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Miyu / ダンサー
彼女のダンステリア Miyu / ダンサー 誰よりも負けず嫌いな精神で、不可能を可能に。

彼女のダンステリア
Miyu / ダンサー
誰よりも負けず嫌いな精神で、不可能を可能に。

2023.05.08

“ガールとカルチャーがドッキング⁉︎”
これは私たちが大切にしているシンディのあの歌にあった和題のキャッチコピーから。
一見むちゃくちゃに読み取れるけど、でもだんだん愛着が湧いてきました。
男子に負けず刺激的なクリエイションを提示する人たち。
編集部員が心からファンになったアーティストと向き合い、
彼女たちが何を思い、何のためにクリエイティブでいるのかについてしっかりと聞いてきました。

Miyu、ダンサー。1997年12月3日生まれ。世界最高峰のバトル大会「JUSTE DEBOUT 2017 WORLD FINAL」でワールドチャンピオンに輝き、国内外のバトルで多数のタイトルを持つ。現在、ダンサーの社会的な地位向上を目指し、単独公演の開催や映像作品の発表、教育現場、公共イベントでのワークショップや講演、ファッションモデルや広告出演など、幅広く活躍中。2023年には民間人初の月周回プロジェクト「dearMoon」で、全世界約100万人の応募者のなかから唯一の日本人として選出され、バックアップクルーとしてプロジェクトに参加する。

Instagram @miyudance_

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ーはじめまして。とは言いつつ、数年前からMiyuちゃんのことはダンスイベントやワークショップで拝見していました。
本当ですか! すごい。
ー学生のときからダンスレッスンやテレビ出演をされていますが、ダンサーになろうと思ったのはいつ頃でしたか?
ダンサーになるぞって思ったのがいつだったかは、はっきりしていなくて。ただ、いつもダンスが身近にある環境にいたので、幼少期から自然とそうなるんだろうなとは思っていました。これで食べていこうと決意したのはダンスの専門学校に入学した高校生の頃なのかな。
ーどうしてダンスだったのでしょう?
水泳、一輪車、音楽教室とか、習い事をいろいろやっていたけど、続いたのはダンスだけで。小学校6年生のときに「アークスター」っていうスーパーキッズを育成する、すごくスパルタなダンススタジオのオーディションにたまたま受かったんです。階級制だったんですけど最初はいちばん下のレベルだったので、上に上がりたくて毎日ひたすらレッスンを受けていました。
ー向上心がすごいですね!
最初ダンスを始めたのは地元のスポーツセンターで、それからはスタジオを転々としていました。あるときお母さんに「アークスターを受けてみたら? 」って言われて、それをきっかけに自らの意志でその環境に身を置いて、ダンス漬けの毎日を送っていましたね!
ーでは、そもそもダンスをやってみたいと思ったきっかけは?
地元のお祭りで同い年くらいの子が踊ってるのを見て、自分もやってみたくなったんです。
ーひと口にダンスと言っても、ヒップホップやR&B、ロッキン、ポップなどいろいろなジャンルがありますが、なぜハウスを?
音楽のジャンルやダンスの動きが好きって理由でやり始める人が多いと思うんですけど、私の場合は少し変わった理由で、憧れていた先生みたいになりたくてハウスを中心にがんばっていました。当時、週に4回はレッスンを受けていた気がします(笑)。それまではハウス以外のダンスジャンルも幅広く踊っていたんですけどね。
ー好きな先生が踊っているダンスのジャンルがハウスだったってことですね!
そうなんです。もともとハウスはいちばん嫌いだったんですけど(笑)。
ー普段聴く音楽もハウスミュージックが多かったり?
ダンスバトルの大会期間は毎日聴くけど、そうじゃないときはSIRUPさんとか日本のシティポップを聴くことが多いです。いまはタイミング的にも音楽よりも英語を勉強するためにYouTubeやポッドキャストで海外の方のVLOGを観たり聴いたりしている時間が多いですね。

自身の単独公演で生演奏と共に。

ーレッスンやミュージックビデオなどで数々の振り付けをされてますが、それってMiyuちゃんにとってどんな感覚なんでしょう?
自分の感情をひとつひとつ振り付けに込めているので、思い出をアルバムに納めているような感覚に似ています。そのときの年齢や時期によって見たり聞いたりするものが違うので、作品の内容も変わると思っていて。その瞬間に感じとったことを振り付けに落とし込んでいるんです。
ーなるほど。では踊るモチベーションはどこから湧いてきますか?
音楽です。音が自分の体をどう動かすのか勝手に決めてくれていると考えていて。良い曲だったら自然と踊りたくなるし、表現したくなるんです。あとは見てくれている人の反応かな。自分のダンスで笑顔になったとか、元気がもらえたとか、そういう声を聞くことががんばる源になっています。
ー音楽次第で表現の仕方も変わるんですね。憧れのダンサーや影響を受けた人は?
いろんな人のレッスンを受けてきたのでたくさんいますが、なかでもダンス人生を変えてくれたのは世界で活躍されてるHIROさんという方です。出会いは中2とか中3の頃で、友達に勧められてレッスンに通い始めました。あるとき、ダンスキャンプで海外に連れて行ってもらえるというお話をいただいて。私にとって初めての海外だったので、これまでにない感情をそこで感じて考え方が180度変わりました。いま思えばそれも一つのターニングポイントだったなと思います。

世界一に輝いた「JUSTE DEBOUT 2017」の景色!

