GIRL HOUYHNHNMGirls Just Want To Have Fun!
2021.11.5 Fri

Talk About The Dope Sounds. #05
grooveman Spotの
日日是好メロディ。

write_ Sakuo

Talk About The Dope Sounds. #05 grooveman Spotの日日是好メロディ。

きらめく星が都会の夜空では見えにくいように、心を打つ名曲も情報の煙霧にかすれて届きにくい。古今東西の音を聴き、自らも曲を鳴らし作る匠人 grooveman Spot に学ぶ音楽の楽しみ方。いまこの時代に耳を傾けたいメロディを、私的な観点とイマジネーションを持って紹介する、きわめて内輪的な音楽談義。

#5 ジャム&ルイス

編集部:前回から少し間が空いてしまいましたが、ついに来ましたね。プロデューサー縛り!

グルスポ:ついに来てしまいました。いつかはプロデューサー縛りでやりたいと思ってたんですが、いざとなると…なかなか難しいですね。

編集部:でもジャム&ルイスは、題材として良いと思いますよ。分かりやすさもあるし、若い子が知ってる曲もいっぱいありそうだし。

グルスポ:そうですね。プリンスとか好き~! って子も最近は多いみたいだし、確か水原佑果ちゃんなんて腕にプリンスマークのタトゥー入れてませんでしたっけ? そんな子たちに向けてだったらこっちも好きなんじゃない? って感じで話せるかなと思いますね。

編集部:うんうん。確かに。

グルスポ:でも、そもそもジャム&ルイスを語るのに、10曲やそこらじゃ全然足らない! 良い曲が多すぎて選ぶのに苦労しました(笑)。

編集部:悩みまくった選曲リストだな~と思いました(笑)。

グルスポ:時代によって音が変化していくのが分かるように考えたんですけど…。まあ軽くいってみましょうか。

編集部:そうですね。お願いします!

グルスポ:ジャム&ルイスを知るためには、まずはプリンスとの関係を知っておいてほしいんですが。プリンスの地元ってミネソタ州のミネアポリスってところで、ミネアポリスと言えばいちばん有名なアーティストがプリンスなんですね。

編集部:うんうん。

グルスポ:ジャム&ルイスこと、ジミー・ジャムとテリー・ルイスは、当時フライトタイムってバンドで活動をしてたんですけど、プリンスが1981年に作ったザ・タイムというファンクバンドに誘われて加入するんですね。ザ・タイムはすごい人気のあったバンドなので、これはこれで聴いてみてもらいたいんですけど。有名な話で「ジャム&ルイス解雇事件」っていうのがあるんです。

編集部:解雇!? ですか?

グルスポ:そうなんです。バンド結成から1年経った1982年の話なんですが、ジミー・ジャムとテリー・ルイスはその頃はもう別のアーティストのプロデュースもやってたようで、アトランタでの仕事後に猛吹雪に遭って、結局戻れなくてライブに穴を開けちゃったんです。そのことでプリンスとリードボーカルのモーリス・デイが怒って2人をクビにしたと。プリンスがモーリスに「ザ・タイムはお前のバンドなんだからお前が決めろ」って言ったらしいんですが、この解雇がモーリスの思惑だったのか、ジミー・ジャムとテリー・ルイスの独立心から発展した出来事だったのかは謎とされてるそうです。

編集部:なるほど~そんなことがあったんですね。でもジミー・ジャムとテリー・ルイスはそのあと大活躍していくわけですよね?

グルスポ:そう。2人はこの後ジャム&ルイスとしてプリンスと同じくらいビッグなプロデューサーとして活躍をします。逆にザ・タイムはあまり振るわずに、プリンスだけが注目されていくんです。という感じで、ジャム&ルイスとプリンスは元々は同じバンドだったというのがポイントですね。

編集部:いや~知らなかったです。毎回、勉強になるなあ(笑)。

グルスポ:で、この1曲目に挙げている『Get It Up』は、ザ・タイムの曲なんですが、ジャム&ルイスつながりってことで入れてみました。ちなみにこの曲は、『ポエティックジャスティス』という2パックとジャネット・ジャクソンが出演した映画のサントラで、TLCがカバーしています。そっちで知ってる人も多いかもしれないですね。

01 The Time / Get It Up

編集部:この曲だけ聴くとジャム&ルイスっぽさは全くないですね。

グルスポ:どっちかというとプリンス寄りなファンクサウンドですよね。こういうのが当時は流行ってたんでしょうね。そうそう、ちょっとおもしろい小話があって…ジャム&ルイスがザ・タイムに入る前にフライトタイムというバンドにいたって話しましたよね? そのフライトタイムでリードボーカルをしてた、シンシア・ジョンソンという人が、後にリップスインクというバンドで活躍するんですが、リップスインクのこの曲聴いたことないですか? 昔よくテレビでかかってた曲ですよ。

02 Lipps / Funkytown

編集部:知ってる~!

