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新たな出会いがもたらす、〈ATTISESSION〉スタイリング考。VOL.03グラフィックデザイナー 和田佑司さん
新たな出会いがもたらす、〈ATTISESSION〉スタイリング考。VOL.03グラフィックデザイナー  和田佑司さん

新たな出会いがもたらす、
〈ATTISESSION〉スタイリング考。
VOL.03
グラフィックデザイナー 和田佑司さん

2024.12.26 / TIE UP

24SSシーズンにデビューしたブランド〈ATTISESSION(アティセッション)〉のディレクターを務める四谷奈々可さん。
弱冠26歳の彼女が、“いま”会いたい先輩のもとへ訪問し、〈ATTISESSION〉のスタイリングを考案してもらう連載企画。
最終回の対談相手は、プライベートでも親交があり、ブランドの顔とも言えるロゴのデザインを手がけた和田佑司さんです。
グラフィックデザイナーのみならず、「jackpot」のバイイングにも参加する彼ならではの視点が、〈ATTISESSION〉の新たな一面を引き出します。

Photo_Wataru Kakuta(TRIVAL inc. )
Text_Shun Koda

四谷さんがディレクターを務める
〈ATTISESSION〉については
こちらから!

連載シーズン1、
「新生ディレクター四谷奈々可の
クリエイター訪問記。」はこちらから!

GUEST 和田佑司

1997年生まれ。文化学園大学服装学部ファッションクリエイション学科に入学。「jackpot」のショップスタッフとして店頭に立ちながら、バイイングのアシスタントも担当。また、グラフィックデザイナーやDJとしても活動している。
Instagram:@yujiiiwada

HOST 四谷 奈々可

1998年7月7日生まれ、石川県出身。文化服装学院ファッション流通専攻科に入学。卒業後、20年4月に「ユナイテッドアローズ」に新卒入社し、セールスパーソンとしての経験を積んだ後、22年春夏から「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」次世代ラインの企画を掛け持つ。24年春から〈アティセッション〉のディレクターを務める。
Instagram:@7k0512

