記念すべき初回! 前橋国際芸術祭の内覧会で“めぶく。”を体感!(by editor🐟)

2026.9.25

だいぶ安定して涼しい日も増え、秋が深まってきました。芸術に触れたくなる季節到来。そんな日和にうれしい、この度記念すべき第一回目となる「前橋国際芸術祭」の内覧会に参加してきました。ぜひ行って感じていただきたいので、そのごくごく一部を今回もiPhoneカメラロールにて編集部のリアルな感想とともにお届けします。

概要を見ると、群馬県は前橋市では2016年からまちづくりビジョンとして“めぶく。”を掲げ、民間主導の再開発を進めていたのだそう。さまざまな建築家や芸術家が“まちに向き合い、その記憶を引き継ぐ”先鋭的デザインを散りばめながら構想すること10年の末に実った芸術祭、個人的には前橋は初上陸。いざ!


東京からのバスを降りて、メイン会場へ。周りにはイベントムード感じるのぼりや土のう、まちに点在するアート作品もちらほら。


Official Map。ワクワク。

Mapをざざっとさらうと、その直径500m、歩いてまわれる距離の中に21のアートサイトが点在。フラットにカウントすると関わったクリエイターの数は160名、今後のスピンオフなどを考えるともっともっと増えそうとのこと。まずはメイン会場となる「アーツ前橋」を見学します。




前橋の歴史や、“めぶく。”を掲げてからの町おこしについて、前提はここ「前橋アーツ」でおさらいができます。写真や立体、映像……。規模も表現手法もさまざまな作品群がひしとおさまっていました。ここではちら見せに留めておきます。


日本のコンテンポラリーダンスシーンを牽引する若手ダンサー小暮香帆氏と、建築家たちによるアートとのコラボレーション映像、必見です。見入ってしまいました。


2008年にファッション界を退いてアーティストへと転身したマルタン・マルジェラによる作品、「演壇(ステージ)」や「表彰台」を意味する《PODIUM(ポディウム)》。

ここで見られるシリーズの別作品が、点在する別の建築のなかで見られる作品もあるのが面白いところ。まちを歩いて空気を感じながら出会った建築物の中で見るアートはまた違う表情を見せてくれます。

例えば必見はマルジェラによる《PODIUM》。「前橋アーツ」から数分歩いたところに位置する複数の建物内で別作品を見ることができます。


突如として現れるモダン建築。平田晃久氏による「まえばしガレリア」。

陽光の入る広いガラス張りの窓から見るマルジェラ作品。もちろん中へと入りつつ、前橋市内のまち並みを背負ったまま見るアートは新鮮なものがあります。



《PODIUM》より「バスストップ」。

ここから1、2分歩いた先の交差点を渡ったところでも、このまちならではと言っていい別の《PODIUM》が見られます。


「Shop in art association」。向かいにはやや時代感じる大きなカニのインパクト。


そのカニが、マルジェラのアート背後の窓から覗く……ここにしかない風景です。

実行委員兼総合プロデューサーである田中仁さんは、プレスカンファレンスでの挨拶でこうおっしゃっていました。

「私が前橋のまちづくりに関わり始めて10数年が経ちました。当時の中心市街地には、シャッターを閉めた店が並び、人通りも少なくなっていた。あの頃このまちで国際芸術祭を開催する日が訪れるなんて、思っていた人がいたでしょうか。」


芸術祭のメインストリートとも言える「前橋中央通り」。mapに従ってここを通過すれば、自然と前橋市民の生活に触れることができる。

「なぜ芸術祭をするのか。それは、選ばれる地方都市になるために、日本のみならず世界に目を向ける必要がある。そしてアートには、国境や言葉を超えて届く力がある。新しいことに挑戦する人たちに、“このまちで何かを始めたい”と思ってもらいたい。」

これらの言葉は、実際に散策してみるとプレスツアーの短い時間で初めて訪れた私にも明らかで、どこかレトロな前橋のまち並みをそのまま小綺麗に塗り替えてしまうのではなく、卑下することなく、そのまま残しながら、芸術という観点の新しさが加わっている。なかなかの異世界を感じることができます。