グルスポ:このシンシア・ジョンソンは、この後にジャム&ルイスがプロデュースするサウンズ・オブ・ブラックネスのボーカルにもなるんですよ。つまりなんとな~くつながってるという、そんな小話です。

編集部:お~~~~。ホントに勉強になるなあ(笑)。

グルスポ:おもしろいですよね。こういう巡り合わせ的な話は、じーりゅーくんが好きそうなネタですね(笑)。(注:じーりゅーくん=グルスポさんのお友達、オタク的なR&B好きDJ。第2回の「ヒップホップだけどサビが歌の曲。」回でもチラっと名前が出ました)

編集部:出ました、じーりゅーくん(笑)。

グルスポ:まあそんな初期の話もありつつ。ジャム&ルイスと言ったら、やっぱりSOSバンドですね。名曲がありすぎてどの曲を選ぶべきか悩みました。そんな中でも恐らくいちばん聴いたであろう曲がこの『The Finest』です。

03 The S.O.S.band / The Finest

グルスポ:中2のときに火曜深夜2:45から放送してた『CLUB DADA』というダンス番組があって、ZOOなんかもそこから有名になったんですけど。その番組でこの曲がかかってみんなが踊ってるのを見てCDを買いに行ったんですよね。でもその頃にはもうニュー・ジャック・スウィングもあったんで、ちょっと古臭くも感じてたなあ。だから買ったはいいけど結局あまり聴かずにすぐに売っちゃった覚えがありますね。売ったお金でヘヴィ・Dを買ったような気がします(笑)。

編集部:売ったお金でヘヴィ・D(笑)。

グルスポ:でもSOSバンドは本当にいい曲がいっぱいで。『High Hopes』とか『Tell Me If You Still Care』とか。もう山のようにあるんで、何かしら知ってる曲があるはずですよ。

編集部:そうですね。このへんの曲はまさにそういうイメージですね。

グルスポ:で、SOSバンドをやっているまさにこの時期に、ジャネット・ジャクソンのプロデュースも始めているんです。ジャム&ルイス=ジャネット。これを語らないと始まらないですね!

編集部:来ましたね~ジャネット! 『Control』ってアルバムからやってるんでしたっけ?

グルスポ:ジャネット・ジャクソンのトータルプロデュースは1986年に発売されたアルバム『Control』からです。ジャネットってこのひとつ前のアルバムはあまり売れてないんです。ジャム&ルイスと一緒に成長しながら一大ムーブメントを作っていったんですね。そう考えるとこのアルバムはとても重要だなと思いますね。

04 Janet Jackson / Funny How Time Flies(When You’re Having Fun)

グルスポ:ジャム&ルイスとジャネット・ジャクソンのスロウナンバーって、しっとりしてて雨が似合うというか。この空気感が独特で最高なんですよね。

編集部:ジャネットって日本だとこの次のアルバムの『Rhythm Nation』から流行った感じですよね~。自分もそっちから入ってさかのぼって『Control』を聴いたんですけど、そしたらこっちもすごいいいじゃん! て。この頃ってCDを死ぬほどリピートして聴いてたじゃないですか? だからこの曲も耳に残ってますねえ~。

グルスポ:そうそう。『Rhythm Nation』が出た頃から日本のマスメディアがジャネットのことを取り上げ始めて。例えば、昔お正月に放送してた新春隠し芸大会とかで、ジャネットのMVのモノマネをやったりしてて。

編集部:あ~ありましたね、そういうの(笑)。

グルスポ:誰がやってたんだっけな~? (※検索したら和田アキ子がやってました)

アッコのリズムネイションは2:20あたりから。和田アキ子がなぜか白組なのも時代を感じますねえ(苦笑)。

グルスポ:そういうのを見たお茶の間の普通の人たちは、ジャネット・ジャクソンは知らなくても曲はなんとなく聴いたことあるぞ? みたいな感じもあったと思うんです。

編集部:なるほどですね。そういうところから世の中的にジャネットが認知され売れていったと。ちなみに『Rhythm Nation』が1989年で、次の『Janet』が1993年。我々の世代的にはいちばん良い時代ですねえ(笑)。

グルスポ:あ~そんな前ですよねえ。歳取りましたねえ(笑)。あ? ということは? …僕、当時の彼女のお姉ちゃんにミックステープを作ってあげたんですけど、その年からDJを始めたんですよね。で、『That’s The Way Love Goes』を入れてるんです。って考えるともう30年近くDJやってるんだ~(笑)。長い!