波打つロゴに込めた想い。

ー 文化服装学院の先輩後輩という間柄のお二人。学生時代から互いを認識しつつも、親交を深めるようになったのは卒業後だったそう。
和田:同じ文化服装学院出身なんですけど、僕は専門ではなく大学の方でしたし、年齢も違うので当時はそこまで話したことがなかったんです。
四谷:仲良くなったのも卒業してからですもんね。
和田:そうだね、ご飯とか行くようになったのも3年前とか。仕事の話をしたこともなかったよね?
四谷:そうですね、セレクトショップで働いているところは共通してましたけど、お互い接客スタイルとかも違いますもんね。
和田:だね、でも気になるブランドの話とかはしてたよね。
四谷:してましたね。
ー プライベートでの交流はありながらもロゴ制作の仕事が初セッション。これまでのコミュニケーションの積み重ねがあったからこそ、ブランドイメージを的確に捉えたロゴに仕上がったと声を揃える。
和田:ブランドが始まる前に、「こういうことをやるから、仕事をお願いするかもしれない」って聞いていて、その時はまさかこんな重大なブランドロゴを任せてもらえるなんても思いもよらなかったので驚きましたね。
四谷:そりゃびっくりしますよね(笑)。
和田:〈ATTISESSION〉の前にもロゴのデザインはしていたんですが、たまにやってるぐらいだったし、不安もありました。でも率直に、よく知ってる奈々可から声をかけてもらえて嬉しかった。
四谷:結構大変なオーダーでしたよね。ブランドを始めるにあたって商標登録が必要で、何よりも一番早い段階でロゴが必要だったんです。まだサンプルも出来上がっていないタイミングだったので、資料だけを頼りにロゴを作ってもらいました。でも、そんなことを感じさせないほど、完璧にブランドの雰囲気を表現してくださって、感動したのを覚えています。
和田:そんな風に言ってもらえると照れるね(笑)。
四谷:シンプルなロゴにして欲しいと思っていたんですが、文字数も多いからデザインを作るのは大変かなと思ってました。やっぱり難しかったですか?
和田:そうだね、結構時間かけて悩んだ(笑)。
四谷:ですよね(笑)。でも本当にこのロゴ以外はありえないと言い切れるぐらいお気に入りのデザインです。
和田:良かった。文字数などデザインとしての難しさももちろんあったんですけど、ロゴってブランドの印象を左右させるほど、重要な役割を担っているものじゃないですか。トレンドが移り変わっても、ずっと使い続けてもらうものですし、色んなメディアに露出される名刺のような役割でもある。そういうプレッシャーみたいなものとも戦いながら作っていったって感じですね。大きい会社と仕事をしたのも初めてでしたし、僕自身たくさん成長させてもらえました。
ー 心地よいリズムを刻むように波打つ〈ATTISESSION〉のロゴ。このデザインにはどんな想いが込められているのだろうか。
和田:〈ATTISESSION〉の連続している“T”と“S”を上下にずらしているんですけど、それは躍動感というか、なんとなくスキップしてる様子をイメージして作っています。 女性が家を出る前にメイクしたり、着替えたり、支度をする時からモチベーションを上げていってほしいという思いを込めました。生活のために服を着るというより、自分の自信に繋がるようなブランドになってほしいなと。そんなことを思いながらデザインしました。
四谷:シンプルでありながら、しっかりと高揚感が伝わるデザインですよね。メンズブランドじゃなくて、レディースってところは難しくなかったですか?
和田:実際、メイクしながら何を考えているのかはわからないけど、服を着ておしゃれすることって自己満足ではあるものの、少なからず自信に繋げたい行為だと思うんです。その思いはきっと男女も年齢も関係なく、みんなが感じることかなと思ったので、そこに関してはあまり悩まなかったかな。逆に少し俯瞰的な視点で作れたのが良かったのかも。
四谷:私もプライベートでご飯行って、最近何が欲しいとか、今こういうのがムードだよねとか、そういう話をずっとしてきて、私のスタイルを理解してくれてる佑司くんだったら、きっと上手く表現してくれるだろうなって思ってました。
和田:はじめましての人だと難しいこともあるもんね。
四谷:そうですね。私自身もブランドを立ち上げるのは初めての経験だったので、信頼できるかつ、ちゃんと意見を言い合える人がいいなと思ってました。もし長年キャリアのある方と一緒にやったとしてもお互い納得しないまま終わってしまったら、すごくもったいないなと思ったんですよね。
和田:ディスカッションを重ねながら完成に近づけていけたよね。最初にロゴを見た時ってどう思った?
四谷:直感的にこれがいいって思ったんですけど、ブランドのフィロソフィーでもある“クラシカル”という要素がありつつ、上下に波打つところに可憐さも感じました。シンプルだけど、文字が上下にずれて中心線からはみ出ているのが、私の表現したいスタイルと一緒だって思ったんですよね。〈ATTISESSION〉もベーシックだけど、枠からはみ出たブランドにしたいと思っていたので、自分の中にすっと入ってきましたね。上司ともロゴのデザインについて話し合ったりしたんですけど、満場一致でした。デザインの参考にしたものなどはあったんですか?
和田:いや、全く。ほんとにいただいた資料とか、聞かせてもらった話からヒントをもらって作っていったって感じかな。
四谷:すごい! ロゴを作ってから〈ATTISESSION〉の服を見てもらいましたけど、最初どんな風に思いました?
和田:第一印象は「めっちゃ奈々可っぽい」だった。今こういう気分なんだなっていうのがダイレクトに伝わってきて、クールだけどちゃんと可愛い服だなって。ブランドのビジョンだったり、込めた思いみたいなものを聞いていたから、それがしっかりと服にあらわれていて、僕もすごいなって思ったよ。
四谷:私っぽさってどういうところですか?
和田:アイテムひとつとってもそうだけど、ディレクションやスタイリング、見せ方が特に奈々可っぽいって感じるかな。言語化するのが難しいんだけどね。
四谷:一緒に仕事をしてくださる方とか友達にも同じことを言ってもらえるんですけど、自分だとあまりピンと来ないんですよね。
和田:めっちゃわかる。人からそう言ってもらえても、自分だとそうなのかなって疑問に思っちゃうよね。でも、そうやって言ってもらえると嬉しいよね。
四谷:はい、嬉しいです。自分らしさに悩むことも多いので、これでよかったんだって安心できます。

