを運営してるっていうのは同世代のデザイナーさんよりも刺激的な存在だなって感じています。
四谷:私も刺激をもらってる存在だったので、そう言ってもらえてうれしい。〈KAKAN〉の展示会に行った時は、ちょうどニットブランドを探しているタイミングだったんです。インポートのニットブランドは仕入れてたんですが、日本の工場を使って、糸にこだわって手編みをするっていうニットブランドはまだ仕入れてなかったですし、その強いこだわりにすごく惹かれました。 ニットってカジュアルだけど、いい意味で重く見えるアイテムだと思うので、他のブランドと掛け合わせた時にきっと面白くなるだろうなと思いました。あとは素直に自分が着たいなって思ったんです。
工藤:「ATTISESSION」のショップに1stシーズンから仕入れていただけて、とてもうれしいです。 スタートして間も無いブランドにとって、1stシーズンは特にブランドの歴史の中でオーディエンスが最も少ない。私の代わりにお客様に〈KAKAN〉の服を届けてくれることは、我が子を預けるような思いがあります。そんな中でショップからするとシーズンによって推したいブランドも変わるだろうけど、私は〈KAKAN〉の服が店の一番大きい割合を占めてなくても全然うれしいんです。むしろ、ショップ毎にセレクトも提案するスタイルも異なるので、別のブランドと自由に組み合わせてもらって楽しくオシャレしてもらえたら私にとっても新しい発見になりますし、ファッションは楽しいのが一番じゃん!みたいな考え方なんです。(笑)
手紡ぎのニットだけじゃなく、どのアイテムを見ても〈KAKAN〉らしさが感じられるように心がけて作っているんですけど、「ATTISESSION」では手紡ぎじゃないアイテムを多く仕入れてもらっていて、それが私にとってすごく新鮮でワクワクしてるんです。手紡ぎのニットがキャッチーだと思うんですけど、それ以外の洋服にもスポットライトを当てていただいているので、これからも楽しみながら取り組んでいきたいなと思ってます。
ー ニットを紡ぐように、交互にリスペクトを送り合う二人。〈KAKAN〉のヴィジュアルに登場するモデルは、凛とした力強さを感じさせつつも、どこか脱力したムードも醸し出している。どんな女性像を描いているのだろうか。
工藤: 私はセントマーチンズの後、ミラノで勉強していたんですが、そのきっかけになったのが、フランカ・ソッツァーニというイタリア版『VOGUE』の元編集長。意見とスタイルを持っている女性で、私のペルソナ像もその人をイメージしています。“フランカ”という言葉の語源は、1300年代頃からあるオールドフレンチ語の“フランク”という、“率直な”という意味を持つ言葉です。当初は戦争時の奴隷だった人たちが、自由になるための言葉として用いていたそうなんです。なので、私のペルソナ像は、“率直であり、自由で、そして偏見を持たず中庸な人”。実は〈KAKAN〉の会社名もフランカという名前で、社会的責任を持つ一企業としてそうありたい、そう成長していきたいという思いがあります。
ー ロンドンとイタリアで学んだ工藤さんと、日本で学んだ四谷さん。 出自の異なる二人が手がけるブランド〈KAKAN〉と〈ATTISESSION〉だけれど、お互いに共通する部分を多く感じているそう。
