The Vintage Denims.

ヴィンテージの神様とのデニム修行。
Photo_Kazumasa Takeuchi(STUH)
ENGLISH

古着屋さんで買った501のデニムを「ヴィンテージ」と言って、
周りの男子に失笑されたことあります? 私はあります!
ということで、ヴィンテージデニムの神様、ベルベルジンの藤原 裕さんによる
「古着オタクに笑われない本物の“ヴィンテージデニム”」講座を受けてきました。
ちょっとお値段は張るけど、10年後、20年後もずっと使えるって考えたら、清水買いする価値はある!

ヴィンテージデニムかどうかは、1978年以前か以後かで区切られます。

デニムをハイウエストで穿く流れから、女子の間で〈リーバイス®(Levi’s®)〉の501や701ブームが起きています。まずは基本中の基本、古着の501の選び方を教えて下さい。
藤原:古着屋に入って〈リーバイス®〉の501を選ぶとき、66だの、赤耳だの、情報がいっぱいあってあまり興味のない女の子だと「わかんない」ってイヤになるかもしれないね。まず大前提として、デニムを選ぶときにいちばん大事なのはうんちくじゃなくて、サイジングと色だと思っています。
わざと大きめサイズを選んで、ベルトで締め上げている人も多いですね。
藤原:ダボッと着崩すのが流行っているのはわかるけど、501は股上が深いからちゃんと自分のサイズを選ぶべきかな。ハイウエストなデザインは、大きめで穿くと明らかにシルエットが崩れてしまうから。
ではズバリ、MYサイズを知る方法は?
藤原:試着したときに骨盤やヒップのあたりがピッタリしていればいいと思う。でもヒップに合わせると必然的にウエストは余るから、そこはトップスをインしたりして調節すればいいんじゃないかな。
なるほど。では女子にはわかりにくい「ヴィンテージとレギュラーの違い」はどこなんでしょう。
藤原:まずは「ヴィンテージの501というものは1978年以前に作られたものである」と覚えてもらえればいいと思います。78年を境にインディゴの染め方が変わって、色落ちが全く変わるから。ちなみに男性はこれから話す「モデルの通称」とかマニアの人がこだわる「ディテール」などの“うんちく”で選ぶ人も多いんだけど。初心者ならまずは古着屋でヴィンテージとレギュラーのインディゴの色を見比べつつ、試着して自分のスタイルに合った1枚を見つけてほしいですね。

ガールフイナム的、「MY・ファースト・ヴィンテージ501」は
“66前期”。

ではヴィンテージ501の中で、女子がまず買うべきものは?
藤原:ヴィンテージ上級者なら、1966年ごろまでの”501XX(ダブルエックス)”にこだわるのもいいと思います。でも女性サイズのもので安くても20万前後はするから…。初心者で色にこだわるなら”E(ビッグE)”かな。それより買いやすい値段で、まずはここからヴィンテージデニムを始めましょうよ、というのは”66(ロクロク)の前期“ですね。
〈リーバイス〉501”E” 参考商品 ¥69,800+TAX(ベルベルジン 03-3401-4666 )
”E”の特徴を教えてください。
藤原:後ろ右ポケットにある “赤タブ”にある〈リーバイス〉の文字が「LEVI’S」とEが大文字になっているのが”E”の最大の特徴。ちなみに1973年を境に「LeVI’S」となります。
すごい色落ちですね。
藤原:ヴィンテージデニムの色落ちの理想形がこれ。実は、レディスサイズだけど資料として買ってしまった僕の私物です(笑)。値段をつけるなら、7万弱かなと。501はとくにレディスサイズというものは出していなかったんだけど、27インチから展開していたんだよね。で、もちろん男は穿けないサイズだから、価格設定もメンズのゴールデンサイズより安め。
〈リーバイス〉501”66前期” ¥29,800+TAX(ベルベルジン 03-3401-4666 )
”66前期”の特徴を教えてください。
藤原:1973年から1978年までのモデルで、赤タブは「LeVI’S」とリーバイスのEが小文字表記になっています。フロントのトップボタンの裏に「6」って刻印されているものが多いのも特徴。あとは後ろポケットの裏のステッチが、シングルステッチを77〜78年ごろまで使っていて、そこで判別もできる。
名前がロクロクなのに、1966年は関係ないんですね。
藤原:単に新品状態のときについているフラッシャーの下に1966って書いてあったから、どこかの古着屋のオーナーさんが「66モデルだ」って言ったのが定着しちゃっているだけの、通称用語なんだよね(笑)。
“前期”という言うからには“後期”もあると思うのですが、どのような差があるのでしょうか。
藤原:78年以降の”66後期“との一番の違いは染料、つまり色なんだけど、たくさんヴィンテージデニムを見ていないとパッと見じゃわからないと思う。もちろん”前期“だけでも6年と結構長い期間作られていたわけで、この間で色の違いがあるし、やっぱり73年や74年など、初期のほうがいい色。後半になるにつれて色落ちがあまりよくないものが多くなるんだよね。ちなみに”66後期“とその後の”RED LINE(赤耳)“は色味がほぼ変わらないので僕はもう全部”RED LINE“で統一しています。”66後期“のデッドストックだったら価値はあるけど、色落ちしちゃえばもうほぼ”赤耳“と同じだから。