和田さんがデザインを手がけた「jackpot」のコースター。ほぼ独学でデザインを習得したとは思えないほど、緻密でセンスに溢れた仕上がり。

可憐さを引き立てるメンズアイテム。

STYLING :01

シャツ:Fucking Awesome(jackpot)
パンツ:ATTISESSION
シューズ:CHIELEI
サングラス:OUR LEGACY(jackpot)
バッグ:Hender Scheme(jackpot)
ブレスレット:ALL BLUES(jackpot)
シャツ:Fucking Awesome(jackpot)
パンツ:ATTISESSION
シューズ:CHIELEI
サングラス:OUR LEGACY(jackpot)
バッグ:Hender Scheme(jackpot)
ブレスレット:ALL BLUES(jackpot)
ースタイリングのポイントは?
和田:ストライプシャツやスラックスで硬派な雰囲気にまとめているんですけど、シャツのプリントが加わることでストリートなエッセンスも香るMIXスタイルに。それだけだとメンズスタイルに偏りすぎてしまうので、エナメルのバッグやサンダルで女性らしさというところも意識しました。

STYLING :02

ジャケット:CARTER YOUNG(jackpot)
ワンピース、スカート、パンツ:すべてATTISESSION
中に着たベスト:extreme cashmere(jackpot)
シューズ:GIULIA TADDEUCCI
ベルト:OUR LEGACY(jackpot)
ネックレス:ALL BLUES(jackpot)
ジャケット:CARTER YOUNG(jackpot)
ワンピース、スカート、パンツ:すべてATTISESSION
中に着たベスト:extreme cashmere(jackpot)
シューズ:GIULIA TADDEUCCI
ベルト:OUR LEGACY(jackpot)
ネックレス:ALL BLUES(jackpot)
ースタイリングのポイントは?
和田:デニムジャケットとベージュのパンツを組み合わせたアメカジスタイルをベースにしつつ、ドレッシーな〈ATTISESSION〉のワンピースをチョイスしてバランスを取っています。オーガンジーや、チラチラと揺れる裾のビーズなど、フェミニンな要素もブラックでレイヤードするといい塩梅。〈OUR LEGACY〉のベルトをアクセントに効かせました。
ー メンズアイテムを軸に組んでもらった和田さんのスタイリング提案。四谷さんの私物のメンズアイテムも持って来てもらった。
四谷:メンズアイテムは好きなんですけど、探してみて意外と持ってないことに気づいたんですよね。
和田:そうなんだ、意外だね。
四谷:ですよね。私はジャストサイズで着ることが多いから、メンズ服をそんなに持ってないんです。その中でもお気に入りなのが、〈Carhartt〉のダックパンツですね。ずっと〈Carhartt〉を探していて、こないだデッドストックを見つけて買いました。結構サイズが大きいんですけど、それはそれで可愛くて。
和田:デッドストックの〈Carhartt〉ってところがいいね。
四谷:あと〈adidas〉の2008年モデルのSAMBA。26.5cmぐらいあって、めっちゃ大きいんですけど、スリムなシルエットなので意外といけました。もうひとつはメンズで一番小さいサイズの迷彩のTシャツです。
和田:これも古着?
四谷:これも古着です。これはユーロのミリタリーもので、この古着ならではのテロテロの生地感がいいんですよね。かっちりとしたアイテムに差し込むとちょうどいいバランスかなと思ってます。