工藤:自由だけど、自立してる感じもある。そこが〈KAKAN〉と〈ATTISESSION〉の共通している部分かなって思います。植物はいい香りを漂わせたり鮮やかな色の花を咲かせたりして、虫や鳥を誘って繁殖範囲を広げていくじゃないですか。人間は計算して動くけど、植物は何一つ臆することなく着飾って魅力的であろうとする。そんなことを考えた時にファッションもそうあるべきだなと思ったんです。変な言い方になるかもしれないけど、モテたいとかよりも自由にファッションを楽しむことが大切で、そういう人に出会うと私はグッと来る。それを女性像として実践、発信しようとしているのがお互いのブランドかなって思いました。
四谷:そうかも。
工藤:奈々可ちゃんを見ても、古着も新品も関係なくミックスしながらリラックスしたファッションを楽しんでいるし、私もそんな抜け感のあるスタイルが好き。意外と共通点が多いのかもなって感じてます。
四谷:私自身も花観ちゃんの作ったスクラップブックを見た時に、1ページ目がキャロリン・べセットの写真だったことが印象的で、私もすごく好きな女性なんです。さっき花観ちゃんが伝えてくれてたように、リラックスしてるけど芯がある、異性に媚びない女性像はお互いの共通項かなって思います。
工藤:ニューヨークのストリートスナップじゃないけど、私はセレブリティがパジャマ姿でスーパーへ行くような気取らないスタイルがおしゃれでかっこいいと思うんです。〈KAKAN〉もそういうムードを想像していて、ニットはそもそもが抜け感のあるアイテムだけど、ジュエリーや化粧で装っていなくても〈KAKAN〉の服を着るだけで色気のある服であれたらなと思います。〈ATTISESSION〉の服もそういう服だなって思いました。
四谷:ありがとう。アウトプットの方向性は違えど、込めたい内容は似たところがあるのかも。
工藤:それと私は〈ATTISESSION〉というブランド名が大好きです! “Attitude”と“Obsession”の造語で今まで世界に存在しなかった単語のはずなのに、凛として耳なじみがよく、コンセプトも明確。
〈ATTISESSION〉って名前を聞いただけで芯のあるモードな女性像が浮かぶネーミングが素敵だなって思ってます。私はブランド名は、呼びたくなる名前がいいなと思っていて。私も昔から自分のブランドをやるなら〈KAKAN〉がいいと思っていたわけではなくて、親から授かった名前がたまたま覚えやすく、テキストにしても見やすかった。“シャネル”や“ディオール”もそうだと思うんだけど、口に出して誰かに教えたくなる、愛されるブランドであり続けるんじゃないかな。
四谷:うれしい!
工藤:あくまでも個人的な考えなんですが、ブランドは一言で説明できたらいいと思っていて、〈KAKAN〉だったら手紡ぎ、ニット、オレンジとか。〈ATTISESSION〉を想像するとき、女性らしさ、媚びない、カウンターアティテュードみたいな。それを体現する奈々可ちゃんがさらに説得力になる。そういう単純明快なところが、ブランドの信頼に大きく関わってくるんじゃないかなって思ってます。すごくアバウトな言い方だけど、〈ATTISESSION〉の服って、〈ATTISESSION〉だなって思うんだよね。
四谷:ほんと? 服を考えてる時に〈ATTISESSION〉らしさってなんだろうって考える時があって、そう言ってもらえるとすごくほっとする。
工藤:スタイルがあるって、なかなか真似しようと思ってもできないことだもんね。

