“ありのまま”をさらけ出す、MEI SEMONESの音楽。
A pure girl, pure music, and a pure gaze.
“ありのまま”をさらけ出す、
MEI SEMONESの音楽。
2026.10.28
昨年のフジロック出演や全国6都市ツアーが記憶に新しい
ミシガン州出身のシンガーソングライター・MEI SEMONES。
キュートなルックスとピュアな歌声、そして高度なギタープレイングで
世界から注目を集める彼女が来日したと聞きつけ、インタビューを敢行。
その音楽作りの姿勢には、飾らないありのままの姿がありました。
Photography: Haruto Inomata
- ーまずは音楽のルーツを聞かせていただきたいです。ジャズをベースに、インディーロックやボサノヴァなど、さまざまなジャンルを取り入れた楽曲を制作されていますよね。
- 父がもともと「ユーフォニアム」という管楽器をやっていたのもあり、小さい頃からたくさんのジャンルの音楽に触れる機会があったんです。その影響もあって4歳からピアノレッスンを始めて、11歳からはギターを弾き始めました。最初はクラシックギターだったけど、すぐにロックギターにスイッチして、その後エレキギターを買ってもらいました。高校からはジャズを勉強し始めて、そのままジャズにフォーカスしてバークリー音楽大学に入学しました。
- ー最初に手に取られたのはピアノだったんですね。ギターを始めたきっかけはなんだったんでしょうか?
- 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』です。メインキャラクターのマーティが部屋でギターを演奏しているシーンがあるんだけど、それを観て“かっこいいな”“自分もギターやりたいな”と思ったんです。それで父と母に買ってもらいました。
- ーかわいらしいエピソードですね。MEIさんの音楽は、ギタープレイング自体はものすごくレベルが高い一方、声色はとても親密で耳馴染みがよく、いい意味でギャップがあるなと思うんです。そのあたりのバランス感覚はどのように意識されていますか?
- うーん、実はあんまり意識してないかもしれない。きっとそういう音楽になっている理由は、ギターはすごく練習してるけど、歌は全然練習してないからかも。歌うときは自分の声をそのまま出してるっていう感覚で、歌のレッスンも受けてないし、歌の勉強もしたことがないから、毎日話してるような歌い方をしてるかなって思います。
でもギターは逆にたくさん練習してきてるから、それでギャップが生まれているのかもしれない。そういうバランスを作りたかったっていうよりは、そもそもギターに興味があって、歌にはあんまり興味がなかったからなのかも。 - ーそうだったんですね! 歌を練習していないというのはとてもびっくりです。
- 結局たくさんライブをしているからそれが練習にもなってると思うけれど、ギターのように1日8時間練習するとか、そんなことはやったことがなくて……。
- ーそれでライブ中にずっと歌っていたりするのは、苦にならないんですか?
- ならないの、なぜか。でもきっとそのうち苦しくなるかもしれないから、もうちょっと勉強して声のことをいろいろ勉強したいなと思ってます。
- ー歌を歌おうとか、歌詞を書こうと思ったのはどういうきっかけだったんですか?
- なんでかな……。やっぱりまわりの友達もみんな作曲してたし、バークリーだとみんな自分の音楽を作ってるから、じゃあ自分もなんか書いてみようかなって思って。中学のときも一応作曲はしてたんですけど、本当に自分が好きな曲を書いたのは、大学に入った後でしたね。
- ーでは、ギタープレイングに影響を受けたアーティストはどんな方ですか?
- いちばん最初に好きになったのはGrant Greenっていうジャズギタリストかな。あとはWes MontgomeryとJim Hallが好きでした。いまはKurt Rosenwinkelとかすごく好きです。Pat Methenyも好きだし、Kenny BurrellとかBarney Kesselとか、けっこうみんな有名なジャズギタリストだけど、ジャズを始める前はJimi Hendrixが好きでした。
- ーいろいろなアーティストの影響で、いまのMEIさんの音楽が形作られているんですね。
- ー『Dangomushi』や『Donguri』、『Kurage』など、日本語を用いたタイトルの楽曲がたくさんあると思うんですが、その理由を教えてください。
- 曲の名前を決めるときは、歌詞の中からいちばんその曲に合ってるワードを選びます。歌詞に日本語が入ってることが多いから、きっとその曲の中でいちばんしっくりくるな、と思うのが日本語なんだと思います。
- ーたしかに、ほとんどの楽曲で英語と日本語を混ぜて歌詞を書かれていますね。
- 私は赤ちゃんのときからずっと英語と日本語どちらも喋ってるから、曲を作るときも両方入れた方が自分らしいし、それがナチュラルなんです。音楽を作るときは正直に作りたいし、私の人間性がいちばん出るかなって思ってて。
- ーMVも日本で撮影されたりしていますよね?
