甲賀加純とギーセン珠理が考えるJORDAN BRAND。vol.2
甲賀加純とギーセン珠理が考えるJORDAN BRAND。vol.2
2023.06.12
先日公開した記事はご覧いただけましたか?
ブランドに根付くカルチャーへの敬意を込めて、甲賀加純さんとギーセン珠理さんがタッグを組んで作ったヴィジュアル。
では、ふたりにとっての〈ジョーダン ブランド〉とは一体どんな存在なのでしょうか?
彼女たちなりの解釈を紐解く、ロングインタビューをお届けします!
vol.1はこちらから!
Photo_Tami Kanamori
Styling & Direction_Kasumi Kouga
Video & Direction_Julie Giesen
Music_Kaoruko
Hair & Make-up_Takeru Urushibara
Model_MFS, Mama Luli, Hiromi Toki
PROFILE
ヴィジュアル企画のおさらい & 載せきれなかったおまけカットもチラ見せ!
気になるところから読んでみて。
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- 1. いいアイデアをシェアして作る同世代の
クリエイション。 - 2. オリジナリティを持って、自分らしく
表現すること。 - 3. 女の子が作るカルチャーシーンの行方。
- 4. 動き出せば、きっと見つかる。
いいアイデアをシェアして作る同世代のクリエイション。
- ーふたりで一緒に撮影してみて、いかがでしたか?
- ギーセン珠理(以下珠理):何度か〈ジョーダン ブランド〉の撮影に参加したことがありましたが、今回のようにいちからヴィジュアルを制作したのは初めてでした。加純と何かを作ることも初めてだったけど、こうやって同世代の仲いい人とできたのはめちゃくちゃ楽しかったです。またやりたいなって率直に思いました。
甲賀加純(以下加純):うんうん。本当に同意見です(笑)。 - ー方向性やテーマはスムーズに決められましたか?
- 加純:はい。まず私がスタイリング、珠理が動画をそれぞれ担当することになり、テーマは目指したいところが同じだったからすぐ決まりましたね。もともと好きなものも共通していたし、もう動画は安心して珠理に任せることにして。逆に私も珠理のリクエストに対してスタイリングで理想に近づけることも自然とできました。
珠理:目線が同じだけど、私はもっとポップだったり、加純はストリートやモードの色が濃かったりでそれぞれの個性があったから、意見を交換するときに違ったアイデアを出し合えたのがいい相乗効果になってた気がします。進めていくなかで「それヤダ! 」って思うことがなかったんですよね。
加純:そう。もう絶対よくなることはわかってるからこそ任せるところは任せてましたね。 - ーでは、今回のヴィジュアルはどんなことをテーマにしましたか?
- 加純:これまでのカルチャーにリスペクトを払いながら、私たちの目線で切り取って女性に落とし込むことです。「エア ジョーダン」がバスケットボールから音楽やファッションに派生していった流れを知っているからこそ、さらにその先の広がりを自分たちでも表現してみようみたいな。さまざまな分野で活躍していて、ピュアにかっこいいと思える女性に出演してほしくて、MFS、Mama Luli、土岐ひろみさんの3名にモデルをお願いしました。それぞれ信念を持ってやってるところに共感したし、彼女たちが登場することで意味のあるものにしたかったんです。
珠理:バスケットボールを背景としたブランドイメージが強いと思ってて。カルチャーが根深いものだからこそ、ちゃんと知ってないと履けないんじゃないかとか、身につけるハードルが高くなっているというか…。
加純:履くのにプレッシャーを背負っているようなね。
珠理:そう。でも全然そんなことないはずなんです。身の回りにいるおしゃれでかっこいい女性がさらっと取り入れてるところをもっと見たいなって思ってました。 - ーそのテーマを撮影する上で表現したかったポイントは?
- 加純:まず私がスタイリングを組む上で意識していたのはすでにイメージとして定着しているスポーティな部分だけではなく、私たちが手がけることによって反映できるファッション感だったりリアルなムードを出せるようにしました。尊敬する3名がモデルだったので、彼女たちの個性も絶対活かしたかったんです。例えば、Mama Luliさんはスラックスにジャケットで大人の女性らしくかっちりさせたけどそんなコーディネートに「エア ジョーダン 1 LOW」を合わせて説得力をプラスするみたいな。MFSにはいつも着てそうなタイトなドレスを選んだけど、ハードにならないようにニットのカーディガンを合わせてヒールを履いてみたり。今回の企画はやりたいことが全部実現できて本当に大満足です。
珠理:今回のテーマって女性の強さは表現しつつも、もっと日常の誰もが自分らしく取り入れられるってことだったから。等身大の女性像を通してその意外性が見えるように作ってみました。
オリジナリティを持って、自分らしく表現すること。
- ー自分の道を切り開いていく女性像って具体的に言うなら…?