同系色と差し色の対照的な異素材MIXスタイル。

STYLING :01

ベスト:KAKAN
パンツ、ニットストール:ともにATTISESSION
シューズ:IRENISA
ジュエリー:studiolab404.com(工藤さん私物含む)
グローブ:Sermoneta Gloves(工藤さん私物)
ベルト:DRIES VAN NOTTEN(工藤さん私物)
ベスト:KAKAN
パンツ、ニットストール:ともにATTISESSION
シューズ:IRENISA
ジュエリー:studiolab404.com (工藤さん私物)
グローブ:Sermoneta Gloves(工藤さん私物)
ベルト:DRIES VAN NOTTEN(工藤さん私物)
ースタイリングのポイントは?
工藤:どちらのスタイリングにも共通しているんですが、これまでの〈ATTISESSION〉のビジュアルとは別の一面を見せられたらと思って、〈KAKAN〉の根底にある”モード感”を〈ATTISESSION〉の女っぽさとMIXしています。私はメンズ畑で育ってきたところがあるので、そういった視点からの甘すぎないスタイリング、私がとらえる”ユニセックス”を心がけました。

このスタイリングに関しては、〈ATTISESSION〉のニットストールがすごく可愛かったので、これを活かしたいなと思って。〈KAKAN〉のベストも同じニットなんですが、この素材はフォックス混のファーになっていて毛足が長い。同系色だけど、微妙な素材の風合いの違いでコントラストが生まれるようにしました。

STYLING :02

コート:Jakke
パンツ、グローブ:ともにATTISESSION
ベスト:KAKAN
インナー:Ysé Paris (工藤さん私物)
ブーツ:SOLOVAIR (工藤さん私物)
バッグ:VINTAGE CHANEL(四谷さん私物)
コート:Jakke
パンツ、グローブ:ともにATTISESSION
ベスト:KAKAN
インナー:Ysé Paris (工藤さん私物)
ブーツ:SOLOVAIR (工藤さん私物)
バッグ:VINTAGE CHANEL(四谷さん私物)
ースタイリングのポイントは?
工藤:このピンクのモヘアベストは〈KAKAN〉の25SSのアイテムなんですが、奈々可ちゃんが展示会で試着してくれた姿がすごく素敵だったので使いたかった。1つ目のスタイリングではネックレスをレイヤードしましたが、このスタイリングでは首周りに抜けを持たせています。急いでデートに飛び出してきたイメージで、〈ATTISESSION〉が取り扱う〈Jakke(ジャッケ)〉のコートの下に、ブラの透け感やニットパンツでリラックス感を持たせつつ、奈々可ちゃんの私物の〈CHANEL〉のバッグで女性らしくまとめているんですけど、エンジニアブーツでマニッシュさも加えています。
ーこちらの異素材MIXも素敵ですね。
工藤:こちらは違うテクスチャーを組み合わせて、奥行きをもたせています。光沢感のあるコートに、ニットの自然な風合いが入るとお互いを引き立てますよね。

家庭環境が育んだ独自のファッション感。

ー 同い年ということもあり、盛り上がるのは昔話。お互いのファッションのルーツの話に花が咲きます。
四谷:おばあちゃんが洋裁の先生だったから、ワンピースとか洋服を作ってくれていておしゃれを楽しむみたいな感じの子供時代だった。

工藤:そうなんだ!

四谷:そう、でもちっちゃい時って『プリキュア』とかが好きだから当時は『プリキュア』の服が着たいって思ってたけど(笑)。今になってみれば、すごくいい幼少期を過ごせてたんだなっておばあちゃんに感謝してます。

工藤:いい話だね。

四谷:それとお父さんが古着好きだったこともあって、学生時代は古着ばっかり買っていて、それから自然と東京に出てファッションのことを学びたいなって思ってたかな。

工藤:どんな古着を着てたの?

四谷:当時はヨーロッパ古着がすごく好きで、デニムも穿かないし、スニーカーも選ばないって感じで、ガウンとかレースみたいな服が好きだった。今はヨーロッパヴィンテージみたいなスタイルはしないけど、レースのアイテムやニットガウンをカジュアルなアイテムとして作ったりしてるのは、なんとなく、そのルーツからなのかなって思ってる。花観ちゃんは?

工藤:私もおばあちゃんがワンピースとかドレスを作ってくれてて、それがすごくうれしかった。だから、やっぱり似てるのかも。母も編み物してたし、父もファッションが好きだった。

四谷:古着もよく着てた?

工藤:親が新品しか着ない人だったから、高校生の頃とかはあんまり着てなかったんだよね。でも高校を卒業してから、ロンドンへ留学に行くと10ポンドぐらいで買えるリサイクルショップがいっぱいあって。安いけど良いものもたくさんあって、それ以来古着もヴィンテージにも興味を持つようになった。あとはお母さんのお下がりとかをよく着てたな。

四谷:わかる、私も着てた! 今つけてる時計もお母さんのお下がりだし。学生時代にお金がないから、お母さんのクローゼットから勝手に服を借りてた(笑)。

工藤:やってた!(笑) 両親の影響って大きいよね。

四谷:ほんとに。知らず知らずのうちに影響を受けてるんだろうね。逆に服飾の学生時代はどんなブランドが好きだった?

