GIRLS’ CINEMA CLUB
上映映画をもっと知りたい! 語りたい倶楽部。
#8『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生』
いま私たちが映画館で観るべき上映作品を、本音100%でレビューする週イチ映画連載。
今週は『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生』。ファン待望の最新作!
魔法好き、ハリポタ好き、ファンタビ好きを大満足させる、美しき魔法世界が広がっています。
今回は特別編として、ジェイコブ役のダン・フォグラー、クイニー役のアリソン・スドルのインタビューもお届け!
Text_Kyoko Endo
美しくスタイリッシュな魔法世界へようこそ。
ファンタジーは子どもだけのものでしょうか。いや、よく練られたキャラ間の関係性、美術、衣装、そしてもちろんキャスト…これらすべてを兼ね備えた作品は大人にとっても極上の娯楽。
今回のファンタビはパリが舞台で、美しい魔法世界がいっそうスタイリッシュに。ノートルダムなどファンタジーと親和性がある街並みを背景に、装いも完璧な魔法使いたちが闊歩します。セットは細部まで美しく、グリンデルバルドが接収した部屋の美しさはため息もの(センスが良かったことが住人の不運に…)。
ストーリーもリアルです。私たちノーマジの現代社会が反映され、女性差別的な家系図に魔女が口を尖らせたり、グリンデルバルドの召喚魔法や集会はナチス的で言動も現代社会の極右勢力のよう。「どちら側につくか誰もが選択を迫られる」なんて台詞にも現実味が。魔法使いも私たちと同じような苦労をしているわけです。
とにかく観ている2時間強、ずっと楽しいのです。わくわくして文字通り童心に返ってしまう。ハリポタ&ファンタビファンなら当然観にいくはずですが、むしろこれまでこの2シリーズを子ども向けだと敬遠してきた大人の映画ファンにこそ観ていただきたいです。
来日中のダン・フォグラー、アリソン・スドルにインタビュー!
- ー長時間撮影をともにする大作映画では、撮影クルーは家族のように親しくなると聞きますが、今回家族がいるところに戻っていくような感じはありましたか?
- ダン:そうだね。大学2年目みたいで、仲間がいてちょっとばかり自信もあるって感じだ。キャストたちとの絆を感じる。
- アリソン:人と親しくなるって素敵なことなんだけど、撮影で親しくなっても仕事が終わったらもう会わないことが多い。だからまた仕事仲間と再会できるってすごいことだわ。
- ー特にアリソンは前回が長編映画デビューでしたが、今回はどんな違いがありましたか?
- アリソン:2回目ではあるけど…やっぱり特別なことよ。でも今回はちょっとだけ自信をもって出られてよかったわ。前回は何がどうなっているのかわからなくて、いつクビになるかひやひやしてた。規模が大きすぎて何もわからないまま何でも受け入れるしかなくて(笑)。
- ーダンは2作目で名実ともに人間の代表――たったひとりのノーマジ役になったわけですが、意識して演じていることって何かありますか?
- ダン:(笑)。第1作では確かにプレッシャーがあったよ。マグルの代表だなんて、どうやって作品世界に僕を合わせていけばいいのかって。でも今回は、ただ「もう1本いい映画を作ろう」ということしか考えていなかった。これで答えになっているかな?
- ーベーカリーとして成功したり、かなり成長した役柄でしたよね。
- ダン:そう、衣装チームの素晴らしい仕事の結果なんだけどコスチュームも感じが変わった。ジェイコブはクイニーの影響も受けているし、ベーカリーとして成功して自信もある。僕は最初の映画ではブルックリン訛りを強めに使ったりしたけれど、今回は彼はちょっとだけ洗練されているから、それほど訛らないようにしてみたんだ。
- ークイニーの影響を指摘されましたが、アリソンも衣装について意見を出したそうですね。
- アリソン:1作目ではどれくらい意見を言っていいものかなんてわからなかったけれど、今回は信頼関係ができていたから衣装のコリーンもファッションに強い友だちみたいに協力してくれた。街に出ればおしゃれをするわけだし、ロンドンに行ったらタータンチェックやツイードを着たりするんじゃないかって話したの。あとは時代に合わせたり、私の役は変容があるのでその象徴の蝶のモチーフを使ってみたり。衣装を着るのは素敵よ。着ると突然その役になれて、いつも楽しいわ。
- ークイニーとジェイコブの恋愛が今回も物語の重要なキーになっていますよね。それで二人は魔法界の掟に引き裂かれているわけですけど、恋愛でルールを守る必要なんてあると思いますか?
- ダン:僕は本当の愛から人を隔てるルールはすべて災害のように破壊的だと思う。世界にはもっと愛があるべきだし、なぜそれを止めなきゃいけないんだろう。
- アリソン:私もまったく賛成だわ。人を自由に愛せたら、家族になれるでしょう。それこそが世界の基礎になるものだし、愛を禁じるのは破壊的よ。愛する相手を見つけるのだって大変なのに。愛を禁じたりプレッシャーを与えるなんて不公平だしするべきじゃないわ。
- ーいま世界中でそういうことが起こっているのでお聞きしたかったんです。
- アリソン:その通りよ。子どもが家族から引き離されるなんてひどいことが行われている…私たちは何をしようとしているのか、一番大切なのはなんなのか、どうすれば世界がもっと良くなるのか…心が人間性から醜く離れてダークサイドに行ってしまっているみたい。
- ー今回クイニーはそのダークサイドに引かれてしまうわけですが、ジェイコブはどうやって彼女を守りますか?
- ダン:いい質問だ。僕ならこうするって案はあるけど…彼は本当にクイニーと一緒にいたいだろうから、受動的な攻撃というか、彼女を手に入れるために意図的に距離をとるとか、いまとは違うやり方を考えると思う。
- ー僕ならこうするっていうのも教えてもらえますか?
- ダン:僕はいまの時点ではジェイコブを許せるんだ。だって彼はショックを受けただろうからね。彼は燃えさかる炎に囲まれたただの人間で、混乱の中にいる。それに彼女は彼にあんな台詞を叫ぶんだ。ショックだよ。だから僕なら彼女を行かせない。でもそうすると別の映画になっちゃうよね(笑)!
『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生』
(2016/アメリカ/87分)監督:デイビッド・イェーツ
出演:エディ・レッドメイン、アリソン・スドル、ダン・フォグラー、ジュード・ロウ、ジョニー・デップ
配給:ワーナー・ブラザースジャパン
全国ロードショー公開中
©2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights ©J.K.R.
公式サイト
about this Movie
何が起こるかわくわくドキドキ度
★★★★★
衣装・ヘア・美術からも目が離せない度
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早くも続編が気になる度
★★★★★
PROFILE
遠藤 京子
東京都出身。出版社を退社後、フリーのライター、編集者に。『EYESCREAM』『RiCE』に寄稿。