今気になるのはハンドメイドブランド。

ー 「jackpot」のバイヤーアシスタントとグラフィックデザイナーの二足の草鞋を履きこなす和田さん。それぞれの活動が相互作用し合っているのだとか。
四谷:佑司くんはどうして「jackpot」に入ろうと思ったんですか?
和田:学生時代からショップに通っていて、その頃から店長兼バイヤーの奥山さんにはよくしてもらってこともあるんだけど、扱ってるアイテムも好きだし、音楽やアートも取り入れていたり、ビジュアルの見せ方とか、ファッションに関する広い領域が学べると思ったんだよね。
四谷:そっか、それは「jackpot」ならではって感じですよね。バイイングする時って何を考えながらしてますか?
和田:どこもそうだと思うけど、トレンドの一歩先は意識してるかな。それでいて「jackpot」らしさがあるもの。ギャンブルじゃないけど、ある種賭けみたいな気分でバイイングしたアイテムが売れたら、嬉しいよね。
四谷:お客さんに反応してもらえるとやりがいを感じますよね。バイイング以外も色々されてますよね?
和田:そうだね、SNSに投稿する用のビジュアルを作ったり、写真をいじったり。
四谷:「jackpot」の仕事とグラフィックデザインで影響し合ってるものってあったりしますか?
和田:めっちゃしてるよ。仕入れている海外誌や写真集を見ることもそうだし、スタッフと情報共有したりするから、色んなものを吸収できてると思う。「jackpot」のスタッフって好みがストレートじゃなくて、それぞれ個性があって、そういうのを聞いているとインスピレーションが湧いたりするんだよね。逆にショップがオープンして、スタッフさんの声を聞いてヒントをもらったりするの?
四谷:そうですね。私より5歳下のスタッフもいたりするんですけど、5歳差とはいえ、若干感覚が違っていたりして、話ていても面白いですし、〈ATTISESSION〉の落とし込み方もそれぞれスタイルがあったりして刺激をもらえますね。それもそうですし、お客さんと1番近い距離で接してくれて、こんな声があったっていうのを伝えてくれるので助かってます。今ちょっとした制作物を作ってる途中なんですけど、「どういうデザインが面白いと思う?」って聞いたりもしてますね。
和田:「ATTISESSION」のスタッフさんを見てると、奈々可のことが好きなんだろうなって思うよ。すごくまとまってるいいチームだよね。
四谷:本当ですか? それは嬉しいですね。「jackpot」って新しいブランドを仕入れる時は、スタッフさんの意見を聞いたりするんですか?
和田:最終ジャッジはオーナーが下すけど、スタッフから「このブランドどうですか?」って来ることも多くて、それが通ることもあれば、保留にされることもあるかな。
四谷:なかなかハードル高そうですね……。今気になってるブランドってありますか?
和田:レディースブランドなんだけど、〈Rosue Evans〉は最近気になってるね。
パッチワークというかリメイク的なテンションが可愛いくて。
四谷:私はビーズとかが好きで、25SSで仕入れているハンドメイドアクセサリーブランドの〈REGO〉が好きですね。
和田:いいね、このブランド。こんなに可愛いのにフォロワー300人とかなんだ。
四谷:そうなんですよ、ニューヨークのブランドで、Mishelleっていう人がモデルをしていてそれで知りました。
和田:フォロワーが少なければ少ないほど、見つけた時に嬉しくなるよね(笑)。
四谷:めっちゃわかる(笑)。お互いハンドメイドっぽいブランドですね。
和田:確かに! でもハンドメイドっていいよね。
四谷:はい、私も好きです。
ー 今回の締めも、もし2人がコラボするならどんなアイテムを作るかという質問。
四谷:佑司くんにデザインしてもらったグラフィックTシャツを毎シーズン作ってますけど、「jackpot」が別注するとしたらどうなるんだろ。「jackpot」が別注することもあるんですか?
和田:あるある。でもウチで買えないものを別注で作ることが多いかな。パジャマとか、下着とか。この前、〈ATTISESSION〉で別注していた〈RUSSELL ATHLETIC〉のスウェットはいいなと思って、買おうとしたんだけど、サイズが小さかったから断念した(笑)だから、ああいうタイトなサイジングのスウェットをメンズでも作れたら面白そう。
四谷:それよさそうですね。あのアイテムはメンズの方からの問い合わせも多かったんですよ。
和田:そうなんだ。ルックもスタイリングも今っぽさとブランドらしさがうまく表現されていて、すごく欲しくなる見せ方だった。いつも刺激をもらってるよ。

TODAY’S STYLING

LEFT_
Yuji Wada

トップス:Calvin Klein(USED)
シャツ:AURALEE
パンツ:CARTER YOUNG
シューズ:adidas x Wales Bonner

RIGHT_
Nanaka Yotsuya

トップス:OUR LEGACY
シャツ:Calvin Klein(USED)
パンツ:GAP(USED)
シューズ:FERRAGAMO
ベルト:MIU MIU