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たかが白T、されど白T。
ひと言で白Tシャツといっても、生地感や形、サイジングなどはそれぞれ違うし、
選ぶTシャツ一枚でその人のパーソナリティが如実にわかってしまうのも
このアイテムのおもしろいところ。
では、根っからの白T好きはどんなマイルールに則って着こなしているのか?
世代も職種も異なる4名に、そのこだわりを聞いてみました。
百々千晴 (スタイリスト)
「自分にとっては制服のような存在」
- 着用されているものはどこのブランドのものですか?
- 〈ジル スチュアート(JILLSTUART)〉です。袖が短く、きゅっとタイトに絞られているところがかわいくて。
- いつも白Tを買うブランドは決まっていますか?
- 「絶対にこのブランド!」というのはないですね。〈ユニクロ(UNIQLO)〉や〈エイチ・アンド・エム(H&M)〉、〈ザラ(ZARA)〉のようなファストファッションブランドでも買うし、〈ジェームス・パース(JAMES PERSE)〉のようなカットソーブランドの上質なものも買います。でも、例えばブランドタグが表にあしらわれていたり、余計なデザインが加わったものは買わないですね。本当にシンプルなものだけ。
- 選ぶときに重視しているポイントは?
- 素材、形、色味すべて。
- 持っているのは何枚くらい?
- アシスタント時代からほぼ毎日Tシャツで生活している自分にとっては制服みたいな存在だから、それこそ数えきれないくらい。生地が薄いものから厚いもの、超タイトなものから超ビッグサイズのものまで、とにかくたくさん持っています。でも、基本的にはひと夏着ると捨てちゃうんですよね、すぐ黄ばむし。それか雑巾にしちゃう(笑)
- 白Tを着こなすときのマイルールがあれば教えてください。
- ハイウエスト感を出すのが自分のなかでマストだから、タックインすることかな。サイズや形関係なく、とりあえず全部タックイン(笑)。ボトムスも基本的には今日みたいなタイトなデニムしか穿かないし、年齢を重ねるにつれてかっこつけづらくなってきたから、常に“普通”であることを意識しています。
百々千晴/スタイリスト
2002年渡英、2004年より東京をベースにスタイリストとして活動をスタートする。雑誌、広告を中心にスタイリングを手がけ、 現在は『Union Magazine』編集長やブランドディレクターとしても活躍中。http://dodochiharu.com/
秋元舞子 (PHEENYデザイナー)
「マイベスト白Tは、〈ヘインズ(Hanes)〉のボーイズサイズ」
- いま着ているのはもしかして、DYGLのTシャツですか?
- そうです。去年の冬にライブ会場で購入しました。DYGLは音楽ももちろんかっこいいんですけど、グッズに対する姿勢がアメリカナイズドされている感じがかっこいい。これはお気に入りの一枚です。
- 秋元さんの経歴から察するに、Tシャツ一枚といえどかなりのこだわりがありそうですが、購入するときの基準があれば教えてください。
- まずは肌触り。〈ヘインズ〉のようなアメリカのコットンで作られているドライな質感や風合いが好きです。あとボディも重要で、分厚すぎるものだとちょっとタフすぎてしまうし、かといってシルキーな細い糸で織られたTシャツだと女性らしくなりすぎてしまうので、ちょうどいい塩梅のものを買うようにしていますね。
- 定番の白Tシャツは?
- マイベストTシャツは〈ヘインズ〉のボーイズサイズのもの。肩が少し落ちるくらいの幅とタックインしてももたつかない丈感が好きなんですが、いろいろと着てみた結果それがいちばん自分の体型に合っていると感じました。「サンタモニカ」などの古着屋で購入することが多いです。
- ボーイズサイズというのは意外な選択肢ですね。
- 元々パタンナーだからなのか、気に入っているTシャツのサイズを以前測ったことがあって、それが肩幅42〜45cm、身幅45cm、丈が60cmくらいだったんです。〈ヘインズ〉のボーイズサイズがちょうどそのくらい。
- 普段の着こなし方を教えてください。
- 普段はアトリエで作業しているので、動きやすさを優先してブルーデニムを合わせることが多いですね。ただ、背が小さいということもあって私のバランスだと昔の吉田栄作みたいになっちゃうから(笑)、仕事場以外では黒やネイビーなどのスラックスと。〈ヘインズ〉製の粗野なボディときれいめなボトムスの対比で、女性らしさが引き立つような気がして。
- 秋元さんにとって白Tとはどんな存在ですか?