工藤:最近2014年に自分で買った『Pen』のエディ・スリマン特集を見つけたんだけど、すごく好きだった。
四谷:この辺のシーズンってすごくよかったよね。ジョナサン・アンダーソンが〈LOEWE〉のデザイナーになったのも2013年とかだし、個性がはっきりしててかっこいい時代だった。

工藤: 奈々可ちゃんはどんなブランドが好きだった?

四谷:私は高校生の時に〈Vivienne Westwood〉が好きになって、その流れでヨーロッパ古着やパンクが好きになった。

工藤:そうなんだ! 私はセントマーチンズ在学時はガリアーノやチャラヤンが好きだったな。

若き二人が見据えるこれから。

ー 続いては両ブランドのヴィジュアルディレクションの話へ。
四谷:24FWのテーマが“アップデート”ってところで、昨シーズンよりもアイテムが大幅に増えて、ブランドとして世界観を全面に打ち出していこうというシーズンでした。それで自分の中で「アップデートしたいな」と思ってる時って、意外とリラックスしている瞬間だなって感じて。そのリラックスの瞬間と、少し背伸びしたいっていうところにレンジを持たせてスタイルや洋服を提案しようと思いました。

-ATTISESSION 24FALL LOOK

-ATTISESSION 24WINTER LOOK

四谷:そのリラックスっていう部分で柔らかな空間を表現しようとなって、背景にカーテンを掛けて、足元にはバスマットを40枚くらい重ねて違和感を出しています。これはクリエイティブチームと相談しながら作り込んでいきました。〈KAKAN〉の25SSもリラックス感を感じたんだけど、あれって海外ロケ?

工藤:そう、イタリア。

四谷:そうなんだ、やっぱり光が違うもん。

工藤:1stシーズンでニットを打ち出して、2ndシーズンの25SSは何をやってくるんだってバイヤーさんから期待されてるのを感じていて、私もそれに応えたいし、やりたいことあるぞって気合いも入っていて(笑)。ニットって言うとAWのイメージが強いと思うんですけど、作り手からするとSSだからこそできるリゾートコレクションのニットもあって。ジャージとかもニット組織だし、スイムウェアくらいまで振り切ろうかと思ったんですけど、パターンの都合でボディスーツぐらいに留めたりして。

四谷:モヘアのニットも発色良くて可愛かった。

工藤:ありがとう。ああいう明るいハッピーな色を着るタイミングって大勢がいる前を想像しがちだと思うんだけど、私だったら身内だけのホームパーティ、もしくは普段の自分のことを誰も知らない場所だからこそ露出できたり、可愛いものが着たくなるなと思って。ファッションって他人の目ありきなんだけど、でも人の目がつかないところだからこそはっちゃけたいっていう矛盾を表現したかったんです。

そういうことを考えていたら、北イタリアが浮かんできて。『君の名前で僕を呼んで』じゃないけど、熱っぽい密室な感じのムードが良いと思って、フォトグラファーさんにスケッチブックを見せたら、「これイタリアじゃない?」って見抜かれてしまって。とりあえずイタリア行きの飛行機のチケットを探したら見つかって、モデルの子も確保できたので、行くしかない!って突発的にイタリアロケが決まりました。アプローチの仕方は違うかもしれないけど私もリラックス感みたいなところは求めていたのかも。

