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ヴィンテージショップitimi、大阪でのこれまでと東京でのこれから。
ヴィンテージショップitimi、大阪でのこれまでと東京でのこれから。

itimi, Tell Me!

ヴィンテージショップitimi、大阪でのこれまでと東京でのこれから。

2021.06.21

大阪で歴史を重ねてきたヴィンテージショップ「itimi(イチミ)」が
3月に東京に移転オープンしたことはご存知?
しかもなんとガールフイナムのご近所ということもあって
編集部一同、縁を感じてしまいました。
徹底的にロマンティックでありながらもひとかけらのポイズンを感じさせ
服好きな女の子たちの心を鷲掴みにする世界観。
その捉えどころのない魅力のワケを探りに行って来ました!

Photo_Kaho Okazaki

主役はあくまでもお客さんです。

ーずっとSNSでチェックして気になっていて、お店にも何度か伺っているので今回はお話できて光栄です! まずはお店のコンセプトからお伺いしたいです。
いつも聞かれて困るんですけど、とくにコンセプトってないんです(笑)。もちろん根幹には何か一貫しているところがあると思うんですけど、好きなものがコロコロ変わるからお店の商品もそれに準じて変化します。ただ単純にかわいいなと思うものを置いていたら同じように思ってくれる人がお店に来てくれるので、いままでやってこられました。
ーお客さんとの関係性のなかで「itimi」の空気感が作り上げられてきたのでしょうか?
人見知りなので、お客さんと一緒にどうこうとかは得意じゃなくて。「これよくないですか?」と思うものを置いて、そのときどきのテンションをお客さんが自然と感じ取ってくれています。あくまでもお客さんが主役で、裏側に撤したいんです。
ーたしかに、インスタもトルソーに服を着せていてスタッフさんが登場しないイメージです。
この顔にこの服だからわたしには似合わない。って思ってほしくないから、特定のイメージをあまりつけたくないんです。なかの人ではなく、お店が一人歩きしてほしいっていうのはずっと思っています。
ーお店のイメージが確立しているのはすごく感じます。接客でもお客さんが主役っていうのは意識しているんですか?
お客さんに自由に選んで欲しいので、あんまり必要以上に接客しないようにはしています。もちろん、質問していただいたら答えるし意見を求められたら正直に言うので、必要なときは声をかけてくださいね!
ーお客さんに委ねながら歴史を重ねてきたんですね。
歴史っていうとなんか大ごとになっちゃう(笑)。謎な部分を残したいのであえて秘密にしますが、みなさんが想像しているよりもずっと長いんじゃないかな?
ーそんなに長いとは知らなかったです。でもいい意味であまり老舗感がなくて、新鋭のブランドを取り扱っているところにも「攻め」の姿勢を感じます。
〈ノードレス(nodress)〉は2019年の3月に一度ポップアップで取り扱わせてもらって以来、個人的に大好きだったんです。東京に移転するタイミングで量を増やして、〈ジョン(JOHN)〉の取り扱いもはじめました。たまたま中国出身のデザイナーが手がけているブランドを挙げているけれど、そういう基準じゃなくて単純に気分に合ったものを選んでいます。大阪の頃からちょこちょこ仕入れていたアメリカの刺繍ブランド〈スクールフレンド(schoolfriend)〉は、まだあまり量は多くないですが気に入っています。

