韓国からやって来たニューフェイス、Yvesが気になる。
韓国からやって来たニューフェイス、Yvesが気になる。 韓国からやって来たニューフェイス、Yvesが気になる。

Newcomer from Korea.

韓国からやって来たニューフェイス、Yvesが気になる。

2025.09.10

Instagramのフォロワー数は86万人、
海外には多くのファンがいるものの、
日本ではまだあまり存在を知られていないアーティスト・Yves。
ファンを惹きつける魅力を探るべく、初の日本公演を終えたばかりの彼女にインタビュー。
最新EPの制作背景やソロになってからの変化など、たくさん教えてもらいました。

Photography: Kyohei Nagano(TRON)
styling: Kim Jieun of IBAEKILHO
hair & make-up: Hitomi Matsuno
Text: Mikiko Ichitani
interpretation: Chusei
Artist Management: Enok Jo, Sejeong Yang

Yves @yvesntual

韓国出身。2017年、ガールズグループ『今月の少女』としてデビュー。2024年からソロとして本格始動。8月にはツアーと並行して、3枚目となるEP『Soft Error』をリリースするなど、精力的に音楽活動を行う。音楽性・表現力ともに高く評価されている注目のK-POPアーティスト。

休養期間に見つけた、私の好きなもの。

— 昨年、ソロとして再始動したYvesさん。グループ活動を終えてから活動を再開するまでの期間はどのように過ごしていましたか?
文章を書いたり、本や映画を楽しんだりとリラックスした時間を過ごしていました。お寺に行ったりなんかもしましたね。一度フリーになって、過去の私ではなく未来を一緒に見てくれるような会社を探していて。そこで現在所属しているレーベル「PAIX PER MIL」と出会い、一緒に活動をスタートすることになりました。
— その期間を経て、ご自身の目指す表現に変化はありましたか?
メンタル的な変化もありますが、自分の好きなものを掘り下げていったことが、ソロデビューに向けての準備に繋がった気がします。
— ファッションやヘアメイクなどのビジュアル面はどのようなイメージで作っていったのですか?
本や映画などに触れるうちに、いくつか好きなブランドを発見して。そのなかでも強く影響を受けたのは、〈Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)〉と〈COMME des GARÇONS(コム・デ・ギャルソン)〉。そのコレクションなどから刺激を受けつつ、自分の表現したいビジュアルにマッチさせていきましたね。
— どちらも日本のブランドですね! どういう部分に惹かれたのでしょうか?
多くのブランドがさまざまなカラーバリエーションを使って個性を表現している一方、どちらのブランドも色ではなく細かなディテールを通して表現していることに気がついて。それがとてもかっこいいなと思ったんです。

日常から集めたインスピレーションを楽曲に込めて。

— 曲作りはどのように進めていますか?
私1人ではなく、チームで音楽を作っています。日常的な会話から曲を作り始めることもありますし、ざっくばらんにお互いが観た映画の話をして、そこからインスパイアされて作っていくこともありますね。
— チームで共有した体験をインスピレーションに、アイデアを出し合うような感じですか?
そうですね。例えば、同じ映画を観たときに、あの結末はこうだったけど、もしも真逆のラストだったらどうなっていたかな? といった話をしながら、そのイメージに合わせてメロディーを作ってみたり、作詞をしています。
— 面白いアプローチですね! 一曲ごとの解説が聞きたくなります。今後コラボしてみたいアーティストはいますか?
以前からDEANという韓国のアーティストがすごく好きなんです。彼はヒップホップもできるし、R&Bもできる。音楽性が幅広く声色も独特なので、一緒に作業しながらいろいろなことを吸収してみたい!

内省を前向きに捉えた最新作。

— 最新EPの『Soft Error』はどのような作品に仕上がりましたか?
最初のアルバムが私の自己紹介的な作品だとするならば、2番目のアルバムは心の平穏を求めて向き合った作品。今回のアルバムは、ソロになってからの迷いや悩みなどを正直に表現してみました。
— タイトルの由来を教えてください。
「ソフトエラー(soft error)」は、ずっと続くエラーというよりは、一時的な誤作動という意味の造語。ソロ活動を行うなかで感じた、挫折や世界が崩れ落ちるような気持ちや感覚は永久的に続くものではなく、いつか過ぎ去っていくものだというような意味を込めているんです。
— 前向きな願いのような意味が込められているんですね。
そうですね。辛かった気持ちをほぐして、前にまた進んでいくような、跳躍するといった意味合いで。
— なかでもお気に入りの曲はなんですか?
「Aibo(feat. Bratty)」という曲。実は、このタイトルはロボット犬の「aibo」からとっているんです。双方向の愛だと思っていたものが、一方的なものだったということに気づいたときの寂しさのようなものを、愉快なメロディーに乗せて歌っています。
— まさかその「aibo」だったとは! 日本では平成を感じる懐かしいものなのですが、なぜタイトルに起用されたのでしょうか?
アルバムのテーマをどうやって曲に込めていくかと考えたときに、やはり感情的な部分が一番大事になってくると思ったんです。私がソロ活動をするうえで知った感情のなかには一方的なものもあって、その気持ちを伝えるためにいい例えがないかなと考えていたときに浮かびました。
— ソロ活動になって感じる大変さというのはどういう部分ですか? また、やりがいを感じるのはどういうときでしょうか?
私はついついファンの反応やコメントを見てしまうのですが、そのなかにはエールだけでなく否定的なものもあるんですよね。そういったコメントをグループではなく、一人で受け止めなくてはいけないということにはやはり負担を感じます。一方で、ENGDU(ファンネーム)たちに見せたいパフォーマンスやビジュアルをとことん追求し、表現できるようになったことは本当にうれしいです!

新たな一面を発見した日本公演。

— ソロとしては初の日本公演を終えて、いかがでしたか?
日本のファンの方たちは比較的静かに聴くスタイルだと聞いていたのですが、公演に来てくださったみなさんは私のスタイルに合わせて声を出したり、とても楽しんでくれていたのが印象的でした。
— これまで何度か日本にはいらっしゃっていますが、好きなスポットはありますか?
2年前に旅行で来たときの表参道のハンバーグ屋さん。一口食べたら美味しすぎて、2皿も食べてしまったんです! お店の名前は思い出せないのですが、ぜひもう一度行きたいですね。
— 残りのツアーに向けて、意気込みを教えてください。
今回のツアーはコンディションがとてもいいので、このまま良い状態でパフォーマンスを続けていきたいです。そして、ツアー中もどんどん成長をして、ENGDUたちにかっこいいステージを見せられたらと思っています。
— 最後に、今後の音楽活動での目標を教えてください。
いつかアルバム全体を自分でプロデュースして、これが私の作品だと皆さんに自信を持って発表したい! それがいまの目標です。

INFORMATION

Yves 『Soft Error』

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