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GIRLS’ CINEMA CLUB
上映映画をもっと知りたい! 語りたい倶楽部。
#15『天才作家の妻 -40年目の真実-』
いま私たちが映画館で観るべき上映作品を、本音100%でレビューする週イチ映画連載。
今週は、ノーベル賞作家とその妻の秘密にまつわる人間ドラマ『天才作家の妻 -40年目の真実-』です。
誰だって手柄を横取りされたら悔しすぎます。ほんと、女性の役割ってなんなんだ!
Text_Kyoko Endo
パワフルよね、とレディガガは言った。
この映画のグレン・クローズの演技のことです。本当にパワフルなんです。なにしろ①小説家の夫がノーベル文学賞を受賞。②でもその創作には妻も関わっている。③でも妻は夫の陰に隠れていて…ということから生じる複雑すぎる感情をほぼ表情だけで表しちゃってるんですよ! クローズは本作でゴールデン・グローブ主演女優賞を受賞。これまで6回アカデミー賞にノミネートされた彼女が、今度こそオスカー獲得かとも言われています。
社会にうっすら浸透する女性差別というテーマも重要。主人公はもともと作家志望で才能もあるのに、女性作家が出版界で冷や飯食わされてるのを見て自分で本を出すのを諦めちゃう。それで夫の成功に全力をかけてきたというかある部分では利用しあってきた。いまの日本にもまだたまにこういう人いますが、そこに疑問を投げかけるこの作品、もとは女性作家の小説で女性脚本家が脚色しました。で、公開まで14年もかかったのは「女性が主役で女性が書いた作品に資金が集まらなかったから」とクローズ自身が語っています。そんなにも男どもが封印したかった映画の結末はしかし…。クローズの不敵な笑みとともに、心に残る作品なのであります。
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『天才作家の妻 -40年目の真実-』
(2017/スウェーデン、アメリカ、イギリス/101分)監督:ビョルン・ルンゲ
出演:グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレーター
配給:松竹
1月26日(土)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
©META FILM LONDON LIMITED 2017
公式サイト
about this Movie
結婚や夫婦について考えさせられる度
★★★★★
主人公のその後を想像してしまう度
★★★★★
女友だちと観に行ってほしい度
★★★★★
PROFILE
遠藤 京子
東京都出身。出版社を退社後、フリーのライター、編集者に。『EYESCREAM』『RiCE』に寄稿。