- 加純:まさに今日のモデル3名ですよね!
珠理:MFSが動画のインタビューで、一週間でバイト辞めることが続いたり、何をしても長続きしないことがコンプレックスだけど、唯一ラップだけはいまも続けられていることだって答えていたんです。その話のあとに、いまは軸がないことが自分の軸になってるって言ってたことにすごく共感しました。そうやって答えられるのもまさに自分の道を切り開いてるなって。私も、動画を作ったり、ライターとして文章を書いたり、モデルをしたり、好きなことがいっぱいあるから、あれもこれもやりたい! って手をつけていくことがコンプレックスに感じるときがあったんです。結局何者なの? と聞かれると詰まっちゃうみたいな。でも表現方法はたくさんあるけど、どれも好きなことだから、これでいいんだって自分のことを認めてあげられるようになってから自信を持つことができました。何でも自分なりのフィルターを通せば私だけの表現になることに気づけて、それが強みになったんです。 - ーひとつの肩書きにこだわらず、興味あることに何でもトライすることでも自分らしさを確立できるってことですよね。では、今回のヴィジュアルを作るにあたって、〈ジョーダン ブランド〉のことをどう再認識・再解釈しましたか?
- 加純:これについては結構ふたりで話し合いましたね。
珠理:私の場合はバスケットボールを通して知ったから、18歳くらいまではバッシュのイメージしかなくて。ただアイテムが好きだったからプレイ外も履いてた親しみあるスニーカーだからこそ、バスケの背景がない人からしたらハードルが高いという話を聞いたときは驚きました。言っちゃえばスニーカーだし、どんなひとでも自分らしく履けるってことをもっと発信したいですね。 - 加純:私はバスケットボールをやったことないけど、自分らしく履くことで意味が生まれるってことを伝えたいんだって再認識しました。
珠理:今回やってみて、私たちのメッセージをこういう企画でもっと提案したくなりました。誰か見てる人にとっての等身大になるようなモデルで表現してみたいです。自分らしさを探すお手伝いみたいな。
女の子が作るカルチャーシーンの行方。
- ーカルチャーシーンで言うと、女子はまだまだ男子よりも狭く感じますよね。そのなかで困難に感じたことはありますか?
- 加純:地方に行ったときに難しさを感じましたね。例えばポップアップで東京の外に行くと、なかなかそういうカルチャーが好きな女の子に出会わないとか。あと私の場合は東京にいても今回の撮影現場のように女の子が中心メンバーになることも少なかったりします。服を作る現場だからなのかな? 友人で女の子のデザイナーはひとりしかいないし、まだまだ男性の方が多い気がしています。
珠理:そうなんだ! 私は逆で雑誌の現場が多かったから、もうビシバシ仕切ってる強くてかっこいい女性エディターが中心でした。それがかっこよくて編集の仕事を始めたくらい、当時は影響されまくってましたね。 - ー女性クリエイターやコミニティ、カルチャーの現状に対して思うことはありますか?
- 加純:女性ってか話がずれてしまうかもしれませんが、東京はどのパーティに行ってもいる人が同じだったり、同じような企画、同じようなヴィジュアルが多いように感じてしまうんです。海外のようにもっと若い子がフックアップされたりいろんなカルチャーがミックスしていけたらいいのにって思っています。
珠理:Mama Luliさんに出てもらいたかったのも同じ理由です。もちろん既に有名だけど、同じ世代の男性に比べてフォーカスされる機会に差はあるように感じていて。彼女こそ東京のカルチャーシーンを作ったひとりだからこそもっと紹介していくべきなのにって。 - ー土岐さんもいつもはスタイリストとして仕事でお世話になることが多い分、関わっている人が思っている土岐さんそのもののかっこよさを伝えられる機会ってなかったかもと気づきました。
- 珠理:そうなんです! 私たちにとってリアルなアイコンが今回モデルしてくれたことによって共感してくれる人がいてくれたらいいなと願っています。
- ー加純さんはいつからファッションに興味を持っていましたか?