- 場所や目的に関係なく、毎日着ていたいアイテム。個人的には、Tシャツは大切に着るものではなく、汚れたりシミができても「いいや」って思えるくらいの気持ちで着ていたいんですよね。だから5,000円以上するものもほとんど買わないですし。
秋元舞子/PHEENYデザイナー
文化服装学院技術専攻卒業。株式会社ミスターハリウッドにて、パタンナーとして勤務。2012 S/Sより〈フィーニー(PHEENY)〉をスタート。9月4日(月)から9月17日(日)の期間中、青山の「H BEAUTY&YOUTHhttp://dodochiharu.com/」にてポップアップショップを開催。http://www.pheeny.com
長峰由梨 (モデル)
「コーディネートのバランスをとるための選択肢」
- いま着用されているのはどこのブランドのものですか?
- これは〈ヘルスニット(Healthknit)〉のもの。「HOLLYWOOD RANCH MARKET」や「BLUE BLUE」が好きで、これらのショップで取り扱っているパックTシャツです。コットンが少し硬くてお気に入り。
- 白Tを選ぶときに重視しているポイントは?
- 襟ぐりが黄ばんでしまうのが気になるので、安くてガンガン着られるもの。ワンシーズンごとに白Tは買い替えています。ただ、同じ形のものは何枚もいらないので、オーバーサイズのものや細身のものなどいろんな形を幅広く買っていますね。
- ということは、特定のブランドに絞ることもなく?
- パックTを買うことが多いですけど、ロゴのようなワンポイントが入っているものも買いますよ。そのなかでも小さいモチーフがよくて、〈プレイ・コムデギャルソン(PLAY COMME des GARCONS)〉のハートマークのTシャツや、袖に“H”と縫ってある〈ハリウッドランチマーケット(HOLLYWOOD RANCH MARKET)〉のものをよく購入しています。
- 白Tを着こなすときのマイルールがあれば教えてください。
- 普段は帽子やサングラスにピアス、ネックレスも身につけることが好きだから、コーディネートがうるさくならないようにするためにトップスに白Tを選ぶことが多いですね。シンプルな白Tをメインにアクセサリーを身につけるというよりは、それらを身につけるために白Tを着ている感覚というか。
- 引き立て役なんですね。長峰さんにとって白Tとはどんな存在ですか?
- 自分にとってのレフ版ですかね(笑)。それ以上でもそれ以下でもない。メンズっぽい大きいサイズのものでも、タイトなものでも、顔をパッと明るくしてくれるので。ただでさえすっぴんだし(笑)。
長峰由莉/モデル
2017年1月に〈ファセッタズム(FACETASM)〉のショーでパリコレデビュー。国内外問わず、さまざまな雑誌やショーで活躍している。浅輪香織 (SHIMA代官山トップスタイリスト)
「汚れたらすぐに漂白しちゃう(笑)」
- いま着用されているのはどこのブランドのものですか?
- 代官山の「シュプリーム」で購入したPARADICEというスケートチームのものです。ちょっと前に〈サマンサタバサ(Smamantha Thavasa)〉のキャンペーンで来日していたミレニアルスターズのヘアメイクを担当したんですけど、その中のひとりであるサラ・シュナイダーが〈シュプリーム(SUPREME)〉の服を着ているのをみて、すごくかわいくて。それで久々にお店を覗きに行ったときに出会いました。
- 気に入ったポイントは?
- プリントですね。最近ストリートテイストのアイテムが気になっているので。
- 浅輪さんにとって、定番と呼べる白Tはありますか?
- 〈メゾン マルジェラ(Maison Margiela)〉のTシャツはここ2、3年ずっと着ています。意外と生地が厚手でタフなので、何回洗ってもくたびれないところがいいですね。
- でも美容師という仕事柄、白いTシャツを着ていると汚れてしまいそうなイメージがありますが…。
- 逆に、色物のTシャツを着ているとブリーチされてタイダイ柄になっちゃうんです(笑)。白いTシャツなら汚れても漂白できてしまうので、そういう意味でも実はいちばん楽なんですよね。全部で30枚くらい持っていて、汚れたら漂白しての繰り返し(笑)。
- オンオフ問わず、普段はどのように着こなしているんですか?
- 私はあまり背が高くないから、バランス感を大事にしています。大きめの白Tシャツにはタイトなパンツを、タイトなTシャツにはワイドパンツをといった感じで、野暮ったくならないようにと。
- 浅輪さんにとって白Tとはどんな存在ですか?
- いつまでも手放せないもの。デザイン性のあるちょっと高い服を買っても、結局ワンシーズンで飽きちゃって人にあげることが多いんですけど、何回も着てくたくたになった白Tはなぜか手元に残ってて。大人になってきたのでシャツを着てみようとも思うんですけど、白Tが好きすぎてまだしばらくは離れることができなさそうです(笑)。
浅輪香織/SHIMAスタイリスト
日本美容専門学校卒業後、2008年より「SHIMA」での勤務をスタート。現在は「SHIMA代官山店」のトップスタイリストとして、雑誌の撮影やヘアショーなどでも活躍中。