編集部:自分も最初に作ったのに入れてたな(笑)。こっち方面が好きな人はみんな同じですよきっと。

グルスポ:『That’s The Way Love Goes』とかは、いまだに現場に持っていってかけるわけだから、ずっと色あせない曲って考えると本当に素晴らしい! 結局僕ら世代のR&Bってジャネットなんだよなあ(笑)。マイケルも良いんだけど、やっぱりジャネット。最強なんじゃないかな~。

編集部:ジャネット最強説!

グルスポ:この間、シンガーのG.RINAさんとも話してたんですけど、彼女もジャネットの影響は大きいって言ってましたよ。歌とかコーラスとか。

編集部:そうなんだ~。

グルスポ:ジャム&ルイスはザ・タイムを解雇されたすぐ後にフライト・タイム・プロダクションという会社を作ります。そこにはSOSバンドやジャネットもいたわけですが、シェレールというアーティストもいて、彼女のこの曲が名曲中の名曲です。

05 Cherrelle,Alexander O’Neal / Saturday Love

グルスポ:ジャム&ルイスを語る上で、これも外しちゃいけないですね。シェレールとアレキサンダー・オニールはもはやセットで考えてもらっていいんですが(笑)。この2人のアルバムはほとんどジャム&ルイスがやってますね。この曲なんて、サンデー、マンデー、チューズデーってすぐに口ずさめちゃうんで。覚えるのも超簡単!

編集部:確かに(笑)。

グルスポ:続けて紹介したいんですけど、ハーブ・アルパートの『Making Love In The Rain』も良いですよ。ジャネット以降の80年代後半はこういうジャズ系のアーティストとも一緒にやるようになってきて、僕のスーパーフェイバリット曲です! 最近、H.E.R.が『Damage』って曲でサンプリングしてて聴いたことある人も多いかもです。

06 Herb Alpert / Making Love In The Rain

グルスポ:で、不思議なことがあって、僕がいまいちばん推しているシンガーでシディベって人の新曲『Ready Enough』でデヴィン・モリソンとハーブ・アルパートが一緒にやってるんですよね。

編集部:それはグルスポさんが絶対好きなやつじゃないですか(笑)。

グルスポ:ハーブ・アルパートなんてもうおじいちゃんだと思うんですけど、意外なところでつながってるな~と思いましたね。でも『Making Love In The Rain』は、雨の中でもカマしちゃうぞ! って歌ですからね(笑)。日本版の7インチがあるんですけど…ガサゴソ(探し中)…ありました。邦題は『雨の中で抱きしめて』ですから(笑)。歌詞の和訳を見ると「雨の中で愛し合うってなんて楽しいのかしら。ひとりになってもまだ窓を打つ雨音が聞こえる~」て。けっこうイヤラシイ歌なんですよ(笑笑)。

編集部:和訳スゴ~(笑)。

グルスポ:このレコードもいまとなってはけっこうレア盤みたいで。昔はこんなの100円とかだったんですけどねえ。まあでも先に出てきたジャネットの『Funny How Time Flies』もそうですけど、ジャム&ルイスは雨が似合うというか、雨の歌が良いんですよね。

07 New edition / Can you stand the rain

グルスポ:この曲を歌ったニュー・エディションは、ボビー・ブラウン、ラルフ・トレスヴァント、ロニー・デヴォー、ジョニー・ギルなどが所属してたキッズグループですけど、これもジャム&ルイスの「雨」ですね。

編集部:grooveman Spotは雨好きだ! ということですね?

グルスポ:そうなんです。実際の雨は大嫌いですけどね、濡れるし(笑)。雨歌だけでも選曲できそうですね。

編集部:いいですね~。来年の梅雨時期にやりましょう!

