10 Recommend Teen Film

降矢さんの偏愛する
おすすめ青春映画10作

01 『アメリカン・ピーチパイ』

シェイクスピアの『十二夜』を
現代風にアレンジ。

「女子サッカー部の廃部が決定し、男子サッカー部員に小馬鹿にされた女子サッカー部のストライカー・ヴァイオラは双子の兄のフリ（男装）をして男子サッカー部へ入部する。スポーツは青春に欠かせない一大要素だけれど、男装という大胆なフェイントによって、そこに男同士の友情（実際は女子と男子）、異性との恋（実際は女子と女子）など、青春期の切実な人間関係がユーモラスなタッチで混ざり合う。原作であるシェイクスピアの『十二夜』を現代風かつ華麗にアレンジした手腕もお見事！ ちなみに邦題は似ているけど、『アメリカン・パイ』シリーズとはなんの関係もないので注意」

02 『アメリカン・ティーン』

リアルとフィクションの境界線。

「女王様、スター選手、人気者、反逆児、オタク……異なる階層に所属する、インディアナ州に住む本物の高校３年生たちを１年間密着した学園生活のすべて。ドラマではないリアルな姿が映し出されるのかと思いきや、そこにあるのは、数々の学園を舞台にしたフィクションで知っている事柄をそのまま生きているティーンたちの苦悩と希望だ。これは本当にドキュメンタリー？ そう感じたが最後、愚かしくも切実なアメリカン・ハイスクールという名の魅惑の迷宮に私たちはもう足を踏み入れている」

03 『21 ジャンプストリート』

スクールカーストだって
時代によって移り変わる。

「大人になりきれない永遠の悪童、ジョナ・ヒルとチャニング・テイタムの警官コンビが、学園にはびこる新種のドラッグを根絶するためにイマドキの学園に潜入するアクション・コメディ。当時はスポーツマンで学内の人気者でならしていたが、マンガ好きで環境意識が高く寛容な奴がモテる時代へと変化した学園に馴染めないグレッグ（チャニング・テイタム）が繰り出す「理由はわかっている。すべてはgleeのせいだ」というパンチラインは、つねに変わり続ける学園映画の魅力を十二分に表し、多くの学園映画ファンを虜にした。『25年目のキス』や『セブンティーン・アゲイン』に代表される「アゲインもの」として見ても楽しい」

04 『エクスプロラーズ』

少年たちの純粋さに心打たれる。

「若き日のイーサン・ホークと在りし日のリバー・フェニックスが共演（ともにデビュー作！）した少年たちの青春。『スタンド・バイ・ミー』、『グーニーズ』など青春冒険映画の枠にハマりそうだが、ガラクタを集めて宇宙船を作ったら本当に宇宙まで飛び立ってしまうという夢のようなSF映画でもある。健やかな冒険ものの前半部分からトンデモ宇宙SFへと成長する本作は、全体としてバランスが著しく欠いているような気もしなくはないが、前半から後半の飛翔っぷりは、そのまま少年時代の奇想天外な想像力に違いない！」

05 『カラー・オブ・ハート』

彩られていく世界と
テーマ性を感じるストーリー。

「トビー・マグワイアとリース・ウィザースプーンが演じる双子の兄妹が入り込んでしまった、50年代のテレビドラマ『プレザントヴィル』は、保守的で何一つ事件が起こらない無味乾燥なモノクロの世界だった。現代からやってきたこの兄妹はこの世界に、D・H・ローレンスや『ウルビーノのヴィーナス』の官能を、バディ・ホリーのロックンロールを、そして初めてのセックスをもたらしていく。モノクロの世界は初体験を経て、次第に色づきはじめるが、同時に変わっていってしまうことへの反発も強まっていく。初体験の喜びと戸惑いという相反する感情に心乱され、涙する美しい青春の寓話」

06 『プロジェクトX』

シャレにならない展開には
笑うしかない。

「『待ちきれなくて…』や『スーパーバッド　童貞ウォーズ』など、きら星のごとく輝くパーティものの傑作青春映画群に「ホームパーティ開催の旨をSNSに投稿したら予想を超えて3000人ほど来てしまったため、家が崩壊し、親に怒られる」という珠玉のストーリーで殴り込みをかけた一作！ あらゆるシーンから「走り出したらやめられない、止まらない」という青春の鼓動と情熱がほとばしり、見るものに、もはや心配はやめて笑うしかないなと思わせる凄みがある。反省はするけど後悔はしないという若気の美徳をこれ以上ないほど体現しております」

07 『テラビシアにかける橋』

ただのファンタジー作品と
侮ることなかれ。

「まだ女の子のほうが足が速い、そんな一時期にある、恋のような友情のような小学生の女の子と男の子の関係をすくい取ったファンタジー青春映画。転校生の女の子といじめられっ子の男の子は、過酷な現実に囚われないように、自由に空想を語り、絵を描くことで自分たちの王国を作り上げる。その王国では自分たちは誰よりも速く、なにものにも縛られない、最強のふたりだ。ただ、本作はそんな幸せな幼少時代は、あまりにも短く、儚く散っていってしまうことも同時に描いていて、大変泣ける」

08 『アドベンチャーランドへようこそ』

誰もが味わったことのあるようなノスタルジックな”ひと夏“。

「ときどきすごく嬉しいけれど、ときどきすごく悲しくて、そしていつもイラついてる。そんな若者たちのひと夏が、アドベンチャーランドという遊園地を舞台に描かれる。夜のドライブ中にヴェルヴェット・アンダーグラウンドの“Pale Blue Eyes”が流れるシーンは数ある青春映画のなかでもひときわ美しいもののひとつ。ジェシー・アイゼンバーグの“弱々しいブルーな瞳”とクリステン・スチュワートの“淡い憂鬱が宿った瞳”の交わりそうで交わらない繊細な視線の交感こそ青春の一場面！」

09 『アメリカン・ハニー』

ここではないどこかへ。

「アメリカの貧困層の若者たちが、一握りの稼ぎのために雑誌訪問販売員として、狭いバンに乗ってアメリカ中を旅するロードムービー。「ここではないどこかへ行ってしまいたい」という思いは青春映画で多く描かれるテーマのひとつだけれど、どこへ行こうともそこは“救いのない場所”。「だけどそこで愛を見つけたの」と歌うリアーナの“We Found Love”に合わせて踊る彼女たちの、なけなしの、そして底抜けの明るさが胸を打つ。「人生は終わりのないレース」「ピュアでスウィートだったあの頃に戻りたい」と映画のタイトルにもなったレディ・アンテベラムの”Amecian Honey“を口ずさみながら、バンはまたどこかへと進んでいく」

10 『Hな彼女の見つけ方 マシューの童貞卒業物語』

実は純愛なストーリーが魅力。

「邦題から察するに下品でエッチな映画かなと思いきや、男女の相容れぬ気持ちを丁寧に描いた純愛青春コメディ（原題は『100 GIRLS』）。停電した女子寮のエレベーター内で相手がわからないまま初体験を済ませたマシューは、その“ミステリー・ガール”を忘れることができなかった。手がかりはエレベーターに残されていたパンティだけなので、女子寮に潜り込み、パンティとおそろいのブラの持ち主を探すという高度なミッションを遂行する。一見不純な行動のなかに隠されたピュアな感情もまた青春ということなのか。意中の相手がわからないので、女子全員（100 GIRLS）に向かって愛を叫ぶやけっぱちな告白は、とてもロマンティック」