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ジャルジャルが映画をつくったって本当!?
ジャルジャルが映画をつくったって本当!?

PART OF THE INFIRMARY.

ジャルジャルが映画をつくったって本当!?

2021.11.17

『キングオブコント』先代キングでありネタ番組には必ず呼ばれる
ジャルジャルの映画『サンチョー』が11月19日に公開されます。
単独ライブのコントをつなげた内容ですが、
メインキャスト11名をライブと同じくジャルジャルのふたりだけで演じた結果、
映画としてはシュールな実験作となってます。
YouTubeで毎日ネタを更新しているストイックなコント師でもある彼らに
話を聞いてきました!

Photo_Momo Angela
Interview&Text_ Kyoko Endo

高校時代、保健室でのふたり遊びが映画になるまで。

ーYouTubeで毎日ネタを更新なさっていますけれども、やっぱり発想のルーツは高校のころの保健室でのじゃれあいだったりするんですか。
後藤淳平(以下後藤):ルーツと言うか、つくり方というかやり方はそうですね。
ーあのじゃれあいがすごくチャーミングでした。いまも、あんなふうに人が見てないところでじゃれ合いながらネタをつくってらっしゃるのでしょうか。
福徳秀介(以下福徳):確かに。保健室じゃなくなっただけですね。
ースタジオだったり。
福徳:いいえ、楽屋とか稽古場で。
ーネタをつくろうと意識しているというよりは日常生活の延長線上みたいな感じですか。
後藤:いえ、2人でネタをつくろうって集まって、そこで2人でぎゅっとつくると言う感じですね。
福徳:はい、そうです。日常生活ではつくらないです(笑)。
ーYouTubeを毎日更新されていて、劇場にもテレビにも映画にも出られてますよね。それぞれのおもしろさとやりがいを教えていただきたいです。
福徳:YouTubeは気軽にたくさんの人に見てもらえて僕らの広告みたいな感じですね。YouTubeを見てくれた人が劇場に来てくれたり単独ライブに来てくれたりとかするんで。YouTubeは無料で気軽ですが、劇場になるとお客さんはチケット代払ってくれてるんで、そこはやっぱり笑いを取らないといけない。そういう意味で、気軽に、ほんまに自分らがおもろいと思っていることだけができるのがやっぱYouTubeで、劇場は自分らがおもしろい楽しいというだけじゃなく責任感があるなという感じがしますね。
ーテレビと映画ではどうですか。
福徳:テレビは僕らもうほとんど出てなくて、ネタ番組とかは出させてもらうんですけど。ネタ番組もやっぱりスタジオにいるお客さんも笑わせなあかんしリビングでくつろいでるような人もやっぱ笑わせなあかんなっていう意識でやらせてもろうてますね。
ーで、また映画っていう別の媒体があり…。
福徳:今回は本当にあの…、映画っていうか、もともと映画のつもりで撮ってなくて。DVDぐらいの感覚でいたら「これ映画になります」「マジで!」みたいな感じだったんですよ。全然意識できてなかったですね。
ーそうだったんですね。先ほどテレビにほとんど出ていないとおっしゃられましたが見てる側としてはテレビでもずっとご活躍を続けているように思うんですけど、それは一時期の恐ろしい忙しさと比較してという感覚なんですか。
福徳:いや、本当にネタ番組だけ出さしてもうてる感じなんで、もしかしたらネタ番組見てくれる人はよく見かけると思ってくれてるかもしれないですね。
ーじゃあいちばん気軽なのがYouTubeで責任感が上がっていくという感じなんでしょうか 。
後藤:全部、基本は僕らのネタで、見せ方の違いというだけなのかなという感じがしますね。
ー大変なのはどんなところなんですか、それぞれ。
福徳:芸歴も18年ぐらいになってきますし、言い方はアレですけど大変なことはしないようにしていて(笑)。極力楽しく楽な感じで(笑)。大変なことしないようにして、って。
ー長続きさせるためには、大事なことだと思います。日本全体の働き方がまさにいま改革される方向に向かってきていると感じますし。でもやっぱりあれだけのネタを毎日毎日あげられる、YouTubeにしろ劇場での責任感にしろ、何かしらのちょっとストレスがかかるなというところはありますか。