グルスポ:さてさて。フライト・タイム・プロダクションは1990年代になると影武者っぽい下のプロデューサーも登場します。ジャム&ルイスはエグゼクティブ・プロデューサーで曲のアレンジとかプロデュースを別の人がやるみたいな感じです。ロー・キー?(LO-KEY?)というボーカルグループのランス・アレキサンダーて人がまさにその影武者で、けっこういろいんな曲を作っています。最近ラルフ・トレスヴァントの『Sensitivity』のUSプロモ盤を買ったんですが、そしたらロー・キースなんちゃらってバージョンが入ってまして、それが僕の大好物な、曲はそのままでビートが無いバージョンだったんですよ。ぐふふふっ(笑)。

編集部:笑ってますね(笑)。

グルスポ:もうたまんね~な~って(笑)。たぶんですよ? ジャム&ルイスが、おい! ランス! お前いまヒマなんやろ? なんか好きな感じで一曲作ってみ、良い感じだったらプロモに入れたるわ~。みたいな感じでやらせたんでしょうね(笑)。

編集部:ホントにそれっぽいな~想像できる(笑)。

グルスポ:それがこれです。 たまんないでしょ?

編集部:(笑)。

グルスポ:で、お次はまたしてもジャネット・ジャクソンなんですけど。『The Velvet Rope』というアルバムは1997年発表で、おっぱいを後ろから鷲掴みにされてた『Janet』の次に出たやつです。このアルバムから急にサウンドのイメージが変わった時期でもあります。

編集部:そうでした! 発売してすぐ買ってタイトル曲の『Got’Til It’s Gone』聴いて、アレ? こんな感じ? って思ったのを覚えてますね。

08 Janet Jackson / Got’Til It’s Gone

グルスポ:90年代って音楽機材が目まぐるしく進化した時期でもあって、それに合わせて音もどんどん変わっていきました。ジャム&ルイスもそうだし、他のプロデューサーたちの音もけっこう変わって、ニュー・ジャック・スウィングとかも80年代と90年代では急に音がきれいになりました(笑)。

編集部:言われるとそうですねえ。

グルスポ:音がタイトになったというか、いままでは「バーン!」て鳴ってたのが「カーン!」みたいな。ジャネットの『Got’Til It’s Gone』もご多分に漏れずで、これホントにジャム&ルイスが作ってるの!? って感じでしたよね。

編集部:うんうん。

グルスポ:でもこの曲って実はJ・ディラ(当時はジェイディーと名乗ってた)が作ったの知ってます? 『Got’Til It’s Gone』って、ア・トライブ・コールド・クエストのQティップがラップしてますよね。彼は曲作りにも関わってたみたいで、まだ売れてなかったころのスラム・ヴィレッジのメンバーだったJ・ディラと作った…いや、正しくは作らせたみたいなんですよね。これってJ・ディラの自伝の『J DILLA’S DONUTS』にも書いてある有名な話なんですが、要するに当時QティップはJ・ディラをフックアップしていろいろ曲を作らせてて、今度ジャネットとやるから一緒にやろうぜ! 的な感じでデモを作らせたんでしょうね。で、それが採用されてアレコレやって完成したのが『Got’Til It’s Gone』だったと。

編集部:へ~そうなんですね!

グルスポ:でもなぜか、J・ディラの名前は一切クレジットされなくて、彼には一銭も入らなかったみたいで、結果モメたと。そりゃそーですよね。で、じゃあリミックスを作ってそれをプロモ盤としてリリースしてお金を取ろうってことでできたのがこちら『Ummah Jay Dee’s Revenge Mix』です。“リベンジ”ミックスですから(笑)。

編集:リベンジ・ミックス(笑)。

グルスポ:こういう当時のエピソードを知った上で聴くと、また違った聴こえ方がしておもしろいですよね。

09 Mariah Carey / Bliss

グルスポ:マライヤ・キャリーというと、下北沢のクラブ「カウンタークラブ」の店長のモエちゃんってイメージですよね(笑)。

編集部:マライヤ好きのギャル店長ですね(笑)。

グルスポ:モエちゃん元気にしてるかな~? 早くカウンタークラブでもDJしたいですねえ。で、こちらの『Bliss』は出たときに、うっわ~~~~メチャ良い曲キターーー! と思ったんですよね。そしたらこれもジャム&ルイスだったという一曲です。なんか当時のマライヤってもうちょっとポップス寄りなのが多かったんですけど、急にスローでR&Bな感じでホントに好きだなーって。

編集部:しっとりしてて良い曲ですよね~。

グルスポ:で、このときに思ったのが、ジャム&ルイスってけっこうシルキーな声のシンガーが好きなんじゃないか? と。例えばこのエンジェル・グラントっていうシンガーなんですけど。

10 Angel Grant / Lil Red Bort

グルスポ:全曲ジャム&ルイスがプロデュースしてるんですけど、どちらかと言うとロック寄りなんですよね。この人の情報が全然なくてあんまり売れてなかったのかもなんですが。僕的には当時からCDも買っててけっこう好きなんですけど誰も良さをわかってくれなくて(涙)。で、この人の声がジャネットみたくシルキーで透き通る感じなんですよ。やっぱりこういう声のシンガーが好きなんだな~って。…という流れで宇多田ヒカルなんですよ!!!