大阪を離れ、新天地へ。

ーなかなか大阪に遊びに行けなかったので、東京に移転すると聞いたときは本当にうれしかったです! これまではずっと大阪でやっていらっしゃったんですよね?
はい、最初は大阪の新町っていうオフィス街で3坪のところからスタートしました。その後一度アメ村を経てから堀江というエリアでしばらくやっていたんですが、お店が入っていたビルが売却されることになって、出ていかなきゃいけなくなってしまったんです。それがすごくショックだったんですけど、「東京に行ってみたら?」と言ってくれた人がいて。移転することを考えはじめたら、新しいことができそうなワクワク感に胸が弾んで、どん底にまで落ち込んでいた気持ちが本当に救われました。そんなわけで、東京に移転することを決めたんですが、もし立ち退くように言われてなかったらずっと大阪でやっていたと思います。
ーそんなエピソードがあったんですね。コロナ禍も重なって大変な決断だったと思います。
そうそう、時期も時期だったので移転はコロナの影響ですか? とたまに聞かれたりもするのですが関係ないんですよ。コロナがきっかけでの変化はあって、以前はあまり積極的になれなかった通販をスタートしました。実際に手にとって見てほしいという思いが強かったので、半ば信念として通販はやっていなかったのですが。世界中が落ち込んでいるときだったから、少しでも「itimi」の服が刺激になればいいな、という気持ちではじめたんです。そしたら想像以上に喜んでくれる人が多くて。オンラインでの販売があればずっと来てくれている大阪のお客さんとのつながりが消えるわけじゃないから、いまでも続けています。
ー馴染みのあるお客さんを大切に思う気持ちが伝わってきます。物件を探すのは大変じゃなかったですか?
全く土地勘もないのに馬喰横山駅まで行ったり、けっこういろんなエリアを見たので大変でした。でも内見した何軒かのなかで、ここは割と早めの段階で気に入ったんです。青山通りに出るまでの道がもともと好きだったっていうのもあって。あとは「itimi」ってなぜか細くて長い階段の2階にあることが多いんですが、ここの階段は第一印象から気に入っていたのでそれも決め手になりました。
ー鏡張りの階段は印象に残ります。店内も窓が大きくて光が入るのですごく綺麗な空間ですよね!
窓のところの柵とかは、最初「なんなん?」って思ってたんですけど、だんだん愛着が湧いてきました(笑)。前は事務所だった物件なので、タイルの感じとか天井の低さとか、いかにもって雰囲気で気に入ってなかったんですけど、いろいろ改装してお店ができあがっていくにつれてかわいく見えてきました。
ーネオンの看板は新しく作ったんですか?
大阪から持ってきました。堀江のときに四ツ橋の大通りに向けて置いていたんですけど、あまりにも派手で目立ちすぎたので店内に場所を変えたりしました。いまは店内と窓のところに分けて置いています。
ー大阪を離れることが決まって、惜しまれることも多かったと思います。
さみしがってくれるお客さんがいてくれることはすごくありがたかったし、わたし自身もすごくさみしい気持ちがありました。なのでいつか大阪でギャラリーなどスペースを借りて、ポップアップができたらいいなと思っているんです。個人的な用事で大阪に帰ることはちょこちょこあるんですけど、友達や家族には会えてもお客さんにはなかなか会えないじゃないですか。いま時期を考えているところなので、楽しみにしていてください!
ーお客さんに会える場所としてのポップアップ、素敵ですね。喜ぶ方がたくさんいそうです。

目的を持って来てもらえるのはすごくうれしい。

ー大阪と東京とでお客さんのテンションに違いってあったりしますか?
けっこう違いますね。例えば、ガラスケースに入っているアクセサリー・小物類を大阪の人はフランクに出してって言うんですけど、東京ではあんまり言われないです。ケースの中に入っているものは非売品だと思ってしまうんですかね。
ーかわいいなと思って見てはいるんですけど、買う確証がないのにわざわざ出してもらうのは申し訳ないというか、ハードルの高さみたいなものは感じることがあります。
えーぜんっぜん出すのに! 見るだけでも見てくださいっていう感じです。こっちはそれが仕事なので(笑)。でも、場所的にも古着屋さんが集まっているエリアからはちょっと離れていて、ついでに寄るっていうよりはみなさんうちを目的に来てくれているのは感じます。わざわざ来てくれているんだなっていうのが雰囲気でわかるので、すごくうれしいです。ビルの2階っていうのもあってふらっと入ってくる人はあんまりいなくて。
ーお客さんもおしゃれな人ばかりで、「今日itimi行くぞ!」っていう日は気合いが入ると思います。

自由な東京で、少しずつ感じる変化。

ー売れるものや求められているものが東京に来て変化したりっていうのはありますか?
はっきりとした傾向みたいなものはないですけど、これ大阪だったらすぐ売れただろうな、みたいなものが残ってたりはします。あと、これはお店とは関係ないですが東京の人を見ていて自由だな〜と思います。いい意味であまり他人を気にしないというか。数年前に旅行で東京に来たときに、新宿で首にロシアンブルーを乗っけて一輪車に乗ってる男の人がいたんですけど、それを誰も騒がないし気にも留めていなくて。しかもその人がいかにも変人っていう感じじゃなくてきれいな格好をした、なんだか仕事ができそうな風貌だったのがおもしろかったです(笑)。
ーチラ見するくらい?
いや、チラ見もしない! 見たら負けみたいな感じ。そのときに東京の過ごしやすさを感じて何を着ても自由な場所だな、と思いました。その影響で、買い付けがいままで以上に楽しくなってきたので、もしかしたらこれから何かお店自体にも変化が出てくるかもしれません。
ーこれからの「itimi」も楽しみにしています!

INFORMATION

itimi

住所:東京都渋谷区渋谷4-5-6トキワビル2F
時間:13:00〜19:00
Instagram:@itimiosaca
itimi.jp