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彼女のダンステリア
中野めぐ / ミックスメディアアーティスト
移り気な直感と素直に向き合う、ブレない“三日坊主”の歩み方。
“ガールとカルチャーがドッキング⁉︎”
これは私たちのアンセム、シンディ・ローパーの日本盤LPレコードの帯にあったキャッチコピーから。
一見むちゃくちゃに読み取れるけど、でもだんだん愛着が湧いてきました。
男子に負けず刺激的なクリエイションを提示する人たち。
編集部員が心からファンになったアーティストと向き合い、
彼女たちが何を思い、何のためにクリエイティブでいるのかについてしっかりと聞いてきました。
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中野めぐ、ミックスメディアアーティスト。東京生まれフィリピン育ち。その後ファッション系の専門学校に進学するも一年で辞め、2018年から“MIKKABOZU”名義でアーティスト活動を始める。その名の通りに移り気な自身の性格を活かし、ペインティング、ワイヤーアート、ドローイング、スカルプチャーなどさまざまなメディアを通してコミカルな世界観を創り上げている。直近で開催された個展ではムービー制作も手がけ、常に新たな手法に挑戦している。
Instagram @_mikkabozu
Website http://www.mikkabozu.com/
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- ー“MIKKABOZU”というアーティスト名ですが実際も三日坊主なんですか?
- はい。大学も3日で辞めちゃうほど!
- ーめぐちゃんの作品って、世界観やテイストの軸は一貫して存在していますが、ワイヤー、ペインティング、粘土、アニメーションと表現するメディアがどんどん変化していってますよね。 そこには三日坊主としてのなにか意図があるのでしょうか?
- まず自分が飽きないようにしたくて、長続きするためにもいろんなメディアを扱っています。ひとつのことをずっとやり続けるのが苦手で、集中力が切れたら別のものを使ってみたり、それでも飽きたらまた違うものを… みたいな感じでコロコロ変えています。
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最近の個展では、自分の普段の作業場をインスタレーションで再現。でも実際はもう少し汚いかも!
- ーコロコロ変えるっていうのは同時に別の作品を作っているということですか?
- そうですね。例えばペインティングを乾かす間にワイヤーアートに取り掛かってみたり。それにも飽きたら今度は粘土に手を出して、乾かしている間にもまた別のこともやり始めて… みたいな。とにかくずっと集中できないので!(笑)
- ーメディアはどうやって選んでいるんでしょうか?
- ワイヤーは100円ショップに行ったときに、そこにあるものでなにか作れるかな?って探して。100円だから飽きてもそんなに損はないしなと思って買ったら楽しくて! あとは、時間があるときは、なにか新しい方法に挑戦したいな〜って思い立って勉強し始めたりもします。フォトショップもいままで使えなかったので最近少しずつ覚え始めました。
- ーその勉強方法が気になります!
- 最初はYouTubeのチュートリアル動画を見ながら勉強するんですが、それが面倒臭くなってきたら友達に教えてもらってます。
- ーそういえば、最近の個展でもムービーを作っていましたよね。いろんな新しい試みが見られておもしろかったです!
- 前の個展で展示していたアニメーションはtokyovitaminのKenchanに頼んでいたけど、今回はコロナのタイミングでたっぷり時間ができたから自分で勉強して作ってみました! 音はMat Jr.に作ってもらったけど。自粛期間中はとにかく友達に会いたくなって… みんなに参加してもらいました!
- ーtokyovitaminと仲がいいんですね。作品を作るときに関わることが多いとか?
- 仲良しです! 知らないことがあると、いつもtokyovitaminの誰かに聞いちゃう。最初にステッカーを作ったときもペイントをどうデジタル化するかとかもVickに聞いたり! あとはよく作品にも登場するキャラクターはDisk NagatakiのMVで描いてほしいって頼まれて生まれたんです。
- ー自粛期間中に友達が恋しくなったとのことでしたが、いまこそ食事に行ったり普通に遊ぶこともできるなかで、あえて作品作りをキッカケに友達に会おうとしたのはなぜ?
- あまり外で遊ぶのが好きじゃないので、なにか理由がないと出たくないっていう気持ちがあって…。でも作品だったら楽しいし、それにみんながクリエイティブに楽しそうなことをしているとそれだけでもモチベーションになることもあるし!
- ー友達との関わりを励みにアートをやり、また自分自身の作品にも友達が関わっていて… 素敵な関係性ですね!