-KAKAN 25SS IMAGE VISUAL

ー 2シーズン、3シーズンと重ねていくことで、プレッシャーも大きくなっていくのか。それとも解放されていくのだろうか。
四谷:私自身まだ模索中の部分ではあるんですけど、〈ATTISESSION〉を立ち上げる前に、先輩たちにアドバイスをもらいながらではあるけれど〈BEAUTY&YOUTH〉の企画をほぼ1人でやっていたので、それが今の糧になってるなって思っています。今はチームでやれているので、1人で抱え込まなくなったというか、少し肩の荷が下りたのかなって思います。あと、24FWからお客様と1番近いお店のスタッフから意見をもらえるようになって、それによってすごく視野が広がった気がします。花観ちゃんはどう?
工藤:自分の作ったものが商品として値付けされて店頭に並ぶっていう経験が人生で初めてだったから、1stコレクションデリバリー前の9月までは体力的にも精神的にも参っていました。店頭に並ぶまで受け入れてもらえるのか不安な気持ちが大きかったんです。でも私も奈々可ちゃんと一緒で、卸先さんに足を運んで現場の声が聞こえるようになってから、少しずつ安心できるようになったかな。私の服を楽しみに待ってくれている人がいるんだって。それが栄養になって、ようやくやりがいとか、楽しさを感じるようになってきた。
ー まだまだデビューして間もない二人。これから先の未来で挑戦してみたいこととは?
四谷:コンセプトストアみたいなことができたらいいなと思ってます。服が買えるだけじゃなくて、週に1度、お客様を招いてお茶を淹れたり、海外のショップで見かけたんですけど盆栽をしたりとか(笑)、ファッション以外の趣味というかインスピレーションを共有する場を設けたいなって思っています。それにドレスコードを設けて、集まるみたいな。

工藤:え、良いな、楽しそう! 私はまずはブランドを10年続けることが目標。あと、またちょっと違うかもしれないけど、世の中に新しいものはないって悲観的に語る人っていると思うんですけど、私は反対で。たとえば0歳の子が生まれて初めて描いた絵が、たとえお花や車や、お父さんやお母さんという一般的なモチーフだったとしても、それが新しくないわけがないって思うんです。私は新しいもの全てが真新しいものである必要はないと思っていて、たとえ昔繰り返されたものだったとしても、今この瞬間に生まれ落ちたアイディアが素晴らしければワクワクするし、それだって最先端。それでいいと思う。私はそういうものをずっと楽しんで作り続けていたいなって思っています。
ー 最後に投げかけたのは、〈ATTISESSION〉と〈KAKAN〉でコラボするなら、どんなアイテムを作りたい? という質問。
四谷:やっぱりニットは作りたいな。私は〈KAKAN〉のニットを、野暮ったく見えない布帛(ふはく)のようなニットだと感じていて、それはシルエットとか、細やかなディテールに隠されているんだと思っているんです。だから胸の開き具合だったり、着崩し方のポイントとかを〈ATTISESSION〉っぽくアレンジしても良いなって思ってます。〈ATTISESSION〉を気に入ってくれている人だったら、〈KAKAN〉の服は絶対に好きだと思うので、一緒に作れたらきっと喜んでもらえるはず。それと、もし何か体験イベントができるんだったら、手紡ぎでちょっとした小物を作れても楽しいだろうなって思います。どうやって作られているか知りたい人も多いと思いますし。

工藤:それも楽しそうだね。前にモーニングしながら話したけどニットの小物もいいなと思うし、〈ATTISESSION〉の服を見た時に好きなシルエットって意外と似てるのかなと思ったから、ニット以外のアイテムを別注できたりしたら同じ視点からスタイルを提案できたりして楽しいかなって思います。

四谷:ニット以外も良いかもね。

工藤:あと誕生日も1日違いだから、日を跨いでバースデーイベントやっても楽しそう。お互い界隈も違うからいろんな人たちが来てくれそうだし、古着屋にありそうなお茶目なTシャツとか一緒に作って、ファッションが好きなみんなでお祝いしたい。

四谷:お互い7月だから誕生石もルビーで一緒だし、そういう共通点を踏まえたデザインにしたりね。

工藤:蟹座もそうだね(笑)。

四谷:確かに(笑)。やりたいね!

TODAY’S STYLING

LEFT_
Nanaka Yotsuya

コート:ATTISESSION
トップス:AURALEE
パンツ:NIKE(USED)
シューズ:Foundry Mews

RIGHT_
Kakan Kudo

ブルゾン:LITHIUM HOMME
パンツ:98’s HELMUT LANG(VINTAGE)
シューズ:GERMAN NAVY(VINTAGE)
アイウェア:Lesca LUNETIER
ニットキャップ:POLO RALPH LAUREN(ATTISESSION)