後藤:いやまあストレスというか、心配事で言うと単独ライブとかはやっぱ見に来てくれるお客さんありきなので、たくさん来てくれるかなとか、チケットちゃんと売れるだろうかっていうそういう心配は毎回ありますね。
ーコロナで席数も絞ったり?
後藤:無事開催できるのかどうかとか、延期になっちゃったりとかもしましたし。ライブに関してはそういう心配はありますね。
ーじゃあマネージャーさんがいらしてもお任せするというよりは、もう座長感覚ですね。
後藤:いや…?
ーあれ?
後藤:(笑)。結構みんなで考えたりしてるんで、はい。なんか僕らは座長と言うよりは、チームの一部みたいな感じですね。
福徳:兵隊感覚。
ーもともとDVDくらいの感覚で映画を撮ってらしたということだったんですけど、海外進出は考えてらっしゃらないんですか。そのための映画かと思ってしまいまして。
後藤:いろんな国の字幕つけて海外で見られるようになって、もしそれが受け入れられたらラッキーやなと思います。
ー撮影中特に大変だったシーンはありますか。
後藤:棒をお腹に当てがって流血するシーンがあるんですけど、あれホンマに痛いっていうのはちょっとわかってもらいたい。
ー同じネタが舞台でもありましたが、本当は舞台でも本当は血を出したかったですか。
後藤:そうです。舞台ではなんか着替えとか問題があって。
ー個人的には登山部の男の子たちのエピソードがよかったです。登山シーンとかわざわざ高山に行かれてすごい大変だと思うんですけど。
福徳:あれはでもああいう…。スっと行けるとこあるんです。途中まではバンでみたいな。
後藤:はい、すごかったです。僕らは現地行って、そこで初めて「すごい山やな」って。
ー映画では省かれているシーンがあったり逆に足されたシーンもあったりして演出が変わっていましたけれども、それぞれの媒体に合わせてやりたいことを変えていったんですか?
福徳:まあ僕らはそうですし作家さんとかの意見とか言いながら、みんなでパズルみたいに組み立ててやりました。
ー映画版と舞台でちょっと演技を変えていらっしゃいましたか。
福徳:厳密に言うと映画を先に撮影してるんですよ。そこから単独ライブも始まったので、単独ライブはお客さんのウケとかでちょっとずつ変えていくんで。公演ごとにこうしたほうが受けるなあとか。
ー後藤さんは映画と舞台で演技を変えられたりしましたか。
後藤:もうまったく福徳と一緒で、やっぱ単独ライブの回数重ねるごとにどんどんキャラクターとかが濃くなって行くんですけど、まあ映像も撮り終わってたんで単独ライブのもう最後の公演と映画でのキャラは全然違う感じになってます、ネタによっては。
ーおふたりの好きな映画とかあと好きな監督がいらしたら教えてください。思い出の映画などはありますか。
福徳:ぼくは『耳をすませば』ですかね。
ージブリ作品の中では比較的地味な…。
福徳:そうですね。でもダントツ好きですね。
ーどんなところが好きですか。
福徳:最後プロポーズするシーンが好きですね。中学生なのに。
ー原作は少女漫画ですよね。少女漫画がお好きなんですか。
福徳:いや、そう言うことじゃなくて。中学生で初めて見たときにびっくりしたんですよ。プロポーズは重すぎるわと思って。いまこの作品に出会ってたら好きになってないと思うんですけど、思春期のときに出会ったので。あの衝撃が忘れられなくて、大体いちばん好きな映画はって聞かれたら『耳をすませば』って答えます。
後藤:僕はちょっと出させてもらった井筒監督の『ヒーローショー』です。
ー今回の映画化のアイディアには過去の『ヒーローショー』出演の影響もあったのかなと思っていました。
福徳:映画化に関しては周りのスタッフさんからです。
後藤:僕は毎年ネタを結構つくるんで、それを同じサイクルで映像にして行って。出しどころっていうのは毎回もしかしたら変わるのかもしれないですけど、とにかく映像は撮ろうみたいな流れがあったんです。
ーじゃあ今後配信みたいな感じで映画を撮るっていう可能性もありますか。
二人:はい。
ーすごく気になったのはおふたりともクリエイターじゃないですか。ずっとつくり続けてこられた中で映画の製作側に回りたい欲はないんですか、監督したいなとか。
後藤:いやあ…大変じゃないですか、監督。
ー同じぐらい大変なことなさってると思います!
福徳:いやいや、これしかできなかったんですよ。
後藤:監督は片手間ではできないという感じがします。