編集部:おおおお~~~~???? 宇多田ヒカルですか?

グルスポ:そうなんです。ジャム&ルイスは宇多田ヒカルの曲もやってるんですよ。

11 宇多田ヒカル / Addicted To You – UP-IN-HEAVEN MIX

編集部:むむ~~確かに宇多田ヒカルってシルキーな感じですね。しかも改めて聴くと曲もしっかりジャム&ルイスしてますね!

グルスポ:でしょ? そうなりますよね!? なんかパワフルに歌い上げる系より、ハイトーンで透き通るようなクリスタルボイスがお好みなんじゃないかなー?って。さっき紹介したシディベも同じような声質なんですよね。僕的には彼女はジャネットの再来って思ってるくらいなんです。歌声で感情を揺さぶられるな~って。

編集部:いや~きっとジャム&ルイスもグルスポさんと同じように思ってるんじゃないですか(笑)?

グルスポ:でね。さらになんですが、宇多田ヒカルだけじゃなくて、なんとクリスタル・ケイの曲もあるんです(笑)。

12 CRYSTAL KAY / Kirakuni

Crystal Kay – Kirakuni from fhiruy0u on Vimeo.

編集部:おおおお~~~~!!!! なんともジャネットっぽい曲ですね。すごい(笑)!

グルスポ:『Doesn’t Really Matter』っぽさありますよね(笑)。なんとなく時期が被ってたのかもですねえ。ちなみに『Doesn’t Really Matter』は、島谷ひとみがカバーした『パピヨン~papillon』なんて曲もありました(苦笑)。

※クリスタル・ケイの曲でジャム&ルイスがプロデュースしたものは他にも2008年に出たアルバム『COLOR CHANGE!』の中に2曲あり。『ITOSHIIHITO』、『I CAN’T WAIT』。ちなみに『COLOR CHANGE!』自体はSpotifyにあるんだけど、なぜかこの2曲は聴けないという悲しき権利問題…。

グルスポ:さてさてさて! ジャム&ルイスと言ったら絶対に外せないのがありますよね! みんな大好きな『Mo’ Money』のサントラです。このアルバムは全曲ジャム&ルイスがプロデュースしております。

編集部:大好きです! 大大大好きデス! これは絶対に外せませんね。

『Mo’ Money』は1992年公開のクライムコメディ映画で、日本では翌年1993年に一部の映画館で公開。サウンドトラックをジャム&ルイスが全曲プロデュースしていることや、豪華アーティストのラインナップから、当時の音楽好きの間で瞬く間に話題になった。ぶっちゃけ映画の内容はイマイチです(笑)。

グルスポ:このアルバムはサントラ史上いちばん聴いたんじゃないかってくらい聴き込みました。いま手元にあるのは日本版で、歌詞が知りたくて買いなおしたやつですね。

編集部:やっぱりベストはルーサーとジャネットの『The Best Things ln Life Are Free』?

グルスポ:そうですね。このオリジナルバージョンがいちばん!

13 Luther Vandross & Janet Jackson / The Best Things ln Life Are Free

編集部:この曲で白飯食べれますよね(笑)。

グルスポ:この高速R&Bとでも言うのかな? このオリジナルバージョンが超かっこよくて。MVがなぜかハウスバージョンしかない(たぶん?)のが理解できないんですよね。このMVってルーサーもジャネットも出てこないんです。それも謎です(笑)。

編集部:あ~そうでしたね。なんか映画のシーンをつなぎ合わせたようなやつだ。

グルスポ:そうです。主演のデイモン・ウェイアンズと、あのヒロインの子…名前なんだっけな~(※ステイシー・ダッシュだそうです=編集部調べ)かわいかったな~。MVの頭にも入ってる「Excuse Me. How Much Is This Book?」「For You? Fee Take It.」「Nothing America’s Free」って会話のとこからもうたまんないですよね~~~~~~。

