スタイリストとしてはもちろん写真に映像制作、〈サンセ サンセ（SANSE SANSE）〉のディレクターまで幅広く活躍中の梶雄太さん。本当にめちゃくちゃ多才なんですが、なかでも近年話題を集めているのが梶さんがつむぎ出す“言葉”。こちらやこちらの商品詳細を読んでいただいても分かるように、シャツのレコメンドひとつをとってもこの奥行き！ 80年代の空気感を端的に表現した文章が秀逸すぎます。トム・クルーズが頭から離れない…(笑)。

ちなみにブランドを始めるだいぶ前から執筆活動はされていて、その昔（10年くらい前）某媒体でスタートした短編小説がコアなファンから熱い支持を得ていました。

物語はとある男“竹崎”を軸に展開するんですが、何気ない日常で起こるさまざまな出来事を通じて浮き彫りになっていく主人公のキャラクターがどこまでもチャーミングなんですよね。連載が続くにつれ「今月は調子よさそうだったな」「ようやく夏がはじまったみたいだな」と、“竹崎”がまるで自分の友人かのように一方的な親近感を覚えていく読者が多い人気作品でした。

前置きが長くなりましたが、今週5月27日（金）から29日（日）までの3日間、こちらのショートストーリーをベースにした梶さん初の文章作品の展示『YUTAKAJI 203040』 が武蔵小山のクリエイティブスペース「FLOAT」にて開催されます。

会場では文章の展示のほか30話以上ある作品の中から20話に絞り、上下巻に分けたジンが限定で発売されるそう。さらに5月28日（土）と29日（日）には代々木で人気のタコススタンド「Street Food Company」が出店してイベントを彩ります。

今回の展示はFLOATのオーナーである庄司真吾さんが梶さんの文章に心を動かされたことから実現した企画とのこと。10年経っても全く色褪せることのない（むしろ10年前にこの作品が存在していたのがすごい）言葉のパワーをぜひ会場で体感してみてください！

「10年以上前の連載になるのですが、久しぶりに読んでみると自分が思う以上に下世話で稚拙な文章でした。ただ当時手書きだった全部の原稿を、今改めてPCに入力するために打ち込んでいる作業中、自分自身がその文章から勇気や元気をもらっていることに気づいた時に、なんだかとても嬉しくなったのです。どうしようもない不器用な男の日常のショートストーリーになるのですが、書き続けたことで掴めたその時代性のようなもの。そしてそれから10年経った今あえて展示することで感じる意味のようなもの。皆様と一緒に楽しめればと思います。梶雄太」