ー福徳さんは脚本お書きになってたんですよね。人に何かを演じさせたいなっていうお気持ちは。
福徳:どちらかというと人が描いたやつだと、責任感が芽生えてしまうので。演じてもらうほうがある種、責任感としては少ないです。
ー俳優としての意欲と、監督なり脚本家なり作る側、裏方に回る意欲ではどちらの方が強いですか。
後藤:どっちもそれぞれの気持ちよさがあると思います。今回は僕らがつくったコントを映像にして、僕がやりたいようにやっていうところなんで、その気持ちよさはなかなかほかにはないもんだなと。
ー今回と同じストーリーだとして、ほかの俳優さんが入ってくるよりはやっぱりふたりだけでやっていたいという感じなんでしょうか。
福徳:誰かがアイドルがチェリーちゃん(メインキャラの一人で、漫才コンビの女子)やってくれたらうれしいですね。
後藤:違う人でも見てみたいですけど、なんか「もっとこうしてもらえませんかね」みたいのを多分気を使って言えないと思います。
ーそうですね、監督ってそういうとこバンバン言わないといけないですから。
後藤:そうですよね。井筒監督なんかバンバン言いますよ。
ー海外作品でも50テイク撮ったみたいな話はよく聞きますもんね。
後藤:伝え方とかもコツがあるんでしょうね。監督それぞれあるんやと思いますけど。
ー映画の中で自分の好きな音楽でベスト盤をつくるシーンがありました。いまベスト盤をつくるとしたらどんな曲を入れますか。
後藤:監督の倉本美津留さんがすごいビートルズマニアで。自分でもしビートルズが解散してなかったら1970年にこんなアルバムを出してたんちゃうか、ってメンバーそれぞれのソロの曲を自分で集めて曲順を決めて。で『ポッターズ・サン』というアルバムのタイトル勝手につけた、架空のビートルズのアルバムもらったんですけど。
ーいいですね!
後藤:そういうのの僕版も考えてみたいなと思いました。
ー楽しそうです! 福徳さんはスピッツがお好きなんですよね。どちらかというと邦楽が好きですか。
福徳:洋楽はビートルズとかクイーンとか有名どころしか聞かないですね。あとはもう邦楽というか、スピッツがほとんどですね。
ー高校生のころはどんなものが好きでしたか
福徳:高校の時もスピッツでしたね。
後藤:僕は小学校の頃からビートルズが好きで。幼馴染もビートルズ好きやったんで話できる相手がいました。
ーこの年代でビートルズファンって珍しいというか、教科書に載っちゃってるとなかなか自分でCD買いに行こうっていう感じにならないかなと思うんですけど。
後藤:ツタヤで借りてテープに録音してっていうのをやってましたね。
ーなるほど。ではまた作品に絡んで、もし超能力が使えるとしたらどんな能力を何に使いますか
後藤:そうですね、散髪行く手間を省きたいんで、髪伸びてパンと手を叩いたら1か月前の髪型に戻る、超能力。
ー髪型キープ能力(笑)。いっそ伸ばしちゃえよっていう気もするんですけど。
後藤:長いんはちょっと鬱陶しいしという…。
福徳:僕は犬好きで。街を歩いてても前から散歩で犬連れの人とすれ違うときに、犬はこっちに来たがってるけど、飼い主がアカンときとか…。その見極めが難しいですよね。この犬は触っていいんかな、っていうのを見極める能力がいいですね。
ーそれはテレパシーとかではなくて、その飼い主を操るのでもなくて…。
福徳:OKかNGかを判別したいです。あんまりがむしゃらに触ると変な空気になりますよね。
ー犬はおうちにいますか。
福徳:実家には。だから無性に触りたくなるときがあります。たまに公園に犬を探しに行きます。一緒におれたらいいですが、家を空けることが多いんで無理ですね。
ー後藤さんは?
後藤:猫がいます。実家には一時期3匹くらいいました。
福徳:僕が高校のとき拾った猫を飼ってくれてたんですよ。
ーそうなんですか!
後藤:福徳と当時の福徳の彼女が拾って、その猫ちゃんは女の子だったのでその時の福徳の彼女の名前をつけました(笑)。
福徳:だから別れてからは猫の名前呼ぶの気まずかった(笑)。
ーおふたりの関係性がすごくわかりますね。作品を見ていて驚いたのが下ネタが全然下品になっていなくて。そういうご自分たちのキャラクターをどこまで意識されているんでしょうか。
後藤:いやそんな別に無茶苦茶意識してるわけではないですけど(笑)。でもあんな汚い屁も上品に見てもらえるなら、それはひとつのキャラクターかなとは思います。