ーそれはどんな感情だったんですか?
このバトルで「本気で勝ちたい! 」と強く思ったのを覚えています。歓声やイベントの雰囲気、出場しているダンサーのレベルも見たことないくらい高くて…。日本に帰ってからもそれまで以上に練習に励みました。世界一のダンサーになることが小さい頃からの夢だったので。いまでも海外に行くともっとがんばらなきゃって背中を押されます。
ーいまも誰かのレッスンを受けることはありますか?
はい。普段からインプットするようにすごく意識しています。表に立つ身だからこそ、アウトプットだけだとすぐに干からびていくような感じがして。常に自分の気持ちやダンス自体も潤っていたいので、時間を見つけて行くようにしていますね。
ー貪欲なんですね。何かを生み出す上で他に参考にしていることはありますか?
生活していて触れるものすべてがインプット源になっています。自分でイベントの企画をするのが好きなんですけど、テレビやSNSで良いなと思ったものにダンスを掛け合わせてみたりします。

インドで行ったワークショップでの一枚。

ーインスタグラムではダンスの投稿を毎日するっていう100日間チャレンジをしていましたね!
それ以外にもコロナ禍にワールドツアーと題してオンラインのダンスレッスンをしました。私のレッスンを受けたいという声が多い国に向けて、国毎の時差を気にしながら(笑)。あとは、いろんな学校や国に実際に足を運んで無料ワークショップをしたこともあります。
ーいまやダンサーはたくさん存在しますが、ここだけは他の人に負けないぞってポイントは?
負けず嫌い! もともとそんなに才能があるタイプではなかったので、オーディションに落ちたりバトルで負けたりするといつもトイレで泣いていました。他の子がキラキラ輝いてる場所を自分はいつも下から見ていたんです。でも、自分がやるべきことを紙に書き出したり、それを部屋中に貼り付けたりして自分なりに努力してました。

世界の頂点に!!!

ーそういう努力が実って世界最高峰のバトル大会「JUSTE DEBOUT 2017 WORLD FINAL」でワールドチャンピオンに輝いたんですね! 世界一の称号を得てから、新たな目標は何かありましたか?
ダンサーを象徴する存在になって、ダンスとダンサーの可能性をもっと広げることがいまの目標です。
ーそう思ったきっかけは何ですか?
世界大会って夢だった舞台で世界一になったときにそれを誰も知らなかったり、ダンサーだけを目指せる子がすごく少ない状況にあるなと思っていて。いまはレッスンや振り付け、バックダンサーなど出口が決まってしまっているので、ダンサーになりたいって親に言うと、「稼げないからだめ」「怪我したらどうするの? 」って理由で反対される子がすごく多いんです。
ーダンサーをひとつの職業として選択することが難しい現状なんですね。
ダンスは続けるけど他の職業に就く、趣味で続けるって子が自分の生徒にも多いです。私はダンスが好きだし、この職業にとても誇りを持っているので、それを聞いて悔しかった。だからダンスとダンサーの社会的地位をもっと上げれば、職業として目指せる子がもっと増えるんじゃないかな、と思ったのがきっかけですね。

レベル別にハウスのステップを紹介!

ーでは、社会的地位を上げるためにはどうすれば良いのでしょう?
ダンサーがこれまでにやって来なかったことを自分が成し遂げることで、世間からの見方も変わると思っています。自分の先輩たちが築き上げてきてくれたものやカルチャーを大切にしながら、この世代にしかできないことを地道にやり続けて貢献したいです。
ーまずは知ってもらうことからですね。
そうなんです。スポーツ選手と同じように努力して結果を残しているのに認知されていなかったり、ダンスの素晴らしい部分を知られていないのが本当に残念だなと思います。メディアに出たときに芸人、女優、歌手といろいろな肩書きがあるなかで「ダンサー」で出ている方は少ないので、自分がそういう存在になれればいいなと思います!

©︎dearMoonプロジェクト

ーMiyuちゃんは民間人初の月周回プロジェクト「dearMoon」に参加するそうですが、そういう意味ではかなり反響がありそうです。選ばれた瞬間はどんな気持ちでしたか?
このプロジェクトに関わることは誰もができる経験ではないのでめちゃくちゃ幸せに感じました。でも私はプライムクルーではなくバックアップクルーといって、みんなと一緒にトレーニングはするけど行けることが約束されている訳ではなく、いつでも行ける状況にしておく立場なんです。だからプライムクルーじゃないってわかったときは悔しかったです。
ー全世界約100万人の応募者のなかから唯一の日本人として選ばれるって本当にすごいです! 宇宙に行ったら、やってみたいことはありますか?
私はダンサーなので、感じたことを体で表現して作品にしたいです。自分が想像つかない世界に行くことでいままでにない感情を感じたり、これまでの概念がすべて変わるような気がしていて。音源は向こうで聞いた音を録音して、曲にしたいと思っています。あと、無重力空間で踊った人っていないと思うので踊ってみたいです(笑)。

ロケットをバックに踊るMiyuちゃん。

ーMiyuちゃんが得意とする高速ステップが無重力空間ではどうなるのか気になります(笑)。このプロジェクトを通して期待していることは?
参加している全員がアーティストなんですけど、アートは人を元気にすることができると思うので、自分含め一緒に行くメンバーと世界中を盛り上げられたらなと思います。あとは、ダンサーでもできるよ、どんなに大きい夢でも叶うんだよ、ってことを伝えたいですね!
ー最後に、今後やってみたいことは?
やっぱりダンサーの可能性を広げるために、違うフィールドでもいろいろな挑戦をしてみたいですね。例えば、ファッションが好きなので踊りながらパリコレを歩いてみたいです。他にもやりたいことは無限にあります! ダンサーとして常にチャレンジし続けていたいです。

自分のことは自分で紹介! Miyuについてのライナーノーツ。

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