- そうですね、一人じゃなにもできないかも!
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左からAlex(グラフィックデザイナー)、Vick(tokyovitamin ディレクター)、Guap(フォトグラファー) Hitomi(The Antoinettes DJ)、Kenchan(tokyovitamin ビデオグラファー)
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ちょうどいいサイズのお煎餅の缶があったので道具箱として使ってます! 気付いたら友達のステッカーでいっぱい。
- ーここからはもう少し制作プロセスについても掘り下げて聞けたらと思います! 例えば作品を作るときは「こういうアートを作りたい! 」みたいな具体像が先にあるのか、むしろ思い立ったものをその場で作り始めることが多いのかなど頭のなかでどう思い描いていたものが作品として表現されているのか教えてください。
- なんでも書き留めているノートがあって、日常生活や、普段友達と話しているとき頭に思い浮かんだものを忘れないようにそこにすぐ書くようにしてます。それをいつかやる気が出たときに絵や作品にするんです。本当になんでも書いてあって、画材にいくらかかったとか、YouTubeで見て勉強したこととか、展示のアイデアとか細かいことまで…! 最近の個展のために作ったムービーの台本とかもこれに書いてありました。
- ー三日坊主なのにちゃんとマメな一面があるのは意外かも。頭のなかに2役いる感じがおもしろいですね。“まとめる役のめぐ”と、“表現する役のめぐ”みたいな!
- そうかも。まとめる時間は好きだけど、ずっとしているとつまんなくなってきちゃうので、そういうときは表現する役のめぐを出す!
- ーなるほど! どんなに飽き性でも、その2つがいい塩梅に備わってるからこそ、ここまでアートは続けてこられたんですね。ちなみに今回の個展は「MIKKABOZU HOME」というテーマで開催してましたが、その背景にもなにかキッカケがあったんですか?
- 実はコロナが流行る前に引越しの予定があって、それが楽しみでいろんなインテリアをチェックしたんですが結局実現できず…。でもずっと家のことばっか考えてきたから頭にはそれしかなくて。だったらこれをテーマに展示もやろう! ということで始めたんです。
- ーそうだったんですね!
- なので展示のなかでも実際に普段の自分のワークスペースを再現したインスタレーションを作ってみたりしました。
- ー日常のなかで断片的に頭に浮かんでいたものをキャッチしコンセプトとしてまとめているようですが、逆にそれとは別に、リサーチしてまとめた情報を元に作品を作ることはあるのでしょうか? 例えば、お気に入りのアーティストがいたり映画があったり。
- お気に入りのアーティストがいないこともないし、ノートにリサーチしたことをいろいろ書いておいたりもするんですが… どうしても忘れちゃうし、覚えてても時間が経つと「いまは違うかな? 」って感じ方が変わってしまうのでやめました。それにきちんと整理して作品を作り込み過ぎるのもおもしろくないので「引越したい! 」みたいな頭にふと浮かんだことを作品として表現できたときの方が気持ちいいかも。そういうときの方が意外と良いものできたなって思うことが多い気がします!
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作品に出てくるお決まりのキャラクターたちはドジっ子ばっかり。名前はまだない!
- ーおもしろくないかも?と気付いてもがんばって続けなきゃと無理する人もいるけど、その「おもしろくない! 」という感情を直感でキャッチしてすぐにやめられる三日坊主としてのブレなさがすごい!
- 大学に入ってすぐ辞めて、その後ファッション系の専門学校に入ったけどまた一年で辞めて、でもやっぱりなにか手を動かして作ることが好きかもって思い始めていまのMIKKABOZUに至るけど、これも続くかはわからない! いまもいつかは飽きる前提でやってます。
- ーでもそれもひとつのスタンスとしてちゃんと成立しているし、純粋にかっこいいと思います! そんな三日坊主スタイルで生きているめぐちゃんに聞くのもアレですが、今後の目標とかはありますか?
- 全然ない!
- ーさすが潔い! もはやこの答えを期待している自分もいました(笑)そうしたら最後にひとつ、近々やりたいと思っていることがあればぜひ教えてください。
- 最近始めたデジタルでのビデオ編集はこれからもやっていきたいですね! だから作ったDVDにも一応“vol.1”って書いておきました。楽しみ〜!
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To be continued…(?)
自分のことは自分で紹介! 中野めぐについてのライナーノーツ。
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