78年以前と以後の色&色落ちを比較!

写真左から〈リーバイス〉501”E” ¥69,800+TAX、”66前期” ¥29,800+TAX、”赤耳” ¥7,800+TAX(すべてベルベルジン 03-3401-4666 )
ヴィンテージとレギュラーを色で判別するのは素人には難しいです。
藤原:色に関してはもう、直接ベルベルジンに来てもらって、地下のヴィンテージデニム部屋で何本も見て理解してもらうのが一番なんだけど(笑)。〈※注:ベルベルジンの地下の部屋にあるデニムは78年以前のヴィンテージのみです〉。わかりやすいのはこのアタリ(レッグの両外側、セルヴィッチによる色落ちのこと)の比較かな。左のはアタリがキレイに出ているし、縦落ちも右のレギュラーに比べたらはっきりしているでしょ。
なるほど。こうやって並べてみると、いまストリートの女子がこぞって穿いているのはレギュラーの色落ちの仕方をしているデニムですね。
藤原:古着屋の表現だと「のっぺりしてる」って言うんだけど、いま90Sが流行っているから、こういう色合いのレギュラーデニムのほうが気分なんだろうね。
女子の間では薄めのブルーやちょっと黄味がかった色合いが人気ですよね。
藤原:仕事柄、いろんなブランドさんのデニムを一応ちょこちょこ見るけど、いまは僕ら古着屋的には「あちゃー」って思うくらいの80S〜90Sのレギュラーのデニムを参考にした色だよね。それはそれでいいんだけど、いまブームなだけで最終的にはこのヴィンテージならではの濃いインディゴがいちばんだと思う。古ければ古いほどいいインディゴの色。あと黄味がかったというか、茶色っぽくなった古着のデニムは言ってしまえばただ汚れてるだけだからね(笑)。流行っているけど、黄ばんでいるだけ。
(笑)。なぜ78年を境に色がここまで変わったのでしょう。
藤原:少しマニアな話になるんだけど、ヴィンテージ時代は天然インディゴを使って染めていて、そこにだんだん硫化染料を取り入れるようになってきたのが70年代の後半から。その時期がちょうど“66モデル”のポケットのステッチが変わったのと同時期だから、“66”は前期と後期に分けられているんだよね。天然インディゴはやっぱり色自体に深みがあると思う。
ちなみに「私、ヴィンテージじゃなくていいや」っていう女の子に、501でもこれだけはこだわって買いましょうっていう最低ラインはありますか(笑)?
藤原:せめて“MADE IN USA”かな。アメリカでの生産が終わったあとはメキシコに移るんだけど、これが何故か色がいいから最近値段があがってきているんだよね…。でもちょっとでも古着にこだわりたいなら、 “MADE IN USA”の〈リーバイス〉を買って欲しいよね。