- 映像監督の新保拓人さんの作品がすごく好きで。できるだけ一緒にMVを作りたいなと思っているので、東京で撮影することが多いです。『Animaru』という楽曲で豚のバイクに乗って登場したシーンがあるんですが、そのアイデアがとてもキャッチーで、私も気に入っています。
- ーあのシーンはすごくユーモラスで印象に残っています! では、日本でのいちばんの思い出はなんですか?
- いろんないい思い出があるから難しいね……。でも子供の頃だと、横須賀のおばあちゃんの家に行って、友達と遊んでた思い出がいちばんかな。
アメリカは日本よりも早く夏休みが始まるから、毎年夏の間は日本の学校に2週間くらい通って、それから夏休みが始まるって感じでした。友達といっぱい遊んだり、公園に行ったり。それがいちばん楽しかったかも。あとは最近だとフジロックに出演したのが楽しかったな。 - ーフジロックは記憶に新しいですね。今年の初めには全国6都市ツアーも行って日本での活動も精力的にされてると思うんですが、日本で演奏してみて、アメリカと違うなと思うところはありますか?
- アメリカのファンの方は、すごく盛り上がってくれるし声を出してくれる人が多いです。日本の方は静かなんだけど、すごく集中して聞いてくれてるっていうのが伝わってきます。
あと、日本のファンは何かを好きになったときのサポートの気持ちが強いなと思います。アメリカだと、このアーティストちょっと聴いてみてよかったな、ライブに行ってみようかな、くらいの軽いテンションだけど、日本だといつも同じ人が何回も観に来てくれます。それがうれしいです。
- ーアートワークについてもお伺いさせてください! Ema Gasparさんの作品がすごくかわいくて印象的で。
- Emaはたしか1年以上前にインスタで友達になって、私が東京に来たときに初めて会って、すぐ仲良くなりました。フジロックに出演したときのバックドロップも作ってくれたし、日本ツアーのグッズのデザインもお願いして。Emaのアートスタイルってすごくユニークだし、見たらすぐEmaだって分かるでしょ。それがいいなって思ってます。他のアートワークは、全部母がやってくれてます。
- ーお母様が描いてくださってるんですね、すごく素敵です。ヘアスタイルについてもお伺いしたいのですが、どういったこだわりがありますか?
- ヘアスタイルは、大学生のときに短くしてそれがすごく自分では似合ってると思っていて、続けてます。色を入れたり、ヘアクリップもいつも付けてるけどなんとなくかわいいかなと思って、深く考えてはないんです。
- ーファッションはどうですか?
- 実はあんまりこだわりがなくて……(笑)。双子の妹がいるんだけど、妹の方が洋服をいっぱい持っているからいらないものをもらったり、借りたりもするし。あと友達からも洋服をもらいます。私がいちばん気にしているのは、1日中着ていても快適で、着心地がいいことだけです。
- ーいつも統一感があるなと思っていたので驚きました。
- それはけっこう言われるんです。分かりやすいスタイルがありますねって言われるんだけど、実はあんまり洋服を持っていないから、ずっと同じ服を着てるだけなんだと思う(笑)。あとツアーのときは持ってこられるものが限られているから、それもあるかもしれないです。
- ー来年1月、セカンドアルバム『Howl』をリリースされますよね。ファーストアルバムの『Animaru』では“愛”がテーマだったと思うのですが、このアルバムではどんなテーマで、どんなメッセージを伝えたいですか?
- 私は音楽を作るときはあまりコンセプトを前もって決めるわけではないんです。1曲1曲自分が作りたい曲を作っていて、それを全部合わせてアルバムになるっていう感じです。タイトルには、アルバムにも収録されている『Howl』という曲(9月30日にリリース)の名前をつけました。
- ー『Howl』はどんな楽曲ですか?
- タイトルは“犬の遠吠え”という意味なんですが、犬とか狼って、遠吠えするときは動物的な本能で自然に吠えるみたいなんです。私も音楽を作るときは動物的に、本能で音楽を作りたいっていう気持ちがあるから、遠吠えに似てるなと思っていて。そして犬や狼がハウルするのは仲間とのコミュニケーションでもあって、私も音楽でコミュニケーションを取ってるし、取りたいと思っているから。私の音楽に対する気持ちを込めました。
- ーそのアルバム『Howl』でメジャーデビューも予定されていますが、それに対する心境や意気込みを教えてください。
- このアルバムをリリースして、世界中でツアーをしていろんな人の前でライブをしたいです。バンドのメンバーにもツアーを楽しんでもらいたいし、もっとサポートしたいとも思ってる。いろんな人のために音楽を演奏したいです。
- ーでは、これからの活動で挑戦してみたいことはありますか?
- いままで私がリリースしている曲は全部歌いながらギターを弾いているんですが、やっぱりギターが好きなので、ギターだけの楽曲もリリースしたいなと思っています。
- ーすごく楽しみです! ありがとうございました。