福徳:高校のときの保健室の先生が若い女性やったんですけど、ガンガンおならネタをいろいろと言ってくれたりして。こんな女性でも言うんやみたいな感じで、僕らも結構おもろがるようになりましたね。
ーじゃあその先生のOKラインを見て鍛えられたというか。
福徳:ああ、ありますね。
ー逆にここまで言っちゃダメだなっていうようなところもあったんでしょうか、先生がドン引くみたいなことなど。
福徳:おなら出るとかで基本笑ってくれたんですけど、一回だけ先生の鼻がテッカテカになってたのに、トイレから帰ってきたらその鼻テカテカが直ってて。後藤がそれを指摘したんですよ(笑)。
ー可哀想に!
福徳:「鼻テカテカ直したでしょう!」って言ったとき先生、反応めっちゃ悪かったんですよ(笑)。なるほど、そこはアカンねんな、みたいな。
ーその先生に感謝なさらないといけないですね。絶妙なOKラインだと思います。
福徳:本当、不思議な先生でしたね。まあいまも連絡取り合うんですけど、なんであそこまで保健室で遊ぶことを許してくれたのかいまでも不思議ですね。
福徳:体調悪くて寝ている子もいたのに。でもホンマに体調悪い子がおるときはアカン。「今日はアカンねん」みたいな。
ーその保健室とか、猫のことが全部積み重なっての“いまここ”ですもんね。
二人:あ、そうですね(笑)。
ーほかに高校のときの思い出でこれは肥やしになったなみたいなのってありますか
後藤:ラグビー部でずっと一緒におったっていうことですかね。 単純に練習きついとか試合きついとか合宿しんどいとか、もう体力も限界きてからここからもう一発全力で走るみたいな経験っていうのは結構生きてるなと思いますね。
ー芸人さんだとものすごい下積みの人とかもいらっしゃるじゃないですか、ジャルジャルさんはすごく若いころから活躍なさっていてそういう印象はなかったんですけど、大変な思いもされましたか。
福徳:僕はラッキーなことに、大学に行きながら芸人やってたので、大学4年間がお笑いの仕事ゼロやったんです。まあ大学があったんでなんかごまかせたというか(笑)。ちょうど大学卒業したぐらいから劇場に出られたんですよ。下積みをうまいこと大学生活で薄めれたのはありますね。
ー大学生活ってじつはみんなそんなにエンジョイしてなかったりするから、そういう時期が下積みになるのはラッキーと言えばラッキーかもしれないですね。
後藤:実家に住んでたっていうのもあって、すごいバイトして家賃払ってギリギリでとかではない感じでした。
ー逆にいますごくストイックに毎日ネタを挙げてらっしゃいますよね。
福徳:大学の時も毎日ネタ合わせしてたんで。なんか癖づいてる感覚はあります。
ー漫才よりコントが自分にあってるということを見つけられるまでは苦労なさったということですが。
後藤:苦労と言っても、養成所に入って半年ぐらい漫才してて、夏ぐらいにコントに切り替えて。そこからは量産できるようになったという感じですかね。
ー量産ってさらっとおっしゃいますけど、すごいことですよね。
後藤:だからもう養成所中にそうなれてよかったなと思いますね。
ーそのコツをつかめたみたいなことですか。
後藤:そうです、はい。
ーいまのお返事、映画のメインキャラの超能力少年を思い出してしまいました(超能力をマジックと言い張るコント)。マジックの種は何ですかって聞くと、「クっ!てやるんですよ」みたいな、感じがあって。
後藤:確かにさらっと言いましたね(笑) 。

INFORMATION

『サンチョー』
ジャルジャルのトーク付 スペシャル上映回が、全国七都市で実施!
チケット情報などの詳細は、特設サイトよりチェックしてください。
https://jarujaru.conte-cinema.com/

キャスト:後藤淳平(ジャルジャル) 、福徳秀介(ジャルジャル)
作:ジャルジャル
監督:倉本美津留
制作協力:株式会社ニンポップ 株式会社レゾナージュ
制作・配給:吉本興業
©︎2021 「THANC YOU」 吉本興業
2021年11月19日(金)シネ・リーブル池袋・新宿バルト9ほか全国順次ロードショー

公式サイト:http://jarujaru.conte-cinema.com
ジャルジャル公式Twitter:https://twitter.com/jarujaru12th
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