編集部:うわ~~~会話の部分覚えてるんだ~~~キモイな~~~(笑)。という自分も覚えてますが(笑笑)。

グルスポ:気持ち悪いですよね~~~(笑)。でもこの会話って、サントラにも入ってたじゃないですか? それぞれの曲の前に映画のシーンの会話がちょっと入ってて、会話と曲がちゃんとつながる構成になってるという感じで。

編集部:そうそう。当時は先にサントラを知ってそっちを死ぬほど聴きまくってるから、しばらく経って映画を観たら、うわ! この会話ってあの曲の前のやつじゃん! ってなりましたよね(笑)。

グルスポ:『Ice Cream Dream』の前の会話とかね(笑)。あれ映画で聴いたとき感動しました(涙)!

編集部:MC・ライト『Ice Cream Dream』は最高です! MVも超サイコー!

グルスポ:この曲をDJでかけるなら、頭の「ジューンッ!」ってところからのつなぎを考えちゃうんですよね~。あの「ジューンッ!」がホントいいんですよ。「ジューンッ!」っていうか「ドュビューンッ!」ですよもはや。この曲で踊らなかったウソですから(笑)。

編集部:好きが溢れすぎてて言葉がおかしいですよ(笑)。てゆーか、なんか『Mo’ Money』オタクの会話ですね(笑)。

グルスポ:どんだけ好きなんだっていう(笑)。まあでも、ああいうヒップホップを大胆に取り入れる手法もジャム&ルイスはよくやってたんですよ。『Ice Cream Dream』は、EPMDの『So Whatcha Sayin’』を使ってますし。

グルスポ:ラジャー・ネーの『Turn It Up』は、ノーティー・バイ・ネイチャー『Hip Hop Hooray』とそっくりじゃないですか? そういう大胆なことやってたりするんですよね。

聴き比べると確かにそっくりさん(笑)。なかなか大胆ですね~。

編集部:なるほどなるほどですね~。そしたらグルスポさんがジャム&ルイスでこの一曲を選ぶとしたら何ですかね?

グルスポ:う~~~~~ん。………………無理だな(笑)。

編集部:(笑笑)。

グルスポ:まあでも、やっぱりジャネット・ジャクソンの何かしらになっちゃうかな~難しいところだなあ。この連載の最初のころに紹介した『Any Time,Any Place』もすごく好きだし、でもアルバムとして『Janet』も推したいし…。難しいですねえ。

編集部:そうですねえ。『Janet』は棺桶に入れてもらいたいくらいですねえ(笑)。

グルスポ:あの世でも聴きたい! そのくらい好きですね。まあ結論としては、ジャム&ルイスは、“ジャネットとMo’ Moneyを聴け!”ということじゃないでしょうか!?

編集部:確かに~~~! その結論はバッチリだと思います!

グルスポ:今回はきれいにまとまりましたね(笑)。でもこうなると次のテーマが難しいなあ…。

編集部:そしたら次は同じくプロデューサー縛りで、テディ・ライリーいっちゃいます?

グルスポ:いっちゃいますか(笑)? だったらR&Bに詳しくてうるさい、じーりゅーくんを呼んで一緒に話す対談形式はどうですか?

編集部:じーりゅーくん良いじゃないですか~(笑)。だったらその記事が公開されたらグルスポさんとじーりゅーくんとで、テディ・ライリー・パーティやりましょうよ! 下北沢のカウンタークラブで!

グルスポ:うわ~それやりたい。全曲テディ縛り! 濃いなー(笑)。

編集部:では次回はいよいよテディ・ライリーということで! 楽しみですね。

グルスポ:ですね! 今回もありがとうございました!

※というわけで、今回のテーマに合わせて追加で作ってもらったプレイリストは↓こちらからどーぞ! これを聴けばあなたもジャム&ルイス・マスターです。
日日是好メロディ#5 Jam&Lewis History

PROFILE
grooveman Spot

音楽とスポートをこよなく愛する『女性に優しいハードコア集団』JAZZYSPORTに所属するDJ / トラックメーカー / プロデューサー。最近ずっと行きたかった神田の中華料理店「味坊」。先日、編集長に連れてってもらいました。中国の東北地方料理とリーズナブルな自然派ワインを堪能して、思わず店員のおばちゃんに「この近くに引っ越して来たい!」って言ったら無視されました(笑)。と思ったら言葉通じてませんでした。中華料理とワインの組み合わせは最高です!
@groovemanspot