ぎっしりとラインナップ豊富な玩具屋さん「クロタ」。物色して竹とんぼ ¥165×2 を購入してしまった。他ではきっとない、いい寄り道。

もうひとつ、特筆したいアートが蜷川実花作品《空だけはこっちを見てこなかった》。銀座通りにある、ゴールドのセラミックタイルが印象的な廃ビル「ハウゼビル」に足を踏み入れてからは異世界体験でした。


《空だけはこっちを見てこなかった》作品における架空のショーパブ「SCARLET MIRRORS」。

エレベーターで4Fへあがると、かつてパブが入っていた店舗跡、当時の雰囲気をそのまま生かした蜷川実花ワールドのインスタレーションが広がる。廃墟ビル特有のどこか不穏なムードに、容赦無くギラギラとまわるミラーボール、繰り返し流されるショーパプでの会話。


《空だけはこっちを見てこなかった》作品における架空のショーパブ「SCARLET MIRRORS」。


静止画で伝えるのが難しいのですが、きらめきよりもとめどないのは生々しさ。ぐるぐるとまとわりつくおかしな夢の中のような。不思議な感覚を全身で味わいながら奥へと進んでいくと、ラストには窓から見える青空。

その下にかつては栄えた前橋の夜のまちが広がる。謎めいた《空だけは、こっちを見てこなかった》というタイトルは、このインスタレーションの背景にあるプロット(ここではネタバレは控えます)を切なくもあっけらかんと締めくくる。


インスタレーションを終えて、下りのエレベーターに乗り込むまでもこのインスタレーションの一部。廃墟ビルならではの世界観、余韻がすごい。

他にもいろいろ、いろいろあるのですが全部を欲ばることは控えて一部をフォトギャラリー的にご紹介。


芸術祭エリアに流れるのは、初秋の風に柳が揺れて気持ちのいい広瀬川。川沿いを歩いて、岡本太郎作のアートにも挨拶。「グルマンカレー」でスピードランチ。芸術祭期間中は限定メーニューがあるそうです!


森鴎外、乃木希典などの多くの芸術家に愛された、江戸時代から続く旧宮内庁御用達旅館「白井屋旅館」。6年半の歳月をかけて建築士 藤本壮介氏により蘇った「白井屋ホテル」にもアートが“めぶく。”


6年半におよぶ大改修の末、取り壊しの危機を脱して2020年に現・「白井屋ホテル」としてリスタート。“めぶく。”プロジェクトを体現するアートホテルとなった。


画家・絵本作家のミロコマチコさんによるアート。まるで自生しているかのよう。

紹介させていただいたのはほんの一部。
12月末までの会期中に各所でのイベントは様変わりするし、「前橋シネマハウス」では約1週間毎に上映作品が変わります。

プレスカンファレンスで、実行委員長田中さんのこんな言葉がありました。

「この芸術祭の大切な意味のひとつに、民間が自ら資金を集め、自らの意思と責任で、まちを世界へ発信しようとする挑戦であること、があります。この芸術祭がどのように前橋というまちを変えていくのか、その答えはまだわからない。でも行動しなければ新しい風景は生まれません。」


プレスカンファレンス最後に、参加クリエイターたちが登壇して記念写真。

まちの在り方についての強い熱意によって官民共創で様々な挑戦がめぶき、ひとつ形になった前橋国際芸術祭初回。

つくり込まれるのではなく、栄華と衰退の歴史を抱えた今の素のまちにアートが共存する。
作品と作品との間にある前橋のまちの景色、風や音を感じながらぜひ訪れてみてほしいです。

これは行ってみないとわからない。
やっぱりローカルの魅力は尽きません!

(by editor 🐟)

前橋国際芸術祭 2026 -めぶく。Where good things grow.-
会期: 2026年9月19日(土)〜 12月20日(日)
開催場所: 群馬県前橋市中心市街地(アーツ前橋、白井屋ホテル、まえばしガレリア、前橋文学館など)
開場時間: 10:00〜18:00(入場は閉場30分前まで、会場により異なる場合あり)
休場日: 水曜日(祝日の場合は変動あり、前橋まつり期間の変則休場あり)
入場料: パスポートチケットは一般3,000円、学生2,000円、高校生以下無料

主催: 前橋国際芸術祭2026実行委員会
特別共催: 株式会社メルコグループ
共催: 前橋市
公式サイト
http://maebashi-biennale.com

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