- 加純:小学生からかも。ひとりでお年玉を貯めてオンラインショッピングしてました(笑)。当時流行っていた「チャビー ギャング」や「バナナチップス」というブランドが好きで。
珠理:へえー! 早いね!(笑)
加純:懐かしい(笑)。それから、高校生のときに服屋で働いて、服飾の学校を卒業して、ふと気がついたらファッションのことしかやってなかったんです。私もいろんなこと試した時期もありましたが続かずで、結局自分が好きなのはファッションなんだって早めに確信してたんだと思います。 - ーファッションの仕事のなかで始めからデザイナーになりたかったですか? それともスタイリストとか…?
- これになりたいって決めてたわけじゃないんですが、やりたいことが見つかった瞬間は、服飾の学校で自分のデザイナーズブランドを立ち上げるという授業を受けたときですね。架空のブランドを立ち上げるにあたってコンセプトを決めて、服も実際につくってみるみたいな。それをやったときに楽しいなって思ってたんです。ブランドって本当にたくさん存在しているから、自分のオリジナリティを見つけてやり抜くことが大事だと気づけて、だから〈コウガ(KOWGA)〉を立ち上げるときはメンズウェアを女性らしく落とし込むというところは根底に置いてブレずに物づくりをしています。
- ーやりたいことを着実に叶えるためにも、結局まずは自分のオリジナリティが何なのかを突き詰めないとということですね。
- そうですね。私の場合は高校生のときからメンズウェアが好きだったけど自分に合うサイズやシルエットが見つからなくて、自分で丈を直したり、裾を切ったりしていたのが背景にあって、手を加えないといけないのがずっと議題だったんです。だから自分でブランドやるんだったらこれでやるしかないって最初から思ってました。
動き出せば、きっと見つかる。
- ー〈ジョーダン ブランド〉のマインドセットやスピリットがふたりと重なる部分はありますか?
- 加純:より理解を深めるために映画を観てきてきたんです。マイケル・ジョーダンはブランドのためにも自分が選手として活躍するから信じてくれと契約時に交渉していたけど、結果その宣言してたことより大きな結果を残しているんですよね。だから私も自分がやるって決めたことに向かって突き進んでいるなかで、彼のスピリットを宿した〈ジョーダン ブランド〉を履くと勇気をもらえてるような気がするんです。
珠理:たしかに! 私の場合は、加純やミュージシャンのxiangyuとか周りにいる人から刺激をもらえているように、私も刺激を与えられる人になれたらなとは思いましたね。それこそ、マイケル・ジョーダンのように前のめりに挑戦している人として。 - ークリエイティブなことで恐れを知らずに何でもトライするためには、どうやって自信をつけていきましたか?
- 加純:小さいときからやりたかった自分のブランドを持つことが大人になって現実になったときは恐れ知らずになれたのかも。まあ、でもいいことしかとにかく考えてないってのが大きいですね!(笑)
珠理:ポジティブなマインドセットって本当に大切。最初って何もできないところからスタートするから、やりたいことはとりあえず「できます! 」って答えちゃってました。それこそ最初の動画制作も私はディレクションだけをするはずが、結果すべてやることになって。そんな手探りでも作ることを続けていると、声をかけられるようになってくるんです。それをまたひとつずつメイクしてビデオグラファーって名乗れるようになったときは自分のことを褒めました。 - ーでは、うーんってこん詰まりしてたり、やろうとしてることがうまくいくか悩んでもがいてる人がいたら何と声をかけますか?
- 加純:よくブランドを立ち上げたいんだけど…みたいな相談はされるんですが、毎回とりあえずやったらいいよ! と答えてます。後押ししかできないけど、やりたいって思うことがあるならやった方がいいんです。人生は一度きりですし!
珠理:失敗は怖いけど、それで何もしない方がもったいない。ブランドやるならいきなりフルコレクションを発表するのは重たいかもしれないから、まずはバッグだけ作るとか自分のできる範囲でやってみるのでも全然いいと思うんですよね。
加純:そうそう。一個クリアできると、その先にまたやるべきことが見えてくるんです。その繰り返しでどんどんやりたいことを実現していけばいいんじゃないでしょうか。
珠理:最初は自己満でもいいから、とにかく行動してみることが大切。
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