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DESIGNER’S VOICE

マシュー・ウィリアムス(ALYX)
Special Thanks_ the wall co.,ltd
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『ガールフイナム』がいま最も気になるデザイナーにインタビューする『DESIGNER’S VOICE』。
その第1回を飾るのは、写真家のニック・ナイトや藤原ヒロシとの協業でも注目を集める
〈アリクス(ALYX)〉のデザイナー、マシュー・ウィリアムスです。
ラグジュアリーとストリート、ファッションとサブカルチャーという
垣根を超える自由なクリエイションについて、
またそこに至ったバックグラウンドまで、色々と聞きました。

#1 Matthew Williams (ALYX)


Q1 〈アリクス(ALYX)〉とはどんなブランドですか?
〈アリクス〉は、ラグジュアリーとサブカルチャーの要素をミックスさせた、モダンクラシックなブランド。僕自身の美学を好んで“アグレッシブ・エレガンス”と表現しています。
Q2 今季のコレクションのテーマについて教えてください。
今回のコレクションは、ニューヨークと、僕が幼少の時に過ごしたベニスビーチの情景を同時に反映しています。この二つは僕の仕事に常に影響を与えているもの。コレクションのテーマは“Love Chaos”で、カオスは、私たちが生きるこの世界で目にする混沌、そしてラブは自宅にいる時に感じる愛のこと。このふたつを同時に落とし込んでいます。またコレクションには、多くのアメリカの歴史・文化・地理、そしてニューヨークのイメージを紐づけました。それと同時に、ベニスビーチの遊歩道を想起させる鮮やかな色彩と素材を、フェミニンなアイテム、ユニセックスなアイテム両方にミックスしています。そして素材の開発とリサーチも、コレクションにインスピレーションを与えてくれる原動力です。
Q3 その中で特に気に入っているアイテムはどれですか? デザインのこだわりも教えてください。
冒頭のLOOKで着用している、ハンドメイドで仕上げたカウボーイブーツ。これを実現させるのはとても難しかったので、出来上がりには本当に満足しています。ラスト周りのアッパーをハンドメイドで縫製して、トップはステッチなしでアッパーと接合しています。ヒールにもハンドメイドで湾曲をつけたルーサイトを使っていたりと、こだわりが詰まった一足ですね。僕たちは、すべてのコレクションのデザイン要素に一貫性を持たせるようにしています。ライターキャップのディテールやローラーコースターベルト、そして〈アリクス〉のカスタムジッパーなどのアイコン的なピースは、常にコレクションに組み込んでいるし、みんなが思い浮かべる〈アリクス〉らしいシルエットやスタイルもコレクション毎に継承しています。
Q4 おすすめの着こなし方を教えてください。
〈アリクス〉では、ワードローブのすべてを網羅するコレクションをデザインするように意識しているんです。たとえば、今回のコレクションには女性らしいエレガントな部分と、グラフィックTシャツやジーンズといった主張の強いアイテムをバランスよく、幅広くミックスしている。僕自身が好きなものをデザインして作り上げたコレクションを、現代の女の子たちがどう上から下まで着こなすかを想像するのが好きなんです。とはいっても、みんなが〈アリクス〉を他のブランドとミックスして、どうそれぞれのパーソナルなスタイルに落とし込まれていくかを見るのも好きですよ。
Q5 〈アリクス〉を始める前にストリートウェアや音楽、アートの分野で10年間活動されていましたが、青春時代に特にハマったカルチャーはどんなものですか? また、それは現在にどのような影響を与えていますか?
これまでの全ての経験は、まるで僕にとっての学校のようでした。音楽やストリートウェア、写真、その他様々なカルチャーが、コレクションの中にどうやって他のクリエティブな要素を落とし込むかを教えてくれたんです。〈アリクス〉という存在を俯瞰で見る視点を養うこともできました。ルックブック制作、ニック・ナイトとのカタログのディレクション、ショールームの空間デザインなど、多岐にわたります。

ベニスビーチで過ごした幼少時代は、スケートボードとその周りのカルチャーに夢中でした。音楽のカルチャーも、若い頃から自分にとっては常に重要。どちらも絶えず僕のデザインに刺激を与えてくれるんです。
Q6 シーズンヴィジュアルをニック・ナイトとタッグを組んで、撮影していることでも知られていますが、彼は〈アリクス〉にとって、どのような存在ですか?
ニック・ナイトは、もうだいぶ前から大切な友人で、僕らは長年にわたって多くのプロジェクトを一緒にやってきました。彼は、僕が本当に尊敬し、信頼している人物。僕が初めて自分のブランドをスタートさせたときから、彼がこのブランドに必要な存在だと確信していました。毎シーズン、僕らはカタログを一緒にリリースしていて、僕はそれらがとても価値のある印刷物だと考えています。それこそタイムカプセルみたいに。僕らが一緒に作業をする時、お互いにプレッシャーをかけ合って、新しい言葉とイメージをひねり出すんです。僕らの関係性は誠実で、お互いに常に新しいことにチャレンジしていますね。
Q7 初のメンズコレクションが〈フラグメント(fragment design)〉とのコラボレーションから誕生しました。藤原ヒロシ氏とは元々どういう繋がりがあったのですか? そのコレクションのことも教えてください。
ヒロシとは、パリにある僕たちのショールームで共通の友人を通して出会いました。彼はコレクションをとても気に入ってくれて、お互いが愛するスケートとパンクカルチャーについて話し始めてすぐに意気投合しましたね。このコラボレーションは、そこからとても自然な形で進んでいったんです。僕は、ヒロシが数十年にもわたってファッションやカルチャーに貢献してきたことに常に敬意を持っています。だから、最初のメンズコレクションで一緒に仕事をできたことは本当にすばらしい経験になりましたね。
Q8 〈アリクス〉はニューヨークを本拠地としていますが、ニューヨークで今流行っていることがあれば教えてください。
あまりトレンドを意識しないから分からないな。
Q9 ウィリアムスさんが個人的に気になっていることはありますか?
最近は、〈アリクス〉をよりサステイナブルなブランドにしていく方法を考えることに関心があります。世の中には無駄なモノがものすごく多いけれど、と同時に現代は、この無駄を少なくして他と差別化する選択肢も昔にくらべて多くあると思うから。僕はこのことを最大限に意識してハイクオリティな洋服を作っていきたいんです。
Q10 ウィリアムスさんが最近気になる女の子は誰ですか?
妻のジェニファーは、僕にとって永遠のミューズ。彼女はセクシーで、クールで、クレイジーなんだ(笑)。