実験精神とポップセンスあふれる、モスクワの才女ケイト・エヌヴィーの新譜が楽しみ!
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モスクワ出身のプロデューサー、DJ、演奏家、ヴォーカリストの(って、肩書き多っ!)ケイト・エヌヴィーの最新アルバムが6月12日(金)にエクスペリメントシーンの最先鋭レーベルRVNG Intnl.からリリースされます。彼女といえば、日本では一昨年に単独ツアー、そして昨年に浜離宮恩賜庭園で開催された花紅柳緑(レッドブル・ミュージック・フェスティバル 東京 2019)への出演も話題になっていたので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
文頭でついツッコミを入れてしまいましたが、彼女は元はオルタナティブロックバンドグリントシェイクのヴォーカル、そして20世紀の前衛音楽を再構築するプロジェクト「モスクワ・スクラッチ・オーケストラ」に参加したり、その後は90年代のポップスに夢中になってソロプロジェクトを始めたり、とにかく幅広い分野で活動してきました。こうしてさまざまなジャンルの要素を独自解釈し生みだされた折衷的なサウンドが美しく、それがいまの彼女のソロプロジェクトの魅力でもあるのです。
そして最新作では、彼女のルーツである70年代~80年代のロシアと日本のポップスからの影響をベースにしつつ、アンビエント、ミニマル、ニューエイジが見事なバランスで融合。アルバム全体を通して彼女の実験的な姿勢とポップセンスを感じ取ることができる、バラエティ豊かな傑作が誕生しました。先行してシングルのMVも続々と公開されているのでまだチェックしてない方はこちらからどうぞ↓
『ピッチフォーク』でベスト・ニュー・トラックに選出された「Sayonara」は、軽やかなヴォーカルにエッジーなギターとタッピング・ドラムを絡めて駆け上がっていく流れが心地いい! そしてところどころ日本語で歌われる箇所があるのですが、ロシア語とミックスされてるからか、だんだんなにか別の暗号に聞こえて不思議な感じがしたり。それもまた癖になります。
一方で「Plans」は私たちを取り巻く出来事の不条理さについて歌っていて、パンデミック前に書かれたものでありながら、いまの情勢に通ずるところがあるという… それでも曲自体はコミカルで「私たちの周りに災難がある間でも、まだ楽しめることがある」とポジティブな意味が込められているんだとか。またファウンド・サウンド・ネイションの「Broken Orchestra」サンプルパックのサンプルのみを使用してサックス・ソロを作成したという点も注目して聴いてみてください。
リリース日までもう少し! それまでに、過去の彼女のソロアルバムや参加したプロジェクトなどから、彼女のルーツをいま一度辿ってみるのもいいかもしれません。 きっと最新作の味わいがさらに深まるはずです。ちなみに今回のアルバム、CDバージョンは日本でのみ発売されるらしいので、その点もお見逃しのないように!
Kate NV 『Room for the Moon』
レーベル: PLANCHA / RVNG Intl.
フォーマット:CD、Digital
※解説・歌詞・対訳付き予定、※ボーナス・トラック1曲収録
発売日:2020年06月12日
CD価格: ¥2,000+(TAX)
予約:https://katenv.bandcamp.com/album/room-for-the-moon
トラックリスト:
01. Not Not Not
02. Du Na
03. Sayonara (Full Moon Version)
04. Ça Commence Par
05. Marafon 15
06. Tea
07. Lu Na
08. Plans
09. If Anyone’s Sleepy
10. Telefon
11. Arigato song (Bonus Track for Japan)