女子が血眼になって探している701は、年代でシルエットが結構違うので注意。

〈リーバイス〉701XX 1950年代半ば ¥39,800+TAX(ベルベルジン 03-3401-4666 )
マリリン・モンローでお馴染みの701ですね。
藤原:ハイウエストでヒップがゆったりしていて、裾がややテーパードなのが特徴。この前レプリカで〈リーバイスLVC〉でも出していたけど、即完売だったみたいだね。実物を見に〈ロンハーマン〉に行ったら「もうどこにも売っていません」って言われて驚いた。1930年代後半に発表された701はそこから50年代後半までの間でシルエットが少しずつ変わっていくんです。最後のほう、50年代の後半なんかはお尻がボーンって大きくなりすぎてやりすぎ感があるんですよ〜。

お次はガールフイナム的、ジージャン講座。

ジージャンはトレンドもあって、大きめをゆるっと着ている子が多いですね。
藤原:いまっぽいサイズ、例えば38を着るとかは、それはそれでいいと思う。でもジージャンは絶対に自分にピッタリ合ったMYサイズのヴィンテージを1着は持っておいたほうがいいかな。
〈リーバイス〉506XX“ファースト” ¥298,000+TAX
今日紹介する中で、一番のお値段ですね(笑)。
藤原:通称“ファースト”は左だけにポケットがあるのと、背中の腰部分にあるバックバックルが特徴。これは1940年代後期のモデルで、メンズサイズだし色が濃いからこの値段です。女性サイズで濃い色が出たらだいたい19万8000円くらいかな。なので、“ファースト”はかなり上級者向けですね。
〈リーバイス〉507XX “セカンド” ¥59,800+TAX
ポケットが増えましたね。
藤原:女性が着るならこの通称“セカンド”が一番かわいいと思う。シルエットが良いんですよ。でも小さいサイズの数が少ないんだよな〜。1952年に、“ファースト”から切り替わったばかりの頃はまだ赤タブが片面タブで、レザーのパッチ。53年ごろに両面タブに切り替わり、58年ごろに紙パッチになって、63年に“サードパッチ”に切り替わるんだよね。“セカンド”は少しずつディテールが変更され、しかも60年代に一度復刻もされているから、XXじゃないものもある。
〈リーバイス〉557XX“サード” ¥49,800+TAX
おなじみのデザインですね。
藤原:“サード”はボディがシャープなんだけど、アームが太いんだよね。だからちょっとバランスが難しい。そして66年にXXの生産が終わって、67年ごろに70505という品番に切り替わったら、わずかに丈が長くなる&パッチが小さくなるんだよね。こっちのほうがシルエット的にはいいし、価格的にもお手頃で最初の1枚にはいいかもしれません。ジャストサイズで見つけたら、即買いをおすすめします! とくに“サード”はちゃんと肩を合わせてあげないとおかしなシルエットになるから、絶対に試着して欲しいかな。なぜならアームが太いから。

サード以降のモデルを比較してみましょう。

写真左から〈リーバイス〉557XX ¥49,800+TAX、70505「E」 ¥9,800+TAX、70506 ¥5,800+TAX
藤原:わかるかな。一番左のはもう紙パッチは取れちゃってるけど、中央と右のものよりステッチの跡が大きいの。あと丈も短いよね。
なるほど。
藤原:いまの子っぽいのは右の70506かな。4つポケットがあるこのデザインと色とで、大きめで着るのがトレンドだと思うけど、それはもうヴィンテージではないんだよ。中央のは“E”で、1970年代前半のものだからヴィンテージ、でも右の70506は1980年代中旬のものだからヴィンテージではない。あと557も70505も“サード”の名前でくくられているけど、僕はもうXXではない70505以降は“フォース”って呼んだほうがいいと思う。
ではヴィンテージで“サード”以降を買うなら70505の2つポケットで決まりですね!
藤原:ジャストサイズのね。一昨年、自分がディレクションして作ったジーンズ本の『THE 501XX®-A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』のジャケット編も作りたいなと思っているので、もっとヴィンテージを深く知りたいという人はもうちょっと待っててね(笑)。